韓国、小型武装ヘリの国産化成功で、量産体制に

陸軍

おめでとう。

国産小型武装ヘリ量産へ 誘導ロケット・精密誘導砲弾開発も=韓国

2022.11.28 19:47

韓国の防衛事業庁は28日、防衛事業推進委員会を開催し、国産小型武装ヘリコプターの量産計画案や130ミリ誘導ロケットの開発計画案、155ミリ精密誘導砲弾の事業推進戦略案などを可決した。韓国は世界で7番目に小型武装ヘリコプターの開発に成功し、今年から2031年までに5兆7500億ウォン(約5900億円)を投じて小型武装ヘリコプターを量産する。

聯合ニュースより

この開発が続けられていたのは知っていたが、完成したという報道がなかったので、てっきり諦めたのかと思っていた。あ、そうそう、今回はお笑い要素は無い。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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韓国初の国産武装ヘリコプター

LAHの開発はフランス頼み

で、このブログでは韓国型機動ヘリKUH-1「スリオン」の話題と共に、小型武装ヘリ(LAH:Light Armed Helicopter)の開発が進んでいたことは以前に紹介していた通りである。

原型になったのはエアバスヘリコプターズ社のEC155で、改良して韓国仕様にして導入しようという話になっていた。

日本の自衛隊もそうだが、韓国軍が配備しているアメリカ製のAH-1の老朽化が進んでいて、更新をする話は以前からあったのだ。2017年6月に、LAHの1号機組み立てが始まったと報じられていたが、成功していたんだねぇ。

なお、開発はスリオンと同様にフランス頼みであったようで、スリオンの技術移転が失敗したと言う報道があったが、恐らくLAHの方も技術移転は上手く行かなかったのだろう。

が、断じてコレは「国産」なのだ。韓国にとっては。

500MDの更新は早急に

そして、開発が成功したからには早急に500MDの更新を行う必要がある。

老朽化が深刻で、大半がまともな運用が出来ない状態になっていたと言うから、更新は早急に行う必要がある。スリオンの時は様々なトラブルが付きまとったが、LAHの方は上手く行くとイイネ。

img

そもそも、攻撃ヘリコプターの採用はなかなか判断が難しいようで。別の記事で触れる予定ではあるが、自衛隊は次期攻撃ヘリの採用を諦めたようで、攻撃に特化したヘリコプターというのは需要が少なくなりつつある。自衛隊は無人機などにその任務の一部を負わせる方向で行くらしいね。

ただ、韓国の場合は、戦争中の相手の北朝鮮が陸続きという事情もあって、タンク同士の戦いが想定される。その時にタンクの頭をとれる攻撃ヘリコプターの存在はかなり意味があると思われる。

そんなわけで、この判断が間違っていたとは言わないのだが、どんな性能なんだろうねぇ。

「天剣」体系開発完了

ちなみに、このLAHとセットになっている小型ミサイルの開発も完了しているようだ。

ヘリコプター搭載ミサイル、韓国産空対地「天剣」体系開発完了

2022.12.19 15:19

韓国の防衛事業庁が初の国産空対地ミサイル「天剣」体系の開発が完了したと19日、明らかにした。

中央日報より

確か、韓国はアメリカからAH-64E「アパッチ・ガーディアン」を購入して、攻撃ヘリコプターの主力と位置づけていたはずだが、36機ほどしか揃えていない。かなりお高い機体だからね。

ヘリパイロットの養成もなかなか難しいので、多数の戦闘ヘリを用意しても飛ばせないのかもしれないが、主力戦車部隊とのバランスを考えると、流石に36機だけでは少ない。

が、とにもかくにも、このAH-64E購入の際にも騒ぎになったが、空対地ミサイルの購入数が極端に少なかった。だからこそ、LAHの完成は喜ばしいし、武装用の空対地ミサイルの開発が実現されることも喜ばしい事だ。

防衛事業庁によると、小型武装ヘリコプター(LAH)用の空対地誘導弾「天剣」が12日、戦闘用適合判定を受け、体系の開発に成功した。「天剣」は2015年11月から今月まで7年2カ月間、国防科学研究所(ADD)の主管で開発が進められてきた。「空の剣」という意味の「天剣」は英語で「TAipers(Tank Snipers)」と表記する。

中央日報「ヘリコプター搭載ミサイル、韓国産空対地「天剣」体系開発完了」より

……天剣なのに「Tank Snipers(タンク・スナイパーズ)」なのか。開発成功とあるけれど、スペックは不明だな。

ヘリコプターの装備で有名なのはヘルファイア・ミサイルだ。現在は改良版のヘルファイアIIが主流になっている。

セミアクティブレーザー誘導で誘導され、撃ちっぱなし性能(ミサイル本体に誘導機能を備えているため、射撃後に放置していても命中する性能)を獲得している。

貫通力は開発目標だった主要作戦性能(ROC)を超過した。ヘリコプター用空対地誘導弾の代名詞ヘルファイアIIと比較すると、誘導能力は「天剣」が優れ、貫通力は似た水準だと、防衛事業庁は説明した。

「天剣」は類似武器体系で初めて人工知能(AI)アルゴリズムを搭載した。80万フレーム以上の標的映像ディープラーニングを通じて有事の際、運用者の介入なく固定標的を自動で攻撃できる。これを通じて命中率と運用者生存の可能性は高まり、運用時間は短縮する効果があると、防衛事業庁は説明した。

中央日報「ヘリコプター搭載ミサイル、韓国産空対地「天剣」体系開発完了」より

そして、そのライバルとなるヘルファイアIIよりも「天剣」の方が優れているという評価らしい。特に、誘導能力はAI技術を使っているため、命中度が高くなると言うことらしい。

防衛事業庁のイ・ジョンファ(陸軍准将)ヘリコプター事業部長は「優れた性能の『天剣』開発成功で、国産小型武装ヘリコプター用だけでなく海外市場でも競争力があると期待される」と話した。

中央日報「ヘリコプター搭載ミサイル、韓国産空対地「天剣」体系開発完了」より

海外に販売していく予定らしく、いつも通り鼻息は荒い。

この海外に販売展開していくポジティブさは日本も見習いたいところだね。

追記

コレの関係ニュースでもう1つ記事があって、一緒に紹介するつもりだったのだけれども忘れていたので、追記という形で紹介させて欲しい。

KAI、特殊戦活用「小型多目的ヘリコプター」など次世代国産航空機の公開

登録 : 2022-09-22 15:03 | 修正 : 2022-09-22 15:03

韓国航空宇宙産業(KAI)が特殊作戦に活用できる「小型多目的ヘリコプター(LUH)」と老朽化した輸送機に代わる韓国型「多目的輸送機」、艦載機「KF-21N」など、次世代国産航空機を大挙公開した。 

~~略~~

回転翼機は2023年に戦力化予定の「小型武装ヘリコプター(LAH)」実物機を展示し、有無人複合システム(MUMT)の運営案を紹介する。 特に、LAHを基盤に改造された小型多目的ヘリコプターを公開した。 LUHはLAHから一部の形状を改造すると同時に、特殊作戦に必要な装備を装着し、作戦運営の幅を広げてくれる。

亜州経済より

コメントでも頂いたが、未だにLAHとしか呼ばれず、名前が付いていない不遇な子ではあるが、KAIは色々な展開を考えているようだ。

面白いのがMUMTと呼ばれる有無人複合システムで、この記事には明確な記載がないのだが、「作戦運営の幅を広げてくれる」とのこと。

写真にも写っていないねぇ……。

コレに関しては動画が公開されていて、中身の解説はハングルなのでサッパリ分からないのだが、どうやら、LAHに搭載するための無人機とソレを運用する為のシステムと言うことらしい。

こんな感じに折りたたまれて搭載されて、必要なシーンで射出。

固定翼を展開して飛翔。

で、それぞれが持っているセンサー機能を使って偵察を行うので、広範囲を把握する事が可能となって、ヘリパイロットの製造可能性を高めるのだとか。

考えは面白いのだけれど、思わず笑ってしまったのは、このMUMTの子機(LUH)は爆弾を搭載していて、目標にダイレクトアタックする機能を持っているところだ。

子機には車輪などの着陸用装備を備えていないし、子機をどうやって回収するつもりなんだろうと思っていたが、なんと、自爆機能搭載だったとは!

破壊目標がなかった時は、回収をどうするのかと。恐らく何か案はあると思うのだけれど、なかなか危険な仕様である。ネタ兵器にならないとイイネ(是非とも実現してくれ!)。

LUHは武装·非武装の形状で開発され、指揮官が搭乗して現場を指揮する「指揮統制機」と特殊任務部隊の人員を迅速に輸送する「特殊作戦攻撃ヘリコプター」、装着された無人機を通じて作戦地域を探知·偵察し、作戦半径と生存性を強化する「偵察機」などに分けられる予定だ。 

亜州経済より

と、思ったら、どうやら武装・非武装の形状で開発とあるので、偵察機として使われる方が主力っぽい。武装したLUHは前述した理由でちょっと困りそうだぞ。

追記2

さて、コメントでAS-365について言及頂いたので少しだけ触れておきたい。

韓国の新型ヘリ開発にエアバスHCが参加 H155ベースの双発機

2015/03/17 21:55

エアバス・ヘリコプターズは、2015年3月16日、韓国の軽民間ヘリコプター(LCH)と軽武装ヘリコプター(LAH)開発のパートナーに選定されたと発表しました。エアバスHCは、コリア・エアロスペース・インダストリーズ(KAI)と両機種を共同開発します。

Fly TEAMより

先ずはこの記事。

エアバス・ヘリコプターズが韓国のKAIと提携して、H155をベースに韓国のLAHを開発する流れになったのは事実である。

こちらは、開発開始に紹介されているイメージ図なんだけど、今の形と然程変わらない印象の姿だよね。

エアバスHCによると、LCHとLAHは世界中で能力が実証されているドーファン/パンサー・ファミリーの最新型であるH155(EC155)をベースに開発される5トンクラスの機体になります。LCHは2020年、LAHは2022年の運用開始を予定しています。

Fly TEAM「韓国の新型ヘリ開発にエアバスHCが参加 H155ベースの双発機」より

で、紹介されているように、H155(EC155)の名前は社名変更に伴うもので、H155とEC155は同じ機種を示すものだ。そして、H155はAS 365「ドーファン」の発展型のAS 365N3が原型になっている。

原型となったAS 365の初飛行は1975年1月24日なので、基本設計はまあまあ古い。ただ、色々手を入れられて開発されたEC155の初飛行は1997年6月17日。ソレをベースに手を入れられたのがLAHという流れになっている。

なお、同時開発されている兄弟機のLCH(民間バージョン)は2020年に既に開発が完了して運用が開始されていることになっているのだが、何故か検索しても「何処かが採用した」と言うような話を聞かない。どうなっているんだろうね。LAHの話も久しぶりに見たので、「生きていたのか」とちょっと安堵した。

しかし、そもそもベースになっている機体はベストセラー機である。変なことをしない限りは飛ばすことに問題は無いハズ。あとはLCHの方は「売れるのか」が問題で、単に売れていないだけなのかもね。LAHの顧客は韓国陸軍なので、安心なのだけれど。

コメント

  1. 韓国って、兵器に大層な名称を付けるのが好きという印象だけど、今回の小型武装ヘリに関しては一貫して「LAH」表記で、型番すら明かされないのは何故なんだろう?

    • 不思議な感じですよね、そこは僕も疑問に思っています。
      LCHとLAHの同時開発が影響していた可能性はありますが、それでも「素敵なネーミング」をしてくれるんですけどね、普通は。

  2. 原型のAS365 ドーファン2は中型ヘリコプターに分類されます、軍用型はAS565 パンテル。
    中国でも合法コピー!が作られていますが、国産化率では圧倒的に中国の方が高い。

    • 支那の技術力は、韓国よりも高いですから。
      コピー能力も、支那の方が数段上でしょう。

  3. LAHも天剣ミサイルも、いまだベールに包まれていてはっきりしないんですが、
    Janesに紹介記事が出ているのでご参考まで。
    https://www.janes.com/defence-news/news-detail/south-koreas-light-armed-helicopter-provisionally-declared-fit-for-combat

    • 情報ありがとうございます。
      面白い記事ですが、これだけでは情報不足ですね。
      何かの折に紹介させて頂きたいと思います。追加情報があればネタとしてはなかなかものだと思うんですが。

  4. こんにちは。

    「ドーファン」がベースなら……韓国の兵器名称になじむ「空狼」でどうでしょうね?
    ※いっそ同じ性能目指して欲しいと。

    与太話でした。失礼しました。

    • いやー、韓国の兵器は中二病全開のネーミングでないと(苦笑