次から次へと!
[単独] NLL海軍新型「イヌワシ」高速艇4隻、エンジンの故障で「今年のストップ」になった
入力2020.05.13 06:10
政府が西北島嶼と北方限界線(NLL)など最前線海域を守る球状チャムスリ高速艇を新型高速艇(PKMR)に変えるために1兆ウォンをかけて推進している「イヌワシ-B Batch-I」の交換事業が揺れている。新たに交換された海軍の新型高速艇がエンジン故障で作戦に正しく投入されていないからである。
「ChosunBiz」より
エンジンの故障って、韓国のトラブルはこればかりだな。食傷気味だし、今回のネタは突っ込みドコロが少ないので短くしていこうと思う。
イヌワシ型ミサイル艇?いいえ、新大鷲型哨戒艇デス
type II投入
えーっと、大鷲型哨戒艇というと、別名、尹永夏級と呼ばれる小型艦こんな感じの小型艦である。

ニュースを見つけたときには犬鷲型ミサイル艇(PKG)のことかとカンチガイしていたが、どうやらこのニュースは大鷲型哨戒艇(PKM)の後継機にあたる新大鷲型哨戒艇(PKMR)のことらしい。
犬鷲型ミサイル艇は、ウォータージェット推進器を備えた高速艇である。ただまあこれが真っ直ぐ進まないなどのトラブルを抱えていて、取り回しも不便という話があり、何とも不遇な感じであった。
で、大鷲型哨戒艇(PKM)の後継機として開発された犬鷲型ミサイル艇(PKG)は、思いの外大きくなってしまったことで取り回しに問題が出て、新たに新大鷲型哨戒艇(PKMR)が建造された模様。冒頭の記事では「イヌワシ」と書かれているのだが、後に「オオワシ」に改められた模様。
で、その辺りの経緯が複雑なため、前の記事でも少々混同している気がする。
コメント頂いて、記事を修正するつもりがすっかり忘れていたようで、恥ずかしい間違いをしてしまったらしい。
このブログで言及したのは1月のことだったが、「4隻追加」と報じられたのは2019年10月のこと。で、2017年~2019年に最初の4隻が納入されて、追加で4隻、つまり合計8隻が韓国海軍にという流れになっている。
犬鷲型ミサイル艇が余りに上手く行かないので、順次Type-IIに差し替えていく予定だったという話もあったようだが、実際には大鷲型哨戒艇から新大鷲型哨戒艇に切り替えていく話のようだね。
韓国軍 ミサイル艇20隻建造へ=最前線での機動力向上
2016.03.21 11:46
黄海上の南北軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)を警備するミサイル艇(PKG―B、満載排水量300トン)が今年から建造される。韓国軍関係者が21日、伝えた。
~~略~~
PKG―Bは約20隻建造される予定で、建造されれば老朽化したミサイル艇は全て退役する。
「聯合ニュース」より
これがまあ、残念な事になっているようだ。
エンジンの不調
問題となっているのは初期に納入された4隻らしく、ドッグ入りしているとのこと。
で、どこがダメだったのか?というとどうやらエンジンのようだ。
兵器産業界のある関係者は、「現在運用中の海軍の新型高速艇4隻すべて運航中のエンジン(シリンダーヘッド)が割れ損傷が発見された」とし「4隻すべて駆動時間700〜800時間の間に問題が発生した」と伝えた。別の兵器産業界の関係者は、「この新型高速艇エンジンの場合、故障を防ぐために義務的に行うようにされている予防的外注整備基準時間が駆動時間3000時間であることが分かる」とし「駆動時間がこの時間を越すことができず、問題が起こった場合に欠陥がある可能性がある」とした。
「ChosunBiz」より
え?どういうこと?運行中にエンジンのシリンダヘッドが割れちゃったって??

搭載されているのはこのエンジンらしいのだが、韓国産のエンジンでは無く、どうやらアメリカCAT社のものらしい。
残念ながら型式までは分からなかったが。
大鷲型哨戒艇は、MTU 12V595 TE90というエンジンを搭載していたはずで、ドイツ製であった。しかし、Type-IIは実績のあるエンジンを止めて、別のエンジンを選んだようだ。
国防関係者は「海軍整備倉での修理中に問題を発見し、構造的欠陥の可能性がないことを国防技術品質院が数ヶ月前から調査に着手した状況」とし「内部的には、エンジンの耐久性の問題と運航時の海水の流入の可能性などが挙げられているものと聞いている」とした。
「ChosunBiz」より
意味が分からないのは「航海時の海水の流入の可能性」の方だが、そんなにホイホイエンジンルームに海水が入り込むものだろうか?そして、多少海水が入り込んだところで、船舶用エンジンに問題が発生?
調べて見ると、写真に映っているのは米CAT社(キャタピラー社)の「C32 ACERT IER 3」か「C32 ACERT IMO II」に相当する物だと思われ、船舶推進用エンジンでそれなりに実績のあるシロモノのようだ。
だとすると、工作精度などの問題で4隻全てのシリンダヘッドに亀裂が入るなんて事は考えにくい。また、トラブルに至るまでに700~800時間程度の運転時間だと書かれているので、メンテナンスに起因することも考えにくい。
……いや、何というか基本的なメンテナンスが出来ていないとそういう事があるのかも?少なくともエンジンそのものに問題があるということは考えにくいのだけれど。エンジン冷却に使うオイルをケチったとか、そういうアホらしい理由が原因かも。
「エンジンの耐久性が問題」というのはちょっと……。
コメント
木霊さん、おはようございます。
犬鷲型ミサイル艇(400t級)が問題続出で18隻で打ち切り、特に基本であるエンジン系の致命的トラブルが解消不可能だったのでしょう。
何しろマトモに直進できない粗悪品の様で、今現在18隻の内で有事に戦力になるのかも怪しい。
>そこで何を考えたのか、Type-IIを計画したのである。300t程度の排水量にして取り扱いやすい様に改良するという話になっていた気が……。
それで苦肉の策としてダウンサイジングしたPKG-B(300t級)なら何とかなると考えたのでしょうけど、それも同じくエンジン系のトラブルでいきなり躓いたって事かなァ~、毎度の事とはいえもはや救えませんね。(冷笑)
ミサイル艇自体は戦略的需要が限られてきたのが世界的潮流ですが、狭い領海で敵と対峙する国には必要な装備だと思います。
欧州なら北海・地中海沿岸国、アジアなら台湾などがありますが南朝鮮にも必須の装備でしょう。
所有する限られた国は200~500tと用途によってまちまちですが、日本海自ははやぶさ型(200t級)の後継艦の予定はありません。
FFM級と計画中の1500t級哨戒艦で対応するようです。
そんな中でミサイル艇(コルベット級とも)で注目されるのが、台湾の対支那空母キラーと称される沱江型(500t級)で、いよいよ本格的な量産体制に入ったとの事。
初号艦就役が2014年で約5年間の評価を経ての本格量産ですから、南朝鮮の幼稚な拙速度とは根本から違ってるように思います。
蓄積した基本技術もないのに潜水艦の大型化を無闇に挑戦したり、失敗したから無理やり理由をこじ付けて要求仕様をスペックダウンし小型化・劣化版化したり...、この繰り返しが続く限り「お笑いネタ」は尽きないんじゃないでしょうか。(爆笑)
面白い展開になりそうなんですが、何をやってくれたんですかね。
ただ、以前も評価はしているのですが、韓国にとってはこのクラスの船を運用するという判断はそれほどおかしな話ではありません。
ご指摘の様に支那も整備していますし、台湾もこの手の船を持っているのですよね。
そんな訳でご指摘の様に、韓国にも必須装備だとは思うのです。
ただ、まともに動けば、という話でして。
犬鷲型ミサイル艇が真っ直ぐ進まないという笑い話はあったわけですが、構造は殆ど変わっていませんから、TYPE2も望み薄なんですよね。
そして、いつも思うのですが、これだけスペックを変えるのであれば、別の船にすればいいのに……、と。なんでType2なんですかねぇ。
それにしても韓国は装備を付け替えるのが大好きですねえ
そろそろレーダーも魚群探知機にするんじゃないでしょうか
レーダー魚群探知機というのには衝撃を受けました。
そんな話ばっかりなんですけどね。
>搭載されているのはこのエンジンらしいのだが、韓国産のエンジンでは無く、
>どうやらアメリカCAT社のものらしい。
「CAT社」だとわかりにくいと思います。「キャタピラー社」ですね。「建設機械の巨人」と呼ばれるほどですから、ちゃんとしたエンジンだと思います。
キャタピラー社のエンジンとは言え、船舶用のヤツはメジャーなんですかね。
寡聞にして、余り聞かない気がします。
あくまで私見で裏付け出来てませんが。
ヘッドが割れる≒冷却不良(オーバーヒート)、という気がするので、冷却が上手くいってなかったか、無理にパワー出して使い続けたかどっちかではないかという、非常に初歩的な問題な気がします。
韓国は冶金の技術がないとよく言われますが(K2のエンジン&トランスミッションで)、これはそれ以前の問題でしょうね(エンジンは買ってきたもののようですから)。
実は、真っ先に冷却不足を疑ったのですが、そんな単純な話か、という事を疑ってもいます。
大抵、シリンダヘッドが割れる時は、冷却が足りていない時ですからねぇ。
冶金技術不足なのはいつも問題になりますが……、今回のコレは多分構造的な話だと思います。
440t級のときのエンジンが4000馬力級のMTU 12V595 TE90で300t級にダウンサイズしたときがC32 ACERT IMO IIで1400馬力級、C32 ACERT TIER 3でも1800馬力級とかなり非力になっているように思えます。
部材の欠陥以外でのシリンダヘッドに亀裂が入る主な原因としては過負荷によるオーバーヒートがありますので運用(利用状況)とエンジンの能力がマッチしていない、エンジン冷却が適切でない可能性もあるけどどうなんでしょうね。
ちなみにキャタピラー社だと3612-TAがMTU 12V-595-TE90対抗の4000馬力級エンジンになりますが常用回転数が900rpmでMTU社製の1800rpmの半分しかありません、常用回転数でMTU社製の1800rpmをカバーできるという理由だけでC32シリーズを選んだとかだったらさすがお笑い韓国軍としか言いようがないですけど、マサカそんなことはないですよね。
当然値段もCAT 3612-TAやMTU 12V-595-TE90よりC32より安くなるのでポッケナイナイしやすいとかで飛びついたとしたら大笑いです、普通に考えたらありえないけど軍用ソナーに魚群探知機を流用するような国だから有り得そうで怖い。
Rodney様
鉄オタの情報なのですが・・・
>ちなみにキャタピラー社だと3612-TAがMTU 12V-595-TE90対抗の4000馬力級エンジンに
>なりますが常用回転数が900rpmでMTU社製の1800rpmの半分しかありません
ディーゼルエンジンの出力ですが、「回転数×トルク」で決まるようです。
ドイツのエンジンは「高回転・低トルク」、アメリカのエンジンは「低回転・高トルク」が基本思想のようです。
長大な(=重い)列車を起動するには「大きなトルク」が必要なので、アメリカのエンジンは、トルク重視のようです。
※アメリカの黄色い機関車のエンジンは「低回転・高トルク」、日本のディーゼル機関車は(ドイツ系の技術が取り入れられているので)「高回転・低トルク」ですね。
なので、常用回転数が低くても、一概にダメとは言えないと思います。
もちろん、「低回転・高トルク」のエンジンを「高回転・低トルク」のエンジン並にぶん回したら、ぶっ壊れます。
かなり非力になっているのですよ。
そして、ご指摘の様に低回転型のエンジンに換装しているのですよね。
ウォータージェット推進の原理をよく知らないのですが、調べて見るとエンジンをぶん回して高圧ポンプで後方に吐出するといったやり方をしているようです。
そして、犬鷲型もType2も速度は同じ設定なんですよね……。
ここから導かれる推論は、低回転型のエンジンにも関わらず、速度を上げるために高回転でぶん回し、冷却が追いつかなくなったというお粗末な話なんですが……、流石に(苦笑
横合いから失礼します。
前級も含め、機関はCODAGなので、ディーゼルは低速時用……のはずです。
非力なエンジンを全開+αの非常出力or三十分定格で使い続けて……と言う可能性ががが。
木霊様、皆さま、今日は
> 「航海時の海水の流入の可能性」
船のエンジンは普通、海水で冷却されます。自動車のような空冷のラジュエターではなく、冷却水を海水で冷やすラジュエターが付いています。古い船だと、海水を直接エンジンのウオータージャケットに循環させる物もあったそうです。
配管とか水ポンプが壊れると海水が入って来る可能性は大いにありそうですね。
そうだとすると、オーバーヒートが起こりそうです。
オーバーヒート —> エンジンを止める —> 修理せずに再び運転 —> オーバーヒート
とかをすると、いくら「化猫」のエンジンでも重篤なトラブルが起こると思います。
そもそもオーバーヒートするような状態で運転する事自体が問題なんですが。
(注)化猫 キャタピラー社の、露天掘り鉱山などで使う巨大なトラックに勝手につけたニックネーム。転じてキャタピラー社のこと。
なるほどー、船舶のエンジンは海水冷却のヤツもあるんですね。
それなれば海水で濡れる可能性というのも確かにありそうです。
そして、ご指摘の流れ、オーバーヒートを繰り返すパターンをやっていた可能性はかなり強いのかと。
設計思想がアレなのは、韓国の仕様ですから仕方が無いんですけど。
エンジンに関する皆さんの投稿はいちいち参考になりました、さすがこのブログの参加者さん達です。(微笑)
>調べて見ると、写真に映っているのは米CAT社(キャタピラー社)の「C32 ACERT IER 3」か「C32 ACERT IMO II」に相当する物だと思われ、船舶推進用エンジンでそれなりに実績のあるシロモノのようだ。
>だとすると、工作精度などの問題で4隻全てのシリンダヘッドに亀裂が入るなんて事は考えにくい。また、トラブルに至るまでに700~800時間程度の運転時間だと書かれているので、メンテナンスに起因することも考えにくい。
実績あるエンジンのようですから使い方とメンテナンスが起因している可能性大なんですが、引き渡されてわずか半年ちょっとのはずなのに何でこんな事態が生じるか謎は深まります。
>意味が分からないのは「航海時の海水の流入の可能性」の方だが、そんなにホイホイエンジンルームに海水が入り込むものだろうか?そして、多少海水が入り込んだところで、船舶用エンジンに問題が発生?
これに関しては音楽大好きさんのご推察が当たっているような気がしますねェ~。
耐久性確認の為に意図的な非破壊テストをやるような体質じゃないでしょうから、ただ単に試験段階でのオーバーヒートに対するメンテナンスを省略して、無闇矢鱈にエンジンをブン回したって事じゃないかな。
南朝鮮の様な狭い対北朝鮮沿岸防衛にミサイル艇は必須と書きましたが、沿岸監視レーダーと武装型の哨戒機・哨戒ヘリ充実の方が有効かもしれませんね。
まあこれも数・質が艦載機優先で圧倒的に足りませんから、今から整備するには相当の時間・努力が必要でしょうし、配備→有効化の前にポッケナイナイの温床で終わっちゃう可能性大でしょうけどね。(冷笑)
お笑いネタ続編を期待しています!!(爆笑)
皆さんからのコメントを参考に考えていくと、やっぱり化猫エンジンを無理矢理高回転でぶん回したので、オーバーヒートを繰り返してしまい、その結果シリンダヘッド破損という流れが一番シックリきますよ。
そして、メンテナンスを怠っている可能性も考えられるわけですが……、今回は700時間程度の運転で壊れていますからねぇ。免停前に使い方が悪かった、というのが真相のような気がしますよ。
木霊様、皆さま、今晩は
> 無理矢理高回転でぶん回した
これはないでしょう。最大出力が出る回転数以上ではトルクが急激に減少します。無負荷であっても、大して回転数は上がりません。
回転数が問題なのならばギア比を変えればいい。無理矢理高回転でぶん回す必要はありません。
単なる冷却系統の不具合だと思います。