【アーカイブス】宇宙を夢見る韓国

迷走韓国宇宙開発史
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羅老(KSLV-1)の開発を突如開始する

開発の方向転換の理由は、テポドン

あっさりKSR-3の計画を放棄した理由は、実は明白で、1998年8月に北朝鮮のミサイル発射実験が行われ、これが成功したからだ。

テポドン1号は日本でも有名だろう。

テポドン1号は三段式の弾道ミサイルで、液体燃料式ロケットを採用している。つまり、韓国は北朝鮮に先んじられたのである。

KSR-2の打ち上げを終えて得意になっていた韓国にとって、この事件は衝撃的だったのだろう。いきなり液体燃料のKSR-3に手を付けた挙げ句、失敗したこともあってか、自国開発という方針を転換をしてしまう。

そう、ロシアと共同開発の路線を採ったのだ。いや、正確に言えば外国からの技術供与を狙った挙げ句に、ロシアに利用されただけというか……。

ロシアからの技術導入路線を模索

共同開発方針となり、最初に技術協力を打診したのはアメリカだった。

だが、アメリカは韓国がロケット技術を軍事転用するリスクを考え、これを蹴る(高額料金を吹っ掛けた)。

フランスにも高額な金額を吹っ掛けられ、日本は「お・こ・と・わ・り」を発動し、支那とインドとは諸事情により共同開発不能。

結局、ロシアとウクライナに目を付け、米仏の1/3程度の料金を提示したロシアを技術協力のパートナーに選んで、2001年5月に覚書を交わした。後にこれが悪魔との契約書であったことが判明するのだが(笑

上にも書いたが、これが韓国における技術開発の特徴なのである。累積的な技術の積み上げでは無く、非連続的に技術が発展するのである。その原因は、外国から技術供与を受けることにある。

それは、悪いことでは無いのだが……、技術を自分のものにする前に次のステップに行っちゃう悪癖のお陰で、国内には何も残らないんだよね。

さておき、2002年8月にKSLV-1計画がスタート。

だが、いきなりロシアとの交渉が費用などをめぐって難航。1年をかけてようやく2003年9月に露クルニチョフ社と話がまとまる。

2004年10月に2億1000万ドルで露クルニチョフ社とロケットシステム協力契約を結ぶ。ところが、この契約、「羅老号の1段目の完成品を2回分ロシアが製造、韓国側に引き渡して打ち上げをする。失敗の場合、「露韓共同失敗委員会」で妥当と判断された場合にのみ1回分無償で1段目の完成品を韓国に引き渡す」という話になっていた。

ちなみに、このクルニチョフ社というのは、ロシアのクルニチョフ国家研究生産宇宙センターのことで、ソ連の宇宙計画の一翼を担う企業でもある。ミサイルやらロケットを大量に作った実績があり、最近はアンガラ・ロケットの計画でも有名である。

契約書はよく読もうね、と言う話

もともと、「第1段エンジン以外の様々な核心技術、液体燃料の貯蔵のための詳細設計技術、発射台の製造と運用技術に関する技術習得機会を得るという条件で、第1段エンジンの技術移転を放棄し完成品を輸入する」という契約内容だった。だがこの辺りから、ケチがつき始めている。

この契約によって、羅老号の1段目の運用や、それに伴う関連装備など、全てロシアからの持ち込みで、常駐しているロシア人技術者160人のうち2割が保安要員で、韓国人は一段目のロケットに一切近づけなかった

韓国が契約書を読んだときに、「第一段エンジン以外」という辺りにどうして悪意を感じ取れなかったのかは理解出来ない。クルニチョフ社が資金難でアンガラ・ロケットの計画を進めあぐねている実態を知らなかったのだろうか?

知らなかったんだろうな。

実際に、アンガラ・ロケットは1995年にロシア政府から開発承認を受けて、2007年に第1弾の油圧系と操舵アクチュエータの試験に成功している。そして、2009年7月に最初の燃焼試験が行われた。しかし、実際にロケットの打ち上げをするとなると莫大な資金が必要となる。当時のロシアには(今もそうだが)その資金が無かった。

羅老1号機打ち上げ

そんなロシアの思惑を知ってか知らずか、韓国初の宇宙ロケット開発は進む。

羅老1号機の打ち上げは何度も延期された末に2009年7月と予定される。

が、実際には更に延期されて2009年8月11日に打ち上げ予定日となり、これも延期。8月19日には残り7分56秒までカウントダウンされて、トラブルで中止。

2009年8月25日にようやく打ち上げが行われる。

17:00に発射し、高度300km以上まで上昇。

だが、2段目ロケットから射出されるはずの衛星STSAT-2Aは楕円軌道に乗ることは無かった。

打ち上げ失敗である。

失敗原因は、羅老1号機の二段目に取り付けられたフェアリング(風よけ用の殻)が外れなかったことのようだ。つまり、ロシアの一段目は成功した、という風に理解することも出来るが、ハッキリしたことはよく分からない。

ちなみに、ロシアはこの時点で2億1000万ドルの金を手にしている。

羅老2号機打ち上げ

さて、ロシアと韓国との契約は「成功するまで」という事だったようで、ロシアはこれを履行するという理由を元に、羅老2号機の開発を韓国と共に進めた。

そして、1号機の失敗の翌年の2010年6月9日に羅老2号機の打ち上げが決定するが、トラブルにより延期。

打ち上げは、2010年6月10日に実施される事となった。ところが、これも失敗。通信途絶後に、爆発、墜落した。

失敗の原因は、ハッキリとは分かっていないが、韓国側の説明では、ロシア担当の一段目燃焼区画が爆破し、これが原因だとされ、ロシア専門家の説明では、韓国製二段目が予定時間前に着火して爆発し、これが原因だとされている。

どちらの意見が正しいかは今もなお分かっていない。

羅老3号機打ち上げ

さて、2度の失敗を受けて、「3回目は無償でおかわりですよね?」と調子こいた韓国に、ロシアは「韓国の二段目が成功していれば、ウチのは成功だから。無償じゃないよ」と冷たく言い放った。

ここから、ロシアと韓国との激しい技術論争が繰り広げられるが退屈なのでカット。

結論から言うと、ロシアが3号機の一段目製作費を負担することで、合意。2012年10月26日に打ち上げが予定される。

が、この打ち上げもトラブル発覚で延期される。

そして、2012年11月29日にロシアの全面バックアップによって打ち上げが行われ……るかに思われたが、打ち上げ16分前の点検中に、フランス製の第2弾推進方向制御装置(TVC)の電流値異常が検出されて打ち上げは延期。

結局、2013年1月30日にようやく打ち上げが行われて、無事に人工衛星の軌道投入に成功した。

ちなみに、羅老号の一段目は、ロシアのロケットRD-151(推力189.4t)で、二段目は韓国のKSR-1で推力は8.8tである。ペイロード:LEO(低軌道投入重量)は100kg/300kmとなっている。

一段目に比べて随分と低性能なのだが、ロシアのクルニチョフ社は見事に3回の打ち上げ実験のデータを手に入れた。そのうち何回成功したかは定かでは無いが、実験データとしてはそれなりに意味のあるものを手に入れられたのだと思われる。

羅老号開発で得たものは?

一方、韓国側が得た技術は?というと、一段目の技術は結局韓国に開示されることは無く、韓国側が二段目に用意したのはKSR-1で、技術革新の形跡はない。

とすると、誰がどう考えたって、ロシア企業に美味しく頂かれた計画、としか考えられないじゃないか(苦笑

ソ連時代、アメリカと宇宙開発を争っていて、アメリカの一枚上を行くのがソ連の技術だった。が、ソ連が崩壊してロシアが誕生したとき、ロケット技術の半分以上をウクライナが持って行ってしまった。

そして、ロシア政府は財政的に宇宙開発に膨大なコストをつぎ込めなくなってしまった。

現状、ロシアがロケットを打ち上げようとすると、ウクライナのツイクロンやゼニットといったロケット技術を用いる必要があり、費用削減などの目的から、これらの技術との決別が、ロシアの宇宙開発における至上命題である。

そこで聞こえてきたのが韓国の共同開発話であり、上述した悪魔の契約書によって、まんまと韓国でアンガラロケットに使うRD-191(使用されたのはRD-151)打ち上げ試験を終えた訳だ。ロケット生産費用はロシア持ちとはいえ、2億1000万ドルもの開発費用を手に入れたのも大きいだろう。

一方の韓国は?といえば、結局の所、KSR-1の時代から何一つ進歩していない。確かに、羅老宇宙センターという、ロケット打ち上げ施設や、関連設備、関連するノウハウは手に入れた様だが、肝心の一段目の技術は何も得られなかったのだ。

では、何のためのロケット打ち上げだったのか?という疑問が残ってしまうが……、何のためだったんだろ??

コメント

  1. KSLV-1は最初「純韓国国産!」と宣伝していたのが失敗と同時に「ロシアと共同開発・・・」に変わっていたのが印象的でしたね。
    しかし2号機の失敗はあの消火剤ぶっかけ事故からわずか1日で発射を強行した事ではあるまいか?
    あんな事になれば一旦分解洗浄するのが常識だと思うのですがよっぽど韓国側が急かしたのでしょうね・・・

    • 日本のH2Aロケットのマークや国旗を消して、衛星打ち上げを祝った、なんて話もあったような。

      KSLV-1の騒ぎも色々と面白かったのですが、今はKSLV-2のエンジンがどうなって、ロケットの試射が気になりますね。

      起源を主張するのはいつものことですし。

  2. 莫大な国家予算を使って長距離弾道ミサイル開発に力を注いだ北朝鮮ですら、実用可能なペイロードを確保するのに30年以上掛かっています。

    なのに、南朝鮮はロシアに好きなだけ利用されコケにされた反省もなし・地道な努力が一番必要なノウハウの蓄積もほとんどなしに、ひたすら前進あるのみで爆走中って事でしょうか?

    技術ゼロに近いのに僅か数年で「月面着陸」まで夢想する、妄想ファンタジーの世界で生きる民族の哀しさは僕たちを大爆笑させてくれますよね。(笑)
    旧世代のH2Ⅱで打ち上げられた3tクラスの「月面探査衛星 かぐや」の南朝鮮版を何時打ち上げられるのか...? 興味は尽きません。

    日本最新のイプシロン・ロケットは2000km以下の低軌道なら1.5t位(正確には判りません)、南朝鮮最新のKSR-3の低軌道でさえへ恐ろしく低性能のペイロードを考えると、ご指摘の通り24基の途方もないクラスタリングが必要でしょうね。(仮に実現すれば世界初の貴重な技術と歴史に名を残すかもですが、お馬鹿過ぎるトンデモ仕様になっちゃう事必死-冷笑-)

    でも、一つだけ実現可能な方法がありますよね。
    金豚クンを永久大統領に戴いて南北統一されちゃえばいいんで、とても簡単で実現間近な事です。

    その時が来るまでは「宇宙制覇」という続妄想ファンタジーを、それこそ続々と提供してくれる事を切に期待していまァ~す!!

    • 月面着陸の話はまた、シリーズで紹介していきたいと思いますが、まあ、難しいでしょうね。
      技術自体はかなり枯れた技術ではあるので、ロシア辺りにお願いすればやれると思うのですよ。実際に支那は実現しましたし。
      あれはほぼほぼロシアの技術だと思われますし、アメリカに頼らずともロシアの優れた技術に頼るのはありだと思うのですよ。変なところでケチるからあんなことになるわけで。

      クラスタリングは、上手くできるかどうか。
      アメリカもロシアも苦戦していますからねぇ。

      まあ、南北統一というアクロバティックな方法で乗り切るというのも一つの手ではありますが、アレもロシアの技術ベースですから、旨味はないような(苦笑