「開発完了」って言っていた韓国産レーザー砲の共同開発を模索する韓国政府

陸軍

何を言っているのか分からないタイトルになってしまったが、事実だから仕方が無い。

敵戦闘機を迎撃「高出力レーザー砲」…韓国政府が米国と共同開発模索

2023年1月30日 5:00 

韓国政府が敵戦闘機を迎撃できる高出力レーザー対空兵器を導入するため、関連技術をリードしている米国との共同開発案を模索していることがわかった。

現在、韓国は小型無人機・ドローンを迎撃できるレベルのレーザー対空兵器の開発がほぼ完了した段階だ。ここに米国の新技術を導入し、そのレベルをアップグレードするというのが政府当局の構想だ。

AFPより

「ほぼ」って何だよ、「ほぼ」って。あ、今回は大した話では無いので、短いデス。

スポンサーリンク
同カテゴリーの人気記事

この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

<同カテゴリーの人気記事>

スポンサーリンク

「開発完了した」ハズの兵器

命中率100%でも

何の話をしているかというと、こちら。

1月初めに言及した記事で、この時には「韓国軍に配置してもよい水準に達した」とホルホルしていたはずだ。続報を待ち望んでいただけにピンときたよ。

こんな感じの謎アイテムを誇らしげに報じていたはずだが、どうなってしまったというのか。

政府によると、防衛事業庁の関係者らは先月4~10日に米国を訪問し、レーザー対空兵器に使われるビーム結合用の回折格子製作会社で製作工程を確認し、生産現場・施設を視察した。

「レーザー対空兵器」は光ファイバーから生成された光源レーザーを標的に直接撃って無力化させる武器体系だ。また「回折格子」は表面に細い線が刻まれた一種の板で、光の回折現象を利用してスペクトルを得るレーザー対空兵器の重要部品をいう。

防衛事業庁の関係者らは今回の訪問で、米国の高出力エネルギーレーザー兵器システム(HEL)開発現況も確認したという。

AFP「敵戦闘機を迎撃「高出力レーザー砲」」より

んー?

前回の報道が1月9日で、韓国防衛事業庁の関係者が訪米したのが1月4日~10日だと。これ、帰国してみたら「国産レーザー戦力化」の報道が出ていて焦ったパターンではないだろうか。

何故か、表現が「開発完了」から「ほぼ完了」に後退しちゃったのも、その辺りに関係している可能性はありそうだ。

そして「共同開発」をもちかける

一方、前回の記事で紹介したように、アメリカでは既に実戦配備してテストをしている。

案外、韓国で開発が完了したのは照射できるところまでで、実際に撃墜するところまではいかないのではないかと勘ぐってしまう。

9日、複数の消息筋によると、国防科学研究所(ADD)が開発してきた「レーザー対空武器ブロック-I」が昨年完成し、現在運用試験評価(OT)が行われている。Block-Iは10回以上実施された運用試験評価迎撃試験で「百発百中」の性能を達成したと伝えられた。特にレーダーなどと連動して試してみると、10㎞以上離れたカササギ・カモメの大きさの物体まで正確に検出し、数㎞の距離内で迎撃できたことが分かった。これにより2月中にテストが成立する予定だ。

Sedaily「一発2000ウォンで北ドローンを捕まえる」より

それでも報じられたとおりであればスゴイとは思うんだけどね。

あ、そうか。1月のニュースで報じられたのは、ドローンなどの小型機迎撃が可能な兵器で、今回開発を模索しているのは、「敵戦闘機を迎撃できる高出力レーザー対空兵器」だから違うと。更にグレードアップした兵器を目指しているんだね!

なんだ。

同じ写真を使っていたので、てっきり前の報道の兵器が「不完全」なのかと勘違いしてしまったよ。失敗失敗。

予定通りであれば、「レーザー対空武器ブロック-I」は2月中にはテストを終えることになっている。いやー、楽しみだな!

好意的に解釈すれば、高出力版のブロックーIIを作る為に、先行しているアメリカに共同開発を持ちかけたのだと思われる。資金面での援助を持ちかければ、成立する可能性は確かにある。尤も、アメリカ側にとっての旨味は薄いので、可能性は低そうだけど。

ただまあ、前にも書いたが、この分野の技術開発は世界でも激しいだろうし、開発に成功すれば引く手数多だ。自国開発を頑張ってくれたまえ。

コメント

  1. 木霊さま 皆さま おはようございます。

    引用元も総合すれば、米・独の兵器用レーザーは回折格子による圧縮型?
    https://www.symphotony.com/products/ultrashort/ultrashortmenu/pulse-stretch/ 
    かな?でもこれフェムト秒レーザーの技術だから違うような気も
    私がマイクロ波派なので知らないだけで、常識なのかな?ゴメンナサイ

    ともあれ

    >レーザー対空兵器に使われるビーム結合用の回折格子製作会社で製作工程を確認し、生産現場・施設を視察した。

    なんと兵器の核心技術の工場・製作工程が開示されてて、しかも見学じゃなく上から目線の視察。
    まあ普通に契約済みの「上得意お客様」じゃないとありえないような?少なくとも既に大枚払い込み済みなのでは?

    • あー、そこ突っ込んじゃいますか。
      色々辻褄が合わなくなる気がする(少なくとも僕の知識では説明がつかない)ので、触れませんでした。

      アメリカがどこまで見せてくれたのか?も疑問な点はありますが、韓国を巻き込んで兵器開発に金を出させたいという思惑があったのかもしれません。
      ですが、経済状況はアレなんで、果たして本当にそんなことが出来るのか、と。

  2. レーザー。と、一口に言っても、高出力のを直に当てて破壊するのを目的にしてるモノなら、わざわざ可視光レンジのソレに拘らんでも。と、いうわけで私もマイクロ波派(こっちはメーザーになるのかな?)なのですが。
    レーザー目標指示器・誘導装置なんかはまぁ、他でもない人間の肉眼自体をシステムの受信機として使えないと話にならんので可視光なわけですが…まぁ、発生源の出力次第での選択。と、いう事になるんでしょうかね。

    • メーザーですか。
      改めて調べてみると、「メーザー」カテゴリーは何となくロマン兵器的な香りがしますね。
      Microwave Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出によるマイクロ波増幅)は、誘導放出の条件設定が難しいらしく、従来は極低温化高真空でしか実現できず、近年、パルスモードではあるものの室温発振が可能になったということでした。

      高出力マイクロ波照射に関しては、自衛隊でも研究されているようですが、研究終了の予定が令和8年中ごろで、そこから試験をするスケジュールになっているみたいですね。理論は完成していて、それなりに目途はついているみたいなので、僕も調べてみてちょっと期待できる分野なのかなと、そんな風に思いました。

  3. 木霊さま 皆さま こんにちは

    >あー、そこ突っ込んじゃいますか。

    あーゴメンナサイ、引用元 AFPBB News とは言ってもニュース提供 KOREA WAVE 韓国マスゴミ経由ですね。

    ちゅうことはいつもの「会合で実際言っていないことを韓国側願望し従い発表している」可能性が高くハナシ半分~1/4ぐらいと見てちょうどで、確実なのは「防衛事業庁の関係者が米国のレーザー兵器つくってる会社を訪問した」ぐらい、ってことですか

    それでも、そんなホルホルは代わりに「国産レーザー砲、不完全」をゲロッてるようなもんですがねぇ と、お笑いするのが正しい鑑賞態度
     - – – カテゴリ お笑い韓国軍 - – – の基本を忘れ、ゴメンナサイでした ^^;

    名六様

    >わざわざ可視光レンジのソレに拘らんでも

    んーと10年ぐらい前?にチラリと見て、そんときは「へー」ぐらいの感想だったのですが、さすがに可視光じゃなくて、なんだか毒性の強そうなガスレーザーで赤外線で、大気中の減衰が少ない波長ってあったような?
     で、たぶん今は圧倒的な効率・小型のファイバーレーザー(やはり赤外)がベースじゃないかな?
    例:IPGフォトニクスの切断用ファイバーレーザ
    ・https://www.ipgphotonics.com/jp/applications/materials-processing/cutting
    ・https://fast.wistia.net/embed/iframe/459pagrmb7
       ↑
    は、20mm炭素鋼を切ってるとこ、スパスパとはいかないけどスーぐらいで切れる。
    兵器としては、これのさらにハイパワー版に焦点距離をKmレンジに変更する特殊光学系をつける、、ところが軍事メーカーにタッチて感じと想像します。

    • あー、イエ、この韓国軍の兵器の話って、結構眉唾の話が多いので、報道ベースで分析するには向かない感じなんですよね、僕の経験則で申し訳ありませんが。
      ですから、意外にフワッとした話しかできなくて、こちらこそ申し訳なく思っています。

      続報を楽しみに待っていますので、見つけたらまた記事にさせていただきますね。

  4. 皆さま 余談的ですが

    多分?わたしの感覚だと兵器用高出力マイクロ波の本命はジャイロトロンじゃないかな?と
    ただ、メーザも思わぬ用途・ジャイロトロン出力のチューニングとか、、はこれからあるかもですね。

    でジャイロトロンのすごさ紹介

    メインストリームは、核融合プラズマ(トカマク炉)の加熱用です。
     https://www.qst.go.jp/site/press/1217.html

    別応用として以前紹介した「マイクロ波ロケット:計算設計段階ではH2A1段目を代替可能」
     http://www.al.t.u-tokyo.ac.jp/mwp/ja/

    とか
    地中の岩盤を蒸発させて20km深さの穴を掘るため
    https://gigazine.net/news/20220310-deepest-hole-limitless-energy-quaise/

    とか、とにかく従来技術だと爆薬に近いものを使うようなハイパワー用等の応用開発がすごい

    • 木霊様、BOOK様、こんにちは。
      ロケットをロケット本体からの推力で打ち上げるんじゃなく、下からのエネルギー照射で押し上げる技術…SF作品なんかで存在自体は知ってはいましたが、存外実現も近そうな技術なのですね。ジャイロトロン。ワクワクしますね(ヮ)

      • 名六さま 木霊さま 皆さま こんばんは

        >下からのエネルギー照射で押し上げる技術…ワクワクしますね(ヮ)

        ホント、わくわくです。 年がバレますが少年時代月着陸などをリアルタイムで見れた見せて貰えたことは今となっては大きな財産を貰ったのだなと思います。

        もちろん「エネルギー照射でロケットを宇宙に打ち上げる」などという壮大なプロジェクトは現実にはロマンなどはオマケ要素でしかないでしょうが、次代の子供たちや若者がそれを見れるだけでも価値があるような気がします。し、爺でもわくわくですよね(笑)