韓国の自走砲がK9A1にアップグレードされる

陸軍

あの名品武器である「K9自走砲」が、K9A1自走砲としてアップグレードされて配備されているというニュースがあった。

ハンファディフェンスの「K9自走砲」2兆ウォン規模の輸出

2019-05-27 15:50

去る1月19日、インドグジャラート州(州)でK9自走砲の現地生産工場の竣工式が開かれた。イベントに参加したモディ首相は現地モデルに改良されて輸出されたK9に直接搭乗した。

~~略~~

ハンファディフェンス(当時三星テックウィン)が韓国陸軍と海兵隊に300輌以上、インドに100輌ほど納入し、最近では改修事業を通じて性能改良を進めている。昨年8月から性能改良されたK9A1が実戦に配置されているが、陸軍は2030年までにすべてのK9をK9A1に改良する計画だ。

「news2day」より

鼻息の荒い話ではあるが、しかし……K9A1って何が改良されたのよ。

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K9 155mm自走榴弾砲は世界一いぃぃ!

名品武器だが迷品だ

このブログでもお馴染みK9自走砲なのだが、これの最大のメリットは何と言っても「安価」で「高性能」というのが売りなのだ。

カタログスペックでいえば、ドイツのPzH.2000に迫る機能を持っているのだけれど、価格は何と半額以下。

そそり立つ砲は52口径155mmで、多数の砲弾を砲撃できるとしている。あれ、そういえば、仰角は最大70度だったはずだが、その辺りも改善されたんだろうか。写真だとそれ以上の角度になっている気がする。

しかしまあ、延坪島での実戦射撃(2010年11月23日)では散々な成績だったといわれているから、仰角よりも命中精度とか連射性能とかが改善されると良いんだけど。

何をアップグレード?

さて、このK9自走砲だが、1999年頃に韓国陸軍に正式に採用されているので、20年前のモノではある。だが、自走砲の世界では設計が「古い」とも言えない。

多くの国では自走砲の新開発というのはやっていないので、K9自走砲は最新の部類に入るのだ。日本の99式も同じ年に採用されているので、日本のも最新式なんだけどね。

さておき、このK9自走砲はK9A1としてアップグレードされている。アップグレードの時期は2018年8月と言うことらしい。

K9A1の性能改良の範囲は、自動射撃統制装置、操縦手夜間潜望鏡、補助動力装置、位置確認装置、リアカメラなどである。最大の変化は、自動射撃統制装置のオペレーティングシステムの交換で、既存のK9のDOSシステムを、Windowsシステムに変えて、デジタル地図と電子教範も搭載した。また、位置確認の衛星航法装置(GPS)を追加し、夜間潜望鏡も非冷却熱箱型の方法で改善した。

「news2day」より

ふむ、色々手を加えたようだね。

  1. 自動消防システムの改善
  2. INS + GPS(位置確認装置)
  3. ドライバーサーマルペリスコープ(操縦手夜間潜望鏡)
  4. 補助電源ユニット(補助動力装置)
  5. 自動射撃統制装置のOS交換
  6. リアカメラ

ただ、若干気になるところも。「既存のK9のDOSシステムを、Windowsシステムに変えて」って、どうしてWindows選んじゃったのさ!

韓国政府、WindowsからLinuxへの移行を検討

2019年5月22日 22:28

headless曰く、 韓国で政府機関が使用するPCのOSをWindowsからLinuxへ移行する計画が持ち上がっているそうだ(The Korea HeraldBetaNewsSoftpedia)。

 計画は2020年1月のWindows 7サポート終了を前に、Windowsを維持していくためのコストが懸念される中で持ち上がったという。韓国行政安全部によると、Linux OSを使用するPCでテストを行い、セキュリティや互換性に問題がなければ政府内でより幅広い展開を行うとのこと。Linux OSへの移行と新しいPCの購入にかかる費用はおよそ7,800億ウォン(約720億円)が見込まれており、費用の低減と単一OS依存回避が期待されているとのことだ。

「財経新聞」より

実は、韓国は政府機関で違法なWindowsを使っていた事でも有名で(違うという指摘もあるが)、コピー製品を使っていてアップグレードできなかったという事件も過去にはあった。よって、LinuxをOSに選んだらWindowsとの互換性で問題が起きるに決まっているじゃ無いか!と、無粋な突込みを入れても仕方がない。

政府機関でもこの調子なので、軍部はさらに遅れていても不思議はないのだが、よりにもよってWindowsをOSに選んでしまったのか。

作戦中にアップグレードが入ってブルースクリーンになるという笑えない事態が起きないことを祈りたいところだが、それよりも、何故DOSと言う言葉を使ったのかがよく分からない。Disk Operating Systemという言葉は、Windowsには使わないような……。

考えられるのは、改造前のK9はMS-DOSをOSに採用していたパターンと、記者が知識に乏しいパターンだが、まあ、正直どちらでもいい。Windowsをチョイスするのがヤバイね。

戦術データリンクは搭載していない?

そして、もう一つ気になるのは、戦術データリンクかそれに類するシステムを今回も搭載していないっぽいことだ。

K9は慣性航法装置(INS)と衛星測位システム(GPS)をこれまで搭載していなかったので、それに対応した点は評価出来るのだが、何故、射撃管制装置にデータリンクシステムを採用しなかったのか、と。

ただでさえ韓国軍は軍用GPSに制限がかけられていると噂されていて、射撃精度向上にネックがあると思われている。

韓経:【コラム】GPS主導権競争=韓国

2018年11月28日10時35分

~~略~~

米国、日本、ロシア、中国など主要列強が勢力争いをする韓半島(朝鮮半島)は世界で最も激しいGPS角逐場だ。

だが韓国は17年後に「GPS主権」を確保できる見通しだ。韓国政府は第3次宇宙開発振興基本計画により2035年まで2兆3000億ウォンを投資し韓国型衛星航法システム(KPS)を構築する予定だ。2024年までにGPS衛星搭載体技術を開発し、2028~2034年にGPS衛星7基を打ち上げる計画だ。

「中央日報」より

こんなコラムが紹介されていたが、韓国は自前の人工衛星が少ないうえに、航法システムに採用できるような人工衛星を持たない。軍用GPSの噂が嘘であったにせよ、アメリカから使用制限をかけられるリスクは常にある。

INSの搭載はどちらかというと補助の意味合いが強いと思うので、肝心のGPSの精度が残念だと結果はお察しだ。

その辺りはK9A2とかの計画で改善していくかも知れないが、そちらも不安なネタを引っ掛けた。

追加のアップグレードはすでに研究されています。「スーパーK9A2」と呼ばれる、部分的に無人のシステムの導入、射程と射撃速度の向上、乗組員の削減などの機能が、高度に自動化されたシステムを作成するために検討されています。成功した場合、乗組員の数は5から3に減少し、平均発砲速度は毎分6発から10発に増加する可能性があります。

個人ブログより

無人システムの導入だと?

部分的とはいえ無人化を推進するというのは、悪い話では無いが、悪い予感しかしない。

それに平均発砲速度は既にカタログスペック詐欺であることが明らかになっているので、それが向上するといっても数字上の話であって、実現可能とは到底信じられないな。

ま、頑張ってくれると、僕としてもうれしいのだけれど。ネタが増えるからね!

コメント

  1. ozunu より:

    測位システムは、敵国になる可能性のあるGPSなんかじゃなく、GLONASSなり北斗なり、提供してくれそうなお友達のを使えばいいんじゃないですかね。

    • 木霊 より:

      レッドチーム仕様ですか(苦笑
      お友達のシステムを導入するためには、技術開示しないとダメでしょうからなかなかそれもハードルが高そうですね。
      いっその事、支那から武器を買えば良いのに。

  2. 暇人 より:

     昨年8月のアップグレードの内容の元ネタはこちらのようですが、
    http://southkoreanmilitary.blogspot.com/2018/09/south-korea-fields-upgraded-k9a1.html

     図を見ると説明文に無いですが、BTCS(Battalion Tactical Command System)と称するデータリンクを装備しているようですね。
     ただ「日本周辺国の軍事兵器」の記載では、INS/GPSやデータリンクは最初から装備していたようですが、図を見るとA1から装備した感じで、K9の実力ってどんな物なんでしょう?? 素のK9には無かった、のでしたら、他の自走砲の半額というのも納得できるのですが、その程度の性能で自国や輸出先が満足していたのでしょうか?

    • 木霊 より:

      一応、アップグレードの内容はwikipedia(韓国語版)でも確認出来ますが、そちらのサイトも参考にしました。
      普通に考えるとINS/GPSを装備していないわけが無いハズなのですが……、今回の記事だとK9A1から装備されたことになっています。
      外国に散々売りつけている無印のK9は、使い物になるんでしょうか。
      それとも、改造前提で買っているのかな?

  3. マスメディア反乱軍 より:

    陸自の99式は火砲数制限で75式の約200両(退役済)の半分程度の調達で終わっています。
    国境線が陸と海との違いがあるので南朝鮮の過多云々と比較するのはナンセンスなのですが、確か未だにアメリカのM109も1000両保持してるんじゃないかな。(使えるかどうかは別にしてですが)

    主に国境紛争などの緒戦で南進してくる敵を、ロングレンジから火砲を含む車両や歩兵に打撃を与えるのが主用途の兵器ですよね。
    大国さえも更新予定がないのですから20年モノでも需要はあるでしょうけど、GPSと火力統制システムのデーターリンクは必須じゃないかな。

    トルコやインドは核心部分は自国改善版で戦力化するつもりかもですし、木霊さんの過去記事も含めどうやらドンガラだけ輸出してるって感じがしますね。(笑)

    まあ、ドンガラだけでも一応輸出実績になりますから、ライセンス料込みで回収できれば御の字と思ってるんじゃないかと想像しています。

    日本も武器輸出するなら99式は世界的需要は十分にあると思いますが、K9が半額以下なのはほとんど反則で絶対に無理ですね。(苦笑)

    • 木霊 より:

      アメリカはM109から更新する積もりが無さそうですが、アメリカ軍の戦略を考えると、空爆メインで、後は歩兵よろしくーってな感じになっていますので、ロングレンジから火砲というのは、あまりはやらない気がするのですよね。
      最近はミサイル主流みたいですし。
      需要があるから売れているのでしょうけれど、高い兵器は売れず、中古を売るような状況もあるみたいですから、果たして利益になるのかは怪しいですね。