ああ、いつものヤツですね。
韓国軍が1兆ウォンで導入した米無人偵察機、欠陥で飛行できず…部品調達もめど立たず
2021.10.15 08:31
韓国軍が1兆ウォン(約950億円)の予算を投入して米国から導入した高高度無人偵察機(HUAS)グローバルホーク4機が欠陥のためまともに機能していないという指摘があった。
国会国防委員会所属の安圭佰(アン・ギュベク)共に民主党議員が14日、空軍本部、防衛事業庁から受けた資料によると、軍が昨年9月に導入したグローバルホーク3号機は戦力化以降、飛行実績がない。同年4月に導入した4号機は飛行時間が約80時間にすぎない。
「中央日報」より
欠陥ねぇ。
韓国軍はグローバルホークを何に使うのか
パレードの偵察
ちょっと前には、韓国軍がグローバルホークを運用しているというニュースが出ていた。だが、その追懐方は結構ショボかった。
米空軍のグローバルホーク、朝鮮半島を偵察飛行…北朝鮮「軍事パレード」の動向把握か
2021/09/06 05:59配信
北朝鮮で軍事パレードの兆候が把握された中で、米空軍の高高度無人偵察機「グローバルホーク」が5日、朝鮮半島の上空を飛行したことが明らかになった。
航空機の追跡サイト「フライトレーダー24」などによると、グローバルホークは同日、韓国の首都圏とカンウォンド(江原道)などの軍事境界線(MDL)に隣接した地域の上空を数回東西方向に飛行した。
「Wowkorea」より
……あの、ハリボテパレードの偵察にお高いグローバルホークを使ったという事実がよく分からない。いや、偵察しておくのに越した事は無いんだろうけどさぁ。
それにしたって、報道する内容がソレというのがどうかと思う。そして、グローバルホークの飛行ルートを明かして何がしたいのかもよく分からない。
韓国軍に何か狙いがあったのかも知れないが。
「欠陥」が?
ところが、この韓国軍グローバルホークの運用状態が良くないという報道が冒頭の記事である。
韓国空軍はグローバルホーク RQ-4Bを4機購入して運用を始めているのだとか。しかし、冒頭の記事では、3号機には飛行実績がなく、4号機の飛行時間は80時間なんだとか。
グローバルホーク4機を導入した後、現在まで1機あたり平均10件の欠陥が発生している。欠陥部品33点のうち11点は措置が進行中だ。
グローバルホーク3号機は地上に映像・イメージを伝送する構成品が故障し、5カ月間にわたり原因が把握されなかったと、安議員は明らかにした。故障した部品の一部は供給が遅れ、いつ調達が可能かも分からない状況だと、安議員は説明した。
「中央日報”韓国軍が1兆ウォンで導入した米無人偵察機、欠陥で飛行できず…部品調達もめど立たず”」より
そして、4機で欠陥部品33点。
……?
欠陥部品だと?
故障したのに、欠陥部品とはこれ如何に。
「地上に映像・イメージを伝送する構成品が故障し、5カ月間にわたり原因が把握されなかった」「故障した部品の一部は供給が遅れ、いつ調達が可能かも分からない」
ええと、故障だって書いてアリマスヨネ?
このためグローバルホーク機体間で部品の使い回しが行われている。整備が遅れる3、4号機の付属を外して1、2号機に活用している。こうした部品の使い回しは戦力化1、2年間で24件という。
「中央日報”韓国軍が1兆ウォンで導入した米無人偵察機、欠陥で飛行できず…部品調達もめど立たず”」より
そしてお得意の共食い整備。どこの軍隊でも共食い整備は仕方が無いケースがあるが、韓国のソレは常に、だからな。
そしてね、韓国軍のこのいつものパターンは、一体何時まで続けるのだろうか。
- 購入する時に、保守用の部品を可能な限り削る。
- → 安く購入したように見せかける
- → 故障が発生して直せない
- → 仕方が無いので共食い整備する
- → 兵器の稼働率が落ちる
- → 「税金の無駄ニダー」と報道で騒ぐ
- → 「使えないから新しいのが欲しいニダ」という流れになる
- → 最新のオモチャを購入する
- → 最初に戻る
ワンパターン過ぎるな。
韓国空軍の対応が遅い
グローバルホークを本気で運用するのであれば、この惚けた対応を見直さねばならないハズなんだが、韓国空軍は動きが鈍いらしい。
空軍の対応が遅いという批判もある。防衛事業庁によると、運用維持段階の部品調達のためのCLS2(契約者軍需支援)契約を米国が2016年に提案したが、空軍は2020年に協議に入ったと、安議員は明らかにした。
「中央日報”韓国軍が1兆ウォンで導入した米無人偵察機、欠陥で飛行できず…部品調達もめど立たず”」より
部品調達の失敗は、何も韓国だけが問題というわけではないと思うのだが、それにしたって問題を放置しすぎである。
何をやっていたのか。
以前こんな記事を書いたけれども、この時は、納品されてから半年くらい放置していたので、いざ使おうとおもったら色々と不具合があったよという話だった。倉庫に眠らせている間は、メンテナンスやらないのかな?
そしてこの時も「共食い整備をする」と報道していた。それは、多少は仕方が無いだろう。だけど、1年経った今でも部品不足が解消していないのはどうなのよ。
その結果が、1号機、2号機を飛ばしながら、3号機は部品取り機に回して飛行実績がなく、4号機も似た運命を辿っているという事になるのだろう。1機あたりの平均故障件数は10件だそうだが、保守部品は余り購入しなかったので、直ぐに共食い整備に走っちゃった結果だな。
自衛隊にも同じ問題が予測される
ただし、部品調達が難しいということの理由だが、こんなニュースが関係あるだろう。
自衛隊新導入の無人機、対中国で無力? 米軍では退役へ
2021年8月29日 6時00分
自衛隊が今年度以降に配備予定の無人偵察機グローバルホーク(GH)をめぐり、米空軍が保有する同型機を早期に退役させる方針を打ち出した。機体が旧式化したことが理由だ。防衛省は今後20年間、毎年120億円超の予算をかけて運用する計画だが、さらなるコスト増も懸念されるほか、装備の有効性を疑問視する声もある。
「朝日新聞」より
朝日新聞社の情報を鵜呑みにするのはアホウのやることだが、しかしアメリカ空軍がグローバルホークの一部の機体を退役させる方針を示しているのは事実である。
もうちょっと詳しく言うと、グローバルホークRQ-4Bは、ブロック20/30/40の3つのバージョンを運用していて、それぞれ使い方がちょっとずつ違う。ブロック20は画像偵察型、ブロック30は画像偵察に加えてSIGINT兼用型、ブロック40は地上監視及び指揮用に使われる。
あと、アメリカ軍は別のバージョンMQ-4C トライトンという海上哨戒機型の無人機も運用している。
しかし、RQ-4BやMQ-4Cはユニットコストが高い上に運用コストも高いので、アメリカ軍内でも不評であり、ブロック20とブロック30は退役させる方針であることを示したようだ。
米空軍は7月21日、2022会計年度の予算案で、20機保有するブロック30の全機を退役させる方針を示した。理由として「競争の激しい緊迫した状況で運用できる能力がない」として機体の旧式化を指摘。空軍幹部は公聴会で「我々が直面している中国の脅威に対応できる設計になっていない」と証言した。
「朝日新聞”自衛隊新導入の無人機、対中国で無力? 米軍では退役へ”」より
何故この記事を引用したかというと、韓国が購入したグローバルホークもブロック30だからである。
つまり、RQ-4Bの部品調達に難がある状態なのだということだ。何しろ生産台数が増えないのでコストは下がらないし、部品生産数も増えないだろう。その生産ラインも拡張することもできないからね。正確にいえば、MQ-4Cの調達数は増やすようなので、共通する部品については問題はないようだ。でも、専用部品はあるんだよね。だから、部品調達が難しくなる、というのは仕方がない面があろう。
ああ、ちなみに韓国が最初に導入したブロック30にはSiGiNT能力がオミットされていると言う噂があったようだぞ。なにやら輸出の許可が出なかったらしい。とはいえ、その後に輸出許可が出たと聞いたので、今は大丈夫なのかな。ここいらの話は確認出来たら追記したい。
対応を速やかに!
とまあ、そんな事情もあってなかなかこの韓国が置かれている現状がそうそう解消されるとも思わないのだけれども、この議員からは速やかな対応が求められたようだ。
安議員は「グローバルホークの短い戦力化時期を考慮すると、欠陥があまりにも多い」とし「空軍はグローバルホーク管理実態を綿密に点検し、安定した運用維持のための対策を速やかに講じるべき」と述べた。
「朝日新聞”自衛隊新導入の無人機、対中国で無力? 米軍では退役へ”」より
言うだけはタダだな。
アメリカからの許可が得られれば、韓国の国内でライセンス生産する方向で考えるというのが無難な対応だと思うのだけれど、まあ、そうはならないだろう。日本も同じ様な問題が生じる可能性があるため、韓国の状況を他山の石としてしっかり備えるべきだな。
そして、韓国軍よ、「故障」を「欠陥だ」という癖も直した方が良い。欠陥というのは、最初から問題のある部品が使われていたという意味だ。つまり韓国軍は「ウリのせいじゃないニダ」と、そういう事が言いたいわけだ。
もちろん、初期不良だってあるだろうし、部品に欠陥があった可能性もあるだろうさ。でも、そこは検証した上でする話。検証されないうちから「欠陥部品」のレッテル貼りは良くないと思うぞ。
コメント
F-16をエア整備した国だから、どーせいつもどうりになるだろうと思ったら、いつもどうりだった。
いつも通り、期待通りでビックリですわ。
韓国軍の平常運転、本当いつもの韓国軍でしたね。
10/21の神弓対空ミサイルに関するニュースで「85発のうち20発が発射に失敗した。
失敗率は23.5%です。特に、発射失敗の20発のうち2発は発射後に射手の前に落ち、10発は発射すらされなかった。」というも出ていましたが根は同じですね。
神弓対空ミサイルでそんな話が!
ちょっと把握していないので、newsを探してみますね。
しかし、85発撃って20発が失敗って、命中率9割とかいう宣伝をしていたミサイルとは思えない残念な結果ですね。
いつものリバースエンジニアリングの失敗では?
バラしちゃったんですかねぇ。
それも、「いつものこと」で片づいてしまう辺りが、とても残念です。
木霊さん こんばんは
ご存じのように私は木霊さんブログの新参ウォッチャーで、少しずつ過去ブログも読ませて頂いている者ですが、
それを読んで韓国「共食い整備」がこれだけ多いと、そもそも彼らの基本ドクトリンとして、補給部品を集積するぐらいなら共食い用機体を揃えろ、、などがあるのでは?と考えてしまいます。
知人の旧車マニアは共食い整備のため、同じ旧車を3台ほど保有してたりしますが、韓国の非常に多いF35導入台数とか、半分ぐらいは補給部品と考えていることは無いのかなあ?
共食い整備は、日本の自衛隊でもあるし、アメリカ軍でもやる話ではあるのですよね。
韓国軍の真の問題は、その状況がいつまでも改善されない事なんですが、困った話です。
4機買うと1機は「部品取り用」と揶揄される始末ですわ。実際、補給部品を揃えておくよりも、実機のほうが購入し易いという韓国特有の事情はありそうですよ。
木霊さん、今晩は。
大事な総選挙直前なんですが、支那の電力不足など非常に興味ある記事にコメントしたいのと思いながら、私用も立て込み情けなくも遅れ気味です。
そんな中でお笑いネタは軽く乗れるので助かります。
南朝鮮軍のいつものクォリティー満開って事なんでしょうねェ~。
一つ気になるのは空自のRQ-4Bはブロック40なのかという事ですね。
南朝鮮より導入を遅らせているので、ぜひそうあって欲しいのですが...。
P.S.
F35Aの機関砲はコケオドシとかの記事も出てきましたね。
何でも2018年の1号機出陣式以降、一度も実弾発射の訓練がないばかりか、
さらに、実弾を使えるかどうか判らなかったとか...?
>「2015年当時は実弾を韓国空軍が使えるかどうか米軍が認証しておらず、まず訓練弾から契約を進めた」
そして、ようやくせっかく買った訓練弾も1発も使用してないとか。
>購入した訓練弾5万5100発も、昨年5月にようやく配備された。2019年12月に最初の戦力化がなされた後、5カ月間は機関砲の実弾も訓練弾も皆無の状態だったわけだ。加えて、訓練弾を使用する射撃訓練すらただの一度も実施しておらず、訓練弾の消耗量は現在に至るまで「ゼロ」だと韓国空軍は明かした。
空対地ミサイルをブチ込むのが主任務としても、最悪の敵戦闘機との空戦になったらスタコラサッサと逃げる作戦なんでしょうかね。
お忙しいのですね。
お笑い韓国軍ネタは、突っ込みやすくて、僕としてもとても助かります。
そうそう、RQ-40の自衛隊向けの機体ですが、ブロック30だそうですよ。
ただ、ブロック40が偉いと言う事ではないので、性能的には心配する必要は無いと思います。問題は寧ろメンテナンス部品の購入が出来るかが心配ですね。
なお、F-35Aの方の記事は別に書かせて頂きました。
こんにちは。
マッコイ爺さん曰く「ポンプなんざ、口金が合えばなんだって良いんだよ!」だそうですが、流石に電子部品はそうは行かないか……
>ブロック30は退役させる方針
そこで、退役したのを安く確保して、管理費だけ出して砂漠にモスボールしてもらってですな……
実際、そういう使い方が一番賢いと思います。
そもそもが、どうにも、Block30は切り捨てる前提があって、だったら買いたがってるジャパンとサウスコリアに売っちまえ!だった気がして仕方ないので。
タイミング的には退役が決まる相当前に契約締結してますが、Block40以降の開発にかかる時間を考えると、Block20と30がお荷物って話はもうその頃から出ていたはず。
自衛隊さんも、可能なウチに部品確保しておかないと、アパッチの二の舞になりかねないですから。
自衛隊のブロック30購入の話は、一端止めて、「本当に必要か」という検討をしたうえでの購入決定でしたので、流石にその辺りのフォローはしてあると信じたいところです。
ブロック40をという話もあったようですが、結果的にはブロック30を選んだらしいことも、「正解だった」と言う事になって欲しいですね。
なんなら、日本で部品供給するくらいの事になってくれると、安全保障的にもメリットがあると思います。