そもそも、韓国空軍に空中給油機が必要なのか?という疑問はあるんだけれども。
ユン政府、空中給油機の追加導入をあきらめる
入力2023.11.11.午前7時 修正2023.11.11. 午前10時49分
韓国空軍の空中給油機の追加導入事業が中止危機を迎えた。毎年稼働率が落ちて戦力支障はもちろん、事業参加意思を明らかにした海外企業でも技術的な問題が発生し、競争入札が難しいからだ。
NAVERより
それでも韓国空軍としては空中給油機が欲しかったようだ。
それでも空中給油機が欲しい
空中給油機を買った!
えーと、このブログでは空中給油機に関する記事を書いている。
韓国空軍が保有している空中給油機は4機。彼らが何故空中給油機を欲するのかは疑問ではあるが、とにかく買ってしまった。
KC330という制式名称が付いているが、これ、エアバスのA330 MRTTである。最初はアメリカ製のKC-46を買おうか迷っていたのだが、最終的にはA330 MRTTを選んだ。
日本の航空自衛隊がKC-46を選んだ(4機注文中)のとは路線が異なるわけだが、これに関して言えば、おそらく韓国空軍が正解だったと思う。ボーング社が開発しているKC-46は、開発の遅れと度重なる仕様変更などでかなりアメリカ空軍も手を焼いているからだ。場合によってはアメリカ空軍の次の調達からはKC-46が外れるかもしれないという噂も出ている。
さておき、この度、韓国空軍はこれを増やそうという話が出ている。
11日、軍によると防衛事業庁は去る8月事業妥当性調査を終え、2029年まで総事業費1兆2000億ウォンをかけて空中給油機2機を国外で追加購入する予定だった。1次事業の際に導入した「シグナス」(KC-330)4機では、戦力上不足だという判断からだ。
NAVERより
良くわからない話だが、6機体制にしたいってことなんだろう。
「良くわからない」と言っているのは、韓国空軍が空中給油機が必要だと言い張る理由がわからないという意味だ。報道などでは竹島上空での作戦時間を伸ばせるという事を言っているんだけど、それって国防上、そんなに大切なことですか?
そもそも、竹島上空の制空権を持ってたって、あまり意味はない。ヘリボーン作戦をやれるような場所でもないし。
日本の場合は縦に長い日本列島をカバーするためには、都合良く民間空港に降りられないこともある。複数の本土から離れた離島もあるのでカバーする必要のある空域は意外に広い。したがって、空中給油機を備えておく意味が出てくるわけだ。が、韓国の場合は先ずは戦争中の相手の北朝鮮対策が必要であり、その場合に空中給油機を使うことはメリットが薄い。空中給油機を保有していれば、作戦の使える作戦のバリエーションは増えるんだろうけど。
空中給油機が必要の前提だと
とはいえ、空中給油機がそもそも必要なんだという前提に立つと、確かに4機では少ない。
通常軍では武器体系を1セット当たり4機を導入すると、非常待機、整備などを勘案すれば正常稼働できる台数は1機に過ぎない。空軍が運営するE737ピースアイも4機を運営しているが。飛行安全のための初度創整費(8年周期)遂行で稼働率が下落しているのと同じ理由だ。
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おっと、B737 AEW&C「ピースアイ」(韓国空軍ではE737と制式名称が決まっている)さんの悪口はそこまでだ。彼は共食い整備が祟って、まともに飛べるのが1機だけだという噂だぜ?(注:噂であると韓国空軍は否定している)
なお、E737は4機を8時間交代で24時間体制で運用すると言われていたのだが、実際には整備に回す機体が必要となるため、計画通りには飛べていないだろう。E737も2機追加したいなーという話があったね。
でまあ、KC-330も2機増やして6機体制にすれば、理論上は2機ずつの運用が出来るね!尤も、監視任務をやるわけではないのでE737とは使い方が違うんだろうけども。
ではどんな使い方が想定されているのか、という事なんだけど、コレが良く分からない。記事中でもこんな計算が披露されている。
軍は空中給油を受けることができる被給油航空機が増え、空中給油機の台数も一緒に増やさなければならないという立場だ。韓国空軍はF-35ステルス戦闘機、KF-21などを追加導入する必要があるが、これに比べて空中給油機の数が非常に不足しているということだ。戦力的な面で、50余台の被給油航空機に1台の空中給油機が必要だ。KC-330は111tの燃料を搭載でき、F-35Aは最大15台、F-15Kは最大10台、KF-16は最大20台に給油できる。
NAVERより
「空中給油を受けることが出来る戦闘機が増えたから、空中給油機増やそう」というロジックがもう意味がわからない。
そもそも、KF-21は空中給油に対応しているのか??
まあいいや。
大型輸送機としても使える!
あと、気になったのがここ。
これまでKC-330は韓国空軍の空中給油機であり、大型輸送機の役割も果たした。民間旅客機であるエアバスA330-200を改造したシグナスは、人員300人余りと貨物47tを輸送できる。全幅60.3m、全長58.8m、全高17.4mで、最大速度はマッハ0.86、最大巡航高度は約1万2600m、最大航続距離は約1万4800kmだ。
シグナスは空軍が保有した輸送機C-130より航続距離が長く、より多くの人員を燃やすことができ、イスラエル教民輸送作戦に投入された。2020年7月、コロナ19の拡散によりイラクに派遣された労働者を輸送し、2021年7月にはソマリア・アデンマン海域で任務を遂行する清海部隊将兵を輸送した。2021年8月にはタリバンがアフガニスタンの首都カブールを占領する際、現地助力者たちを国内に連れてくる「ミラクル作戦」を遂行し、今年4月にはスーダン内戦時に現地教民を輸送する「プラミス作戦」に投入された。シグナスはこの他にも2021年、洪範島将軍有害封環と要素数緊急空手作戦にも投入され、今年2月には強震被害を見たチュルキエに緊急救護隊と物資を送る人道的支援作戦も遂行した。
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いや、確かに様々な輸送任務に参加しているのは知っているし、KC-330がA330-200ベースの機体だから、300人の乗客を運べるのも分かる。
分かるんだけど、それは空中給油機を使うべきなの?イスラエルからの避難の際には邦人を載せていただいて感謝もしているんだけど。
……ああ、そういえば、韓国空軍って、輸送機はC-130輸送機(定員92名)とCASA CN-235輸送機(定員45名)しか持っていないんだっけ。この2機種に比べれば、確かにKC-330は空中給油がメインの業務とはいえ、大型輸送機としても優秀だわ。航続距離も長いしね。そもそも軍用の輸送機って、メインの任務は多数の人員を長距離運ぶことではないから、旅客機を改造した本機が人員輸送に適しているというのは当たり前の話ではあるんだ。自衛隊もC2輸送機2機(定員110名)の他にKC767空中給油機1機(定員200名)を出しているしね。ただ、輸送任務がメインで使えるかのような扱いというのは、ちょっと違和感は残る。
ともあれ、今回、ユンユンが空中給油機の導入を見送るような格好になっている理由は、「必要」とか「必要じゃない」とか以前に、政府予算が足りないから余計なところに回していられないという余裕の無さが理由なんだと思うよ。KF-21戦闘機の開発にも多額のお金が必要だしね。
コメント
そもそも巻頭の木霊様の一言で全てを言い表してるのですが……
何故にコイツらが持ちたがるのかと言うと、見栄か、はたまた竹島ても何でも良いから日本を空爆したいからでせう。
とりあえず一発落とせば日本にしてやったと下らん自己満は持てる。
その為に下らん予算を使っても、日本相手なら構わんのでせう。そういう国で。
いやまあ、何というか、余り知られていない軍事作戦を展開する用意なのかもしれません。
使い勝手の良い輸送機的な位置づけで、実際使っているわけですから無駄にもなりませんしね(苦笑)。
F-35の重整備が日本で出来ないとなるとオーストラリアまで飛ばす必要が出て来そうです。
その為ではないかと笑笑
そ、その発想は無かった!天才か!(苦笑)
いやしかし、その可能性はあるかも知れませんねぇ。それが実現するかどうかはともかく、そういう計画はあっても不思議ではありません。
あはははは匿名様に座布団1枚!
こんにちは。
>そもそも、韓国空軍に空中給油機が必要なのか?
北からの地対空や空対空を考えると、相当に南下させたところに滞空せざるを得ず、北側の戦線では意味を成さない(降りた方が早い)ですよね。
南側は……彼らの「仮想敵」相手に、何やっても……ねぇ……
彼らの「チョッパリが持ってるからウリも欲しいニダ!」がなければ、もう少し色々と現実的な装備を調えられたのでしょうけれど……
まあ、良いんじゃないですか?韓国の武器、世界で引っ張りだこなんでしょう?
そのお金で買えば良い。
こんにちは。
一応、支那やロシア、日本を仮想敵だとすると、ステルス戦闘機を欲しがるのも、空中給油機を欲しがるのも理解は出来るんですよ。
出来るんですが、韓国の国家予算規模で日本と同じような装備を揃えようとするのは、どう考えても無理ゲーです。
>支那やロシア、日本を仮想敵
……え……?
逆に、誰が味方……?
……あ。北朝鮮か。