自民党総裁選とSMRを巡る議論

科学技術

SMR(Small Modular Reactor:小型モジュール炉)が次世代の原子力発電手法であるような表現は、個人的に抵抗がある。が、日本においての選択肢であることは間違い無いだろう。

原発・核燃サイクル、河野氏のみ否定 再稼働は全員容認

2021/9/25 22:48

自民党総裁選(29日投開票)では原発政策が主要争点となっている。その理由の一つは「脱原発」が持論の河野太郎ワクチン担当相が有力候補と目されているからだ。

「違います! 違います!」

河野氏は10日の日本テレビ番組で「脱原発」の旗を降ろしたのかと問われると声を荒らげた。

「iZa」より

自民党総裁選においても、SMRについての話題が出ていた。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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小型モジュール炉の言い面と悪い面

総裁候補の誰も説明してくれない

そもそも、SMRとは一体何なのだろうか。

自民党総裁選挙での議論において、SMRの話が出てきているのに、誰もしっかりした説明をしてくれないので困りものだ。限られた時間の中でのことなので仕方がない面はあるが、耳慣れない単語を入れれば良いって話でもない。

小型モジュール炉は一般に最大出力が30万キロワット以下で、設備や機器を規格部品(モジュール)のように工場で生産し、建設地で組み立てる次世代の小型原発を指す。これまでの原発が最大出力100万キロワット級と大型で、完成までに多額の建設費と時間がかかるため、モジュール化と大量生産で工期の短縮と費用の圧縮を狙っている。

「毎日新聞」より

こんなあっさりとした説明で、一体誰が分かるというのか。メディアもしっかり説明してくれよ。それはキミタチの責務だろう?

SMRって?

そんな事を言っても始まらないので、ここで少し噛み砕いて行きたい。まずはSMRというのは一体何なのかと言うことだ。

原子力にいま起こっているイノベーション(前編)~次世代の原子炉はどんな姿?

2020-08-20

~~略~~

代表的なもののひとつが、「小型モジュール炉」です。SMR(Small Modular Reactor)とも呼ばれ、世界各国で開発が進められています。その特徴をキーワードであらわすとすれば、「小型」「モジュール」「多目的」の3つがあげられます。

原子炉を「小型」にすると、大型の原子炉よりも冷えやすくなります。技術的に言えば、小型炉は体積の割に大きな表面積をもっているために起こる現象なのですが、たとえて言うなら、「同じ運動をしても子供や痩せている人のほうが体温を外へ逃がしやすい」というイメージでとらえればいいでしょう。この特性を突きつめていくと、原子炉に水をポンプで入れて冷やさなくても自然に冷えてくれる、といったことも可能になります。実現すれば、安全性が高まるうえに、原子炉全体を簡単な構造にすることができ、メンテナンスもしやすくなります。その結果、コストの削減ができ、経済性も向上する可能性があります。

「モジュール」については、「モジュール建築」、いわゆるプレハブ住宅をイメージして考えてみるとわかりやすいでしょう。プレハブ住宅とは、規格化された部材一式を工場で生産し、さらに組み立てユニットまで作ってしまうもの。現地ではこのユニットを、ブロックを積み立てるように設置します。自然条件に左右される現地でゼロから作るのではなく、ある程度のところまでを工場で生産・管理することで、高い品質管理や短い工期、コスト低減を実現している工法です。

「資源エネルギー庁」より

実は、資源エネルギー庁がしっかりと説明している。なので、興味のある方はそれを読んで貰えば良いのだが、その辺りを一般の方にもキッチリと「伝わるよう」にして欲しいわけだ。

工場製品である

実のところ、SMRは新しい技術とまでは言い難い。何故かと言えば、原理的には既存の原発に準拠するからだ。乱暴に言ってしまえば単に小型化しモジュール化した工業製品の原子炉を使うよという話となる。なお、その種類は問わないようだ。

これは、第4世代原子炉に至るまでのロードマップである。

だが、ここにSMRの文字は無い。古いロードマップだから書かれていないわけではなく、こうしたカテゴリーに含まれないのである。ここに上がっている方式の原子炉のどれを小型化してモジュール化してもSMRと言い張れるのである。

例えば、日本の原子炉は、全て軽水炉(減速材に軽水、即ち普通の水を用いる原子炉)であり、沸騰水型原子炉(BWR)とか加圧水型原子炉(PWR)とかそういう分類がなされる。こうした原子炉を数分の1の規模に小型化すればSMRというワケだ。簡単とは言わないが既存の技術で設計を見直すレベルで出来る。

しかし、コレまでの軽水炉は経済性を考慮して、大型・大出力化していた。

その理由は簡単で、これまでの発電手法が火力でも水力でも風力でもそうだが、運用上機器のメンテナンスに専門的な知識を有するため、それなりの数の職員を発電所毎に必要とする。世の中で一番高いのは人件費なので、数十年単位で職員を雇用することを考えると、一箇所で大規模発電した方が経済的となる。

SMRはその考えとは真逆なのだ。小型化したのは炉の構造体を工場で製造可能とする事を目的としていて、現地で建造する従来のスタイルとは異なる。だからこそ従来の数分の一の大きさで作られるわけだ。そして、大規模炉に単純に比較すると経済性に劣る結果になる。だからこそ、今のところ実用化に至っていない。

工業製品であるメリット

では何故、今になってSMRか?というと、メリットがあるからだ。原子炉を工業製品化することで、品質が均一になる。同じ素材を使って同じ作り方で管理して作られるので、品質が安定しやすい。

それが何を意味するかというと、1号炉に対して公的な品質検査をすれば2号炉からは品質検査を大幅に簡略化できる事を意味する。それができなければ寧ろ小型化するメリットは大幅に薄れてしまう。ばらつきがないという事こそがメリットなのである。

そして、量産効果が出れば経済性が出てくるということにも繋がる。

で、使い方はどうなるのか?というと、複数並べて使う、或いは幾つかの拠点で分散して使うという格好になるようだ。

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/shared/img/7al66-2k95bomg.jpg

SMRは工業製品である事によって、現場での建設コストを大幅に下げる事が可能だと言われている。

ここも人件費の話になるのだが、現場でワンオフ建設をすることは多額のコストと期間を要する。期間を要するからこそコストを要すると言うべきか。原子炉を建設するにはかなり特殊な技能を持った職人に建設に携わって貰う為にお金がかかる。

その上で、その職人を複数・長期間雇用する必要があるためにコストが膨らむ。原子炉の建設そのものにも多大な時間が必要だしね。ワンオフ品なので立地条件などの条件によって変わるのだけれど、基本的には岩盤検査開始から営業開始までに4年程度の年月を要する。

建設中にも様々な品質検査、試験を要し、最近はその基準が厳しくなっているので、更に時間を要する様になっているようだけどね。

SMRはその部分をパスできるところが最大のメリットといえるだろう。

廃棄も比較的容易

さて、小型である事はもう1つメリットがあるとされている。

SMRは基本的に工場で一体成形が行われる為、廃棄する際にもモジュール単位で廃棄が可能である。トラックに積めるサイズになっているので、廃棄も容易というわけだ。日本の場合は道路交通法が厳しいので、そこをどうクリアするか?(多分だが、アメリカで設計されるSMRは道路交通法で定める基準より大きい。現状では7階建てのビルと同じ程度の大きさがあるとされている)が問題となるかもしれないが、その辺りはさておこう。

少なくとも、据え付け時に搬送が出来れば、搬出だって可能だというわけだ。

もちろん、放射性廃棄物の処分の問題は出てくるが、この話は放射性廃棄物処理の枠外に在ると言える。処分は出来ないが、モジュール単位で長期保存することが可能である。これは処分したとは言えない状況ではあるが、本質的に放射性廃棄物処理は不可能だ。何処かに埋める位しか手が無いのだが、誰も処分場の誘致に賛成はしないのである。

であるならば、「未来に先送り」と揶揄されても、隔離された領域で長期間保存するしかないのである。

これまでの原子炉でも同じ問題を抱えているが、廃棄までモジュール単位で行えるのであれば、これまでよりは扱いは容易であると言えよう。何しろ、モジュール単位で保管すれば良いのだから。

大事故発生に至りにくい

そして、これが多分最大のメリットだとは思うが、基本的にはSMRは大事故発生に結びつきにくい。

これはSMRの品質が工場管理されることも関係はするが、それよりも燃料として使う放射性物質の総量が少ないことがポイントとなる。

国際原子力機関(IAEA)は300MWまでを小型、700MWまでを中型としているので、300MWが最大となる。そして、燃料が少ない事は放射性廃棄物核酸リスクも相対的に低くなる。

もちろん、工業製品だからと言って「絶対安全」とは言えない。事故だって起こるだろう。絶対にリスクはゼロにはならないのだ。しかし、事故発生確率は低くなるし、一箇所に管理される放射性物質の総量が少なければ、問題が発生した時に発生するエネルギーは相対的に少なくなる。

例えば、トラブルが生じたときに制御不能になった場合にも、発生熱量が低いために冷却が容易となるのである。つまり、暴走する前に沈静化しやすいし、万が一爆発して放射性物質が拡散した際にもその総量が少ないことは影響範囲が狭くなることを意味する。

もちろんデメリットもある

さて、メリットがあれば、もちろんデメリットもある。

工場生産に漕ぎ着けるまでに巨額の投資が必要

先ずは、メリットで挙げた「工業製品化」の部分だ。鶏が先か卵が先か、という話なのだけれど、工業製品化するためには複数の受注がなければそもそも生産する工場を建設することが出来ない。そして、その生産工場の規模は、7階建てのビル程度の大きさのモジュールを組み立てる程度には大きい必要があるため、巨額の投資を必要とする。

そうすると、この資金回収を実現できるか?ということがポイントになる為、海外への輸出を前提に作るしか無い。もっともっと小型化が実現しなければ、正直なところ商品としては成り立たないが、小型化に伴って低出力化するとスケールメリットが得られなくなってしまうので、コストに見合うかどうかといところをシビアに見ていく必要が出てくる。

例えば、東芝が開発している4S炉のような大きさ(発電出力1万kW:高さ1.5m、5万kW:高さ4mの2種)になれば、輸送の面でもかなりコストダウンが期待できる。だが、経済性の面でバランスが採れるかどうかはシビアに計算が必要となり、現状では未だ課題があるのだろう。

「核」拡散のリスク

ただ、このように可搬性が高くなると言うことはデメリットにも繋がる。テロリストなどが原子力発電所を襲撃し、破壊若しくは盗難するような事が計画された場合、大型炉よりも「守りにくい」という事になる。小さくなることは良いことばかりではないのだ。

実際に4S炉の開発は実質上稼働していない。資金的な問題なのか別の問題があるのかは分からない。東芝の原子力部門が様々な理由で資金不足に陥っていることが原因かも知れないが。

ともあれ、小型化し分散化するということは、「守りにくい」というデメリットを背負い込む可能性が高いと言うことも認識する必要がある。

この話は「核兵器不拡散条約」とどうリンクするか?という面まで含めて考えざるを得ない。

核兵器不拡散条約(NPT)の概要

そんなわけで、SMRは如何に安全に小型化するか?が、当面の課題であるといえる。

リスクを十分把握し、説明できるか

素人が考えても、この程度のメリット・デメリットがある。

高市氏は「地下原発議員連盟」の顧問を務める。同議連は小型原発を地下に造ることで、立地自治体の避難計画が不要になり、テロ攻撃にも備えることができるなどと主張している。

「毎日新聞」より

高市氏は「地下に建設する」ことでリスク回避としているが、一理はある。ただ、「どのような問題」があって「どのように回避するのか」に関しては言及されていない。

確かに地下に建設することで、横方向への被害逓減は狙えるし、盗難という面に関してはより安全性を高めることは出来る。小型炉であれば地面を掘る深さや広さも抑えられるし、コストも安く済む。

SMRの大きな特徴として、工業製品としてモジュール化されていて、分解してのメンテナンスを必要としないとされている。つまり、埋めたら使いきるまで埋めたままでOKということになる。それが実現可能かは分からないが。

韓国が小型原子炉推進 「脱原発」路線見直し

2021年9月1日 15:48

韓国が次世代原子力発電所「小型モジュール原発(SMR)」の開発を推進する。今夏、政府主導で安全性が比較的高いとされるSMRに関する先端研究所の建設を始めた。文在寅(ムン・ジェイン)政権が掲げてきた「脱原発」路線は、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル(炭素中立)達成のために見直しを余儀なくされている。

「日本経済新聞」より

そして、それよりも「他国に先んじて開発される」という、政治的なリスクもしっかり説明しておくべきじゃないかな。

更に、支那・韓国に原子力技術で先行されるリスクなども考えるべきではないのか。つまり、原発再開と新規原発の建造計画、技術開発の促進は、どちらかというと政治的に色の強い話となる。

経済性はさておき開発を続けることこそが利益なんだと、正直に説明したら如何かな?高速炉にしても核融合炉にしても、日本は未だ最先端を行っている。そのアドバンテージを活かすべきだというところをもっと説明すべきだろう。

英ロールス・ロイス社、2029年までにSMR初号機の完成目指すと表明 | 原子力産業新聞
英国で小型モジュール炉(SMR)の開発企業連合を率いるロールス・ロイス社のP. ステイン最高技術責任者は1月24日、同国の公共放送局BBCのインタビューに答え、2029年までに同社製SMR初号機の完成と運転開始を目指して

外国で初号機が完成するのはそんなに先の未来ではないぜ。

核燃料リサイクルの不都合な真実

話のついでに核燃料リサイクルに関しても少し。

プルトニウム保有量46トンに 削減方針後、初めて増加

2021年7月9日 20時30分

内閣府は9日、日本のプルトニウム保有量が2020年末時点で約46・1トンになったと原子力委員会に報告した。前年比で約0・6トン増えた。政府がプルトニウムの削減方針を示した18年7月以降、増加したのは初めて。海外保管分が約0・6トン増えた一方、国内の原発での消費が進まなかったことが影響したという。

「朝日新聞」より

原子炉を運転し続けると、プルトニウムが一定の割合で発生してしまう。しかし、大量のプルトニウムを保有する事は、核拡散防止条約や核兵器禁止条約などが禁ずる核兵器の保有や、その原料の保有など、という点で抵触するリスクがある。

ついでに、日本のプルトニウムは海外にて多量に保管しているのだが、当然保管料はとられる上に「イイカゲンに引き取ってくれ」と言われている状況にあるのも、問題である。

ただし、日本ではMOX燃料と呼ばれる原子炉で使う燃料を「使用する」或いは「研究する」という名目で、プルトニウム保有を続けている。

こうした事態に米国内では、日本をまねして他国が核燃料サイクルを掲げてプルトニウム保有に乗り出したり、「核テロ」が起きたりするリスクが高まるとの懸念が拡大。米議会などから是正を求める声も出た。米国は18年7月の日米原子力協定延長に際し、日本に保有量の削減に努めるよう要請。日本政府は当時の保有量約47トンを上限に削減を進める方針を決定した。

「NIPPON.com」より

したがって、「核燃料リサイクル」は国際的なお約束であって、これを違えることは即ちプルトニウムの処分方法を具体的に明示する必要がある。

なぜ核燃料サイクルはできないのか
政府・与党が議論しているエネルギー基本計画の政府案には、核燃料サイクルを推進するなどというとんでもないことが書かれています。 しかし、核燃料サイクルは、現状では進めようとしても進められないのが現実です

河野太郎氏はかつてこの様な主張をしていた。

河野太郎氏、核燃料サイクルを否定「核のごみをどうするか、テーブルに載せて議論しなければ」:東京新聞 TOKYO Web
自民党総裁選に立候補表明している河野太郎行政改革担当相は11日の読売テレビ番組で、使用済み核燃料を再処理して繰り返し使う「核燃料サイク...

現時点でもその主張に変化はないが、切り口は変わっている。今は、「放射性廃棄物処理」をどうするのか議論しろ、という主張になっている。これはご尤もな主張ではあるが、しかし順序は逆だろう。

「放射性廃棄物の処理問題」は、早急に解決すべき話だが、「核燃料リサイクル」を止めるのが先というわけにはいかないのである。そして、その解は中間処分場で一定期間保管というやり方くらいしか無さそうである。

「いつまでが中間なのか」という議論は出てくるだろうが、現時点で放射性廃棄物を技術的に「処分する」方法はどの国にも存在しない。解決の糸口の見えない問題をいつまでも誤魔化しても仕方が無いのである。

自民党総裁候補の方は、そこまでしっかり言及して欲しい。

追記

コメントいただいたので少し調べてみたが、モジュール化するとはいえ燃料交換アリのコンセプトモデルも存在するようだ。

SMRは、そのほとんどを工場で組み上げることにより品質の向上と工期の短縮ができ、低コスト化が図れるとされている。また、最も重要な安全性の面でも、原子炉出力が小さいことから冷却機能喪失時に自然冷却による炉心冷却が可能なことに加え、重力による冷却水の注水など受動的機器の採用により安全性が強化されている。更に、いくつかのSMRにおいては燃料交換無しに数十年運転可能としており、核物質の取扱い・輸送を最小限にすることができることから、核セキュリティ・核不拡散の観点からも優れているという。

「日本原子力産業協会」より

てっきり、燃料を封じ込めたユニットを供給して運転し、燃料がなくなった時点で廃棄という流れだと考えていたのだけれど、どうやらそうしたコンセプトのモデルばかりではないようだ。

燃料交換をやるタイプもあるんだろうね。

追記2

記事で紹介するかどうか迷ったが、自然エネルギー財団はSMRについて随分とこき下ろしている。多分、河野氏はこの手の記事を中心に勉強したのだろうね。

SMRを支持する人たちは、通常、以下のような主張をしている。

•    より安全である
•    大規模な集中型工場で製造できるので、コストが安くなる
•    遠隔地の施設や地域社会にクリーンな電力を供給できる
•    廃止された石炭火力発電所跡地に導入できる
•    より早く建設できる

 実際にはこれらのいずれにもあたらない。

「自然エネルギー財団」より

ここの財団は「アジアスーパーグリッド」などを推進していることもあって、正直この記事の内容も話半分に聞く必要があるだろうとは感じている。

「アジアスーパーグリッド(ASG)」とは、アジア各地に豊富に存在する太陽光、風力、水力などの自然エネルギー資源を相互に活用できるようにするため、各国を結ぶ国際的な送電網のことです。欧州や北米では約100年前から国境を越えた送電線を整備し、電力の有効活用を進めてきました。近年では、自然エネルギーの導入拡大にともない、欧米のみなならず世界中で国境を越える送電線の整備が更に活発に進められています。

これに対し、東アジアでは、中国やモンゴル、ロシアなどの間で限定的に、国境を越えた送電線があるだけです。今世紀後半までに脱炭素社会への転換をめざすパリ協定の達成には、必要なエネルギーの全てを自然エネルギーでまかなう「自然エネルギー100%」の実現が必須であり、国際送電網の整備は東アジア各国のエネルギー政策においてますます重要となっています。

自然エネルギー財団は、国内外の多くの企業、NGO、政府機関などと連携し、ASGの実現をめざしていきます。

「自然エネルギー財団」より

アジアスーパーグリッド構想は、「頭が湧いているのだろうか?」と心配してしまう中身で、SMRに対してはテロ組織の攻撃に対して警戒しているのに、支那にエネルギー網の一環を握られるリスクを何も考えていないという恐るべき構想だ。

支那やロシアにエネルギーインフラを預けたらどうなるのか?ノルドストリーム問題をどう理解したのか?と、問い詰めたくなるような話である。

ついでに、引用はしないが気候変動を懸念し、カーボンオフセットを積極的に推進するグループでもある。それだけでもう胡散臭い。

そうした団体のSMRに対する批判的な記事ではあるが、要所要所は抑えてあるように見受けられたので、念のために紹介したわけだが、この検討には重要なポイントが抜け落ちている。

大型商用原子炉の価格が、安全対策費を含めて高騰してしまったために、SMRの経済性が相対的に上がった点だ。

SMRが比較的古い概念で、未だに成功事例がないという点は事実だし、工業化に漕ぎ着けるにはまだまだ不十分な点が多いのは事実なのだ。だが、時代は常に変化しているし、新しい技術をベースに小型原子炉を作ったらどうか?という検討は常に必要な視点ではある。

まあ、期待度はさほど高くはないんだけどね。

コメント

  1. 木霊様、皆さま、今日は

    > 埋めたら使いきるまで埋めたままでOK

    燃料は補給しなくてはならないと思いますが・・・
    使用済み燃料を取り出し、新しい燃料を入れる必要があるでしょう。
    そのためには、分解、組み立てという工程が発生すると思います。
    それとも大量に燃料を入れておくのでしょうか。そうならば「安全性」に問題が出てくると思います。

    燃料がなくなったら新品と交換。使用済みモジュールは保管。ならば結構なコストになりそうだし、回収したモジュールは工場で検査し燃料を入れ替えるならば、使用済み燃料に関しては現状と変わらない。輸送の問題があるし、結構なコストになりそうですね。

    液体燃料のように「燃料キャップを外して給油」みたいに出来るといいんだけど、これは無理でしょう。

    • 追記にも書きましたが、SMRって燃料を追加しないタイプばっかりだと思っていたのですが、どうやらそうでもなさそうですね。
      ご指摘のように燃料を取り出し、新しい燃料を入れるタイプもあるようで。

      そして、SMRの最大の問題点は「新しい技術ではない」のに、未だに商用に転換できた技術が1例も無いことなんですよね。
      良いところを多くピックアップしましたが、結局の所経済性と小型化のバランスを取ることに成功できた事例はないのですよ。

      だからこそ、蠟燭のようにゆっくり燃やして、燃やしたら終わり、というコンセプトが良いと言われているようですが、やっぱり経済性の問題は解決できていないのですよね。