重いネタの次には、軽めのネタを。
韓国軍「KF21N搭載」空母研究に着手…「軽空母→重空母」の可能性
2023年3月14日 12:00
韓国軍当局が韓国型戦闘機KF21の海軍用モデルKF21Nを搭載できる中型空母(重空母)開発の研究に着手する。国防省が明らかにした。
AFPより
やったー!待ってました!
どうしても空母が欲しい韓国海軍
未だ概念だけ存在するKF21N
KF21Nとは、現在韓国軍が絶賛開発中のKF-21戦闘機の艦載機版である。
当然ながら、ノーマル版のKF-21戦闘機が完成していないのだから、艦載機版のKF-21Nは存在しているわけはなく、未だ概念の段階である。モックアップはあるようだが。その辺りも過去に言及はしている。
できたら良いなーという話である。
そして、去年の年末には随分と盛り上がっていた。「艦載機をKF-21ポラメベースで国内開発できる!」「中型航空母艦も作ろう」という感じだ。
重空母を作るぜ
で、今回はどうなったかというと……。
国防省は「今回の研究は不足技術確保など技術的分野に重点を置き、暫定的に今年3~12月に実施する予定」と説明した。このため海軍の軽空母事業が今回の研究を受けて重空母に転換されるのではないかという観測も提起されている。
AFPより
軽空母事業が重空母に転換されるのではないか?という話になっている。
あれ、中型じゃないの??
しかし、垂直離着陸機能のないKF21基盤の艦載機を開発・運用するなら、必然的に重空母以上の事業を推進するほかない。海軍の軽空母事業は垂直離着陸戦闘機F35Bを念頭に置いていたからだ。
AFPより
どうやら、F-35B購入は諦めたらしいな。
そもそも韓国海軍に空母が必要なのか
憧れの空母
初めてこの手のニュースに触れた方のために、今一度話を整理しておきたい。まあ、この話は何度かしているので、「またか」と思われた方は読み飛ばして頂きたい。
こちらの記事でも書いたが、朝鮮戦争(1950年~現在:1953年に停戦協定)の際に大逆転に繋がった仁川上陸作戦(1950年9月15日)のキーになったのが揚陸艦と空母の存在なのだ。
だからこそ、韓国海軍は強襲揚陸艦として1番艦「独島」と2番艦「馬羅島」を建造して配備するに至った。
とはいえ、とはいえである。本来は、韓国海軍に空母や強襲揚陸艦など必要は無い。何しろ、戦争中の相手、北朝鮮とは陸続きなのだから、無理矢理多数の兵器を船に乗せて運ぶよりも、陸を自力で移動させた方が合理的な作戦を実行できる。
作戦の冗長性を担保するために海軍を増強するという考えは悪くは間違いとは言わないが、多彩な作戦を担保する前に陸軍強化をする方を優先すべきなのである。
そういった事情を踏まえて「面子のために軽空母を建造するのでは無いか」という突き上げを喰らってもいるようだが……。本音は日本侵攻の為には空母や強襲揚陸艦が不可欠だという事なんだろう。韓国空軍もそういう理由で兵器購入の予算を通しているようだしね。
朝鮮半島近海では使い勝手が悪い
とはいえ、喫水の問題でデカい船を使うのはちょっと問題があるのも事実。通常、空母を使うためには空母打撃群と呼ばれる艦隊を揃えるのが一般的だ。空母に加えて巡洋艦、駆逐艦、補給艦、給油艦、潜水艦などを複数従えて運用する必要がある。
空母は攻撃されると弱いので、護衛していく艦隊が必須なのだ。
ところが、日本海側ならばともかく黄海側ではこれら空母打撃群の運用はちょっと困難になる。


黄海側の平均水深は46m、最深部でも200m以下という海域である。渤海から北西部では平均水深は僅か26mというから驚きだ。
これでは潜水艦の運用は困難である。当然、日本海側での運用と言うことになってしまうよね。え?敵側も潜水艦運用は出来ないから、空母打撃群に潜水艦は不要だ?そもそも、仁川上陸作戦では潜水艦を使っていない?
まあ、それは正論ではあるのだが、そもそも喫水の深い空母の運用には、浅い海では非常に気を遣わねばならない。空母の喫水は10m前後である。平均水深46mとなると、行ける部分が限られてくることが容易に予想される。
対費用効果について疑われるのは仕方が無いだろう。
とはいえ研究は必要
とまあ、批判的なことを書いたものの、実際に運用可能かは研究してみるしかなく、素人にはうかがい知れない戦略というモノがあるはずなので、そう言ったモノを踏まえて考えていくことは必要なのだと思う。
……思うんだけど、F-35B購入を諦めてKF-21Nの開発をするという選択は、本当に大丈夫なのか?という気がする。
韓国にアメリカからF-35B購入をすることが、困難であるという判断は妥当のように思われる。運用するにあたってもかなりの困難が考えられるし、そもそもF-35Aの運用も「整備をどうするのか問題」が置き去りになっている。
とはいえ、KF-21NどころかKF-21すら出来上がっていない状況で、韓国が独自に開発するしかない技術が多数ある艦載機を「作る予定」として更に出来る前提で空母までというのは、呆れる他ない。
頑張って研究して欲しいとは思うけど、大々的に報じる必要はないんじゃないの。
追記
がっかりした!
がっかりだよ!
[単独]「KF-21N搭載空母」研究着手… 「韓国型中空母」の推進
入力2023.03.08。午後4時22分 修正2023.03.08. 午後4時24分
国防部が今月中に韓国型戦闘機KF-21の艦載機モデルであるKF-21ネイビーを搭載する中型空母の開発可能性を打診する政策研究に着手することでSBS取材の結果確認された。
去る1月に仕上げられた放射庁の研究用役の結果、10年6ヶ月間に1兆8千億ウォンを投入すれば艦載機KF-21ネイビーを開発できることが出たが、これに基づいて中型空母を本格的に検討することです。
国防部が民主党チョン・ソンホ議員室に提出した資料によると、国防部は今月から12月まで国内開発艦載機すなわちKF-21ネイビー搭載による空母設計及び建造政策研究を行います。
KF-21ネイビーは軽空母用垂直離着陸機ではなく、中型空母以上にのみ載せられます。
国防部は政策研究を通じて空母開発期間とコスト、戦力化時期を導き出し、不足した技術の確保方案を探索する計画です。
NAVERより
この記事によると3万トンから3万5千トン程度の大きさの空母を建造する計画を推進すると言うことになっているようだ。重空母ではないらしいぞ。
フランスの空母シャルル・ド・ゴールが基準排水量37,680トンという規模なので、韓国海軍もコレ似たような大きさの中型空母を手に入れることを検討していると言うことらしい。ただ、シャルル・ド・ゴールはカタパルトを装備しているので、韓国海軍がスキージャンプ方式を採用するとしたら、この規模だとちょっと小さい。とはいえ、具体的数値が出ている方を信じるのであれば、今回の韓国海軍の予定した空母は「中型」規模と考えるのが妥当だろう。
重空母は一体どこにいっちゃったのさ!
冒頭のニュースは、KOREAN WAVEというところがソースなのだけれど、どうやらこれ、誤訳か記者の妄想という可能性がありそうだ。
まあ、韓国が空母を作ってくれれば、軽空母だろうが中型空母だろうが重空母だろうが構わず応援したいんだけどね。
コメント
木霊様はサラッとお書きですが、コアを突いてますね。何故に空母や強襲揚陸艦かといえば、日本を攻める為でしょう!
間違いなく。
シナが侵略してくるとしたら、武力より
絡め手から来る可能性が高いと思いますが、南小中華は、とにかく日本を蹴散らし、殺したくて奪いたくて仕方ない!
それは彼らの反日教育によって、骨の髄に染み込んだ「民族の願望」でしょ?
つまり地政学や経済的な裏打ち云々よりも、あの国と民族が持つ劣等感なんで。
私は佐藤優さんが言うように、個人とは別な「国としての傾向と内在原理」はあると思います。ロシアしかりシナしかり。もちろん我が国にもある。
んで、南小中華は「コンプレックス」という最も、しょうもない内在原理を持ってるので、北朝鮮やシナよりも扱い難い連中と思ってます。常に寝首を掻かれぬ備えと、撲殺する力を保持しないと付き合えない連中と思いますが。
日本を攻めて、お前らスカッとする以外にどんな得があるんだ?と想うすけど。
日本を潰して手に入れるものなど、シナに全てを巻き上げられるに決まってるのですし。それでも……というのがコンプレックスの面倒な所で。コンプレックス強い奴は疲れますからね。こいつらとは可能な限り関わらないのが上策と想うのですがね。アメちゃんが宗主国ですから逆らえないのは解るのですが岸田は……。
基本的には反日国家ですから、日本を攻めるための兵器ということにしておくと予算が通しやすいのだと、そのように理解しています。
流石に、本気で侵攻してくるか?といえば、ちょっと怪しいですよ。油断は禁物ですが、その能力を持っているかどうかは疑わしい。
まあ、能力は無くとも実際に実行に移して日本に迷惑をかける展開はあるかもしれません。
重空母か..景気のいい話だな。韓国は不景気だけど。
この話は、素人には、国内造船業のテコ入れ対策のようにも見えるし、
数十年後に空母を輸出品に加える産業政策のようにも見える。
世界には、お手ごろ価格の中型なら欲しいと言いそうな国はあるから、
商機はあるのかも。。
もっとも、造れるかどうかはまったく別次元の問題であるし、
中進国での空母建造なら、技術的には支那や印度が先行している。
でも、運用面の問題はさておき、韓国には是非とも重空母を建造して、
世界を震撼させてほしいね。
韓国におけるこの手の船の発注は、造船業への支援の一環だという疑念は、常々持っております。
公金注入して、巨額の赤字を垂れ流し続けていますから、国家にとって重要な仕事をやっているという位置づけにしないと拙いという事情がありそうだと。
こんにちは。
空母というのは「遠隔地で航空機を集中運用するプラットフォーム」にすぎない、という事を、あの国の人々は理解すべきかと(本邦もですが……)。
所詮は「水に浮いた飛行場」にすぎず、それ自身の戦闘力はゼロですから。
※三段空母時代の赤城加賀とか言わない事。
その上で、韓国の現状でそこに割くリソースを考えると……素直に陸上兵力を充実させた方が良いんですけどねぇ……
※日本と仲直りするのが一番金もヒトもかからない、というのは言わないお約束。
※レーダー照射の顛末とか、フッ酸の行方とか、ハードルが高すぎるので。
まあ、目的が、おっしゃる通り「目標は日本」なので、そうなるのでしょうけれど。
空母と揚陸艦がそれっぽちあったって、日本相手に何が出来るというのでしょうか……
※米海軍や海兵隊の集中運用は、文字通り数の暴力ですから……
韓国軍の方針に関しては、言わぬが花ということも結構あるので、真面目に突っ込んでも仕方が無いんですけどね。
ただ、完全に間違っているのかというと、そうでもないので、頑張って研究してくださいとしか。
常に当ブログにネタを提供してくれる有り難い存在なのです。
しかし、本邦はどうするんでしょうかね。
未だ研究開発段階という部分は大きいので、「いずも」「かが」の改修は頑張って欲しいですね。その後どうするか?は、今のところ明らかにされていないようですが。
F35Bを乗っけることになったので、空母です。て事になっちゃう(ぽい?)本邦にも若干のもんにょり感はありますが、まぁ、どんな頑張りを見せてくれるのか楽しみであります。揚陸艦ならいくらあっても足りないんですけどね。
YF17>F18よりも面白いものが見れると良いなぁ、と、ちょっとワクワクするとこで。
本邦の空母(仮)は、現在想定されている運用は、アメリカ、イギリスとの相互運用ですからねぇ。
従って、F-35Bが甲板に降りることが出来て、給油や簡易メンテナンスなどが出来ることが一番重要ではないのかなと。
本格的に単独で空母運用というわけではないと、そのように思っています。まあ、調べが足りていないので、ちょっと違うかもしれませんが。
安倍氏が在りし日には、環太平洋でアライアンスを組んで支那包囲網を、という形でしたが、今は少々歪になりつつありますね。
日本の国益をいかにして叶えるのか、ということは、今後も政治家に問われるのでしょう。
横合いから失礼します。
>アメリカ、イギリスとの相互運用
>F-35Bが甲板に降りることが出来て、給油や簡易メンテナンスなどが出来ることが一番重要
まさにこれだと思います。
私、何かにつけこの話を持ち出すのですが、かつての東北震災時、自衛隊と米軍が、綺麗にシームレスに艦載ヘリ運用出来ていたのが、大陸側の赤い国々には非常に脅威に見えたと思っています。
プラットフォーム関係なく同盟軍内でシームレス運用出来るという事は、それら全てを一つの巨大な軍隊と見なさなければならない、ですから。
なので、独自規格で他国で艦載運用出来ない機体を装備するのは……ご指摘の通りで、慧眼お見それです。
※じゃあF-3はどうよ?って話も、少なくとも英軍とは互換性取れそうですし、運用規格自体は空自規格≒米空軍規格なので心配ないかと。空母運用はしないでしょうし。
中空母も重空母も「중공모」で一緒なんで機械翻訳のミスだけでしょうな。
本文中にも中型空母(重空母)とありますし、おそらく単純に機械翻訳にかけたのをそのままそういう意味だと思って書いたのでしょうね。
本当ハングルって発音と表記が一致しているから覚えるのは楽だけど、漢語由来が多い硬い言葉を機械翻訳にかけるは向いてない文字だと思いますわ。