世界で大人気のK9自走砲のエンジンを国産化するニダ!

陸軍

何故人気があるか「理由」を知らないのか?

「K9自走砲」ドイツ産エンジン国産化推進… 来年から5年間750億ウォン投入

記事入力2020.09.15。8:01

政府が750億ウォンを投入して、ドイツ産K9自走砲エンジンの国産化を推進する。

防衛事業庁(防衛事業庁)と産業通商資源部(省)は15日、防衛産業の部品国内研究・開発(R&D)のための業務協約を締結したと発表した。業務協約に基づいて防衛事業庁は防衛産業分野の素材・部品の技術開発課題を発掘・企画して産業省は、開発費を支援する予定だ。防衛事業庁は技術的波及効果が大きく、輸出の可能性が高い主要部品を中心に、年末までに技術開発課題をチュリル計画で、K9自走砲エンジンが最初の事業として、事実上選定されたと伝えられた。

「NAVER」より

韓国のこの開発動機は分かるし、可能か不可能かで言えば可能だろう。余計な事をしなければね。ただ、それは悪手なんじゃないかなぁ。

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世界で大人気、K9自走砲

世界で大人気にK9自走砲

K9自走砲と言えば、このブログでもお馴染みの韓国産兵器である。

先日、オーストラリアが導入を決めたというニュースがあったが、性能はともかく世界中で売れている兵器ではある。下に、参考までに自走砲のスペックを紹介しておくが、そもそもこの手の兵器はなかなか入手することが難しいという側面はあるのだ。

M109A6AS-90PzH.200099式K905式2S35
採用国アメリカ合衆国イギリスドイツ日本韓国支那ロシア
全長9.1 m9.07 m11.67 m11.3 m12 m11.6 m11.9m
全幅3.1 m3.5 m3.58 m3.2 m3.4 m3.38 m3.58 m
全高3.2 m2.49 m3.46 m3.1 m3.5 m3.55 m2.98 m
重量29 t45 t55.3 t40 t47 t35 t48 – 55 t
主砲39口径155mm砲39口径
155mm砲
※改修型は52口径
52口径155mm砲52口径
155mm砲
52口径
155mm砲
52口径155mm砲
※輸出仕様は54口径
152mm砲
最大射程24 km(M107弾)
45 km(BB弾)
初期型
24.7 km(M107弾)
30 km(RAP弾)
改修型
30 km(M107弾)
40 km以上(RAP弾)
30 km(M107弾)
40 km(BB弾)
30 km(M107弾)
40 km(BB弾)
18 km(M107弾)
30 km(RAP弾)
36 km(K310弾)
40 km(K307弾)
53 km(K315 RAP+BB弾)
20 km (レーザー誘導)
39 km (ERFB-BB)
53 km (ERFB-BB-RA)
100 km (WS-35)
不明
射撃速度4発/分6発/分8発/分6発/分以上6 – 8発/分10発/分 (PLZ-05)
8発/分 (PLZ-52)
不明
最高速度64 km/h53 km/h60 km/h49.6 km/h67 km/h56 km/h (PLZ-05)
65 km/h (PLZ-52)
67 km/h
乗員数4名5名5名4名5名4名3名
価格2.2億円相当2.1億円相当6.3億円相当9.6億円3.8億円相当不明不明

あ、一番下の「価格」に関しては目安と考えて欲しい。世代も違うので、単純に比較できる話では無いからね。このうちアメリカのM109はアメリカも更新を検討した古い兵器で、何度も改修はしているし世界的なベストセラーだけれども、今さら新しく買うか?といわれるとこれは無い。イギリスのAS-90と日本の99式は海外輸出実績が無いので、選べないだろう。

西側諸国はロシア製、支那製はNGなので、実質買う事のできるのはドイツのPzh2000と韓国のK9となるわけだ。で、カスタマイズがし易く融通が効き、調達コストの安いK9はカタログスペック的にPzh2000に劣らないこともあって、人気が出ちゃうわけだ。

で、次にK9自走砲を採用した国などを紹介しておこう。

  • 大韓民国陸軍 K9 1,100輌
  • 大韓民国海兵隊 K9 8輌
  • トルコ陸軍 T-155 Firtina 350輌(技術移転してトルコで生産予定)
  • ポーランド陸軍 K9台車のみ 120輌(イギリスからAS-90の砲塔を購入して組み立て予定)
  • フィンランド陸軍 K9中古 48輌(オーバーホール済み)
  • インド陸軍 K9 Vajira 100輌(現地生産予定)  
  • ノルウェー陸軍 K9 Vidar 24輌
  • エストニア陸軍 K9 12輌(予定)
  • オーストラリア陸軍 K9 15輌(予定)

こんな感じで世界で1700輌ほど(うち1108輌は韓国国内で)使われている、ベストセラーと言っても良いかも知れない。

エンジンはドイツ製

さて、K9自走砲なのだが、韓国製と言いつつも、その車両構成は輸入技術に頼る比率が多い。

  • エンジン ドイツMTU社製 MT881KA-500ディーゼルを韓国STX社がライセンス生産
  • トランスミッション アメリカゼネラルモータズ社製 ATDX1100-5A3を統一重工社がライセンス生産
  • サスペンション イギリスHDS社製サスペンション・サブシステムをハンファディフェンス社がライセンス生産(注:三星テックウィン社という表記もあるが、この会社は後にハンファグループに売却されている)

何というか、台車の駆動系はほぼ外国製である。

なお、52口径155mm砲塔は三星テックウィン(現ハンファディフェンス)とADDとで共同開発しているシロモノだが、実は三星テックウィン社はK55自走砲と呼ばれるアメリカ製M109自走砲「パラディン」(注:コメントで指摘戴いたのだけれど、M109A6「パラディン」ではなく、M109A2を韓国にてライセンス生産しているため、「パラディン」は誤り)のライセンス生産品を韓国陸軍に納入している。

K55自走砲が転覆、6人の死傷者

2007.03.12 16:16

12日午前9時40分ごろ、慶尚北道浦項市南区長ギ面(キョンサンブクド・ポハンシ・ナムグ・チャンギミョン)ギルドゥンジェの頂上付近で、某部隊所属のK55自走砲(155ミリ)が転覆、乗組員6人のうち砲手のキム某一等兵(22)が亡くなり、5人は骨折などの重軽傷を負った。

「中央日報」より

2007年に転覆事故を起こしているが、性能改善などをして当面利用される予定のようだ。

K55自走砲の射程を8.5キロ延長、26年ぶりに性能改善

Posted June. 20, 2011 07:52,

K55自走砲が、26年ぶりに画期的に性能が改善された。19日、陸軍と三星(サムソン)テックウィンによると、既存のK55の性能を改善したK55A1約50台が、今年初め、陸軍某軍団に配備された。来年には、約50台をさらに改良する。

「東亜日報」より

K55自走砲は33口径155mm榴弾砲を備えているが、K9自走砲は52口径155mm榴弾砲を備えている。口径の違いはあれど砲身長の違いはあれど、ベースとなる技術はアメリカから得ていたということを考えると、これも国産技術か?という点については不安が残る。

ライセンス生産とまでは言えないかも知れないが、部分的にライセンス生産相当にあたってロイアリティや輸出に関する懸念が残っているんじゃ無いかな、と。

輸出に対する懸念

というわけで、外国技術を使って兵器を作ると、気軽に輸出出来ないなどと言うことが起きてくる。

事実、K9自走砲をUAEに輸出使用しようとした際に、ドイツからストップがかかった経緯があって、こうした事実を苦々しく思っているのは事実だろう。確かFA-50軽戦闘機に関してもアメリカのロッキード・マーティン社から輸出にストップをかけたという経緯(たしか相手はインドネシアだったような)があり、韓国が輸出前提に兵器開発をしている実情とは色々あわなくなってきている。

尤も、ドイツもアメリカも自身の都合で売ったり売らなかったりと、様々に対応が変化する。まあ、ダブルスタンダードだね。だから、両国とも韓国を責めるのはお門違いなのだが、国益が衝突するという点では仕方がない面もある。

それに利用されやすいという意味では、韓国としては自国開発は必須だろうね。

韓国の戦車・自走砲さえ核心部品は外国産

2015.11.13 12:53

韓国の防衛産業輸出が危機に陥ったのは、防衛産業の不正捜査が1年以上にわたりながら韓国防衛産業の製品に対する信頼度が落ちた上に海外マーケティング活動が萎縮したためだ。軍用機や潜水艦、水上艦、弾薬など特定品目に対する依存度が高く、技術競争力が先進防衛産業企業の86%にとどまっているのも理由の1つだ。

韓国の国防科学技術の水準(2014年基準)はスウェーデンと共に世界10位だが、核心部品の開発力ではこれよりはるかに遅れをとっている。国防科学研究所が特に誇る名品武器のK9自走砲のエンジンはドイツのMTUで生産したもので、正確な位置を知らせる慣性航法装置は米国のハネウェルの製品だ。K55自走砲やK1A2戦車なども同じだ。T-50高等訓練機とFA-50軽攻撃機の戦術航法装置はロックウェル・コリンズが供給している。主な抗戦装備が外国産なのでT-50の国産化率は61%に過ぎない。

「中央日報」より

中央日報でも過去にこんな記事を出していたのだけれど、こうした鬱憤は随分と前から溜まっているのだろう。

K2戦車のパワーパックは国産化失敗し

さて、で、冒頭のニュースなのだけれども、自走砲のエンジンを国産化すると言うことについて不安が過ぎる人も多い(期待に胸が膨らむともいう)と思う。

この記事では基準に満たないパワーパックを性能にあわせてディスカウントして販売するぜ、というとんでもないニュースが報じられたことを紹介したのだけれど、しかしK2戦車のエンジンは韓国の斗山インフラコア社製4サイクルV型12気筒水冷式ターボチャージド・ディーゼルが採用されている。このエンジンは1500hpで、K2戦車の車体重量は55tある。

K9自走砲のエンジン出力は1000hpで車体重量は47tであるので、車体に収めることができればK2のエンジンをちょっとスペックダウンしてK9に積めば良いんじゃ無いかな。デチューンは、それ程苦労しないだろ?小型化を求められると結構大変なんだけれども。

ついでに言うと、コチラの記事で紹介したレッドバックだが……。

あ、レッドバックにはK9自走砲のエンジン使っているのか。

ともあれ、K2戦車のパワーパックの国産化は失敗したけれども、まだ開発を諦めたわけでは無いので、頑張れば無理じゃ無いだろう。寧ろ、シリーズ化できればコストダウンすることだって将来的には考えられる。

だから、韓国的にはエンジン開発は必須だし、パワーパックの開発も止めてはダメだと思う。時間はかかるだろうけどね。

国産名品武器K9自走砲は軍が運用中であり、すでに6カ国に輸出したため、部品国産化の価値が大きい。早ければ来年から自走砲エンジンのR&Dが開始され、今後5年間で合計開発費750億ウォンが投入される予定である。

「NAVER”「K9自走砲」ドイツ産エンジン国産化推進… 来年から5年間750億ウォン投入”」より

しかしそうだとすると750億ウォンが開発費の全てって、ちょっと少なすぎるだろうよ。1桁間違えたんじゃ無いかな?日本でエンジンユニット開発に67億円かけました!っていったら馬鹿にされるだろうよ。

外国製パッケージを使っているからこそ人気がある

ところで、韓国製のK9自走砲のコストが安いことで人気があるという話は言及したのだが、他の要因として、比較的安定したシステムもそつなく纏めたという点も支持される理由であるのだ。

特にエンジンはドイツのパッケージを使っていて実績は十分にある。サスペンションもトランスミッションも外国製の堅牢なシステムを採用している。

これでお値段が安ければ砲がショボくても、と、考えるかもしれない。

実際にポーランドは足回りだけ韓国から輸入(実はイギリス製AS-90採用のサスペンションも同じHDS社製サスペンション)して、砲台はイギリスからという選択をした。実際にどうなるのかは知らないが、「韓国製」というネームバリューは世界においては殆ど無いのだ。

故に果たしてエンジンを韓国製にした時に、信頼性と言う意味で理解が得られるのか?という点については怪しいだろうと思っている。「前のバージョンで売ってくれ」等と言う事になるんじゃ無いかなぁ。

まあ、それは開発が成功してから悩めばイイ話なんだろうけどさ。

コメント

  1. 実態はライセンス生産ではなくノックダウン生産では?
    でないと、国産化を今からやる必要が無いし。

    • ライセンス生産品を、輸出に回す場合にはライセンス契約に抵触するケースがあるという点は、それとなく本文中にも触れましたが、同じ作り方だと色々と支障があるのでしょう。
      そこで別の「似たような構造」を採用した国産兵器(エンジン)を開発し直すという趣旨なのだと思います。

  2. ご無沙汰しております。少しだけ書き込みます。

    >K55自走砲は33口径155mm榴弾砲を備えているが、K9自走砲は52口径155mm榴弾砲を備えて
    >いる。口径の違いはあれど、ベースとなる技術はアメリカから得ていたということを
    >考えると、これも国産技術か?という点については不安が残る。

    この場合の「口径」は「砲身長」を示してます。「口径の違いはあれど」とすると、文字通りの「口径」=発射する弾の直径と誤解する可能性があるので、避けた方がよいと思います。

    • ご指摘の通りですね。砲の場合、口径というと砲身長の事を指すがワケですが、誤解なきよう「口径長」と書く積もりでした。
      しかし、砲身長の事だと分かるように明示した方が、誤解を招かずに済みますよね。
      ご指摘感謝。

  3. 木霊さん、おはようございます。

    K9は安さがウリなんでしょうけど、メインの駆動系はすべてライセンス料を払う必要があり、さらに榴弾砲もアメリカ製なんですかァ~。
    それでも唯一のライバルドイツのPzH2000の半額程度...、どんなカラクリがあるのか穿った疑問が沸いてきますよ。

    ところで、インドとビッグビジネス締結とホルホルしてた、飛虎ことK30対空自走砲×約100セットが白紙になったとかチラホラ。
    何でも、インドは自国開発生産に切り替えるとか、どうなるか判りませんが日本は基礎技術の輸出案件として一枚噛む動きをして欲しいもんです。

    自走高射機関砲は優れたレーダーと機関砲のマッチングのはず、陸自の87式自走高射機関砲には誘導ミサイルが装備されていませんが、それは他装備との役割分担があるからでしょう。
    自走高射機関砲の基本技術はしっかりしてるんじゃないかな。

    案として89式装甲戦闘車の車体をベースに(駆動系)、87式自走高射機関砲のレーダーノウハウをインドに売るビジネスですね。
    約100セット導入のようですから、駆動系&レーダーシステムを受注できれば面白いかなと想像します。
    ACSAの様に日印安保の強化にも一役買いますしね。

    • K9の榴弾砲がアメリカ製かどうかはちょっと怪しいのですが、確実に技術のコピーはしているでしょう。
      駆動系のライセンスに関しても、実際に適性に支払っているかどうかはよく分かりません。イチゴの例を見ると、ねぇ。

      ドイツのPzH2000は販売に関して結構面倒な縛りがあるとも聞きますから、色々緩いK9が人気が出るという分析もあるのですが、やっぱり価格差は大きいでしょう。
      日本製はドイツよりお高くなりますし……。輸出できるように、コストダウン出来るところはやるべきなんでしょうけれど。

  4. 私もちょっとツッコミ。M109に「パラディン」という愛称が付いているのはA6だけです。韓国がK55としてライセンス生産したのはM109A2です。
     しかしどこまで「ライセンス生産」させてくれたのか? 日本でも203mm砲のM110をライセンス生産していましたが、肝心の砲身は完成品の輸入でした。
     K9はM107弾の射程が18kmというのは気になります。同じ砲身長の99式、Pz2000は30km、短いM109でも24kmの射程となっているところから、K9は装薬量が少ないようで、つまり高圧に耐えられない砲身ということになるのかもしれません。

    • 暇人様 木霊様

      >K9はM107弾の射程が18kmというのは気になります。

      これ、Wikipediaの誤情報ぽいです。
      K9のWikipediaの記事には、最後に外部リンクとして、
      >日本周辺国の軍事兵器 – K9 155mm自走榴弾砲「雷鳴」
      >- 日本周辺国の軍事兵器、大部分此方を参考に編集、画像YouTube動画も有り
      とあります。
      その記事を読むと、
      >M107HE弾(高性能榴弾)の場合の射程距離は30km、
      >K307ERFB弾(Extend Range Full Bore:低抵抗砲弾)の場合は40kmだ
      とありますので、同じ砲身長の99式、Pz2000と同等だと思われます。

      • あるけむ様

         確かにウィキは誤記も多いですね。AS-90も改修型のブレイブハートに移行したような書き方ですが実際にはキャンセルされており、AS-90は改修前のままです。

         M107弾を使った際の射程ですが、いくつか見てみましたが、やはり18kmという数値が出てきます。ハンファディフェンスのページでもM107弾で18km、RAPで30kmと記載されています。
        https://www.hanwha-defense.co.kr/eng/products/firearms-system-k9.do

         ただこれで各国が購入している、というのも「?」なところで、セールスに出すからにはカタログスペックを盛りそうなものですが。あるいは持続射撃する場合は射程を18kmに抑えた方がいい、シュート&スクートのように短時間射撃なら30kmもOK、なのかもしれません。

    • ご指摘感謝。
      チェックミスでした。確かに「パラディン」ではありませんね、韓国で作られているのは。

      射程に関しては、いろいろ指摘を頂いているようですが、何が正しいのやら……。Wikipedhiaに間違った情報が多いのは事実ですが。