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韓国強襲揚陸艦「独島」の大規模アップデートが決まる

韓国海軍
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ああ、ハイ。

韓国の強襲揚陸艦「ドクト」大規模アップデートへ 完了は2027年予定

2022.12.04

韓国防衛事業庁は2022年11月28日、韓進重工業と同国海軍の強襲揚陸艦「ドクト(独島)」に関して近代化改修契約を結んだと発表しました。

契約金額は、総額1808憶ウォン(日本円で約181億円)とのこと。おもな改良点は老朽化した戦闘システムとレーダーの換装で、個艦の能力向上と兵站支援機能を確保するのが目的だといいます。

乗り物ニュースより

韓国のメディアをザックリ探したけれども、残念ながらこの関連の日本語記事を見つけられなかった。強襲揚陸艦「竹島」かぁ……、あれ、ホテル扱いされていたんじゃあなかったっけ。え?「独島」だ?ミンジョクのホコリ?

強襲揚陸艦の近代化改修

不遇の強襲揚陸艦

このブログでも取り上げた強襲揚陸艦「独島」だが、登場時からイマイチコンセプトが漂流していて運用も定まっていない印象である。

最近は、一周回って強襲揚陸艦という呼び名で呼ばれるようになってきたようなのだけれど、この「独島」は「頑張って取り敢えずデカい船作ってみました」感の強い船である。ところが、「強襲揚陸艦」と銘打ってみたものの、運用的に出来る状況に無くて呼び名を「輸送艦」に変更してみたり、紆余曲折があったのだ。

そして、彼は設計当初から持病を抱えていた。

  • 長距離捜索用にSMART-L、低空警戒・対水上捜索用にMW-08が搭載されるも、レーダー波が甲板に反射して虚偽標的(ゴースト)を捉えてしまうという問題 → 未改修
  • 近接防空用にゴールキーパー30mmCIWSを2基搭載しているが、後部に配置されている砲の位置が宜しくなくて、飛行甲板を射界に入れてしまうという問題 → 未改修

両方とも設計的なミスだったらしく、改修には巨額のお金がかかるという理由で、運用で対策されていたハズだ。

更に、艦載の発電機が故障してしまって洋上で立ち往生する事件が発生(2013年9月11日)する。4基の発電機を搭載していたはずなのだけれど、うち2基は事前に故障していて修理中。搭載している2基のうち1基から火災が発生して、それを海水で消火した際に、もう1基も浸水して故障してしまったという情けない経緯だった。

また、ヘリ空母的な運用をするはずが、配備して10年近くは専用ヘリの配備がなかったという哀しい現実も。マリンオンが開発されて漸くその状況が解消されたらしいが、独島が2007年に就役してから、2018年にマリンオン1号機、2号機が引き渡されるまでは、海軍のUH-60P輸送ヘリコプターとUH-1H汎用ヘリコプターが暫定的に搭載されることがあったようだ。

性能改修事業

で、流石に登場して15年ほど経過しているので、問題を抱えたままで「ホテル独島」と呼ばれながら運用している状態を何とかしようということになった様だ。

HJ重工業独島艦性能改良事業受注

2022.11.29 12:40

HJ重工業は防衛事業庁から韓国型大型輸送艦1番艦である独島艦の性能改良体系開発事業を1808億ウォンに受注したと29日明らかにした。

独島艦は2007年に引き渡され、海軍上陸作戦の核心役割をする15番目の上陸指揮艦だ。今回の事業を通じて老朽化した戦闘体系やレーダーなど搭載装備を交換し、後続の軍需支援と作戦遂行能力を向上させる。

韓国メディアより

受注したのは製造した韓進重工業影島造船所(改名して「HJ重工業」となっている)。残念ながらどんな内容なのかはこの記事からはハッキリしないが、こちらの記事から何となく把握できそうだ。

독도함(대형수송함 1번함) 성능개량 착수
□ 방위사업청(청장 엄동환, 이하 방사청)은 11월 28일(월) ㈜HJ중공업과 1,808억원 규모의 대형수송함 1번함 성능개량 체계개발 사업계약을 체결하고 성능개량에 착수했다고 밝...

ハングルは読めないので、PDFで開示されると困るんだが……。

  1. 近接防御システム : ターゲット処理能力を2倍向上、CPU処理速度100倍向上
  2. 対空レーダー : 1面回転タイプ→4面固定タイプ、検出精度向上(高度誤差低減)
  3. 航海レーダー : 最大検出距離の向上
  4. 赤外線検出追跡装置 : 目標更新率4倍向上、解像度と同時追跡能力の向上
  5. 魚雷音響対抗システム : 魚雷の詐欺能力向上、その後の軍需支援の向上

ザックリと機械翻訳にかけてみたが、問題を抱えている部分を重点的に改修する予定のように思える。1番は問題となっていたオウンゴールしちゃうCIWSゴールキーパーの改修(恐らく2番艦で使われるファランクスに交換)を意味しているようだし、2番の対空レーダーの改修は、AEASの国内開発をやっているので、ソレを搭載するとかそんな話だろう。

3番以降の項目はハッキリとは分からないのだが、大雑把にレーダー関連をコンピューターを含めて交換すると言うことなんだろう。この手の近代化改修は今後運用を続けるならば避けて通れないので、当面は同じ様な運用を続けるという意味なのだろう。

空母化は断念

さて、韓国は大統領が絶大な権力を持っている国である。

そして、前大統領のムン君は、軍事においても相当ポンコツだったらしいのだが、「空母を手に入れる!」と息巻いていた。これは、ムン君のボスだったノムタン(盧武鉉)が空母を手に入れる計画をぶち上げていた事によるらしく、しかし、韓国海軍で空母を運用することは現実的にはかなりムリがある状況である。

そもそも、韓国軍に空母は必要無いのだ。

その事を聞いた現大統領のユンユンは「金もかかるし、空母いらないんじゃ?」って事になった。

個人的には真っ当な判断だったと思う。

韓国軍 ステルス戦闘機「F35A」20機を追加導入へ

2022.07.15 20:05

韓国防衛事業庁は15日に開いた防衛事業推進委員会で、韓国軍次期戦闘機(FX)導入の2次事業など5案件について審議、決定した。これにより韓国軍は最新鋭ステルス戦闘機のF35Aを20機程度、追加で導入することが事実上決まった。

聯合ニュースより

実際に、F-35Aを買うかF-35Bを買うか迷っていたものの、F-35Aを20機追加購入するってことに決めたことで、空母獲得の話は後回しになった事が決定している。韓国が作ろうとしている空母だと、F-35BまたはF-35Cを買う必要があるから、コレを選ばなかったと言うことは、「空母?ナニソレ美味しいの」という意味になる。

なお、韓国がF-35Bを買おうとしたのは、日本の自衛隊が令和元年(2019年)にF-35Bを購入することに決定したからである。分かり易い国だね。予定通りなら日本の航空自衛隊には令和5年(2023年)に初号機が配備される。

と、話は逸れたようで逸れていないのだが、ユンユンはこんなアホな軍事方針に嫌気がさしたようで、もうちょっとマシな方向に方向転換したようだ。少なくとも空母は一旦白紙化したようだね。

2番艦を含めて運用できるように

じゃあ、どうするか?というと、1番艦「独島」と2番艦「馬羅島」を強襲揚陸艦扱いで運用できる様にしようというルートになったのではないか?と、思われる。明確な方針を掲げていないが、少なくとも「独島」を近代化改修するというなら、そうなのだろう。

2番艦「馬羅島」に関してはこちらの記事で取り上げたのだが、この時は「輸送艦」という表記になっている事が分かると思う。

日本語の記事は、冒頭に紹介した乗り物ニュースしかなく、韓国メディアの日本語版は発見できなかったので、確実なことは言えないのだが、今回は「独島」を輸送艦ではなく強襲揚陸艦扱いにして運用したいという狙いがあり、それは3番艦として作られる予定だった軽空母がキャンセルされた影響だろう。

2番艦「馬羅島」の就役は2021年なので、一応、装備は最新となっている。コレに準じて1番艦もアップデートし、運用できる様にしようという方針であるようには思われる。

でも、強襲揚陸艦は必要ですか?

発想としては真っ当ではあるが、そもそも韓国海軍に強襲揚陸艦が必要なのか?というところは疑念が残る。

過去に、スレッジハンマー作戦(1950年9月15日)に揚陸作戦が採用されていて、この作戦は朝鮮戦争の明暗を分けた作戦であったので、そこに憧れがあることは分かる。だが、強襲揚陸艦「独島」や「馬羅島」は図体が大きく的になりやすい。そもそも、朝鮮半島周辺海域は浅瀬が多いために、デカい船では取り回しに苦労する海域が少なくない。1番艦「独島」や2番艦「馬羅島」は有効に使えるのかは、正直よく分からない。

それこそ、高速移動が出来て揚陸作戦が展開できるLCAC(エアクッション型揚陸艇)を増やした方が良いんじゃないですかね?確か韓国海軍は強襲揚陸艦「独島」から出せるLCACを2艇持っていたハズだ。洋上から近づいてLCAC下ろすくらいなら、最初からLCACで出た方が良い。LCACなら満載で200海里を70km/hで航行出来るから、揚陸艦出すより早いよ。

LCACは静粛性に欠けるので強襲揚陸艦持ってた方が作戦の幅は広がるんだけど、韓国海軍が単独でスレッジハンマー作戦と同じ事をやれるとは思えないし、身の丈に合った装備にした方が良いよ。

あと、もう1つ不安があるのがこのニュース。

韓国海軍「独島」建造で韓進重工業に不正疑惑

2018.07.27 07:34

韓国海軍を代表する揚陸艦「独島(ドクト)」の建造過程で不正があったと、韓国CBS放送局が報じた。

CBSは26日、「独島」を建造した韓進重工業が作成した内部文書を入手したと伝えた。この文書によると「本艦契約の40%を外注すれば予想費用減額は約336億ウォン(約33億円)」と書かれている。

海軍によると、「独島」建造は原則的に外注できないよう契約したという。したがって外注で建造費用を減らしたのは韓進重工業の契約違反と解釈される。

中央日報より

ちょっと前のネタなのだが、韓国あるある事件でもある。外注して一部をポッケナイナイした疑いが持たれているという記事だが、強襲揚陸艦「独島」を作る時にまさにこんなルール違反が行われていた疑いがあり、その結果、色々ポンコツな部分が出来てしまった可能性が否定できない。

大丈夫なんですかねぇ?

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