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【韓国の誇り】月面観測衛星「タヌリ」は機能せず

迷走韓国宇宙開発史
この記事は約8分で読めます。

あら、残念。月面観測衛星も難しいみたいだね。

[単独]韓国の誇りだったのに…月軌道船タヌリのカメラ2台のうち1台が故障した 2023.12.20. 08:12

韓国初の月周回衛星「タヌリ(KPLO)」に搭載された広視野偏光カメラ「ポールカム(PolCam)」が正常に作動しないことが確認された。韓国天文研究院(天文研)が開発したPolCamには2台のカメラが搭載されているが、このうち1台が作動しておらず、残りの1台もデータ処理に問題があることが分かった。

Daumより

打ち上げ成功時にはホルホルしていたのに、残念である。

宇宙開発は難しい?!

打ち上げは順調だった

えーと、打ち上げ成功の時にも触れたんだけど、トラブルで記事は消えているようだ。まあ、大したこと書いていないし良いか。

というわけで、打ち上げの時の振り返り記事がこちら。スペースX社のファルコン9で打ち上げて貰ったという話だ。

韓国初の月軌道衛星「タヌリ」 任務を行う軌道に進入

Write: 2022-12-28 12:02:03/Update: 2022-12-28 18:38:48

韓国初の月探査衛星「タヌリ」が、月の上空100キロの軌道への進入に成功したと、科学技術情報通信部と韓国航空宇宙研究院が28日、明らかにしました。

タヌリは現在、およそ2時間周期で月の上空を公転しています。

ことし8月5日にアメリカフロリダ州のケープ・カナベラル宇宙軍基地から打ち上げられたタヌリは、4か月半にわたる長い航行を経て、今月17日に月の軌道に到着しました。

KBS WORLDより

この記事を読む限りは、なんか結構順調だったという印象である。アメリカに打ち上げて貰ったけれど、何とか月軌道に乗せることが出来たという話であった。

こんな感じの写真を公開して胸を張っていたハズ。

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打ち上げから1年

ところが、打ち上げのタイミングから1年が過ぎて式典が開かれ、運用開始から1年のタイミングになって状況が……。

月探査衛星「タヌリ」 打ち上げから1年

Write: 2023-08-08 10:29:41/Update: 2023-08-09 10:59:19

韓国初の月探査衛星「タヌリ」の打ち上げから、今月5日で1年が経ったことを受け、科学技術情報通信部と韓国航空宇宙研究院は7日、打ち上げ1周年を祝う記念式典を開きました。

去年8月5日に打ち上げられたタヌリは、ことし2月に本格的な運用を開始し、月面の観測や、月着陸候補地の探査のほか、惑星間の通信を可能とする「惑星間インターネット」の技術検証などを行っています。

KBS WORLDより

これが8月で、打ち上げから1年のタイミングであった。

で、月軌道に載ってから1年のタイミングで冒頭の記事が報じられた。いつからかは分からないが、ポールカムという装置の2台備えられたカメラのウチの1台は使用されておらず、もう1台も不調らしい。

19日、科学技術界と天文研によると、ポールカムは現在1台のカメラを活用して運用されている。残りの1台のカメラは低い解像度のために使用していないことがわかった。運用中のカメラ1台も観測データの算出に困難を経験していることが確認された。光滲み現象などで撮影画像にダメージを与え、これを処理するのに従来予想していた以上の時間がかかっているからだ。

Daumより

低解像度で使用していないって意味が良く分からないんだが、使っているカメラの方も光滲み現象(ハロー・グレア現象だと思われる)が起きるらしい。

広視野偏光カメラ「PolCam」

月面観測衛星「タヌリ」が搭載しているカメラはこれらしい。(この他にも観測機器を搭載している)

韓国天文研究院が開発したダヌリ搭載体「ポルカム」に2台のカメラが走ったのが見られる。 [写真=チョン・ムンヨン]

このうち1つが低解像度なので使っていないらしいのだが、そもそも2台のカメラを使うから広視野偏光カメラなのであって、片側だけしか使えないなら単なる偏光カメラである。当初に狙った効果が得られていないと考えるべきだろう。

ポールカムは、ダヌリの進行方向に垂直に両側を眺める2台のカメラで構成される。直下点から45度の距離にある地域を320、430、750ナノメートル(nm・10億分の1m)の3つの波長帯域で観測する。これを通じて月全体の偏光地図を描くのが最終目的だ。

しかし、目的を果たすかどうかは未知数だ。解像度などカメラ1台の性能が予想とは違って低く出ており、残っている残りの1台のデータ処理速度も遅い状況だからだ。

~~略~~

天文淵関係者は、性能の低い1つのカメラを使わない理由について、「1つの性能が低い場合は、その性能に他の1つの性能も合わせなければならない」とし、「そうすれば、早く月の偏光マップを描くことができるかどうかはわかっていないが、低品質の結果が「データの下方平準化が生じる」と説明した。

Daumより

天文研の関係者の話はイマイチ要領を得ないが、狙った効果が出るかどうかは撮影してみれば分かるハズ。それを「使っていない」というのだから、上手く撮影が出来ないという意味だろう。

シンシアリーさんのサイトも同じ記事を紹介していて、なぜこの話が公式発表しなかったかについて言及されている。

こんな記事が出る前に、普通に公式発表してもよかったでしょうに・・と思ってもう少し調べてみたら、今月20日・・ちょうど今日から政府(科学技術情報通信部)などの主催で「タヌリ任務1周年記念特別展」が開かれる、とのことです。ニューシースなどの関連記事によると、「成果を見せるためのアート」(どんなもんでしょうか)などをソウルのど真ん中で来年1月31日まで開催する、とのこと。多分、これが原因ではないのか・・な気もします。

シンシアリーさんのブログより

ああ、プライドが公式発表の邪魔しちゃったのね。

トヨサット衛星も不調

そういえば記事にはしなかったが、ヌリ号の打ち上げの時にも一悶着あったね。それに関する話も軽く触れられている。

と、まずはヌリ号の打ち上げの時のニュースを紹介しておこう。

「客は8人乗ったのに、7人だけ降りた」…韓国型発射体「ヌリ号」、それでも成功

2023.05.26 08:33

韓国型発射体「ヌリ号」(KSLV-II)は成功裏に打ち上げられたが、当初の目標任務であった衛星8基のうち7基のみの射出が確認されたことが分かった。今回の3回目のヌリ号打ち上げでは、過去の1回目と2回目とは異なり、実用級衛星など8基(主塔載衛星1基、キューブサット7基)を正確な宇宙軌道に乗せるというミッションが与えられた。しかし「客は8人搭乗したが、現在7人だけ降りたことが確認された」状況だ。

科学技術情報通信部の李宗昊長官は25日午後7時50分、羅老宇宙センターで開かれた会見で、「主搭載衛星である次世代小型衛星2号(NEXTSAT-2)とキューブサット6基の正常分離が確認された」としながらも「トヨサットは4基のうち1基が射出に成功したかどうかを確認するためにもう少し時間が必要な状況」と述べた。そのうえで「6番目のトヨサット衛星は射出確認ができていない」としつつ「カメラの死角地帯にあって確認できず、7番目のトヨサット衛星が(発射体から)出て行ったので射出できたとみている」と強調した。

中央日報より

これもまあ、1つ失敗したくらいで文句を言うまいと思ったのだけれど、どうも違うらしい。8基のうち1基が出ていないのか、4基のうち1基でていないのかイマイチ良く分からないのだが、記事の通りだと全滅っぽいよ。

天文研は5月、韓国型発射体「ヌリ号」にトヨセット衛星4基を載せて宇宙に打ち上げた。直後、1基はヌリ号から出てこなかった。残りの3基は交信に成功したが、3基のうち1基は電力量が弱く、制御が難しい状況だ。残りの2基もまだ任務に着手していない。

Daumより

いやー、宇宙開発は前途多難だなー(棒)。

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追記

コメントを貰って調べて見たけれども、確かに、シャドーカムを採用したという記事を見かけた。

韓国の月周回衛星にNASAのシャドーカム搭載 月の永久影を観測

2021.09.01

科学技術情報通信部は30日、来年8月の打ち上げをめどに韓国航空宇宙研究院が開発している韓国型月周回衛星(KPLO、Korean Lunar Pathfinder Orbiter)に、米航空宇宙局(NASA)の精密カメラ「シャドーカム(ShadowCam)」を搭載したと発表した。

Korea.netより

途中で変えたのか?とも思ったんだけれども、どうやら公表されている写真はシャドーカムでの撮影映像らしい。

韓国の月探査機、月の永久影に覆われた領域を撮影 – NASA探査機の感度200倍

2023/01/19 11:30

韓国航空宇宙研究院(KARI)などは2023年1月12日、月探査機「タヌリ」が撮影した、月の「シャックルトン」クレーターにある永久影に覆われた領域の画像を公開した。

~~略~~

タヌリには6つの観測機器が搭載されており、そのうちのひとつに、米国航空宇宙局(NASA)とアリゾナ州立大学が開発した「シャドウカム(ShadowCam)」というカメラがある。シャドウカムは、暗い場所でもまるで普通の写真のように撮影できる超高感度カメラで、月の南極、北極付近にある永久に影に覆われた領域を撮影することを目的としている。

マイナビニュースより

どういうことかな。

2016年から2367億ウォンを投じて独自開発されたタヌリには、国内で開発された高解像度カメラ5種類とNASA=アメリカ航空宇宙局が開発した探査船の着陸に必要な情報を確保する「シャドーカム」など6種類の装置が載せられます。

KBS WORLDより

なるほど、「シャドーカム」の他に「ポロカム」も搭載していたというパターンか。

  • 5m級の高解像度カメラ:韓国航空宇宙研究院で開発
  • 広視野偏光カメラ:月面全体の映像を撮ることができる機器で、韓国天文研究院で開発
  • 月磁場計:月面から100Km上空までの磁力を測定する磁力計で、慶煕大学で開発
  • ガンマ線分光器:月面を構成する元素の成分と分布を調べる装置で、韓国地質資源研究院で開発
  • 宇宙インターネット試験装置:遅延耐性ネットワーク試験装置で、韓国電子通信研究院で開発
  • シャドウカム:月探査用光学カメラで、米国研究陣が開発

広視野偏光カメラが、PolCam(ポールカム)で、これが使えないってニュースらしい。

コメント

  1. アバター 匿名 より:

    ポールカム?、アメリカ製のシャドウカムを搭載していたような?
    対宇宙線用半導体を含む部品は全てアメリカ製だったはず。

    • 木霊 木霊 より:

      追記で言及しました。
      しっかり調べておかなかったので記事中での表現が誤解を招いていましたが、ポールカムもシャドウカムも搭載しているようですね。

  2. アバター 山童 より:

    ふぅん……最初は「タタリ」と読んで、
    木霊様のジョークかと思った(笑)
    んで祟られているのか?ですが、どーも上手くゆかんみたいですねぇ。
    しかし、なんで月面探査に拘るんだろ?
    月ってそんなに探査の価値あるすかね?
    よく人類が半世紀以上も月に行かないのは、エイリアンと取引したから……とかアホな事を言うユーチューバーいるけど。
    単に費用対効果で銭食い虫に過ぎないから行かないだけで。価値ないから行かない訳てせう? なんで今さら。
    たしか月の砂礫や岩にはチタンだかが豊富に含まれているそうですが、持ち帰る資源より、打ち上げ等で消費する資源の方が圧倒的に多い。
    まぁ月のクレーターが規模のデカさの割に一律に深さが浅い事や、破棄した人工衛星が月面に激突した時の反響がやたら大きい事(月内部の空洞説)など、未解明な謎は多いですから、探査する事に反対はないんですけど。どうも割に合わない気がするんですよね。

    • 木霊 木霊 より:

      人類が月面から資源を採掘するには、未だ未だ幾つもの高いハードルをクリアする必要がありますから、今やっていることが直接実利に結びつくことはないんでしょう。
      ただ、困難なミッションにあたって様々な工夫が凝らされますから、そこから得られる実があるのも事実。
      尤も、対費用効果が不十分であるというご指摘は、恐らくその通りで、だからこそアメリカも一旦撤退したわけです。

      今、再び宇宙開発が再燃している理由は、やっぱり「ロマン」があるからでしょう。
      山師が「一発掘り当てる」と言って資金を募っている状況で、ロマンを語ってこその手管なのだと思いますよ。しかし、お金が集まれば仕事が動くわけで、悪いことばかりとも言えません。やらないと衰退するのも事実ですからね。

      • アバター 山童 より:

        あぁなるほど。月そのものがフロンティアなのでなく、そこに挑戦し新たな技術.発見する事がフロンティアになる…ちう話ですね。納得!
        たしかに地球上とまったく異なる条件下ですので、何か新しい切り口を人類に与えてくれる可能性はある。
        それと実利には海底開発の方が近いですが、難易度は海底の方が高いですものね。
        開発による環境汚染などの問題も、人類の生存圏と直接につながってないだけ宇宙開発の方がリスクは低い
        かと。ならば既存の技術の延長でフロンティアを求めるならば宇宙が手っ取り早いのかもしれませんね。

  3. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    記事の内容というか、衛星がトラブったのは(宇宙ファンとしては残念ですが)さもありなん、なのですが(宇宙開発はトラブってナンボ)。

    >ダヌリの進行方向に垂直に両側を眺める2台のカメラ

    機械翻訳の直訳なんでしょうけれど、この原文を想像するに、そのあたりが「理系が育たない」ハングル文字と文法の限界なんじゃないかって、ふと思いました。
    ※もう少し言いようというか、科学的、理系的な表現方法があるだろ、って感じです。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      翻訳文の部分に関してはごめんなさい。
      アレではサッパリ意味が分かりません。意味が想像出来たら、ちょっと修正したんですけども。おそらくは広角の視野を確保できたので、凄いんだよということをいいたいんだと思うんですが。

      • アバター 七面鳥 より:

        いえいえ、言いたいのは「ハングル(ひらがなだけ、句読点なし)の文章は論理思考に向かない(文学にも向かなそうだが)」という事なので……

        『日本語は漢字使わないと同音異義語の区別が出来ない欠陥言語』らしいですが、彼らに言わすと。
        漢字が無いから「戦車」と「電車」の区別が元々つかないお前らの言語はどうなんだと。

        ※偉大なるセジョンデワン(この人は、全てを是とはしないけど、歴代朝鮮王としては有能だったと思います)が「中国漢字の発音を正確に表記する目的で作った発音記号」を作ったわけで。
        ※Wikiの「世宗_(朝鮮王)」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E5%AE%97_(%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E7%8E%8B) のハングル関係のところ、マジ面白いです。官僚の反応が今の韓国そっくり。