犬鷲型哨戒艇type-IIを韓進重工が引き渡し

海軍

おっと、このニュースは見逃していたな。

今年初の「お笑い韓国軍」のネタである。

South Korea orders four additional PKX-B patrol boats

October 31, 2019

South Korea’s defense procurement agency DAPA has awarded Hanjin Heavy Industries & Construction (HHIC) a 246 billion won (approx. $211 million) contract for the construction of an additional four PKX-B patrol boats.

「NAVALTODAY」より

えーっと、これ、ブログでは初登場である。

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犬鷲型哨戒艇バッチ2

型遅れの高速艇

えーっと、当ブログで取り扱っていたのは、尹永夏級ミサイル艇として紹介している艦船の、前級と位置づけられる船の後期型(バッチ2)である。

詳しくはこちらを見て欲しいのだが、尹永夏級ミサイル艇は、トラブル続出で必ずしも上手くいっていない。

海自ミサイル艇を廃止のわけ
海自はミサイル艇を廃止。文谷数重「ミサイル艇は80年代には時代遅れとなっていた。むしろ90年代以降の整備が誤りであった」

そもそも、ミサイル艇というのは日本の海上自衛隊も保有はしているが、その有用性は現在では失われてしまっている。記事では80年代に失われたとされていて、世界のトレンドではこの手の高速艇というのは積極的には作られてはいない。

しかし、韓国の尹永夏級ミサイル艇は2008年に就役し、対北朝鮮の船としては主力と目されている艦のうちの1つである。つまり、尹永夏級ミサイル艇は登場した段階で型遅れの船であったというわけだ。が、今回登場した犬鷲型哨戒艇バッチ2は、前級の改造型という位置づけの船である。

South Korea Navy receives first Chamsuri II-class patrol boat ‘PKMR 211’

October 30, 2017

The Republic of Korea Navy on Monday received the first in a series of new Chamsuri II-class (project name PKX-B) patrol boats, the country’s Defense Acquisition Program Administration (DAPA) announced.

「NAVALTODAY」より

さて、最初の艦が登場したのが2017年のことだ。

この新型哨戒艇(PKG-B:PKMR)は、尹永夏級ミサイル艇と一緒に運用する予定になっていて、初代の犬鷲型哨戒艇と差し替えていく予定だと言われている。

割と小型の船で、ホルホルするには能力的に足りない感じだったので、大々的に扱われなかったのでは無いかと思う。

オドロキのスペック

さて、ではどんな船なのかちょっと見ていこう。

この300トンの高速パトロール船は、RoK海軍のチャムスリ級パトロール船に取って代わります。チャムスリIIクラスとも呼ばれるPKX-Bは、130 mm誘導ロケット、76 mm海軍砲、K-6遠隔制御兵器システム(RCWS)、および韓国の戦闘システムで武装しています。おとりランチャーが装備されています。

「NABALNEWS」より

この船は300tクラスの小型船艇で、割と大型の装備を備えている模様。

PKX-B-02

この記事が出ている時点で16隻納入予定というから、それなりに使い勝手の良い船であるという風にも理解出来る。

HHIC-lands-ROK-Navy-order-for-another-four-PKX-B-patrol-vessels-1

価格は4隻で2460億ウォンということらしいので、1隻あたり660億ウォンという感じだろうか。小型の割には結構高いな。重武装なのが理由だろうか?

South Korea orders four additional PKX-B patrol boats
South Korea’s defense procurement agency DAPA has awarded Hanjin Heavy Industries & Construction (HHIC) a 246 billion won (approx. 1 million) contract for th...

ただ、気になるのはこちら。

300トン近くのフル排気量とウォータージェット推進により、PKX-Bは40ノットの速度に達することができます。

「NAVALTODAY」より

おいおい、尹永夏級ミサイル艇で失敗したウォータージェット推進を備えているじゃねーか!問題は解決したんだろうな?

  • 130 mm誘導ロケット砲(ハンファの提供する130mm誘導ロケットランチャーであるとされている)
  • 76mm海軍砲(62口径76mm速射砲の事だと思われる)
  • K-6遠隔制御兵器システム(RCWS)
  • 韓国の戦闘システム

と、この辺りを備えていると書かれているが、イマイチハッキリした事は分からないな。が、随分と重武装な印象を受ける。速射砲をぶっ放したらひっくり返るんじゃ内かな??

対北朝鮮特化型

そして、こと韓国において、この手の小型高速艇は使い勝手が良いと思われる。

まず、韓国沿岸はわりと浅瀬が多いために大型の船を運用することが不利であること、次に北朝鮮は小型船舶が多いために、高速で追えるタイプの船の方が都合が良いこと、そして、韓国の技術で海戦用の航空兵器を多数用意する事が困難なこと。レーダー技術やミサイル誘導技術に不安があるため、陸上からの攻撃では迎撃が難しい局面があること、などなど韓国故の事情があるのだ。

そんな訳で、韓国にとっては対北朝鮮特化型の高速艇を用意することは、ソレほど不思議な話ではないのだとは思う。

ただ、大戦略的に考えると、ソレで果たして良いのか?というのは気になるところだ。

何しろ、韓国海軍は人手不足で悩んでいるので、そもそも乗組員を増強することが難しい。今回の場合は旧型からの更新ということで、当面の船員確保は難しくないかも知れないが、長期的に見ると、そもそもこの戦略を維持することは厳しいだろう。レーダー技術を磨いて陸上に迎撃用のミサイルを配備した方が良いんじゃ無いかと。

まあ、この手の判断は基本的には韓国軍の自由なのだが、しかし現状の韓国経済を考えると、このクラスの船を多数発注するというのは、寧ろ軍事的な理由ではなくて造船会社への支援だったのではないか?という疑いが強いんだよね。そうで無ければ、船に拘る理由はよく分からない。

よっぽど韓国海軍の航空戦力を強化し、そのプラットホームとなる基地や強襲揚陸艦、或いはヘリ空母の強化をやった方が良いのでは無いかという気がするよ。

コメント

  1. 韓国の哨戒艇の形式説明ですが、非常にわかりにくいので、整理しました。

    現在配備中+建造中の哨戒艇は、以下の3級のようです。
    ・大鷲型哨戒艇(チャムスリ型):満載排水量156t 大鷲Ⅱ型で置き換える方向
    ・犬鷲型ミサイル艇(コムドクスリ型):満載排水量570t ※尹永夏級とも称される
    ・大鷲Ⅱ型哨戒艇(チャムスリⅡ型):満載排水量不明、排水量230tとの記事有り
    ソース)本記事に引用されている「South Korea Navy receives first Chamsuri II-class patrol boat ‘PKMR 211’」およびWikipediaの記事

    >今回登場した犬鷲型哨戒艇バッチ2は、前級の改造型という位置づけの船である。

    排水量が約半分(≒サイズが半分)なので、「改造型」「改良型」とはいいがたいと思います。

    • 整理して頂きありがとうございました。
      ちょっと解りにくい表記だったと反省しております。時期を見て修正しておきたいと考えております。

  2. 木霊さん、おはようございます。

    >そもそも、ミサイル艇というのは日本の海上自衛隊も保有はしているが、その有用性は現在では失われてしまっている。記事では80年代に失われたとされていて、世界のトレンドではこの手の高速艇というのは積極的には作られてはいない。

    日本が廃止を決めたPGミサイル艇(はやぶさ型)の引用記事ですが、1999年に建造決定となった最大の理由「能登半島沖不審船事件」に触れていませんね。
    海保が発見し追跡の結果、海自に初の海上警備行動が発令されたのに取り逃がした痛恨の事案ですので、これ抜きには片手落ちだと思います。
    つまり、時代遅れとはいえ対北朝鮮不審船対策の為やむ負えず6隻建造したと思っていいますが、後継はいきなり3900t級のFFM護衛艦の様です。
    加えて護衛艦に含まれない1000~1500t級哨戒艦が計画されていますので、そのスペック次第で日本の沿岸防衛の全容が見えてくると思いますね。

    はやぶさ型は200tと南朝鮮の犬鷲型哨戒艇type-Ⅰより小型ながら、射程150kmとされる90式艦対艦誘導弾を備えていましたから、バブル崩壊で防衛予算がない時に切羽詰まった本気モードのミサイル哨戒艇だったと想像します。
    とはいえ、ご指摘の通り世界の潮流から時代遅れの艦種で、ミサイル艇はノルウェーなど北欧の海洋国家だけが200~300tクラスで沿岸哨戒用に運用している様です。

    そんな中で特化されるのが台湾の自称「空母キラー」、沱江級(570t級)はコルベット分類とはいえミサイル艇であり各国の事情では生き残る感じもします。
    脆弱な台湾海軍ならではなんでしょうけど、支那牽制の穴を埋める為に12隻建造予定とか。

    南朝鮮の犬鷲型ミサイル艇は台湾の沱江級近いウォータージェット推進・排水量・装備なのに、type-IIをダウンサイジングせざる得なかった理由は何か必ずあるはず。

    >この船は300tクラスの小型船艇で、割と大型の装備を備えている模様。

    なのに...、ご紹介頂いた記事・画像を見ると、僕の様など素人でも危なっかしい感じがして心配ですねェ~。(冷笑)
    「はやぶさ型」のスペックだけには負けたくないって、いつもの悪い癖が出てるんじゃないかなァ~。(冷笑)

    >随分と重武装な印象を受ける。速射砲をぶっ放したらひっくり返るんじゃ内かな?

    マジでそう心配しちゃいます。
    無理にミサイル艇にしないで速射砲とRWSを主武器にしても、北朝鮮の小型艇には対抗可能と思いますし単純に哨戒艇とした方が良かったと思いますね。
    まあ、僕としては新たなお笑いネタ提供してくれればそれでいいんですけどね。

    そしてご指摘通り、黄海や日本海側に出てくる北朝鮮の小型船対策は、哨戒ヘリ&地対艦ミサイルの充実が先だと思いますね。
    まあ、基本の監視衛星・レーダーはもちろん短距離索敵レーダーも怪しい感じで、お粗末なんで道は険しいんでしょうけど...。(爆笑)

    • マスメディア反乱軍様

      >後継はいきなり3900t級のFFM護衛艦の様です。
      >加えて護衛艦に含まれない1000~1500t級哨戒艦が計画されていますので、

      調べて見ましたが、3900tFFM護衛艦は、あぶくま級DE(基準排水量:2000t)などの代替として配備され、艦齢延伸措置を実施したあぶくま級をもって、はやぶさ級を代替する感じですね(あぶくま級も6隻)。
      で、あぶくま級の退役に合わせて、1000~1500t級哨戒艦を建造する感じです。

      >南朝鮮の犬鷲型ミサイル艇は台湾の沱江級近いウォータージェット推進・
      >排水量・装備なのに、type-IIをダウンサイジングせざる得なかった理由は
      >何か必ずあるはず。

      犬鷲型ミサイル艇は浦項級コルベット(ポハンきゅうコルベット、基準排水量950t)の任務の一部を肩代わりする目的もあるようなので、大鷲型哨戒艇の置き換えとしてはオーバースペックと考えているのかもしれません。

      • あるけむさん、レスありがとうございます。

        >調べて見ましたが、3900tFFM護衛艦は、あぶくま級DE(基準排水量:2000t)などの代替として配備され、艦齢延伸措置を実施したあぶくま級をもって、はやぶさ級を代替する感じですね(あぶくま級も6隻)。

        基本はあぶくま型と掃海艇の代替えなんでしょうから、純粋にははやぶさ型の代替えではなく1000~1500t級就役までの繋ぎって感じかな。

        >で、あぶくま級の退役に合わせて、1000~1500t級哨戒艦を建造する感じです。

        現在の地方配備部隊(5か所)では合計17隻のDD型・DE型が配備されていますが、FFM型×22隻建造予定と1000~1500tを合わせると何隻建造されるのか注目しています。
        その建造数によっては将来FFM型が護衛隊群に編入されるかも?
        もしくは地方配備部隊を鹿屋・下関あたりに2~3部隊追加するとか?

        いずれにせよ対支那&南北朝鮮への備えの強化の為、護衛艦隊の有効な武器となって欲しいもんです。