分隊支援火器K3は、韓国のS&T大宇が製造する機関銃である。
[デイリーtoday] 50発撃てば止まる… 「K3機関銃」の議論
2019-10-21
自国軍の編制火器で射撃実力を競う国際的な戦い射撃大会に韓国軍代表がオーストラリア軍の機関銃を借りて大会に出場したことが確認された。
国会国防委員会所属加え、民主党ギムビョンギ議員が国防部と防衛事業庁などから提出された資料によると、韓国軍代表は2019 年、オーストラリア国際的な射撃大会に参加したが、国家代表チームがK3 軽機関銃の機能故障とメーカーの整備不可問題で、韓国軍編制機関銃をオーストラリア大会に持って行かもなかったという事実が明らかになった。
「Daily Today」より
で、残念なニュースが飛び込んできたようだ。
分隊支援火器
ミニミ軽機関銃は採用されなかった
韓国陸軍では、分隊支援火器としてM60機関銃を使っていたようだ。

アメリカ軍がベトナム戦争などで使っていた機関銃で、アメリカ軍は現在はM249軽機関銃を使うようになっているようだ。

なお、自衛隊が運用するミニミ(5.56mm機関銃MINIMI)とM249は同系統のものである。

じゃあK3機関銃は?というと、これもミニミと同系統なのだが、K2軍用小銃との部品共有などで互換性を高めたモデルがK-3なのである。
ミニミを直接採用するのでは無く、国内で韓国仕様に再設計してライセンス生産する方針そのものは、正しいのでは無いのかな、と思う。
AASAMではK-3を使わなかった
で、韓国陸軍で使うK3機関銃だが、 AASAM(Australian Army Skill at Arms Meet)という国際射撃会に参加するにあたっては利用されなかったとのこと。
え?何で?
使い慣れた銃の方がより良い成績に繋がるよね。
今年、韓国軍からオーストラリアのビクトリア州パッカパンニャル訓練場で開催されるこの射撃会に参加し、その技術を披露したようだが、どういうワケかK3機関銃を持ち込むことすらしなかったようだ。
代表チームはオーストラリア軍機関銃(M249)を4 錠を借りて射撃したが、不慣れな銃を使用することによる機器の実力不十分でしっかりとした成績は収められなかったことが分かった。
「Daily Today」より
そう、成績が振るわなかったの。それは残念だな。
で、分かりきった結果ではあるが、何故、わざわざM249を借りて競技をしたか、についてこの記事に説明されている。
問題になったK3 軽機関銃は1989 年から実戦配備が開始された機関銃で、昨年に実施された陸軍の運用試験評価の結果2,000 発試験射撃して6 回〜35 回の機能障害が発生した。
ひどい場合には57 発を射撃するたびに機能障害が発生する格好だ。
「Daily Today」より
……また整備不良か!
新型機関銃への更新は難しい
で、1989年から実戦配備されて老朽化されているから、「新しいヤツが欲しいニダ」ということになった。
一方、K3 軽機関銃を取り替える新型軽機関銃(II)は、2013 年の中期における決定で2016 年の研究開発に着手して2018 年に運用試験評価を終えた。
ただし、企画財政部の事業の妥当性の検討を終えず、国防部が要求された2020 年戦力化の予算83億4000万ウォンが全額削減された状態だ。
「Daily Today」より
でも、「ダメ」だと言われたらしい。
まあ、何というか、ご愁傷様?
2000発試験射撃をして、最大35回の機能障害か。K3機関銃の発射速度は1分間に900発って事なので、1秒間に15発ばらまくことができる計算になる。
57発撃つと機能障害が発生するとなると、約4秒に1回は機能障害が発生する、という計算になる。
アメリカ軍では、1600発当たり1回以下の機能障害という基準で銃を採用しているので、この能力はかなり壊滅的だと言える。
そう言えば、日本では住友機械工業にミニミを作らせていて、要求基準に満たない機関銃を防衛省に納入したとして怒られていたが、その後調達数が激減して、日本国内で火器を調達しない傾向が高まるようだ。
それはそれで国内産業の弱体化が懸念されるが、しかし外国との価格差が7倍8倍にのぼるような高価なオモチャを作らせるわけにはいかないというのが現実だ。
この様な分隊支援火器の国内生産というのは、なかなかにハードルが高い話。K3機関銃がイマイチなのは、ある意味仕方が無いのかも知れない。
コメント
>そう言えば、日本では住友機械工業にミニミを作らせていて、要求基準に
>満たない機関銃を防衛省に納入したとして怒られていたが、
この件についての住友重機械工業のニュースリリースがありました。
Wikipediaの「MINIMI機関銃」の記事には、以下の記述があります。
>このデータ改ざんが発覚する以前から、現場の隊員においては住友重機械
>工業製のMINIMIは低性能であると認識されていたという
住友重機械工業の武器部門?(精密機械部門?)の源流は、
住友重機械工業←日特金属←日本特殊鋼
のようです。
戦前の日本特殊鋼は、航空機関砲の開発・生産は行なってますが、歩兵用小火器(自動小銃)の開発には失敗してます。
また、それを引き継いだ日特金属が開発した62式機関銃は、失敗作のようです。
元々、技術力が低いのかもしれません。
なお、現在でもMINIMI機関銃の部品は、住友重機械工業からの調達が続いているようです。
自衛隊のminimi機関銃が上手いこと行かなかった理由はよく分かりませんが……、頑張って欲しいところです。
豊和工業の89式も次のモデルが話題になってはいますが、高い銃になりそうですよ、また。
海外から買った方がお得な感じはしますが、日本国内にどのような事情があるか、で、判断せねばならないでしょう。
>ミニミを直接採用するのでは無く、国内で韓国仕様に再設計してライセンス生産する方針そのものは、正しいのでは無いのかな、と思う。
ちょっと調べてみましたが、恐ろしい事にディスカウントを武器に輸出までしている様ですね。
中でもフィリピンでは5000丁以上調達予定とか...。
Wikipediaの記事には、
>大韓民国国軍の要求に基づいてベルギーのファブリックナショナル社(FN社)が設計し
とあるのですが、パテントをクリアしているのかな?
韓国は、こういう「ズル」は多いですよね。
安いようですよK2ライフルもそうでしたがK3分隊支援火器も安く作る事が出来るようです。
大丈夫なんでしょうかね?
過去記事に失礼します。
少なくともこれに限って言えば、日本は韓国を笑える立場にないと思います。
住友の機関銃だけ見ても、
・62式→言う事機関銃
・74式車載→62式から改善されたと思ったら欠陥あり
・12.7mm、ミニミ→まともにコピーもできずデータ改ざん
・住友考案新機関銃→中共にデータ流出
この体たらくですからね。
韓国と日本は、銃器製造に関しては似てるような気がします。
小銃に関しては、89式もK2もトラブルが少ないようですし(K2C1のハンドガード加熱問題も一応解決していますし)
はい、日本の機関銃(ミニミ)もお粗末な話ですね。
小火器の製造というのはなかなか難しいのでしょうかねぇ。まあ、試射も藻満足にやらせて貰えないような環境がそもそも問題だという話もあるようですが、根本的な対策をうつべきでしょう、日本の場合は。あと、ヘリコプター関連もなかなか不遇ですよね。
韓国のK2は割と優れているという評価もある様ですし、実際に数多く輸出されてもいるようです。日本と比較すると寧ろ韓国の方が優れているまであるとは思いますよ、公平に見ると。
ただこのブログでは、自衛隊の案件は余り扱っていないのですよね。従って、一方的に韓国軍のネタに突っ込みを入れるスタイルになっておりまして、その辺りはご了承頂きたく思います。