韓国海軍、シーホークを発注する

海軍

コメントを頂いて、情報を取りこぼしていたことに気がついたけれども、韓国軍もシーホーク買うんだねぇ。

米国「韓国向けMH-60Rシーホークヘリ12機の販売承認」

2019.08.08 12:00

米国防総省傘下の国防安全保障協力局(DSCA)は7日、韓国に米ロッキード・マーチンのヘリコプター、MH-60Rシーホーク12機を8億ドル(約848億円)で販売することを国務省が承認したと明らかにした。

「中央日報」より

少々古い記事で申し訳無いが、今さらながら突っ込みを入れておこう。

で、以前、 機動ヘリコプターMUH-1「マリンオン」のトラブルがあった際に、「シーホークを買わないのか」と突っ込みを入れてはいたのだが、韓国海軍はそれを発注していたという話。

当然、このタイミングで「買う」という決定をしたということは、数年前からアメリカに対する要求を行ってたことを意味するし、それは、マリンオンの開発と平行して行っていた事を意味する。

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シーホークとマリンオン

韓国型機動ヘリコプター「スリオン」のスペック

さて、参考までにスリオン(マリンオン)のスペックとシーホークのスペックを比較してみよう。あ、あと、韓国海軍が新たに購入する事にして、現在4機を受領しているはずのアグスタウェストランド AW159のスペックも載せておく。

 MUH-1「マリンオン」SH-60「シーホーク」アグスタウェストランド AW159
製造国フランス製韓国産アメリカイギリス
乗員数2名のパイロット+2名の砲手+9名の兵士
または2名のパイロット+16名の兵士
3名~4名
(S型は11名の乗員または9,000lbの貨物)
2名+兵員5名
全長19.0m19.75m15.22 m
全高4.5m5.2m3.73 m
空虚重量4,973kg6,895kg3,300 kg
運用時重量7,348kg8,055kg
最大離陸重量8,709kg9,927kg6,000 kg
最大速度259km/h333km/h311km/h
航続距離500km834km963 km

並べてみるとマリンオンの方がシーホークに比べて一回り小型で、搬送できる重量も若干少ないという感じにはなっている。

もちろん、数字に表れてこない部分もあるし、武装なども紹介していないのだが、大きさにそれほど差がないのであれば、運用するにあたってはより重い荷物を運べる方が良かろう。とはいえ、韓国としてはまともに飛べるのであれば国産のヘリコプターを運用する方が、何かと都合が良いのは事実。

にもかかわらず、アメリカ製の兵器を買わざるを得なかったと言うことは、シーホークがそれだけ優れた兵器だと言うことになろう。

なお、マリンオンは韓国軍海兵隊が運用している。韓国軍海兵隊が韓国海軍の直下にある組織とはいえ、別系統の運用はされている。ただ、メンテナンスは別に同じところでやっても良さそうなものである。

しかし、マリンオンは韓国海軍向けにKUH-ASWという哨戒機としての性能を強化したバージョンを提案しているが、韓国海軍は、現在運用しているアグスタウェストランド リンクスと、その後継機であるアグスタウェストランド AW159が運用されている。シーホークはこれに加えられるという事なんだろう。 わざわざ海兵隊と変えた理由はよく分からないな。機能が違うのならば分かるんだけど、マリンオンはシーホークの劣化盤のような感じの位置づけだぜ。

購入は12機だが……

ところで、韓国海軍。ヘリコプターが足りないとは良く言われるんだが、12機で大丈夫か?

DSCAはこの日報道資料を通じ、韓国が12機のMH-60Rヘリとこれに搭載されるレーダー、ナビゲーションシステム、通信装備などを購入すると要請したと明らかにした。

「中央日報」より

韓国海軍が保有しているであろうヘリコプターの種類と数は以下の通り。

  • 艦載ヘリコプター
    • アグスタウェストランド リンクス Mk.99/99A × 11/12
    • アグスタウェストランド ワイルドキャット AW159 × 4
    • アエロスパシアル SA316B/SA319B アルエットIII × 5
    • シコルスキー UH-60P ブラックホーク × 8(ただし、防錆仕様 ではないので艦載はできない)
    • ベル UH-1 イロコイ × 8
    • マリンオン KUH-1 × 1(注:海兵隊に配備される機体で、最終的に40機購入予定)
  • 陸上ヘリコプター×13

既に退役しているヘリコプターも含まれている可能性はあるが、こんな感じだ。一方で、艦載ヘリコプターを運用する予定の艦船は以下の通り。

  • 仁川級フリゲート艦 × 6隻 → 哨戒ヘリコプター1機搭載(AW159配備)
  • 大邱級フリゲート艦 × 1隻(最終的に9隻の予定) → 哨戒ヘリコプター1機搭載(AW159配備)
  • 世宗大王級駆逐艦 × 3隻  → 哨戒ヘリコプター2機搭載(スーパーリンクスMk.99配備)
  • 李舜臣級駆逐艦 × 6隻  → 哨戒ヘリコプター2機搭載(スーパーリンクスMk.99配備)
  • 広開土大王級駆逐艦 × 3隻 → 哨戒ヘリコプター1機搭載(スーパーリンクスMk.99配備)
  • 独島級揚陸艦 × 2隻(3番艦が建造予定)→ ヘリコプター10機搭載搭載可能、マリンオン1・2号機が配備されている。3番艦は更に多くの艦載機を搭載可能な仕様が検討されている。

23機のスーパーリンクスMk.99は、今のところ12隻配備されているDDHに配備される分(6+12+3)で、定数にギリギリ足りている感じ。ただ、少なくとも1機は墜落して失われているはずなので、それがカウントされているかどうかはよく分からない。

一方のワイルドキャットAW159は、7隻が必要としているにも関わらず4機しか配備されておらず(最終的に8機購入する予定のようだが、これでも足りない)、納入時に不正が発覚してしまって、後に納入される予定の4機がどうなっているのかよく分からない。

独島級揚陸艦には、最終的に40機のKUH「マリンオン」が搭載されることになるらしいのだが、事故後、どうなったかよく分からない。

で、購入することになったMH-60Rは、恐らく、使えない状態で維持されているブラックホークの代わりに運用していくことが計画されているのだと思うのだが、じゃあ、どこに配備するのか?というと、多分だが、独島級揚陸艦と言うことになるだろう。そうだとすると、マリンオンはどうするの?という疑問が。

DSCAはこれに対し、「米国の外交政策と国家安保目標を後押しするもの。韓国海軍は捜索や救助などを含めた2次任務とともに対潜水艦など任務遂行能力を向上するだろう」と説明した。

「中央日報」より

ふむ、そう言えば、 水上艦救助船 「統営」も確かヘリコプター用甲板を用意してあったんだっけ。天王峰級揚陸艦にもヘリコプター用甲板が備えられていることから、「捜索や救助」という点を考えると、この辺りで運用されるなんて事はありうるだろう。

予備パーツも足りない

さて、どこに配備される予定なのかいまいちよく分からないMH-60Rではあるが、どうやら購入にあたってパーツをケチってしまった模様。

大韓民国は、以下を備えた12台のMH-60Rマルチミッションヘリコプターを購入することを要求しています。

「DSCA」より

12機のMH-60R「シーホーク」だが、それぞれエンジンは2基搭載している。よって、24基のエンジンが必要なのだが、そのスペアはなんと1基のみ。

また、 搭載レーダーの「APS-153」や赤外線探知装置の「AN/AAS-44」のスペアは1セットのみ。ソナーシステムに至ってはスペア無し。

ついでに言うと、運用するにあたって必要だと思われる、対艦攻撃用AGM-114「ヘルファイア」やロケット弾、対潜水艦用のMk.54短魚雷など、MH-60Rが搭載する兵器は含まれていない。

いつものパターンではあるが、いくら何でもエンジン2基搭載しているヘリコプターで、スペアのエンジン1基というのは、何かの間違いじゃ無いか?

他国の事例を参考にすると、総額の2割くらいがスペアパーツの価格というケースが多いのだが、韓国は1割弱の設定になっている。「後から考えるもん!」という感じなんだろうか。そのやり方で困った事は何度もあるはずなんだが……。

いつものパターン

「調達価格が他国より安かった」ホルホル!とやる積もりかも知れないが、F-35A戦闘機の時にもエンジン1基で武器は18機分(AIM-120C×36発)しか買わなかったし、AH-64E戦闘ヘリは空対地ミサイルAGM-114「ヘルファイア」を288発購入したけれど、36機のAH-64E全機に十分に行き渡る数ではない。その上、スティンガーも半数に減らし、ロングボウレーダーすら6機に1つの割合でしか用意しなかったらしい。

と、そんな訳で、前例に事欠かないこの手の話が、SH-60「シーホーク」でも発揮されてしまったと。

……どうしようもねーな。

コメント

  1. 暇人 より:

    独島で画像検索するとUH-60を載せた写真が出てきたので、えーっと思ったら、韓国海軍の防錆処理をしていない、ロータもたためないタイプで、飛行甲板に着艦しただけの写真なのでした。
     横道にそれましたが、MH-60Rは同時期にギリシャ(7機)、インド(24機)も購入していましたので、それぞれのお買い物を一覧表にしてみましたが、韓国の予備パーツの少なさは群を抜いていますね。ギリシャは7機に対してエンジン18基、インドは60基買っていますから、マトモに全機を運用する気があるなら、これくらいの予備が必要なのでしょう。

     しかし韓国の艦載ヘリの種類の多さも驚きです。海自の八・八艦隊(護衛艦8隻、ヘリ8機)でも、小柄のはつゆき型DDには小型ヘリ、しらね型などDDHには大型ヘリで2機種にしようとしたようですが、2機種運用する方がコストがかかる、で1機種に統一されたと聞いています。それより小所帯の韓国海軍でこれだけの機種とは、飛ばせているのか、飛んでないから寿命も長いのだろう、と思ってしまいますね。
     

    • 木霊 より:

      何故、UH-60を買おうと思ったんでしょうかね?
      処分価格でお安かったんでしょうか?

      MH-60Rを選んだのは、悪い選択では無いとは思います。
      ただねぇ、色々な国の兵器を色々買っちゃう悪い癖は直した方が良いと思いますよ。言っても詮無きことですが。

  2. マスメディア反乱軍 より:

    木霊さん、おはようございます。

    原型は冷戦末期に登場したSH-60(シーホーク)の派生型である、MH-60R(LAMPSヘリコプター)をいまさら買っちゃうんですねェ~。(冷笑)

    35年経過しているとはいえ海自哨戒ヘリがベースとした代表機であり、初代SH-60Jは100機以上導入され、現在2代目SH-60K(74機予定)に更新中でP-1/P3Cと並び哨戒作戦の主軸です。
    哨戒任務が主とはいえSH-60Kはヘリファイアも搭載可能ですし、売りのデーターリンク可能なソノブイと合わせ人員・物資の輸送もできますから、海兵隊仕様のMH-60Rと遜色はないんじゃないでしょうか。
    それに20年後を見越して次期SHも開発中とか、頼りにしてますよ!!(微笑)

    >独島級揚陸艦には、最終的に40機のKUH「マリンオン」が搭載されることになるらしいのだが、事故後、どうなったかよく分からない。
    >で、購入することになったMH-60Rは、恐らく、使えない状態で維持されているブラックホークの代わりに運用していくことが計画されているのだと思うのだが、じゃあ、どこに配備するのか?というと、多分だが、独島級揚陸艦と言うことになるだろう。そうだとすると、マリンオンはどうするの?という疑問が。

    一番???なのはヘリ搭載可能艦に対して、ヘリ自体の数量が絶対的不足してる事なんですが、KUH-Amphibious(マリンオン)の調達状況を含め、2隻目建造中の揚陸艦LPH型の搭載が何時になることやら前途は多難なようで...。(冷笑)
    まっ、ヘリ搭載可能な戦闘艦が分不相応に30隻くらいあるとはいえ、実際に稼働中は半分あるかも怪しいもんです。

    選定機種の一貫性がなく迷走するのはいつものご愛敬として、部品共食いを前提としたトータルで40~50機もあればいいのかとお気楽な構えじゃないかな。(爆笑)

    P.S.
    南朝鮮海軍の弱点は固定翼哨戒機がたったの8機しかない事もあるでしょう。
    しかも、日本が運用開始して40年を経過し退役中のP-3C(オライオン)なんですからね。

    対北朝鮮海軍ならそれで済むかもだけど、国連の瀬取り強化なんか真面目にやるには全く足りないと思う。(ヤル気なしなんでしょうけど)
    その意味でも国際社会の足を引っ張るだけなのに、意味不明で分不相応な戦闘艦や潜水艦を建造するのは日本を主敵としてるからなんでしょうね。
    何しろ日本は「専守防衛」で攻め込んでこない絶対的安パイ(苦笑)ですから、「攻撃は最大の防御」で先制攻撃最優先で何とかなるってとこかな。

    でもですねェ~一発でも日本にミサイル向けたら、ご自慢の海軍は「全滅するかも?」というリスク意識は完全に抜けているんでしょうか。
    潜水艦の性能が圧倒的に違い過ぎる・海上哨戒システムと早期警戒体制に雲泥の差がある、そしてイージス艦の対空防衛能力・DD型護衛艦の艦隊防御能力が違い過ぎるのですから。(支那も恐れていると思う)

    日本としては防衛ライン38度線消滅を前提に、対馬に12式地対艦ミサイルを配備すれば、南朝鮮海軍の日本攻撃拠点である木浦・釜山・昌原基地から出陣した瞬間に壊滅できると思っています。

    • 木霊 より:

      いやいや、韓国にとってはMH-60Rという選択は悪く無かったと思いますよ。
      ただ、ちょっと艦載機として設定するのには少々艦の方が小さい気がしますから、バランス的にどうなのか?と思いますし、もうちょっと数を揃えろよとは思いますね。
      それ以上に、機首を減らせと……。