幻の軍艦「揚武」に見る韓国軍の心意気

海軍

コメントを戴いた中で、興味深い話があった。

【コラム】高宗の虚勢を想起させる文大統領の6兆ウォン軽空母ショー

記事入力 : 2021/01/17 08:40

高宗が1903年に3400トン級の軍艦を海外から購入したという意外な事実を、本紙の朴鍾仁(パク・チョンイン)記者の記事で読んだ。その軍艦は80ミリ砲4門で武装していた。

「朝鮮日報」より

実に味わい深いコラムであった。

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悲劇の「大韓帝国軍艦」

大韓帝国軍艦「揚武」

興味深いエピソードは、大韓帝国末期に大韓帝国が購入した軍艦で、1888年2月に進水した「軍艦」だとされている。

国防長官は高宗に「大韓帝国は3面が海なのに1隻の軍艦もなく、隣国に対し恥ずかしい」と訴えた。軍の作戦上の必要に対する言及はなく、「恥ずかしいから」軍艦を買おう、と言った。同年4月にこの軍艦が済物浦港に入った。「揚武」号だ。

「朝鮮日報”【コラム】高宗の虚勢を想起させる文大統領の6兆ウォン軽空母ショー”」より

まさに韓国軍と同じ発想で、「恥ずかしい」から船を買った模様。

ところがこの船、軍艦として就役したようだが、そもそもその当時、大韓帝国には海軍も陸軍も存在してはおいなかった。

この時期、李氏朝鮮は近大改革に取りかかっており、形だけ存在するような朝鮮軍も刷新する必要があった。

そこで1894年11月に日本陸軍士官であった楠瀬幸彦らを教官として招聘し、翌年2月に訓練隊が設立される。ソレだけでは飽き足らず、1895年5月にはアメリカ人やロシア人を教官として招き、徳寿宮や皇帝の護衛を担う親衛隊を作った様だ。

楠瀬幸彦はその後に発生する乙未事変(1895年10月8日)の関係者として入獄する羽目になるが、翌年1月に無罪判決を受けて釈放されている。韓国と関わると不幸になるというのはこの時代から変わらない。あ、豊臣秀吉もその筆頭だと考えると、その前の時代から同じなのかな。

ともあれ、この親衛隊と侍衛隊は統合されて、侍衛渾成旅団が成立(1902年)するに至るのだけれど、軍艦「揚武」はこの頃に買われたワケだね。

なお、2年後の1904年には2番艦「光済」も購入されている。

まあ、大韓帝国軍は、第三次日韓協約(1907年7月24日)に従って解散させられ、その際に日本軍と撃ち合いになってしまうという騒ぎに発展するんだけどね。この辺りの事件も後の禍根になるのだけれど。

ガワだけ軍艦

そんな大韓帝国軍の悲運の話はさておき、大韓帝国軍初の軍艦の話である。

こんな感じで作り上げられた帝国軍だから、予算があるはずも無い。また、軍艦を作る技術があったはずも無い。

ところが揚武号は、一度たりとも軍の作戦に投入されたことがない。航海自体がなかった。もともと作戦用ではなく誇示用だった。最初にしておそらく唯一だったであろう任務は、高宗の即位40年を祝う礼砲の発射だったという。それさえも発射できなかった。調べてみると、いい加減に修理したぼろ船だった。これに、年間の国防予算の4分の1を使い果たした。

「朝鮮日報”【コラム】高宗の虚勢を想起させる文大統領の6兆ウォン軽空母ショー”」より

とにかく、高宗の見栄の為に購入されたという経緯もあって、ガワだけ整えられれば良かったらしい。

……お世辞にも格好いいとは言えないんだけどね。ともあれ、この船、どこから調達したかというと、イギリスの造船会社レイルトン・ディクソン社で1888年に貨物船として建造され、1894年に日本の三井物産が25万円で購入し「勝立丸」として運用していたモノだった。三井物産では南洋諸島辺りの貨物航路で運用していて、1903年に大韓帝国に売却されるに至る。

つまりアレだ、「揚武」導入の目的は1903年に予定された高宗即位40周年記念式典において各国軍艦との間で礼砲をかわす為だったので、その中身が貨物船であろうと良かったのである。

そしてこの時、三井物産側が提示した売却金額は55万ウォンであったが、泣きの値切りによって20万ウォンまで減額され、それすら大韓帝国には支払いができずに、毎月5,000ウォンを三井物産から高利で借り入れる羽目になる。何というか、哀れ過ぎるな。

戦闘の記録無し

しかし哀れなのはその後である。

最初にしておそらく唯一だったであろう任務は、高宗の即位40年を祝う礼砲の発射だったという。

「朝鮮日報”【コラム】高宗の虚勢を想起させる文大統領の6兆ウォン軽空母ショー”」より

この一文だけでも哀れを催すわけだが、1904年になると日露戦争が勃発して、この船は日本軍が使う事になる。

尤も、艤装改修は簡単に行われて、輸送や掃海部隊の援護などに使われた記録はあるが、戦闘に用いられたという記録はない。更に1905年に呉軍港で船体検査を受け、「船体も期間も老朽化していて軍艦としての使用は不適当」と判定され、同年2月19日に解役が言い渡される。その後、大韓帝国政府の元に戻されるが、1909年には42,000ウォンで日本の商会に売却され、1913年には転売されるも、1916年に海難事故により沈没してしまう。

哀れ。

なお、2番艦の光済だが、こちらは川崎造船所で作られた哨戒船である。軍艦として迎えられ、1,600tの排水量で、排水量4,000t弱であった「揚武」よりも随分小型であったようだ。こちらも後に日本海軍が運用するながれになるが、大東亜戦争敗戦後まで生き残る数奇な運命を辿る。ただ、1947年5月14日に座礁し全損となってしまう。

ムン君イコール高宗?

軽空母を作るぜ!!

でまあ、このブログでは大人気、お笑い韓国軍のエピソードを読んで頂ければ分かると思うが、ムン君、実は空母が欲しいらしい。

この辺りの記事が分かり易いかも知れないが。

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、艦載機十数機の軽空母を配備するという。専門家らの反対でもたついているようだが、最終的に軽空母事業を強引に軍の中期計画に含ませた。韓国国民の税金6兆ウォン(現在のレートで約5700億円。以下同じ)台が投じられる事業だ。実際には10兆ウォン(約9500億円)を超えるだろう。

「朝鮮日報”【コラム】高宗の虚勢を想起させる文大統領の6兆ウォン軽空母ショー”」より

ともあれ、空母はムン君の肝いりで製造されることになっている。

コラムを書いた記者は、これと「高宗の揚武号」が重なったそうなのだ。僕は寡聞にして知らなかったのだが、改めてその存在を調べて見ると確かにその感覚は理解できる。

そしてこの記者、とんでもない事をぶっちゃけている。

この軽空母を巡る韓国軍の作戦上の所要が何なのか分からないからだ。空母は基本的に、広い海域の制空権を握るための戦力だ。米国、英国、旧日本、ロシア、フランス、イタリアなど海が広く、海外領土を持っていた国々に必要だった。最近中国がこれに加わっており、日本も空母再建に乗り出した。中国は海岸線の長さだけで1万キロに達し、日本はEEZ(排他的経済水域)が韓国の8倍を超える。九州から太平洋の南鳥島までの距離は1800キロに達する。韓国は、守るべき海が広くない。陸上基地から発進する戦闘機が東海、西海、南海のEEZのどこであろうと速やかに到達する。空中給油機の配備で独島、離於島も十分な作戦範囲内に入った。韓国そのものが空母なのだ。

「朝鮮日報”【コラム】高宗の虚勢を想起させる文大統領の6兆ウォン軽空母ショー”」より

それ、言っちゃって大丈夫なの?

まあこのような議論が既に為されているだけに、「あれ、必要ないんじゃね?」というのは、「海域が狭い韓国」にとっては当然の疑問となる。

シーレーン防衛……あれ、断ってたよね?

更にこんな話も。

韓国政府は、軽空母で東南アジア方面の海上交通路を保護するという。海上交通路の保護は、米国を筆頭とする国際社会全体の課題だ。

「朝鮮日報”【コラム】高宗の虚勢を想起させる文大統領の6兆ウォン軽空母ショー”」より

実際の話、韓国にとっての海上交通路の保護は本当は非常に大切な部分だ。

ところが、「自由で開かれたインド・太平洋構想」について韓国は否定的というか消極的というか、参加したくないようで。

こんな残念は話を先日紹介したが、コレに限らずシーレーン防衛に実に消極的だ。

文在寅政権がインド太平洋戦略で迷走…安倍晋三首相提唱に不満? 中国を恐れ?

2017.11.10 20:40

韓国の文在寅政権が、トランプ米大統領が7日の首脳会談で関与を呼びかけた「自由で開かれたインド太平洋戦略」に「不同意」や「協力の模索」を示すなど、迷走を見せている。中国の海洋進出に対抗するため、安倍晋三首相が提唱した戦略なため、中国の反発を恐れる文政権としては、おいそれとは乗れないようだ。

「産経新聞」より

政権発足当初からその姿勢は変わらないようで、更に北朝鮮の瀬取りの監視にも加わらないというか、加われなかったことを考えると、どうにもシーレーン防衛を本気でする気があるとは思えない。

北朝鮮の瀬取り監視に参加しない韓国は村八分状態

2019.7.10(水)

国連安保理決議により禁止されている北朝鮮籍船舶の「瀬取り」を含む違法な海上活動に対して、関係各国が緊密に協力し、国連安保理決議の実効性を確保する取組みを行っている。

~~略~~

手段参加国

航空機による警戒監視活動:オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、フランス

艦艇による警戒監視活動:オーストラリア、カナダ、英国、フランス

合計:以上5か国に日米を加えた7か国

「JBpress」より

この記事は会員限定なので、詳しく言及する部分は会員しか読めないのだが、参加国に韓国の名前が無いことは引用部分を読んで理解出来る。

海軍こそ連携しなければ自国を守れない時代に、何をやっているんだという話なのだが、韓国には深い深い考えがあるのだろう。

根幹は見栄である

とはいえ、このコラムの記者はこんな風に切っている。

軽空母配備の発表は、日本がヘリコプター搭載護衛艦をF35B搭載軽空母に改造すると公表した後に出てきた。非専門的かつ幼稚な競争心理だと思う。高宗時代になぞらえるなら、「日本に比べて格好がつかない」というものではないか。

「朝鮮日報”【コラム】高宗の虚勢を想起させる文大統領の6兆ウォン軽空母ショー”」より

つまりは見栄なんだろ、と。

実質的な作戦用なのか、虚勢用なのか。タイは虚勢用の空母を配備し、王室の儀典用として使っている。軽空母級のサイズの大型輸送艦「独島」は、既にアジア最大の「行事用」艦艇と呼ばれる。航海の日数より港に停泊している日数の方がはるかに長い。こんな船がもう1隻増えることになった。

「朝鮮日報”【コラム】高宗の虚勢を想起させる文大統領の6兆ウォン軽空母ショー”」より

ただ、記者は誤解しているようだ。残念ながら独島は1番艦で、ご指摘の軽空母は3番艦である。2番艦のことをお忘れですよ!

だから、無駄なお金は10兆ウォンだけではなく、この独島級揚陸艦シリーズそのものと、コレに随伴するために作られる艦艇なのだ。

良いでは無いか。今も昔も見栄の為に大枚を投入する。その一方で、イランに支払うお金はないという、実に分かり易い構図なのだ。これまらも頑張ってこの路線を邁進して欲しいものである。

コメント

  1. 自分もこの記事を読みましたが、韓国の若者は借金してもベンツなどの高級車を買って自分を上に見せようとするという記事を思い出しました。(まあそうしないと実際に社会的に不利になるおかしな国だからしかたないのかも)

    で現代の軍艦揚武ともいえる独島級3番艦についてwikiを調べたら韓国語版のwikiでは独立した記載があり、その中の軽空母化に対する批判の中に 「甲の立場になりたくて格好つけな同窓生が同窓会に無理してベンツSクラスに乗って来るようなもの」みたいな記載があったのには思わず吹き出してしまいました。
    個人レベルでも自分を少しでも上に見せないと生きづらい韓国人にとっては習性みたいなものなのですかね。

    そういえば2番艦馬羅も去年の11月就役予定だったけど就役したというニュースはないですね。

    • 「韓国の若者は借金してもベンツなどの高級車を買って自分を上に見せようとする」ですか。「上下」を過度に気にする国であるという話は良く聞きます。
      それは即ち歪んだ誦経しそうに根差すモノであり、本来であれば、上に置く存在こそが謙虚で尊敬すべき存在であるはずですが、その視点がすっかり抜け落ちた思想が根付いた為に、上であることに史上の喜びを感じるようになり、上にいれば下の者に何をしても良いという考えに至る……。
      まあ、そんな堅苦しいことを書かずとも、面子に拘るとそういう国であるという理解で良いのだと思います。

      2番艦、そういえば12月末までに就役予定でしたが、ニュースを聞きませんねぇ。どうなったのやら。

  2. 軽空母計画の途上で出てきたマイナー過ぎて笑える悲惨なエピソードでしたね。
    この劣等民族の変わらぬ哀れで無知な習性なんでしょうか、昔から身の丈に合わぬ見栄だけで莫大な国家予算を浪費し続けてきたって事ですね。

    まあ、微々たる予算で計画している軽空母ですが、F-35Bを売ってもらえるか判らない時点で見切り発車、他にも意味不明なVLS搭載やらお笑い要素テンコ盛りなんで、僕達はお笑いを期待して待ってれば楽しめますけどね。(爆笑)

    >ところが、「自由で開かれたインド・太平洋構想」について韓国は否定的というか消極的というか、参加したくないようで。

    モロに支那への遠慮というか報復される恐怖心の表れじゃないかな。(冷笑)

    • なかなか心温まるエピソードですが、これこそが韓国という感じもしますね。

      F-35Bの輸出許可をアメリカは出すだろうと、そう思います。が、メンテナンスのことまで考えるとやっぱり無理がありますよね。