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【悲報】韓国海軍の空母計画が暗礁に乗り上げる?

韓国海軍
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むしろ、「未だ暗礁に乗り上げていなかったのか?」という疑念すら沸くが、今の所は「危うくなった」程度の話ではある。残念なことに。あ、ブログ的には空母作ってくれたほうが嬉しいが。

韓国、F35Aの追加購入有力…韓国型空母の夢はどうなるのか

2022.07.17 09:02

2030年代に韓国型空母を就役させようとする韓国海軍の野心に満ちた計画が巨大な暗礁に出会った。空母搭載戦闘機事業が動力を失ったのだ。空母建造計画は事実上失敗に終わったという評価も出ている。

中央日報より

もともと、この軽空母計画は、前韓国大統領のムン君が強力に推進した計画であって、かなり無理があったのは事実だ。

漂流する軽空母計画

忘れられない成功体験(他人の)

そもそもの話だが、韓国海軍が欲しがっていたのは強襲揚陸艦である。韓国海兵隊が上陸作戦をやるために強襲揚陸艦が必要というのにはそれなりに説得力がある。

朝鮮戦争(1950年~1953年)が始まった時、1948年に建国したばかりの韓国には海軍どころか陸軍すら満足に備えてはいなかった。対する北朝鮮はロシアから強力な兵器を援助してもらっていて、その戦力差は象とアリンコほどあったという。

実際に、1950年6月25日に38度線を越えて韓国側に殺到した北朝鮮軍はあっという間に韓国軍を駆逐する。当時は韓国側に米軍も配備されてはいたが、戦線を維持できるほどの戦力は無かった。

あっという間に押し込まれて、8月末までには韓国側の勢力は釜山を残すのみとなった。

これを覆したのが仁川上陸作戦(クロマイト作戦:1950年9月15日)で、それと連動して行われた大規模攻勢計画(スレッジハンマー作戦)である。クロマイト作戦は7月23日頃に立案されているので、当初から韓国軍が決定的に配送することは自明の理だったようだ。

仁川は、ソウルの目と鼻の先にあり、要は北朝鮮軍の背後をついて上陸作戦を敢行し、一方でスレッジハンマー作戦、つまり釜山側から戦車部隊を送り込んで補給線が立たれて浮足立った北朝鮮側残存兵力を掃討するといったような流れで作戦は展開された。僅か1月で38度線以下の地域を取り戻し、更に12月までには北朝鮮を支那との国境まで追い詰めたのである。

まあ、この後、支那からの増援によって再び38度線辺りまで押し返されてしまうのではあるが、韓国軍にとってこれは成功体験である(注:なお、韓国軍は作戦立案に関与していない事実に触れてはいけない)。

仁川上陸作戦のために

というわけで、韓国海軍としては是非とも強襲揚陸艦が欲しかったのだが……。

コンセプトがおかしな方向に漂流していってしまうのである。

どういうわけだか、「空母が必要に違いない」という話になってしまったのだ。

コレは日本の周辺海域の海底地形図なのだが、韓国の東側に位置する日本海に比べて西側に位置する黄海はかなり浅い。平均水深は46m、最深部でも200m以下である。さらに渤海から北西部では、平均水深はわずか26mである。

つまり、日本海側で運用するのならばともかく、黄海側では潜水艦の運用は難しく、つまり空母をエスコートをする空母打撃群の展開が難しいということである。結果的に黄海側で軽空母は使えないということになりそうだ。

まあ、小型の209型潜水艦であれば浅い海でもさほど困らないかもしれない。

が、現在建造中の3000t級潜水艦や、これから建造の噂のある原子力潜水艦などはかなり困るのではないかということになる。何しろ、運用海域が限定されるのである。どこにいるのかモロバレの原子力潜水艦など、運用する意味がない。

太平洋側まで出てくる気なら別だが、出てくるときには日本近海の水道を通らねばならず、浮上しての航行が原則となる。まあ、原子力潜水艦の運用方法は詰んでいるといっていい。

韓国海軍の潜水艦は大型化が進むのだが、空母運用を前提とはしていないんだよね、結局。

大人しく小型の強襲揚陸艦を複数作っておけばよかったのに、なぜこんな事になったのやら。

F-35B購入計画が白紙化

話がそれてしまったので、そろそろ冒頭の記事に戻っていくが、「暗礁に乗り上げる」事になった理由は、F-35A購入計画が決議されたからだ。

防衛事業庁は15日に第145回防衛事業推進委員会を開き、次世代戦闘機(FX)2次事業事業推進基本戦略を議決した。FX2次事業は高性能ステルス戦闘機を海外から購入する事業だ。防衛事業庁関係者は「空軍の老朽戦闘機淘汰にともなう戦力空白を最小化してキルチェーン核心戦力を補強し、全方向の脅威に対する抑制と有事の際の北朝鮮の核・弾道ミサイルの迅速な無力化が可能なものと期待する」と説明した。

中央日報より

ちょっと分かりにくい話なのだが、このFX2次計画というのが曲者なのだ。

FX2次計画の説明として、「空軍の老朽戦闘機淘汰にともなう戦力空白を最小化」とある。これが、F-35A購入のことを差していることは明らかだと、中央日報は分析している。実際に記事に説明があるが、F-35A追加購入計画を押しのけてF-35B購入の決定がなされた。

ところがそれを覆す決定がくだされた。明示はされていないが、実際に他に候補がない以上は、「FX2次事業」はF-35Aの20機購入というのでまず間違いあるまい。

来年事業を始めれば2028年まで約3兆9400億ウォンの事業費が投じられる計画だ。この事業はF35Aを20機追加購入する方向で流れるほかはない。そうなると韓国型空母は大きな難関に直面することになる。

中央日報より

ところで、購入金額は約3兆9400億ウォンか。

20で割ると1,970億ウォンで、F-35A購入代金としては少々高い気はするが……。韓国の計画だと30機くらい買えるとする金額なんだが(注:おそらく一般的には適正な金額)、

金額的にはF-35Bを20機買っちゃう可能性も否定できないんだが、中央日報はそうは分析していないな。

確かに、F-35Aを買うのであれば、空母の話は宙に浮いてしまう可能性が高い。乗せる戦闘機がなければ空母ではないからね。まあ、可能性としてはKF-21の艦載機阪が登場する可能性は否定できないが、時間はかかるだろうねぇ。

現政権は空母に厳しい評価

そもそも、ユンユンはムン君が目指した方向性を尽く否定する方向に動いている。大抵はそれで正しいのだから困るが、そうした評価はさておき、たしかに空母計画は上で書いたようにかなり怪しい計画である。

実際に、現国防部長官は、就任前から軽空母計画には懐疑的であった。前政権でも予算を削減したり復活させたり忙しかった。

が、コレばっかりは仕方のないことである。何しろ、運用の問題が解決したとしても、複数の空母を建造しなければならず、それに加えて打撃群も整備するとなると巨額の費用負担が発生する。

およそ現実的な話とは言い難い。まともな神経をしているのであれば、計画はなかったことにしたいところだ。とはいえ、プロパガンダ染みた計画である。簡単に諦めることもまた難しいのである。よって、計画を凍結してしまうというあたりが妥協できるところだ。

文在寅(ムン・ジェイン)政権は2019年に大型輸送艦プロジェクトをするとして空母建造計画をまとめた。今年韓国型空母の基本設計を始め、2026年から艦艇を製作する手順に入り、早ければ2033年に韓国型空母が領海を守る姿を見られるということだった。

中央日報より

空母建造計画の方は、既にスタートしてしまっている。建造は始まってはいないが、設計には着手しているわけだ。

しかしFX2次事業がF35Aで確定するならばF35Bは水泡に帰した格好だ。峨山(アサン)政策研究院のヤン・ウク博士は「韓国型空母が兵器導入優先順位で至急でないというのが現政権の基調。F35A20機追加導入事業が進められれば韓国型空母はなかったことになるか大幅に遅れる可能性が大きい」と説明した。

中央日報より

韓国の造船業界の救済という側面もあると予想されるため、「なかったこと」にすることは難しいだろう。だが、遅らせることはできるかもしれない。自分の政権が続いている間、凍結して逃げ切ってしまえば良いという判断かもね。

そんな理由から2026年空母建造開始というのはちょっと怪しいかも。ユンユンの政権はトラブル無ければ後5年続く。そうなると、2027年以降に建造開始なんてことになるかもしれないね。

案外、それまでには無人機が戦略に組み込めるようになって、無人機用空母などという形で、もう少しマシな運用が期待できるようになるかもしれない。まあ、潜水艦も無人機ということになるかもしれないが。韓国がそれを実現できるかはまた別の話である。

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