【韓国の歴史がまた1ページ】偵察衛星も外国製

海軍

この話は別の記事で触れているので1つの記事に纏めようかとも思ったのだが、複数の事案を纏めるのは余り評判が宜しく無いので、改めて触れておこう。

韓国軍の偵察衛星、独自開発からイタリア技術導入に旋回した理由

2020.10.21 12:12

韓国軍の偵察衛星事業「425事業」で、国内の技術で衛星を開発するという当初の計画とは違い、核心技術をイタリアの企業から購入することになったことが分かった。

「中央日報」より

簡単に言えば、イタリアから衛星技術を買ったと、そういう話である。

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偵察衛星事業とは

何もかも上手く行かない

さて、この偵察衛星事業「425事業」というのがそもそも何なのかについて説明がないので、この辺りから言及しておこう。

「キルチェーンの目」偵察衛星、2023年まで5機打ち上げ=韓国

2017.08.26 12:47

北朝鮮を宇宙から24時間眺めながら挑発の兆候を把握する偵察衛星確保事業が本格化する。

韓国防衛事業庁は25日、宋永武(ソン・ヨンム)国防部長官主宰の第104回防衛事業推進委員会を開き、「425事業」推進基本戦略と体系開発基本計画を議決したと明らかにした。425事業とは合成開口レーダー(SAR)衛星4機と電子光学(EO)・赤外線(IR)衛星1機の計5機の偵察衛星を独自で保有するというものだ。レーダー衛星は天気が良くない状況でも観測できる。425事業の偵察衛星は低軌道を回りながら一日に何度も北朝鮮上空を通過しながら情報を送る。

「中央日報」より

実はこの425事業は、2017年に本格化された「キルチェーンの目」を作り上げる目的で開始されている。

え?キルチェーンってそもそも何だっけ?という方はこのブログの読者には少ないとは思うのだが、それも説明しておこう。

韓国の先制攻撃構想キルチェーン

簡単に言うと、キルチェーンとは韓国の3軸体系の一翼を成す先制打撃手段のことだ。

こんな感じの楽しい防衛構想を韓国軍部は考えていて、

  1. 北朝鮮が核・ミサイルを発射しようとすれば先制的に打撃するキルチェーン(Kill Chain)
  2. 北朝鮮のミサイルを空中で迎撃する韓国型ミサイル防衛(KAMD)
  3. 北朝鮮が核・ミサイルで攻撃すれば韓国が報復する大量反撃報復(KMPR)

の3つからなる構想のことを指す。

なお、現在はこの言葉は使われなくなっているらしい。

北ミサイルへの先制打撃「キルチェーン」、韓国軍は現在使わず

2019.01.10 15:13

韓国国防部が北朝鮮の核・ミサイル脅威に対応する戦力を意味する「3軸体系」という用語を「核・WMD対応体系」に変更することにした。WMDは大量破壊兵器を意味する。

「中央日報」より

言葉遊びの類だろうが、往々にしてこういった話はあるよね。

ともあれ、先制攻撃をする為の手段として整備しようとする計画が「キルチェーン」である。まあ、その中身として何を使うのかはイマイチ明確ではないのだけれどね。

ただ、先日延期が決まったKTSSMはキルチェーンに組み込まれるとされていた。

これらの記事から薄ら分かる事は、「キルチェーン」はあくまで韓国軍での概念似すぎない構想であるということだ。ただし、先制攻撃をする為に必要な監視手段として、地上配備型レーダーや海上配備型レーダー、更には無人偵察機の導入と共に偵察衛星を導入するつもりであったことは事実のようだね。

これらの監視手段で敵がミサイル発射の兆候を見せたら、直ちに攻撃手段をもって敵基地を攻撃するというのが、先制攻撃構想の要らしい。「発見」「照準」「攻撃手段発射」「誘導」「着弾」「弾着確認」と、遠隔地を攻撃するにも色々と監視する手段が必要なのだけれども、発見や弾着確認などは、監視手段にて行う必要があるよね。誘導は……、GPSとかに依存することが多いと思うが、韓国ではちょっと先の課題となるだろうからアメリカ依存だな。

そういえば、この辺りの話を体系的に纏めていなかったので、簡単に説明していこう。

監視体制はままならない

地上配備型レーダー(対砲兵レーダー)

地上配備型のレーダーで真っ先に思い出すのが、対砲兵レーダーのアーサー君である。

誤作動の延坪島対砲レーダー、砲撃前も度々故障

2010.12.02 17:05

先月23日に発生した北朝鮮による延坪島砲撃の際、誤作動で本来の役割を果たせず問題となった韓国軍のAN/TPQ-37対砲レーダーが、これまでも度々故障を起こし、整備を受けていたことが分かった。

~~略~~

一方、軍当局は北朝鮮の延坪島砲撃以降、延坪島と白リョン島に最新の対砲レーダー「アーサー」を配備した。

「聯合ニュース」より

延坪島砲撃事件(2010年11月)で誤動作などの問題を起こした韓国軍のAN/TPQ-37対砲レーダー「ファイアー・ファインダー」(1994年に米レイセオン社から5基購入)の代わりに、最新の対砲レーダー「アーサー」を導入した過去があるのだが、このアーサー君もイマイチだったと、過去の記事に言及している。

韓国軍、問題だらけ…北挑発に新型レーダー作動せず

2011.08.19 09:00

10日に北朝鮮が西海(ソヘ、黄海)延坪島(ヨンピョンド)付近の北方限界線(NLL)に海岸砲射撃をした当時、韓国軍の新型対砲兵探知レーダーのアーサー(Arthur)が作動しなかったことが確認された。

「中央日報」より

ところがその翌年である2011年8月に同海域付近で再び砲撃があったのだが、新たに導入した対砲兵探知レーダーのアーサー君も作動をしなかったことが確認されたのである。

更にその後も故障を繰り返すのがこのアーサー君のスゴいところだ。

最近のアーサー君の状況は知らないのだが、何か新しいレーダーを導入するとかいう話もあったはずだ。

地上配備型レーダー(早期警報レーダー)

さて、こうした火砲などによる砲撃に加えて、弾道ミサイルによる攻撃に対しても備える必要があるため、韓国軍は2012年にイスラエルのエルタ社からグリーンパインレーダーを2基購入している。

これで24時間365日のミサイル発射監視を行うということだったのだが……。

韓国軍の北朝鮮ミサイル監視レーダー、3年間に21回故障

2016.10.03 09:42

北朝鮮の弾道ミサイル発射を探知するための軍の早期警報レーダー(グリーンパイン)が過去3年間に21回故障し、ミサイル監視網に42時間の空白が生じたと、国会国防委員会所属の李チョル圭(イ・チョルギュ)議員(セヌリ党、東海-三陟)が2日明らかにした。北朝鮮がスカッドミサイルなどを発射する場合、早期警報レーダーのグリーンパインやイージス艦体系のレーダーが探知し、パトリオットミサイル(PAC-2)で迎撃するのが韓国型ミサイル防衛(KAMD)体系の概念だ。

「中央日報」より

3年間で21回も故障するとぼやいているんだな。

グリーンパインレーダーの故障はアンテナの内側の結露のためという。稼働時に高熱が発生し、外部との温度差で生じた水滴が電力供給装置と部品を連結するコネクターなどに入って故障を起こしたのだ。こうした現象が繰り返し発生したため、軍はアンテナ周辺にエアコンなどを設置したが、特に効果はなかった。結局、軍当局は130億ウォン(約12億円)を追加で投入してレーダーを覆うドームを作り、一定の温度を維持することにした。ドームはアイルランドに本社があるL-3エスコ社の製品を導入することにした。

「中央日報”韓国軍の北朝鮮ミサイル監視レーダー、3年間に21回故障”」より

故障の原因は結露らしいのだが、対策の為に130億ウォンをかけてその外側にドームを作ったとさ。しかしこのドームもアイルランド製であるらしい。

更にこのレーダー、結構ヘボいことが発覚。

北朝鮮の弾道ミサイル 韓国軍は即時探知・識別できず

2017.02.13 10:10

韓国軍の関係者は13日、北朝鮮が前日に北西部・平安北道から発射した弾道ミサイルについて、「軌跡を(発射から)2分以内に探知、識別した」と明らかにした。東海で作戦待機中だった海軍のイージス艦と、陸上に配備された弾道弾早期警報レーダー「グリーンパイン」がほぼ同時にとらえたという。

「聯合ニュース」より

これだけ故障する上にヘボい製品なので、ちょっとは考えればイイのだが、韓国軍は更に追加購入をする。

韓国軍 弾道ミサイル探知レーダー2基を追加導入へ

2017.04.25 17:38

韓国防衛事業庁は25日、北朝鮮の核・ミサイル脅威に備え、弾道ミサイルを探知する弾道ミサイル早期警報レーダーを2基追加導入する内容の防衛事業修正案を同日の防衛事業推進委員会で審議、議決したと明らかにした。

「聯合ニュース」より

今度はドームも一緒に買ったんですかね?4基体制で監視する事になるので、多少は検出精度もあがるのかもしれない。

……ただ、誤解して欲しくないのはイスラエル製のグリーンパインレーダーは、アローミサイルを用いた防衛システムに利用されるそれなりに優秀なシステムであり、現時点ではレーダーそのものの性能に問題があるというわけでは無いという点だ。もちろん、グリーンパインレーダーそのものに問題がある可能性は否定できないが、どちらかというと韓国軍の運用がマズイからこんな状況なのだと、分析している。

海上配備型レーダー

海上に配備するレーダーは、イージス艦に搭載したヤツである。

韓国版イージス艦はこのブログでも散々弄っているのだが、3隻運用のスゴいヤツである。

ただ、予算の都合で本来は6隻体制になるハズだったのが3隻建造した時点でそれ以上作れないでいるのがちょっと哀しいね。

前述の記事でも北朝鮮の弾道ミサイルをグリーンパインレーダーと同じタイミングで検出した実績があるので、KAMD構想やキルチェーン構想に対しては有効なのだろう。だから、何としてでも欲しいのだと。

そこでこんな話が出てきちゃった。

予定では基本設計は終わっているハズなのだけれど、何故か最近は韓国海軍は空母にご執心のようで、ミニイージスの話はちっとも出てこない。どうなっているんだ?

韓国海軍としては海上の目としてイージス艦を運用したいと思うのだが、3隻だけでは切れ目のない運用は難しい。せめて6隻は、というのはそうした背景から要求される話なのだけれど、後回しになっている節があるな。

無人偵察機の導入

で、地上、海、とくれは空からの監視も必要なのだが、現状で利用できるのはアメリカから購入したグローバルホークであるといわれている。

密かに搬入したグローバルホーク、独自の命名なし

Posted October. 20, 2020 08:27, Updated October. 20, 2020 08:27

韓国軍が米国から導入した高高度無人偵察機(HUAV)グローバルホーク(RQ4)の別称を米国の使用名と同じ「グローバルホーク」に決めていたことが分かった。従来は、米国から導入した兵器には軍独自の別称を付け、北朝鮮に対する作戦能力を象徴的にアピールした。今回は、別称を付けなかったうえ、戦略兵器の導入に敏感な北朝鮮の反発を意識して、このような事実そのものを公開しなかったという指摘も出ている。

「東亜日報」より

韓国は、比較的高価な無人偵察機として有名なグローバルホークを4機、アメリカから購入することにしている。そして、春頃に2機、夏までに4機体制にしたことが先日報じられたのだが、これまた不思議なニュースがこちら。

韓国軍 偵察機撮影画像の判読装置導入へ=北朝鮮情報の分析強化

2020.10.20 13:48

韓国空軍が来月、大型高高度無人偵察機グローバルホークが上空から撮影した北朝鮮の画像を地上で判読して主要目標物の移動や変化などの情報の把握に役立てる装置を米国から導入する。防衛事業庁が20日、国会国防委員会の国政監査に対する報告資料の中で「11月中にシステム統合とテストを経て引き渡しを受ける予定だ」と説明した。

「聯合ニュース」より

分析装置は11月に引き渡しを受けるとのこと。

……何故、1号機購入と同時にやらないのか?

そう言えば、アナシス2号は打ち上げた後に制御用装置がないとかいう話になっていたが、似たような考えが影響しているのかねぇ。

まあ、良いんだけどさ。

そんな訳で、空からの分析というのは現状ではできていない。

[単独]偵察機導入半年で故障…… 部品「返し防ぐ」

記事入力2020.10.21 午後9:21 、最終修正2020.10.21 午後10:04

北朝鮮の長射程砲ミサイルを監視する私たち空軍の戦略無人偵察機グローバルホークです。最大18 kmの高さから地上にある30 cmの大きさの物体も識別することができる偵察衛星級の性能を誇ります。1台の価格万2千億ウォン台、昨年12月に1台、昨年4月に2台、先月1台して、すべての4台を揃えました。ところが、導入して10月もならなかったのに、この4台のうち2台の核心部品が故障したものと私たちの取材の結果、確認された。このため、1機は正常な部品を取る為に使用せず、回して防いでいるのが実情です。

「NAVER」より

……これに関しては別の記事にしたいとは思うが、未だ使えもしない段階で壊すなよ。

そして偵察衛星を

長々と脱線してしまったが、ようやく本日の話題に到達したね。そう、偵察衛星の導入だ。

「キルチェーンの目」偵察衛星、2023年まで5機打ち上げ=韓国
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上で紹介したこの記事には、偵察衛星は5機体制で北朝鮮を監視するとしているが……、「425事業の偵察衛星は低軌道を回りながら一日に何度も北朝鮮上空を通過しながら情報を送る」という辺りに違和感は覚えるな。

えーと、確かに軌道から考えると北朝鮮上空に常に静止している偵察衛星というのは実現が難しいのだろう。だが、日本は準天頂衛星「みちびき」を7機体制で運用することで、GPSの性能強化に繋げられるとしているぞ。事情は違うのだろうけど、偵察をするためにはちょっと「足りない」んじゃないかな。

425事業はSAR(サー=4)とEO(イー・オー=25)の発音が意味する韓国語の数字から付けられた名称。韓国政府は2021年から2023年まで順に5機の衛星を打ち上げる計画だ。2023年の事業完了までの空白を埋めるために軍当局は来年初めに4、5機の偵察衛星を海外から借りて使用することにし、イスラエル・ドイツ・フランスなどと協議している。北朝鮮を24時間監視する目の役割をする偵察衛星はキルチェーン(Kill Chain)の核心資産。キルチェーンとは北朝鮮が核・ミサイル・放射砲(ロケット砲)・大量破壊兵器(WMD)を発射する場合、これをあらかじめ除去する軍事作戦だ。政府関係者は「偵察衛星を独自に備えるのが戦時作戦統制権転換の出発点」と説明した。

「中央日報」より

なお、この記事にはなかなか愉快なことが書かれている。

キルチェーンに使うよということが書かれているのだが、その前段に「2023年の事業完了までの空白を埋めるために軍当局は来年初めに4、5機の偵察衛星を海外から借りて使用することにし」とある。この時点で偵察衛星が他国から借りられるわけ無いだろ!と突っ込みを入れた人が多数いたのだが、実際、借りることはできなかった。

そりゃそうだろうさ。都合の良い衛星軌道を飛ぶ偵察衛星がそもそもいるか分からないが、他国に情報提供なんぞしたら偵察性能がモロバレになってしまう。北朝鮮を監視できるということは、即ち韓国も同様に監視できる事を意味するしね。そんな事情、少し考えれば分かりそうなものだが……。

ともあれ、急いで衛星を開発するという話だったハズなのだが、今まで実績が皆無なのに2021年までに打ち上げることが可能になるはずがない。

韓国軍の偵察衛星、独自開発からイタリア技術導入に旋回した理由

2020.10.21 12:12

韓国軍の偵察衛星事業「425事業」で、国内の技術で衛星を開発するという当初の計画とは違い、核心技術をイタリアの企業から購入することになったことが分かった。

「中央日報」より

なんと、イタリア企業から買う話になってしまっていたことが、判明した。これに関してはコチラの記事でも同様の内容を別の記事から引用して紹介している。

NAVERの記事で、5千億ウォンを偵察衛星開発に投入したという話だったハズが、蓋を開けてみたら偵察衛星の技術の6割はイタリア企業から買っていたことが分かっちゃった。TASIってーと?タレスアレーニアスペースイタリア(TASI)ですかね。それも、技術移転はできていないために、衛星の寿命が来たら再びイタリアから購入する羽目になるというおまけ付きであった。

そしてまあ、攻撃する為の手段である韓国型戦術地対地ミサイル(KTSSM)も開発に支障が出ているらしいので、キルチェーン構想そのもののが躓きかねない状況にある。

……残念だったねー。

コメント

  1. 木霊様、皆さま、今晩は

    > 北朝鮮上空に常に静止している偵察衛星というのは実現が難しいのだろう。
    不可能です。静止衛星は公転周期が地球の自転周期と同じで、赤道上を「東」に進む軌道でなくては成立しません。北朝鮮上空に静止などあり得ません。

    > 核心技術をイタリアの企業から購入
    購入するのは「核心技術を使った部品、モジュール」であって「核心技術」ではないと思います。そうでなければ「衛星の寿命が来たら再びイタリアから購入」にはならないでしょう。
    それにしても、百科事典レベルの情報、知識で「作れる」と思うところがすごいし、出来そうな気がした時点で「やる」と発表するのもすごい。どうやら韓国の文化みたいですね。

    以下、オフトピック
    「425事業」ですか・・・「死にGO」を思い出してしまいました。

    「死にGO」は国道425号線のニックネーム。日本三大酷道の1つで、それはそれは素晴らしい道です。味わってみたい方は天気の良い日の昼間、小型バイクで行くのがお勧め。
    誰かに「425へ行く。帰りは・・・」などと伝えてから行きましょう。谷底に落ちても、いつ発見してもらえるかわからない。
    以上、「元」酷道マニアの「音楽大好き」さんでした。

    • 韓国はこの手の話を延々とやり続けるつもりなのでしょうか。
      それとも一応、前に進んでいるんでしょうかね?

      425事業は何とも語呂が悪い感じですが、調べて見たら425号は酷い状況みたいですね。「酷道」は色々あるみたいですが、調べてみたら通ったことがある道が(苦笑
      ともあれ、韓国の事業の続報で吉報が出る事を期待しましょう。