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「天弓」が整備中に誤発射事故

韓国空軍
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一発だけだから誤射(笑)だな。

韓国軍の地対空ミサイル、整備中に誤発射事故

記事入力 : 2019/03/18 13:49

 18日午前10時38分ごろ、江原道・春川の韓国空軍部隊で整備中の中距離地対空ミサイル「天弓」が誤作動で発射され、空中で爆発した。韓国空軍によると、天弓は、非正常発射の際には安全のため自ら爆発するよう設計されている。

朝鮮日報より

まあ、この手の事故は仕方のない面はあると思うんだ。

完璧な整備は無いし、時には誤作動だってあり得るだろう。ただ、そうそう起こってもらっても困る事態ではあるので、整備だろうが訓練だろうが慎重にやって欲しいものだけどね。

中距離地対空ミサイル「天弓」って?

韓国型ミサイル防衛の要

さておき、韓国空軍の保有する中距離地対空ミサイル「天弓」だが、一昨年だったか「海外からも関心を持たれている」とホルホルしていた逸品である。

韓国産の地対空ミサイル、海外からも関心

2017年12月27日08時59分

軍が韓国型ミサイル防衛(KAMD)の核心武器である天弓(M-SAM)ブロック2を来年から量産する。新型国産地対空迎撃ミサイルの天弓ブロック2は200発以上生産される可能性もあるという。

中央日報より

どうやら、アメリカ製のPAC3などと同じように迎撃任務を持ったミサイルということのようだね。

天弓はブロック2!

韓国軍の兵器のネーミングセンスにはいつも脱帽するが、「天弓」というネーングも凄いの一言だな。

で、ブロック1とブロック2が存在するらしいのだが、ブロック1というのはどうやらロシアのS-400の技術をベースに作られたという事らしい。そういえば、玄武もそんな話があったな。あれはイスカンデルだったと思うけど。

South Korea first live fire exercise with KM-SAM Cheongung missile system

POSTED ON THURSDAY, 02 NOVEMBER 2017 11:42

South Korean military on Thursday, November 2, 2017, conducted its first live-fire exercise with its local-made anti-aircraft missiles, local media reported. Two medium- range surface-to-air missiles (KM-SAM), called Heaven Arrow, or Cheongung in Korean, were fired to accurately strike a target at a distance of 40 km. It flew at a speed of Mach 4.5.


The Cheongung (Iron Hawk) or KM-SAM / M-SAM is a South Korean medium range surface-to-air missile system (SAM) that was developed by the Agency for Defense Development (ADD) with technical support from Almaz-Antey and Fakel with collaboration of local defense companies Samsung Thales, LIG Nex1, and Doosan DST, based on technology from the 9M96 missile used on S-350E and S-400 missile systems.

Army Recognition より

こちらのサイトではこのように説明されていて、 ロシアのAlmaz-Antey社より技術サポートを受けて開発したという風に記載されている。 ベースになったのはS-350EとS-400ミサイルシステムなのだとか。

A Cheongung surface-to-air defense missile TEL

このミサイルの開発は1999年から始まっており、ソ連崩壊が1991年で随分と技術流出が……。

ところが奇妙なことに、このミサイル開発前の1993年に三星物産がロシアとS-300の輸入契約をしている。そのまま購入すれば良かったのに、どうやらこれをキャンセルしたようで、1999年には韓国がKM-SAM関連でロシアに対して280万ドルのロイヤルティを支払っている。

つまり、ここから想像できるのは、S-300を買い入れるのでは無くて技術を買うという話に変わり、ロイヤリティーを支払う形にしたという流れだ。

S-400の開発は1990年から始まって1999年に配備を決定しているが、ソ連崩壊でお金が無かったのに、どこからお金を捻出したのか……、などと考えると非常に興味深い。なお、ロシアのS-400は「400km先の六つの目標に対する同時処理能力を有している」と報道されているね!

なお、Wikipediaの「S-400(ミサイル)」のサイトには、 「Cheolmae-2と呼ばれるS-400の簡易版の開発を行っている」と書かれているのが興味深い。

……まあいいや。

で、この天弓は「チョルメ2(鉄鷹2)」という開発コードネームで開発が進められたらしいのだが、「チョルメ1」は存在せず、いきなり「チョルメ2」から開発が始まったらしい。

2011年に開発を終了して、「天弓」と名付けられたとのことだ。ここにブロック1の開発が終了したと言うことになるのだけれど、その直後から「天弓」のブロック2の開発が始まり、ブロック2の開発完了は2015年とのこと。

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ブロック2はhit-to-kill

アメリカの迎撃ミサイルPAC2は目標付近で爆発して、飛散する破片によって目標を破壊する方式 を採用していた。

しかし、迎撃率がいまいちだったこともあって、ヒット・トゥ・キル(Hit-to-kill)、つまりPAC-3弾の弾体全体を目標の弾道ミサイルに直接衝突させ、その運動エネルギーによって目標を粉砕破壊する方式が採用された。

韓国軍の天弓も似たような経緯を辿っていて、「天弓」は近接信管を使った破片破壊方式を採用し、「天弓2」は直接破壊方式(Hit-to-kill)を採用したと説明されている。

 地対空ミサイル天弓にはブロック1とブロック2の2種類がある。ブロック1は敵の戦闘機迎撃専用で、ブロック2は弾道ミサイル迎撃用だ。目標物付近でさく烈して破片で落とすブロック1とは違い、ブロック2は目標物に衝突する。

中央日報より

流行り物が好きだねぇ。合理的だとは思うのだけれど。

とっても安い「天弓」

そして、もう一つ気になったのがお値段。

価格はパトリオットより安い。業界関係者によると、PAC3は1発あたり100億ウォン(約10億円)程度だが、ブロック2の場合は50億ウォン程度という。

中央日報より

ふむ、パトリオットミサイルの半額っすか。安いから海外から注目されているというのは、何とも。

兵器の値段が安いことは良いことだとは思う。ただ、同じ性能のモノを半額で作るという事ができるのが、当時の韓国の技術力だった、とはとても信じられない。

もちろん、PAC3と天弓2が同じ性能であれば、天弓2を選べば配備数は倍にできる。そりゃ天弓2を選ぶよね。外国からもそりゃ注目されるさ。本当に、カタログ通りの性能なのか?って。

謳っている性能通りであれば、6つの目標に対して同時に迎撃できるということになっていて、ロシアの技術によって正確に目標を追尾することができるんだそうな。

だったら、韓国軍は何故、天弓2を配備するだけではなく、PAC2、PAC3を導入して配備しているんだろうか。よく分からない話である。どうやら、これをツートラック配備だと、そのように言っているらしいけれども。

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砲台は8基

で、韓国には6~8基程度の砲台を用意しているようだ。

 軍は天弓ブロック2の砲台を6-8基配備する計画だ。1基は射撃統制所、多機能レーダー、3台の発射台車両などで構成されている。1台の発射台車両にはミサイル8発まで搭載できる。砲台1基はミサイル24発を搭載でき、8基の砲台を配備すれば最大192発、予備用ミサイルを含めて200発以上の生産となる。

中央日報より

若干気になるのは「予備用ミサイルを含めて200発以上の生産」という事になっている天だ。

発射台車両は砲台8基で、計24台の発車車両が用意され、1台あたり8発のミサイルを搭載する。そうすると、192発のミサイルを生産という話になると、予備としては8発しかないんですが、それは良いのかね。

単なる計算で、それ以上作るから平気だぜ、ってな話になるのかな。報道からして「定期的なミサイル発射テストをする」という発想が見当たらないのは、非常に気になるね。

一時期は開発が中止されていた?!

もう一つ気になるニュースがこちら。

韓国軍、中止をめぐり問題になっていたM-SAMの量産を決定

登録:2017-11-18 06:18 修正:2017-11-18 08:57

防衛事業庁は17日、北朝鮮の弾道ミサイルを迎撃する韓国型ミサイル防衛システム(KAMD)の核心兵器である中距離地対空ミサイル(M-SAM)の量産を決定した。ソン・ヨンム国防部長官は先月、同事業の見直しを指示して事業中止をめぐり議論になったが、同日の決定でM-SAMは計画通りに量産され、実戦戦力化することになった。

~~略~~

M-SAMは防衛産業企業のLIGネクスウォンが国内技術で開発した迎撃ミサイルだ。約20キロの高度で敵の弾道ミサイルに直接衝突し破壊する直撃型(Hit-to-Kill)迎撃ミサイルで、パトリオットや長距離地対空ミサイル(L-SAM)、在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)体系などと重畳防御網を形成することになる。

ハンギョレより

何故か生産中止されていた「天弓2」だが、量産が決定される流れになっている。

射程が20kmと思いきや、高度と書かれているねぇ。PAC-3弾の場合は、上昇限度15,000m・対弾道弾射程20kmという事になっているので、能力的にはPAC-3を超えているような記載だ。

……あれ、冒頭の記事だと「天弓2は最大射程距離が40キロで、高度40キロ以下に接近した航空機やミサイルの迎撃に使われる」とか書いてあった気がする。性能が更に向上したって事かな??

にもかかわらず、一時は生産を縮小しようとした理由は非常に気になる。

今年6月に「戦闘用適合」判定を受けて開発が完了した「天弓」改良型は、コストパフォーマンスを問題視した宋長官の突然の見直し指示により一時事業の中断の危機に置かれたが、11月17日、防衛事業推進委員会が計画通り量産を推進するとした議案を議決した。

レコードチャイナより

コスパが良いという報道だったにもかかわらず、長官に見直し指示がされてしまう辺り、何が問題を抱えていたとしか思えない。

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整備中の誤発射

性能は折り紙付き

そんなわけで、韓国軍は「折り紙付きの兵器だ!」と報道でホルホルしているけれども、どうにも韓国人自身が「天弓2」の性能を信じ切れていない模様。PAC2を配備し、PAC3を欲しがって、何度もアメリカ側に打診している。

そんな曰く付きの兵器が、整備中に誤発射してしまったというのが冒頭の記事なのだが……、原因は書かれていないね。

怪我人が出なくて何より、ということだと思う。

が、それにしたって、何が起きたら誤発射しちゃうのだろうか?手動で発射しちゃうボタンがあるという事だろうか?

興味深いね。

調査結果は…

さて、記事が消えないうちに追記しておこう。

(朝鮮日報日本語版) 韓国軍ミサイル誤発射は整備の手順ミス…15億ウォンが空中分解

3/21(木) 21:36配信

江原道春川にある韓国空軍の基地で18日、韓国製の新型中距離地対空ミサイル「天弓」が暴発(不時作動)して空中爆発した事故に関連し、韓国空軍は21日、事故原因は整備手続きを無視した整備員らの過失だったとの調査結果を発表した。事故は18日午前10時38分ごろ、年間計画整備日程に従って天弓の発射台機能を点検している途中で発生したという。

「朝鮮日報」よりyahooニュース:リンク切れ

3日で結果をまとめたのか。素早いな!

結論ありきだった疑いも強いが、こうした性急な事故調査の結果を出すと、またぞろ整備員が自殺しかねないぞ?数年前に戦闘機の事故でも整備ミスだったという結論で終わって、その後、整備員が自殺してしまった話があったが。

合同調査団は調査を通じ、整備員らが天弓の整備作業中にケーブルの分離・接続手続きを守らなかったために誤発射が起きたことを確認した。韓国空軍は「整備作業の際はミサイルに接続された作戦用の黄色いケーブルを分離し、テスト用の白いケーブルを接続した上で点検すべきなのに、整備員同士の意思疎通がおろそかになり、作戦用のケーブルが接続されたまま機能点検が行われた」として「これにより、点検用のノートパソコンから入力された発射信号がミサイルに伝わり、ミサイルは発射された後に自動爆発システムによって約3.5秒後に空中爆発した」と説明した。

「朝鮮日報」よりyahooニュース:リンク切れ

よくわからない話だな。ノートパソコンからの信号でミサイル発射できるもんなのかねぇ。

まあ、疑っても仕方がないことなので、再発防止に努めて欲しいところだが、しかし、「ポカヨケ」という概念は韓国には伝わっていないのだろうか??

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