【韓国海軍】高速艇故障の原因は設計ミスとの暫定結論

海軍

ネタ満載の兵器は韓国軍の真骨頂ではあるが、犬鷲型ミサイル艇(コムドクスリ級又は尹永夏級とも呼称される)もなかなかの逸材である。

本記事は、その尹永夏級とは別系統の新型大鷲型高速艇のことのようだ。2代続けてお笑いを提供してくれるとは実に優秀だな。あ、別系統なので「2代続けて」というのは語弊があるか。実は、2代目の犬鷲型を作っていたハズなのに、いつの間にか2代目の大鷲型に変わっていたという、ちょっと不思議な経緯を持つ艦艇でもあるのだ。

海軍、新型「イヌワシ」高速艇故障の原因は、「韓進重設計不良」暫定結論

記事入力2020.07.16 午前6:03

海軍の次世代新型高速艇の相次ぐエンジン故障の原因を調べてきた国防技術品質院が納品業者である韓進重工業の誤った設計に欠陥が発生したという暫定結論を下した。

「NAVER」より

ともあれ、ニュースでは「エンジントラブルという報道があったけど、実は設計ミスが問題だった」と、そう伝えている。ん、どういうこと?

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新型犬鷲型高速艇

沿岸警備用の高速艇

先ずはザックリした説明をしておこう。

コチラに紹介しているのは犬鷲型ミサイル艇(PKG)で、この前級として大鷲型哨戒艇(PKM)という113t級の艦艇が作られていた。建造数はなんと101隻で、韓国軍にとって使い勝手の良い船であったことが伺える。1970年代に作った船らしいので、流石に更新はしたいか。

大鷲型哨戒艇(PKM)から、その後継機の犬鷲型ミサイル艇(PKG)440t級を作った背景には、浦項級コルベット(PCC)950t級の機能の一部を受け持つ狙いがあったとされている。沿岸警備をする船のサイズアップを図ったという事なのだろうか。

しかし、犬鷲型ミサイル艇(PKG)が問題を抱えていてスムーズに行かないことが影響したのか、それとももうちょっと小型の船が欲しいという欲求があったのか、新型大鷲型高速艇(PKMR)210tを作ったということらしい。

この2つの記事でも言及しているが、ともかくそんな経緯で大鷲型高速艇のTYPE-IIを作りたかったと言うことなんだろうね。

正直、101隻もある大鷲型高速艇の老朽化が進んでいるので更新したいという狙いがあることと、犬鷲型ミサイル艇18隻に差し替えるには乗組員の数の調整が難しいみたいな所はあるのだろう。

エンジントラブル

ともあれ前の記事でも「おかしい」と言及していたのだが、使っているエンジンは米キャタピラー社のもの。

注:CAT社のエンジン(類似する型だと思われるエンジン)

それなりに堅牢なエンジンで定評のあるキャタピラー社の船舶用のエンジンにトラブルというのはおかしな話だったのだ。

コメントでも色々議論して頂いて、オーバーヒートだとか冷却系が適切では無いとか、色々ご指摘頂いている。更に、冷却水を海水で冷やす船舶用のラジエターの存在も教えて頂いている。で、そこで「配管不良などで海水が入ってくる可能性」を指摘され、「設計思想がアレなのは、韓国の仕様」と返答差し上げたのだけれど、やっぱり冷却系トラブルであったという結論が出たというのが冒頭のニュースである。

15日、軍関係者によると、国防技術品質院は、次世代新型高速艇のエンジン故障の原因を調査した後、「設計不十分でエンジン(シリンダーヘッド)に海水が流入される不具合が発生したと推定される」と報告した。気品員は、海水の流入の問題に加えて、トラップの重量増加がエンジンの疲労度を増やし、シリンダヘッドが割れた可能性があると分析した。

「NAVER”海軍、新型「イヌワシ」高速艇故障の原因は、「韓進重設計不良」暫定結論”」より

シリンダヘッドに海水が流入しちゃった。

で、その原因が船体重量増加がエンジンの負荷を増大させたという。意味がよく分からないが、船体重量増加がエンジンの負荷を増大させた、というのは分かるのだけれど、シリンダヘッドに海水が流入というのは設計不十分というレベルの話なのだろうか。

確かに、調べて見ると古くは海水でエンジンを直接冷却する方式が採用された時代もあったようだが、現代の船の多くは海水間接冷却を採用しているようだ。実は、海水は55度を超えるとカルシウムが析出するなど、冷却性能を悪化させる原因となることが分かり、直接冷却は都合が悪いという事になったらしい。

他にも海水による腐食トラブルなどが出るため、冷却系をそれなりの頻度で更新する必要がある点も問題視されているようだ。確かに周囲にある大量の水を冷却に使いたいという意図は理解できるが、海水の中に不純物が多いのは問題が出易いので不都合が多くなるのだろうね。

ともあれ、その経路、海水の入ってくる二次系統と清水(又は冷却液)を循環させる一次系統が配管ミスで海水が混じっちゃう状況であれば、カルシウム析出が影響して冷却不足でオーバーヒート、シリンダヘッド割れという流れになる気はする。

しかしそんな初歩的な話なのだろうか?

しかし、韓進重工業が建造した新型高速艇は2017年11月納品された1番艦から昨年12月に就役した2〜4番艦までの4隻で共通してエンジンに亀裂が発生して実戦に正しく配置されなかった。国防技術品質院は4隻の新型高速艇が運用800時間もない、すべての故障が発生し、海軍内部で製造欠陥の可能性が提起される今まで原因究明のための調査を進めてきた。

~~略~~

韓進重工業側は今回の調査結果について、まだ慎重な立場を取りながらも、問題がある場合、是正措置に出ると伝えた。韓進重工業の関係者は、「まだ、海軍から正式に調査と関連の助言は受けていない」とし「問題のある部分がある場合の措置する」と述べた。

「NAVER”海軍、新型「イヌワシ」高速艇故障の原因は、「韓進重設計不良」暫定結論”」より

船体の設計をし製造した韓進重工業もミスを認めたらしいので、しょうもないミスだった可能性は否定できないのだが、韓進重工業の反応は「言われれば修正するよ」という意味の分からない反応である。

設計ミスなら図面見るだけで大凡の事は分かるよね?その上で、「海水混入などあり得ない」という立場を採るか、「設計上、混入する可能性が否定できない」という事であればさっさと対応すべきなのだが……。

コメント

  1. 「止めるのだフェネック!「一次冷却系に直接海水流せば熱交換器の分スペースと重量が削減出来るぞウェーッハッハ!」じゃないのだ!アルミを多用した昨今のエンジンに直接海水、それも高温の海水を循環させたら腐食するしスケールが析出して冷却効率が……ああ……シリンダーヘッドが歪んでるのだ……」

    なんて案件なわけがないですよね。
    ないよね。
    ないと思いたい。けど……

    • 何というか……。
      しかし、やっぱり海水で冷却しちゃっていたのでしょうねぇ。

  2. 納品前に試験走行はしなかったのでしょうかねえ

    • やりはしたのでしょうけれど、韓国ですから。
      どういう訳か、納品してから多数の欠陥が出てくるというのが、韓国軍あるあるでして、そりゃ慣熟運転は納入後にやるのでしょうけれど、進水式以降メーカーで確認するのが普通なんだと思います。……思うのですが、おかしな話ですよね。

  3. 韓国語の함정(トラップ)は罠以外にも軍事用船舶もトラップと呼ぶらしい。(https://namu.wiki/w/함정)より
    本来必要なエンジンよりワンランク下の非力なエンジンを選んだとしか見えなかったので実運用時点で問題が出ると思ってただけにやっぱりねという感想です。
    非力なエンジンが負荷で温度が上がりすぎて更に冷却水が55℃を越えて塩分の析出も始まり更に冷却効率が下がり温度が上がったなんて状態だったとしたらコピーならできる技術者はいるけどいちから設計できる技術者はいないとしか思えない。

    木霊さんが書いてる通り海水直接冷却方式は最近は使われなくなっていて特に「高速エンジンの殆んどは、耐蝕性、耐摩耗性ならびに冷却水損失に優れた清水冷却方式が採用されている。」とのことなので高速艇であるイヌワシが海水直接冷却方式を採用してるとしたら何故?という感じです。

  4. 木霊様、皆さま、今晩は

    本来必用な出力よりも小さいエンジンを搭載したのとエンジントラブルが起こったのは別の問題だと思います。大型トラック、荷物満載だと、高速道路の上り坂では全開が当たり前。
    (そうでないならば、誰が「登坂車線なんか走るか)
    過積載トラックのエンジンが問題を起こした・・って、聞いた事ない・・

    舶用エンジンはなおさらで、定格出力で何日も連続運転するのは当たり前。ならば、エンジンが小さすぎたのは性能面ではともかく、信頼性の点では問題ではないと思います。

    市販乗用車のエンジンは「長時間、最大出力を使い続ける」事は(普通)想定していないので、トラブるかな。

    • 音楽大好きさん
      重量物を載せて登坂車線など負荷のかかる走行を続けるとエンジンのオーバーヒートの原因になります、昔白煙上げて坂の途中で止まったトラックを見かけたこともありますが商売道具なので法律に違反する過積載はしてもあえて無理して壊れるまで走行しようとする運転手はいないでしょうね。(昔見かけたの性能も今より悪かったからかな、最近は見ませんね)
      トラックだとエンジンの能力は満載時でも余力があるし、負荷のダメージはエンジンより先にクラッチとかのほうに来るのでエンジン自体が壊れるまで無理させることは少ないでしょう。
      イヌワシの場合、エンジン能力以上の負荷を与え続けた(軽自動車にブルドーザーを載せて運ぶといったらオーバーだけどそんな感じ)じゃないのかな。

      今回のイヌワシもシリンダーヘッドに海水が流入したということならオーバーヒートによりシリンダーヘッドにひび割れが発生し流入した可能性も考えられます。(自動車の整備屋さんはオーバーヒートをおこしたエンジンはシリンダーヘッドにひび割れがないか必ずチェックするのが基本ですし)

      • Rodney 様、返信ありがとうございます。

        水温計も見ずに全開を続ければオーバーヒートするでしょうね。水温を気にしながら加減するのは当たり前。と思ったんですけど、その「当たり前」が出来ないのが韓国なんでしょうか。それにしても、お粗末。

        JRのローカル線に乗った時、運転席のすぐ傍だったので前方や運転などを見ていました。峠の登りではかなりの時間、全開のままでした。その車両、調べてみたら車重35tくらいでエンジン出力は220馬力。全開でなくては登れないだろうし、そのように作られているのでしょうね。

        鉄道車両ならば走行する線に合わせて「山岳路線用」などがあると聞いたことがありますが、トラックの場合は、そこまではしないのかな。コストがかかる(車両価格が高くなる)から。

  5. 設計ミス?
    いやいや、設計がまともでも製造ミスをやらかすでしょ、彼らなら。

  6. たぶん費用中抜きの為にどこかのパーツをけちるか偽物を使ったのではないかと。
    表沙汰になると関係者全員が困るので判らないふりしているんじゃないかな?

  7. リバースエンジニアリングしようと分解したけど、再組み立てで調整ミス。
    と言う線は無いですか。御家芸ですが。

  8. >その尹永夏級とは別系統の新型大鷲型高速艇のことのようだ。2代続けてお笑いを提供してくれるとは実に優秀だな。あ、別系統なので「2代続けて」というのは語弊があるか。実は、2代目の犬鷲型を作っていたハズなのに、いつの間にか2代目の大鷲型に変わっていたという、ちょっと不思議な経緯を持つ艦艇でもあるのだ。

    ネームシップに犬と大の違いしかなくややこしいし、ご指摘通り不思議な経緯を持った不思議で悲惨な末路を辿りそうな「高速哨戒艇」ですよね。(冷笑)
    前の記事の時も書いたと思うけど200tクラスなのに、見た目から装備過重って感じでハッキリ言ってブサイク極まりない。
    パクリの速射砲・パクリの重機関銃×2基・国産とやのSSM(12連射誘導ロケット)・爆雷...、おいおい走る前に浮かんでいられるのかよ? って感じです。
    これで最大速力40ノットってんですから、設計思想というか艦艇を使う目的と仕様決定から間違っているんじゃないかと。

    ちなみに、31中期防で12隻の建造が決まった新型哨戒艦は、1500t(防衛省構想では3胴艦)・2000t(三井E&S)のコンペ次第でしょうけど、基本的な兵装は速射砲・CIWS×2基くらいで対空戦も対潜戦も想定していない様です。(個人的にはseaRAMは装備して欲しい)
    主任務は哨戒ですからヘリポート・無人航空機・無人水上機を搭載するみたいですが、退役し不足する掃海艇を補うために掃海ユニットも搭載可能な複合艦ってコンセプトもあるみたい。

    近沿岸哨戒の南朝鮮ボロ船とは単純に比較できませんが、1500t級ですら軽装備でないと本来任務に耐えきらないのですから、200t級にはやはり重装備過ぎるんじゃないでしょうかねェ~。
    こんなんなら黄海沿岸に固定した対艦砲をズラリとならべるか、実績のある哨戒ヘリをアメリカから買って拡充するほうがマシと思いますけどね。

    • トップヘビーは韓国の伝統なので、ある意味仕方が無いのだと思います。
      数を作るというのは寧ろ造船業支援という側面がありますから、その辺りも理に叶っているのかも知れませんよ。

      日本の方は色々と努力しているみたいですが、船乗りの募集にすら一苦労しているようですから、単純に船を増やせば良いと言う事にもならないのがちょっと辛いですね。無人船を開発していくしか無いのかも知れません。