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KF-21戦闘機はAIM-9X「サイドワインダー」を搭載できない

韓国空軍
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来た!みんな大好きKF-21戦闘機の続報である。

最新鋭KF-21戦闘機、米製空対空ミサイル搭載できずに半減転落

記事承認 2024.10.15. 17:32

韓国空軍史上最大の戦力増強事業であり、初の国産戦闘機開発で注目を集めた韓国型戦闘機KF-21(ボラメ)に、韓国空軍パイロットが望んでいた米国製空対空ミサイルの搭載が中止されたことが15日確認され、物議を醸している。

Asia Todayより

なになに?不味い話?

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空対空ミサイルは「ミーティア」今のところのみ

サイドワインダーは搭載出来ません

ああ、この話ね。

ユ議員によると、戦闘機に搭載される空対空ミサイルは、空対地ミサイルや空中投下爆弾とは異なり、搭載されたレーダーとの連動が不可欠だ。韓国は米国、英国、中国などに続き、世界で12番目に夢のレーダーである電子注射式能動配置(AESA)レーダーの開発に成功した。しかし、防衛事業庁の安易な措置により、米国政府から米国製空対空ミサイルのレーダー連動承認を受けられなかった。

防衛事業庁は、KF-21に米国製の空対空兵器であるAIM-9X(サイドワインダー)、AIM-120(アムラム)が搭載できなかった理由について、KF-21体系開発中、体系統合に必要な技術資料などに対する米国政府の輸出承認の遅れが原因だと答えた。防衛事業庁の安易な対応が原因だと自白した格好だ。

Asia Today「最新鋭KF-21戦闘機、米製空対空ミサイル搭載できずに半減転落」より

韓国が絶賛開発中のKF-21戦闘機は、紆余曲折結果、なんとか初飛行に漕ぎ着けている。

立派なのものではあるが、搭載兵装には苦戦していると言及した。

  • 長距離空対空ミサイル「METEOR」:欧州製、射程距離100km以上
  • 短距離空対空ミサイル「IRIS-T」:ドイツ製、射程距離25km程度
  • 空対地ミサイル「タウルス」:ドイツ製(韓国国内で製造予定)、射程距離500km以上

現在判明しているのはこの3つで、何か独自開発する噂もあったけれども、今のところは空対空ミサイルは「ミーティア」だけになるらしい。

その理由について色々噂されていたけれども、一番有力な理由が「アメリカを怒らせたから」というもの。公式には「未だ許可が下りていない」という話だったんだけどね。

でも、KF-Xの開発にあたって、F-35Aの導入のバーターに革新技術の移転を求めていたのだけれど、主要4技術について「移転はしない」と断られた。ところが、報道では「アメリカから許可を貰った」と大騒ぎしていたんだよね。

どうやらその事もアメリカの怒りを買う結果に繋がったようなんだけど、それよりブラックボックス開けちゃった事件とか、色々過去にやらかしたのが原因なんだと思う。

米国政府の輸出承認の遅れ?

記事では、この件について「アメリカ政府の輸出承認が遅れているだけだ」と説明しているのだけれど、KF-XがKF-21になってそろそろ2年である。流石に「遅れ」の一言で済ますのは難しいのではないだろうか。

自国で開発したとされるAESAレーダーだが、非常に高性能らしい(自称)けれども、短距離空対空ミサイル AIM-9X「サイドワインダー」という定番ミサイルも、中距離空対空ミサイル AIM-120 AMRAAMという新定番ミサイルも、何れも統合させて貰えてはいない。

韓国が保有する戦闘機、KF-16戦闘機やF-15K戦闘機、或いは詳細不明ながらもFA-50軽戦闘機もAIM-9X「サイドワインダー」の使用は可能である。AMRAAMは近代化改修済んだ奴は使用可能だったんだっけ?

最近のニュースで、FA-50軽戦闘機はポーランド向けに輸出したタイプは、まだAMRAAM使えないんだよという報道があって、AIM-9「サイドワインダー」も古いタイプのアイテムしか使えないからポーランドは困っているのだとか、意味不明な記事だっな。

こちらの話も「努力目標だった」という意味不明の話になっていたように思う。

FA-50用ASEAレーダー問題の内容が判明

あれ?おかしいな。

現在、LIGネックスワンが開発中のFA-50用AESAレーダーは開発完了段階に入っている。このレーダーを搭載したFA-50の輸出が目前に迫っているという話だ。厳密に言えば、ポーランドやマレーシアの輸出用FA-50にもLIGネクスワンが開発したAESAレーダーを搭載することができたが、輸出契約に急いだために機会を逃したというのが業界の定説だ。

Asia Today「最新鋭KF-21戦闘機、米製空対空ミサイル搭載できずに半減転落」より

待て、どういうこと?!

> 厳密に言えば、ポーランドやマレーシアの輸出用FA-50にもLIGネクスワンが開発したAESAレーダーを搭載することができたが、輸出契約に急いだために機会を逃した

えぇ?ポーランドに輸出したAESAレーダーはLIGネックスワン開発の奴じゃなかったってこと?それは一体どういう……。

ええと、ノーマルのFA-50には、イスラエルのエルタ・システムス社にお願いして作ったLIGネックスワン生産のAESAレーダーが搭載されていたっけ。KF-21戦闘機用にはコレを更に改良して、国産のAESAレーダーを開発した話になっていたはずだ。

恐らくは、ポーランドに輸出するFA-50GF(最初の12機用)にもLIGネックスワン新開発のAESAレーダーが載せられるハズだった。

こちらの話だね。ところが、蓋を開けてみたら未だにアメリカから韓国製AESAレーダーにAIM-9X「サイドワインダー」統合許可も貰っていないと。うん、そりゃポーランド怒るよ。じゃあ、「中古の空対空ミサイル」って何なのさ……。

す、直ぐに撃てるようになるから

ええと、記事通りならば、この状態も改善はされる予定らしい。

現在、LIGネックスワン開発中のFA-50用AESAレーダーは開発完了段階に入っている。このレーダーを搭載したFA-50の輸出が目前に迫っているという話だ。

Asia Today「最新鋭KF-21戦闘機、米製空対空ミサイル搭載できずに半減転落」より

目前ですって!

ポーランドはFA-50GFを去年中に12機受け取っているので、今「輸出が目前に」と言われましても。費用は韓国持ちで急いで12機分を改修することになるのだろうか。

ユ議員は「結局、KF-21と同様にFA-50も国内で開発されたAESAレーダーを搭載し、これと連動しなければならない空対空ミサイルの輸出承認を米国が拒否すれば、米国製空対空ミサイルを望む国には国産戦闘機を輸出できない状況が発生するしかない」とし、「防衛事業庁は、国内で開発されたAESAレーダーが米国の武装と連動するようにする政府対政府交渉に積極的に取り組むべきだ」と注文した。

Asia Today「最新鋭KF-21戦闘機、米製空対空ミサイル搭載できずに半減転落」より

いや、どうもそうではないっぽい。

LIGネックスワン開発中のFA-50用AESAレーダーが開発完了しても、結局、アメリカの承認がなければAIM-9X「サイドワインダー」は使えないことに変わりはないのだ。FA-50も、KF-21も。

FA-50に関しては、アメリカが拒否しているのが韓国製AESAレーダーにAIM-9Xの統合ということだから、ブロック20にはレーダーとしてPhantom Strikeが搭載される予定なので、問題は解消する可能性も高いのだが。でも、KF-21戦闘機の方は、そういうわけにも行かないのだろう。

空冷式AESAレーダーは何処へ?

これの関連ニュースとして、こんなニュースがあった。このブログでは取り上げていなかったけれども。

LIGネックスワン、FA-50に適用可能なAESAレーダーを披露

2023.05.02

LIG Nex One (代表取締役キム・ジチャン)は2日、大田コンベンションセンター(DCC)で開催される「2023空軍民軍協力」セミナー/展示会(AEROSPACE CONFERENCE 2023)」に参加し、FA-50 AESAレーダープロトタイプを披露する。

~~略~~

戦闘機用AESAレーダーは、少数の海外先進防産業企業が世界市場の大部分を占めており、E/L(Export License)などを活用した進入障壁を構築してきたが、KF-21に続いてFA-50にも国産AESAレーダーが装着されれば我が軍の戦力増強はもちろん、国内防衛産業競争力の向上と世界市場で輸出競争力も確保できるという見通しだ。

lignex1.comより

なにかこう、随分とホルホルしていたと思うんだ。

230502_LIGネックスワン、FA-50に適用可能なAESAレーダーを披露。png

コレは一体何処に行っていってしまったのか?これが完成間近ってことかな。

ちょっと、記事の後半はFA-50絡みの記事になってしまったのだけれど、これって結局のところKF-21戦闘機用に開発したAESAレーダーも未完成だって話に繋がってくる。

そういえば、KF-21関連でミーティア分離に成功みたいなニュースはあったけど、AIM-9やAIM120の発射に成功したなんて話は報じられたのを見たことがなかった。

これに関してはアメリカが許可を出すわけがないよねぇ……。そこまで韓国の技術が上がってきているという意味なのかも知れないんだけどさ。

追記

ちょっと不穏なニュースを見つけたので、追記しておく。

北朝鮮ハッカー組織、独軍需企業にハッキング攻撃…KF-21技術流出か

2024.10.05 11:07

「キムスキー(Kimsuky)」として知られる北朝鮮ハッキング組織が、韓国に次世代戦闘機用ミサイルを供給するドイツ軍需企業にハッキング攻撃をしたことが明らかになった。韓国政府は北朝鮮が韓国型超音速戦闘機KF-21関連の先端技術を狙ったのではないかとみている。

ドイツ公営放送ZDFと時事週刊誌シュピーゲルは先月27日、独企業ディールディフェンス(Diehl Defense)が北朝鮮ハッカーの攻撃を受けたと報じた。

中央日報より

ええと、KF-21戦闘機が困った話になったということではなく、運用する予定のIRIS-T空対空ミサイルの情報が抜かれた可能性があるという話だ。

独メディアはKF-21がIRIS-T短距離空対空ミサイル追跡・発射試験を成功させた5月にキムスキーの攻撃が始まった点に注目した。北朝鮮がハッキング攻撃でディールディフェンスが保有する各種戦闘機関連の核心軍事技術を狙ったとみられるというのが、独メディアの推定だ。

中央日報より

ただ、コレの切っ掛けとなったのが、5月に行われたKF-21戦闘機の発射試験だったのではないか?という話らしい。

そういえば、5月にはこんなニュースもあったな。

北朝鮮ハッキング組織、韓国軍関係者300人のEメールをハッキング…「警察が捜査中」

2024.05.21 07:17


北朝鮮のハッキング組織が韓国軍の関係者およそ300人の個人のEメールをハッキングしたことが把握された。

警察によると、警察庁安保捜査局は軍関係者の個人メールハッキング被害を把握、捜査中だ。

情報筋によると、被害規模は高位職の場合10人ほどで、現役が約200人、予備役が約100人という。

これに先立ち韓国裁判所の内部ネットワークをハッキングしたラザルスを含め、アンダリエル、キムスキーの3つの北朝鮮ハッキング組織は韓国防衛企業およそ10社の情報を盗み出したことが確認されていた。今回の被害もこれと関係があると推定される。

中央日報より

うーん、無関係というにはタイミングがね。

コメント

  1. 砂漠の男 より:

    えーっと、まず韓国が”あらゆる手段を駆使して”KF-21を制作したことを評価します。最初から輸出を視野に開発し、生き馬の眼を抜く世界の兵器市場に果敢に挑戦する姿勢には好感を持ちます。

    ただね、『韓国型』兵器の残念なところは、常に『追従』『模倣』『パクリ』のステレオタイプの塊で、さらに新しい技術が現れると目移りしてしまって中々完成しないことです。
    K9自走砲は、長い時間をかけてコツコツ積み上げた例外でしょう。話題になったのはわりと最近のことですし。

    韓国のステレオタイプは、あらゆる社会部門にみられる民族特有の”性癖”ですね。製品価格が高いと相手にされないんですが、安いと誇大宣伝も手伝って最初は注目を引くんです。でも使ってみると…。

    まだまだ痛い国という印象が強いです。

    • 木霊 より:

      そうですね、KF-21が完成した、というところに漕ぎ着けたかどうか現時点で不明ですが、少なくとも形なって飛んでいるだけでも素晴らしいと思っていますよ。
      K9自走砲の国際的評価がどうなっているかは気になるところですが、少なくとも「買いたい」と思ってくれる国が多数あるということは、評価が高いと見るべきなのでしょう。
      K2戦車も引き合いが多くなっていますが、どうなんですかね。

      • 砂漠の男 より:

        Army TechのWeb記事に、K2ライセンス生産品ートルコのALTAYの直近データが出ていますのでご紹介。25年に実戦配備(予定)。カタールが400輌購入済み。オマーンが目下交渉中と。
        https://www.army-technology.com/news/altay-main-battle-tank-prime-example-of-turkiyes-defence-ambitions/

        K2の製造単価は850万ドルと言われているので、輸出契約は容易でないでしょう。
        ポーランドと大口契約できただけでも大成功ですよ。
        これからのK2拡販に必要なのは、カタログスペックではなく実戦データなんでしょう。 

        • 木霊 より:

          アルタイですか。
          あれ、きちんと完成したのか良くわからないのですが、記事を読む限りは輸出できるレベルにあるんでしょうかね。
          韓国企業の技術支援で作る話は数年前に見かけたんですが、本国でまだパワーパック完成していないのに「ようやる」と。

          噂によると、韓国陸軍の要求する仕様が高すぎて、実はもう完成しているみたいな話も定期的に出るんですが……。
          本当にそうなら国産化すればいいわけで。

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >一番有力な理由が「アメリカを怒らせたから」というもの。
    「お前はオレを怒らせた」
    いや違うそうじゃない、あれ、違わないか?

    このあたりの、システムインテグレーションは、韓国は本当にヘタクソというか苦手ですよね。
    KDXでも、システムの継ぎ接ぎでやらかしていたと記憶します。挙げ句、Link16対応で後手に回ってるとか何とか。
    物理的に繋がっても、ソフト的に繋がらないと意味が無い、というのが、インターネット強国にしてIT強国なのにわからないのかな?

    AESAレーダに関しては、実はシステム丸投げで、イスラエルは開示してくれない、アメリカは他所のレーダに自分の情報出すのを渋る、という当たり前の千日手にハマってるとしか思えません。
    ※原因は金払いと、自主開発の重要さを軽視したためでしょうね。
    ※何の為に日本が、F-2用のJ/APG-1レーダ自主開発して、ステルス実験機のATD-Xも自主開発したと思ってるのだろう……
    ※イスラエル自身は、必要に応じてシステムインテグレーションは進めてると思いますけどね……

    ……まさか、ミーティアも分離出来たけど発射も誘導もまだ出来ないとか……

    • 木霊 より:

      こんにちは。

      ソフトウエアに関しては本邦もなかなか人のことは言えないのでありますが、韓国はこの辺りを疎かにしている気はします。
      特にAESAレーダー辺りは、そう簡単にはコピーできないようですね。苦戦の様子が伝わってきます。
      そして、いつものことなんですが韓国の兵器開発費って一桁少ないんですよね……。何をコストカットしているのか?気になりますねぇ。

      ミーティアだって、本当に使える状態なのかは不明ですよ。狙った標的を破壊したとかいう報道は、終ぞ見かけたことがありませんから。