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韓国空軍のKF-16戦闘機が墜落

韓国空軍
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操縦士は脱出したようで何よりである。

安全性議論の韓国空軍KF16戦闘機が8度目の墜落…操縦士は非常脱出

2022.11.21 06:48

KF16戦闘機1機が夜間飛行中にエンジン異常で墜落する事故が20日に起きた。韓国空軍によると、この日午後8時5分ごろ江原道原州西部上空で戦闘哨戒任務中だった第19戦闘飛行団所属のKF16戦闘機でエンジン異常が発生し操縦士が非常脱出した。

中央日報より

戦闘哨戒任務中、か。朝鮮半島の情勢もかなりきな臭くなっているから、戦闘機による哨戒任務は増えていたのだろうか?

原因はメンテナンス不足

KF16は主力戦闘機

韓国空軍が配備している戦闘機の中で、KF16戦闘機は主力に位置づけられている。性能の面ではF-15K戦闘機やF-35A戦闘機に及ばない部分もあるが、残念な事に、F-15K戦闘機は近代化改修待ちで十全に運用出来るとは言い難い状況だし、F-35A戦闘機の方は実戦配備されているかどうか微妙なところである。

折角購入したアメリカ製の戦闘機なのだが、韓国空軍が運用すると残念な感じになる模様。

KF-16に関してはこちらの記事でも色々触れている。

一応、近代化改修のプランが実施されて、ロッキード・マーティン社が順次近代化改修することになっているのだが、イマイチどこまで近代化されたのかはよく分かっていない。

空軍関係者は「非常脱出した操縦士は無事で、空軍航空宇宙医療院に搬送する予定。戦闘機墜落にともなう民間被害は確認されていないが確認を進めている」と話した。今回事故が起きた機種は単座型のKF16Cだ。

~~略~~

今回事故が起きたKF16は1991年から導入し始めた戦闘機で、ロッキード・マーチンのF16戦闘機を韓国でライセンス生産した機種だ。

中央日報「安全性議論の韓国空軍KF16戦闘機が8度目の墜落…操縦士は非常脱出」より

が、今回事故が起きた機体は、どうやら1991年頃に作られて更新されていない機体だった模様。

貴重な機体がロスト

残念な事にエンジントラブルだったらしく、KF-16戦闘機は失われたようだ。

事故機が墜落した場所は原州基地から西に約20キロメートル離れた京畿道楊平郡の山岳地帯だと空軍は明らかにした。

中央日報「安全性議論の韓国空軍KF16戦闘機が8度目の墜落…操縦士は非常脱出」より

山中に落ちてしまったので、流石に修理が出来る状況ではないだろう。

おそらく、現地に入った捜査員が、原因究明して行くのだと思うのだが、果たして原因が明らかになるかどうか。墜落してしまうと、証拠が残りにくいからねぇ。燃えてしまったりしたら、恐らく原因追究は難しくなってしまう。

ただ……、韓国の場合は原因らしきものは容易に類推できる。

軍消息筋は「具体的な事故原因を調査しなくてはならないが、KF16もやはり主に90年代に導入しすでに30年を超えた戦闘機があるF4・F5系列の戦闘機を含め老朽化した機種をどのように運用するのか対策が急がれる」と話した。

中央日報「安全性議論の韓国空軍KF16戦闘機が8度目の墜落…操縦士は非常脱出」より

こんなことを書いているが、KF-16にしても製造から30年経過して、一度も近代化改修がなされておらず、適切にメンテナンスされていたかも疑わしい。

日本の航空自衛隊もこの状況を笑えないのだが、随分と韓国空軍においても共食い整備が恒常化しているだけでなく、メンテナンスも随分と疎かにされているようで。

これは有名な写真なのだが、米韓合同演習か何かで米軍機と編隊を組んで飛んでいるショットで、手前の韓国軍機は随分と薄汚れている。口が悪い人は「油漏れだ」として、メンテナンス不足を指摘している。

一番手前の戦闘機の汚れは、恐らくM61バルカンの発射口であるから汚れているのだが、よく見ると垂直尾翼なども汚れている。その隣の戦闘機はさらに発射口付近が激しく汚れていて、垂直尾翼周りも同様に汚れている。

M61バルカンの発射訓練をしていたのであれば、この様な汚れが生じるのは当然なのだが、それにしては米軍機は綺麗なものである。他の部分の汚れも含めて考えると、メンテナンスが行われていないからこの様な状態なのではないか?という疑いが出てくる。

まあ、この他にも慢性的な部品不足や、メンテナンスの不備に関しては根拠に暇がない程である。

単発エンジンだからダメなのか?

ところが、韓国メディアはおかしな分析をしている。

KF16の墜落事故は今回を含め8件だ。軍内外では単発エンジンを装着したKF16の安全性問題が議論になっている。事故発生時の生存性が落ちるという理由からだ。

中央日報「安全性議論の韓国空軍KF16戦闘機が8度目の墜落…操縦士は非常脱出」より

単発エンジンだからダメなんだー!という結論になっているんだよね。

まあ、確かに単発エンジン機の生存性が双発機よりも低く見積もられているのは事実だが、今回の焦点は恐らくそこではない。

では何か?は論ずるまでもなくメンテナンス態勢の見直しである。

F-4やF-5のような老朽化し、かつ部品調達が困難になってきている戦闘機に関しては、メンテナンスや近代化改修を進めるよりも新たな戦闘機に更新すべきだと言えるが、F-16系は世界中に販売したベストセラー機なので、部品調達は比較的容易だ。

残念な事に、現在、世界中でF-16V戦闘機の引き合いが多くなっているので、慢性的な部品供給不足に陥りがちだが、そもそもF-16系の戦闘機は採用されてから随分と時間が経ち、その技術は陳腐化されつつある。多くの部品に関してライセンスが切れている。韓国内に整備用の部品製造拠点を作ることができれば、世界に供給するチャンスもあるのだ。

そういう努力をしても良い機体だと思うんだけどね、新規製造を試みているKF-21戦闘機に全力投球するだけでなく、F-16系戦闘機の部品製造に力を入れてみては如何だろうか。

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