【韓国】月面探査機発射の予定を延期

迷走韓国宇宙開発史

あ、ハイ。

月探査機発射、19ヶ月延期

Posted September. 11, 2019 07:58, Updated September. 11, 2019 07:58

当初、来年末に予定されていた韓国初の月探査機(軌道船)の発射計画が、2022年7月に延期される。発射延期による追加の人件費と海外発射体企業への発射コストの増額などで、約167億ウォンの追加投資も必要になった。

科学技術情報通信部は10日午前、政府世宗(セジョン)庁舎で第31回国家宇宙委員会宇宙開発振興実務委員会を開催し、このような内容が盛り込まれた「月探査事業の主要計画変更案」を審議議決した。

「東亜日報」より

……この計画ってまだ生きてたんだね。

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韓国ロケット開発は

予定では2021年打ち上げの予定

ちょっと誤解をしていたが、月探査機は今開発中のKSLV-II「ヌリ号」で打ち上げる予定ではなく、アメリカに依頼して打ち上げる予定なのだそうだ。

このブログでは「ヌリ号」の方を追いかけているので、先ずはそちらの話題を少し。

前回の記事はアーカイブスとして紹介しているが、当初の予定では2018年までに試験用の2段ロケットを完成して試射することになっていた。

しかし、未だに2段ロケットが出来上がったという話は聞かない。予定通りならば、現在は第三期に入っていて、KSLV-IIの作成に入っていて、作成途中のニュースくらい出てきても良さそうなモノだ。

月探査はスペースXに

で、今回のこのニュースはアメリカのスペースX社に打ち上げを依頼する計画であるらしい。

発射計画が遅れたのは、軌道船の重量が技術的限界で当初の計画より増えたことで、設計変更が避けられなくなったからだ。軌道船には、月面観測機器など韓国国内機関および米航空宇宙局(NASA)が開発した計6基の搭載体が載せられる。当初の計画通りなら、これらを載せた軌道線の総重量は550キロ以下でなければならないが、技術的限界で軽量化が難しく、約23%増の678キロ以下へと目標重量を見直した。

「東亜日報」より

なんだよ、重量オーバーかよ……。

増えた重量のせいで、任務軌道も変更された。月の100キロ上空を円形軌道で回りながら表面を観測する当初の計画を断念した。その代わり、燃料が少なくかかる最大100〜300キロの上空を楕円軌道で9ヶ月間回った後、最後の3ヶ月間100キロ上空を円形軌道で回る。

「東亜日報」より

「増えた重量のせいで」という話がイマイチ繋がらないが、どうやら月探査機の軌道を変える模様。

想像するに、重量が増えたせいで月探査機の軌道を低く設定すると、月の引力に捕まって高度を維持できないからということだと思うのだが、どうなんだろうね。

キャリアとしてのロケットの役割は、打ち上げて地球の大気圏外に出ることと、月軌道への移動の2つがあると思う。月軌道に乗ってしまえば、細かな姿勢制御などはスラスターで行う話になるのだろうが、2段式のロケットだとしても、重量が増えれば両方に影響がある事は容易に理解出来る。

それにしてもアメリカ側は、打ち上げ時期が遅れることに加えて重量が増えることを良く了承したな。

韓国型発射体の利用を断念

ん?同じ内容を扱っている朝鮮日報の記事で興味深い内容があったぞ。

 これまで国内の月軌道船、月探査船の開発現場では、事業計画内の条件変更と技術的限界により、目標の重量に合わせるのは困難との声が高かった。わが国の月探査事業計画は、初期に韓国型の発射体を使用し、地球から月の軌道まで行くというものだった。

 しかし、事業の初期に月軌道船に韓国型発射体を利用しないことが決まり、計画は狂い始めた。発射体に搭載する燃料の容量と発射体の重量によって、軌道船と構造物の重量が変化せざるを得ないというのが現実だ。

「朝鮮日報」より

この記事の「韓国型発射体」が何を意味するか、ちょっと判断しにくいのだが、ロケットのことだろう。

良くは分からないが、韓国の発射体を使わず、別の発射体を利用すると決めたことで、色々問題が出たみたいな書きっぷりになっている。が、だったら計画通り韓国型発射体とやらを利用すれば問題解決じゃ無いか!

ナニヲイッテイルンダ??

 この日、宇宙実務委が新たに調整した重量678キロは、搭載体の追加などによって増えることが予想される、燃料、構造物、電力系の部分を考慮したものだ。わが国の月軌道船の発射体は米国の民間宇宙航空企業、スペースXのものを使用する。

「朝鮮日報」より

どうやら、「発射体」はロケットのことを意味しているらしく、採用するのがスペースX社のものらしい。

それなりに実績を積み上げたスペースX社のロケットエンジンを使って困るという理屈がよく分からないのだが、それはKSLV-IIのロケットエンジン開発が不調だと言うことを意味している可能性が高そうだ。75tエンジンは完成したんじゃないのかね?

設計変更をしようと思ったがやーめた!

更に面白いのがこちら。

実際に月軌道船の重量をめぐり、国内の研究者の間では、678キロ級の軌道船で任務遂行が可能だという意見と、再設計は避けられないという意見が対立してきた。しかし再設計した場合でも重量が678キロと大差ないと判断し、従来の設計を維持することにした。

「朝鮮日報」より

更に意味が分からないのが、月軌道船の再設計をするかどうかを検討して、再設計しても軽くならないという結論を出してしまったらしい。

……スペースX社から調達するエンジンが軽量化出来ない以上、この結論は仕方が無いという風にも理解は出来るが、しかし重量の問題は軌道の変更で解消しているとのこと。

 宇宙実務委は月軌道船の任務軌道も修正した。当初、月の表面から100キロ離れた上空で円を描きながら12か月間にわたり月を観測する予定だったが、燃料不足になることを考慮し、楕円軌道で9か月、円軌道で3か月という折衷案を打ち出した。

「朝鮮日報」より

そうだとすると、打ち上げ時期を後ろにずらす意味がよく分からない。当初の計画を維持して軌道を変更することで燃料不足を解消するのだろう?

だったら、何故、19ヶ月時間稼ぎをしなければならないのか??

 問題は予算だ。打ち上げの重量が増加するため、発射体を提供するスペースXに対し、わが国から更なる支払いが発生する。また、追加の技術開発や試験費用、人件費などの増加も避けられない。現在、推定される費用は総額167億ウォンで、このうちスペースXに84億ウォン(約7億5600万円)を追加で支払うことになるとみられる。

「朝鮮日報」より

そして、「予算だけが問題だから金をクレー」という話になっているが、予算だけが問題だ、みたいな書き方はどうかと思うぜ。1kg増えると100万円追加で必要だという風に言われるので、128kg増えればそれなりにお金が必要だというのはわかる。だから打ち上げ費用が嵩むのは重量が増えるから仕方が無いだろうが、人件費の増加は、期間を延期しなければ問題無かろうに。

まあ、色々理由はあるんだろうけれど、分からない部分の多い記事ではある。要は、金クレという記事なのかも知れないね。

追記

あ、そういう事?

韓国、月軌道船日程を19カ月延長…次期政権に持ち越し

2019年09月10日15時11分

 結局、月軌道船の打ち上げは次期政権に持ち越すことになった。韓国の科学技術情報通信部は10日午前、国家宇宙委員会宇宙開発振興実務委員会を開き、月軌道船開発日程の19カ月延長を柱とする月探査事業主要計画変更案を審議、確定した。

  当初の計画によると、月軌道船打ち上げ目標日程は来年12月だった。しかし今回の計画修正を受け、次期政権の2022年7月に月軌道船が打ち上げられることになった。変更計画によると、月軌道船は重量が従来より128キロ増えた678キロとなる。月軌道船にはアメリカ航空宇宙局(NASA)の装備をはじめ、6つの搭載体が入る予定だ。

「中央日報」より

つまり、「やっぱ無理そう」ってことでムン君は次の政権にぶん投げたと。

しかし、アメリカのスペースX社はこの話、OKしたのかね?そこは気になる。勝手に計画を延期するのは良いけれど、複数の計画を受け容れているスペースX社の他の計画にも支障が出るんじゃ無いかな?

そうした調整をした上での話だとは思うけど、韓国のやることだから、アメリカが「そんなの聞いてねぇ!」と怒り出す気がしているのは、僕だけか?

コメント

  1. 音楽大好き より:

    おはようございます

    重量オーバーだと地球を周回する軌道にたどり着けないんですが、それを防ぐために探査機の燃料を減らすという事なんでしょうかね。月探査というミッションがあって、その目的を果たせる探査機、ロケットを作るわけですが、重くなり過ぎたからミッションを変更するとは・・・何を考えているんでしょうかね・・・何も考えていないって??
    そう言えば、検査基準を甘くして「合格」とした戦車があったような。

    ミッションは月探査ではなく、「探査機を月周回軌道に乗せる」事ならば納得なんですが、そうならばスペースXに依頼したんじゃダメでしょう。自前のロケットでなくては・・・。
    まぁ、スペースXの仕事は地球周回軌道に探査機を放出するところまででしょうから、全く無意味でもないか。

    ところで、例の75tエンジンの情報が出てこなくなりましたね。どうなったんでしょうかね。「消滅」してたりして。

    • 木霊 より:

      この話は、どの部分が同重量オーバーなのかの言及が無いので、評価が難しかったのですが、流石に第一宇宙速度に達するためのエンジンの方は、エネルギーが余分に必要という程度の話である気がしますから、月に近づく為の推進力的な話が問題と考えた方が良さそうです。

      自前のロケット計画はどうなってしまったのかよく分からないのですが、そのうち報道されるんでしょう。期待しています。

  2. マスメディア反乱軍 より:

    >ちょっと誤解をしていたが、月探査機は今開発中のKSLV-II「ヌリ号」で打ち上げる予定ではなく、アメリカに依頼して打ち上げる予定なのだそうだ。

    ここにきて他力本願で打ち上げてもらうのも情けないけど、基本的な月軌道計画まで変更してモメてるって話ですかァ~。(冷笑)
    原因は36%の重量オーバーとなってますが、それなら最初から設計ミスって事になるんじゃないでしょうか。(スペースXが当初から700kgで契約したのなら、問題ゼロで進んでいたはずじゃないかな)

    >このブログでは「ヌリ号」の方を追いかけているので、先ずはそちらの話題を少し。
    >前回の記事はアーカイブスとして紹介しているが、当初の予定では2018年までに私見用の2段ロケットを完成して試射することになっていた。
    >しかし、未だに2段ロケットが出来上がったという話は聞かない。予定通りならば、現在は第三期に入っていて、KSLV-IIの作成に入っていて、作成途中のニュースくらい出てきても良さそうなモノだ。

    僕も「お笑いヌリ号」のその後の始末の方にしか興味がないんですけどね。
    2018年までに75t級エンジンを開発し(完成度合は未だ行方不明)、これを第1弾用エンジンに使った試験用2段ロケットを完成して、確かこの秋にまた試射するとか言ってなかったっけ?
    KSLV-2の完成(クラスタ化含む?)は2021年春とぶち上げてたはず...、でももう1年半しかないんですけどねェ~。

    KSLV-2の完成と今回の記事のスペースXでの打ち上げ延長時期が、2021年なのは偶然なのかなァ~?

    • 木霊 より:

      他力本願の方が確実ですから、「賢い」と言えるかも知れません。
      でも、そうだとするのならば月面調査などそもそもすべきでは無いのです。
      国家の威信をかけてやるのであれば、やはりご指摘通り打ち上げる辺りからやるべきでしょうね。