F-16Vの影に怯えるKF-21と韓国空軍

空軍

中央日報が嘆き節である。まあまあ気持ちは分かるが、これ「画餅」と言われるような話なんだよね。ともあれ、少し見ていこうか。

米国戦闘機F-16の長寿で市場が狭まる韓国産戦闘機

2021.05.25 15:35

米空軍の戦略爆撃機B-52ストラトフォートレスは1956年に初めて導入された。ところが2021年現在も飛行しているうえ、最近はエンジンと航空電子装備をアップグレードしている。B-52を2050年代まで使用するというのが米空軍の構想だ。米ロッキードマーチンの戦闘機F-16もB-52に続いてセンチュリークラブ(導入100年)を狙っている。

「中央日報」より

ご長寿戦略爆撃機B-52に続いて、F-16も近代化によって寿命を伸ばそうとしているというのがアメリカ軍の状況である。この報道は、韓国空軍の兵器も、これに影響されるという話なんだな。

何を今更。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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飛べない若鷹は空飛ぶ蛇の影に怯える

F-16の運用は2070年まで?!

にわかには信じられない話だが、韓国メディアがこのような心配をする原因となったのがこちらの記事だ。

F-16s Could Still be Flying Into the 2070s

May 23, 2021

Based on Lockheed Martin’s backlog of F-16 orders, planned upgrades, and the recent revelation that the Air Force plans to depend on the fighter into the late 2030s, the F-16’s sunset years now could come in the 2070s, or later.

「AIR FORCE」より

記事によれば、F-16Vは128機の生産が決定し更に調達数が増えると予想していて、生産工場を増やしているようだ。F-16のバージョンはブロック70/72となり、F-16V「バイパー」と呼ばれるようだ。機体フレームの強化からエンジンの増強やらセンサーの強化やらを施した最強のF-16というわけだ。

更にこんなニュースもあった。

ロッキード・マーティンとベル、F-21プログラムでパートナーシップ

配信日: 2020/02/12 21:35

ロッキード・マーティンは2020年2月7日(金)、インド空軍の戦闘機F-21プログラムを獲得するため、インドの防衛エレクトロニクス企業のバーラト・エレクトロニクス(ベル:BEL)と、覚書を署名しました。

ロッキード・マーティンは、インド空軍へF-21提案のため、インドの企業とのパートナーシップを強化および拡大しています。

F-21は、インド空軍のMiG-21後継機に提案するF-16ブロック70のインド向けの名称です。

「Fly Team」より

インドがこの提案に乗るかは不明だが、F-16Vを更にグレードアップしたF-21と呼ばれる戦闘機も企画されている。

今やF-16Vが大人気というわけだ。

この背景にあるものは、安価に作られる予定だったF-35の生産の遅れと高価格化、それに加えてF-35Aの運用コストの高さが問題視されている。未だにF-35は様々な問題を抱えていて、優れた性能を維持するためのメンテナンス費用も恐ろしく高い。更に、現在ブロック3Fというバージョンからブロック4にアップグレードする話も、なかなかコストがかかるようだ。

最近、整備用情報システムALISからODINに改善されて稼働率が大幅に改善したとされているものの、すでに調達遅れが決定的。

つまりF-35も強いことは強いのだが、金食い虫でまだ時間を要することは事実なんだよね。

そのため、F-16の延命やF-15EXの導入が検討されている。

そうした事情から、アメリカ軍としても当面はF-16系の戦闘機を使い続ける予定で、少なくとも2040年頃迄は使うよというのがAiR FORCEのニュースなのだ。

なお、米軍ではこの他にもMR-Xと呼ばれる新型マルチロール機を予定しているという噂があるものの、2035年頃までは600機体制でF-16を運用し続けることが報じられている。

後発のKF-21は飛ぶ前から不安でいっぱい

で、この事が韓国空軍にとって不満で、不安なのだ。

なお、韓国軍が運用するKF-16に関してはお笑い韓国軍空軍編やライト版で触れているのだが、2025年頃までに近代化改修がなされてF-16V相当の能力を獲得する予定なんだとか。

まあ、こうした近代化ラッシュは、回り回って米軍のF-15EXや自衛隊のF-15Jにも影響を及ぼしてくるわけだが、そこはさておこう。

問題はどちらかというとコンセプトが被ってしまうKF-21だ。

問題はF-16の「無病長寿」が韓国が独自開発したKF-21ボラメの市場を奪うという点だ。KF-21の開発目標は「F-16を上回る性能」だ。ところがF-16も換骨奪胎を繰り返し、KF-21との性能の差が狭まっている。

KF-21が経済性を持つには400機以上を販売する必要がある。すでに実戦で検証されたF-16が現役で長寿するほどKF-21の市場が狭まるというのが業界の見方だ。

「中央日報”米国戦闘機F-16の長寿で市場が狭まる韓国産戦闘機”」より

そもそもコンセプト設計に七転八倒していたKFX(現在の名前はKF-21)だが、この程ようやくお披露目となった。

計画では、韓国軍は120機のKF-21を取得することになっていて、出資すら危ぶまれる共同開発国にエントリーしているインドネシアは48機取得するらしいという噂がある。しかし、それだけなのだ。

更に、インドネシアが手を引くと開発費を国内供給分だけで割らねばならないのだが、それも飛べるのかが怪しい。早ければ来年7月にも飛行する予定のようだが。

KF-21が低コストで供給されるためには400機ほど製造されなければならないという計算らしく、現状ではとても足らない。

開発スケジュールは順調か?

参考までにF-16Vの価格を見てみよう。

米、台湾へF-16最新型売却 66機

2020年8月15日 23:59 JST

米国防総省は現地時間8月14日、ロッキード・マーチンがF-16戦闘機の製造を受注したことを公表した。同盟国に向けた有償軍事援助(FMS)の新造機で、契約期間は10年間、総額620億ドル(約6兆2000億円)、機数は90機。相手先は明らかにしていないが、AFP通信やブルームバーグなどによると、このうち66機を台湾へ売却するとみられ、発表では2026年末までに終える予定だとしている。

「Aviation Wire」より

単純に取得する機数で割るのもどうかと思うが、ザックリ1機7億ドルという計算になるね。ただまあ、ロッキード・マーティン社の受注だけの話なので、単体価格が分かるわけではない。なので、もう1つ紹介しよう。

バーレーンがF-16最新型ブロック70を16機発注

2018/6/29 17:22

2018年6月25日(現地時間)、ロッキード・マーティンは中東のバーレーンからF-16の最新型、ブロック70を16機分受注したと発表しました。F-16ブロック70の発注は、これが初めてとなります。

「おたくま経済新聞」より

約27億8500万ドル(約3000億円)で購入したといわれるバーレーンのF-16は16機。1機あたりの導入単価は1.74億ドル(約188億円)となる。

……F-35Aよりも随分高くなるね。

2025年頃に飛べれば御の字じゃないかな?2026年までに開発終了する予定になっているけれど、遅れれば遅れるほど存在意義は薄くなる。現時点で8兆ウォン(日本円で約8000億円)かかるとも言われている開発費だが、量産9兆6000億ウォンと合わせて総額18兆1000億ウォンだとされている。

まあ、むしろそれっぽっちで終われば優秀である。

100機作れば1機180億円程度になるね!

F-16Vは高コストだが、量産されれば価格が下がる可能性が高い。一方のKF-21は開発期間が延びれば伸びるほど開発費が嵩むことになるので、確かに「心配」にはなるだろう。

でもねー、その心配は飛んでからにしようねー(棒)。

コメント

  1. > でもねー、その心配は飛んでからにしようねー(棒)。

    「どのように制御するかを決める装置は操縦者の両耳の間にある」「それをロッドやワイヤーで動翼などに伝える」時代ならばともかく、今の飛行機はソフトが重要なんだけど、作れるのかなぁ。それらしき物は出来るだろうけど、PCやスマホアプリとはレベルが違うんですよ。

    「いつも(今も、1時間後も、明日も、突発的な異常事態が起こっても)正しく動作する事が求められます。これ、とっても難しいんです。
    ソフトは売っては貰えないとは思いますが、もし売って貰えたとしてもキメラ状態では「そのまま使う」事はできない。どうするんでしょうね。ついでに、アクチュエータとか油圧ポンプとかにも絶対的な信頼性が求められます。勿論、電源の「リチウムイオンバッテリー」もね。

    首尾よく飛んだとしても、実験機レベルでしょう。どんなに甘く見ても「実証試験機」でしょう。実戦配備なんか遥か彼方だと思います。

    将来の戦闘機のための実験機です。技術習得のための投資です・・・とかにして置けば良かったのになぁ。

    戦車の二の舞でしょうね。・・・えっ、例の戦車、名品だって??

    • アメリカからソフトウェアが、という希望はなかなかムシの良い話ですが、アメリカは断りそうですよね。
      現実的ではありませんから。

      先ずは実証機あたりを飛ばせば良いのに、いきなりですから、なかなかのチャレンジャーだと思います。
      丁半博打ではないのですから、困ったものです。

  2. FMS手数料や、保守費用や予備パーツ代、トレーニング費用やシミュレーターなど全部込みなので、機体単価ではないですね

    • ご指摘の通りなのですが、価格は分離して考えるのも難しいデスから、「あくまで参考の数字」ということでご理解下さい。
      機体単価も、アメリカ国内で使う場合と、海外に売る場合では違いますしね。

  3. 木霊さん、おはようございます。

    F-16は初飛行から約50年で約5200機製造されたF-4ファントムⅡを上回る生産数になるかもですね。
    超音速で5000機以上生産されたのはF-4を含めMIG-19・MIG-21・MIG-23の4機種しかなく、F-16が5機種目となる可能性大ですね。
    名機の評判の高いF-4ですがベトナム戦争では苦戦し、キルレシオがほぼ100%のF-16とは比べられないでしょうね。

    >約27億8500万ドル(約3000億円)で購入したといわれるバーレーンのF-16は16機。1機あたりの導入単価は1.74億ドル(約188億円)となる。

    契約には武器・予備品・メンテ費用も含まれているので、一概に1機当たりで割ると採用各国で差が出るのは当然でしょう。
    一般的には随分高額になっちゃいましたが1機約70億以下じゃないかな。
    4.5世代機でマルチロール任務に対応可能な軽戦闘機としては競争力十分で、これからも欲しがる国は増えると思います。

    >KF-21が低コストで供給されるためには400機ほど製造されなければならないという計算らしく、現状ではとても足らない。

    さて、早くも焦り始めているKF-21の輸出計画ですが、F-16V以下の価格70億未満(例えば50億以下とか)じゃないと鼻にもかけてもらえなんじゃないかなァ~。
    輸出許可は根幹技術を担う国からがんじがらめで易々と承認は取れないと思いますし、アメリカ製武器は現時点で搭載不可能なんですから、最初からハンディが大き過ぎの様な気がしますね。
    開発当初から輸出需要で開発費もペイできてウハウハ儲けると考えていたのなら、相当マヌケな発想だとしか思えません。

    >でもねー、その心配は飛んでからにしようねー(棒)。

    まあ、初飛行のニュースまで時間がありますから、外野としてはそれを楽しみに待ってますよ。

    • 2040年代まで使うとは。
      少し古いネタですがエースコンバット3の2040年代の世界でF16やF15が現役で使われいました、もちろん最新の技術で魔改造されている設定ですがフィクションにリアルが追い付いて来ましたね。

    • F-16は登場したときとは全く別の機体になっちゃいましたね。
      初期のF-16は30億円程度だった気がするのですが。

      ちなみにF-16Vの単体価格ですが、色々調べてもよく分かりません。でも、100億円を超えるレベルになるのではという話をしている方もいますので、初期より高コストになったのは確かでしょう。機能も相当追加されているので、割安なのかもしれませんが。

      KF-21の価格ですが、200機異常作らないと話にならないという指摘が出ています。どうですかね?50億円以下でも欲しくはないと思いますが、50億円切ったら買えるんですかね。
      ご指摘の様に、アメリカ製兵器が使えないというハンデがありますし、今のところそれ以外の国で作られた兵器が使えるかも分かりません。先が思いやられます。

  4. 台湾の経国を例に出すまでもなく、自国開発(と言えるかは別として)の競合する期待を保有することは調達に有利に働くんこともあるんですが……儲けることしか考えてないからそこまで考えが及ばないか。
    まぁ、まずは飛ばないと話になりませんが。

    幸いなことに南朝鮮を攻撃可能な周辺国でKF21を欲しがる国がないから、気楽に売れるんでしょうけど。
    なんにしても、飛んでからですね。

    • ご指摘の台湾の経国はなかなか優秀な機体のようで、かつ、台湾が拘っていてコレを更に改造する話もありますね。
      次期練習機AIDC T-5の試作機ロールアウト式典があって、練習機として生き延びる予定のようですが、経国ベースであれば、兵器さえ積めば戦闘機転用も可能ですかねぇ。
      何れにしても、台湾は小さな国ですが、戦闘機の技術を磨く上でもこうした開発継続は必要だと思います。

      KF-21も気長に改良していれば、使いどころは生まれる可能性はありますよ。
      ……今他の記事を書いていますが、その「気長に改良」というのが韓国は苦手なんですがね。

  5. フライトコントロールをどうするのかは割と気になるところで、外注するにしてもこればっかりは機体の現物渡して乗り回して地道なテストを繰り返す他無いと思うのですが…ベクターノズル取っ払っちゃったF22。飛ぶには飛ぶでしょうけれど。