まだ、決定というわけではなさそうなんだけど、可能性は高そうだね。コメントを頂いて気がついたので、記事にしていきたい。
韓国史上2例目 K2「ブラックパンサー」戦車の輸出が決定か!? APECで合意
2024.11.24
韓国で軍用車両の製造を行っている現代ロテムは2024年11月18日、ペルーと、K2「ブラックパンサー」主力戦車および装輪装甲車の輸出計画を推進する包括的協定を締結したと発表しました。
乗りものニュースより
APECで締結か。韓国大統領のユンユンは頑張ったんだねぇ、それに引き換え我が国の石破くんときたら。
武器輸出大国の韓国
K2戦車とK808装輪装甲車が対象
さて、売る約束ができたのは何かというと、「K2戦車」と「K808装輪装甲車」だ。このブログではおなじみのK2戦車「黒豹」は、説明するまでもないだろう。
一方の、K808装輪装甲車の方はと言うと、こちら。
このブログでは取り扱った記憶はなかったが、確か以前からそんな噂はあったんだよね。調べたら今年の5月に採用が決定していたよ。記事にし忘れていたなぁ。
戦力増強を図るペルー陸軍、韓国産装甲車「K808白虎」120台導入へ
記事入力 : 2024/05/03 14:05
ペルー陸軍が、戦力増強のために導入する新しい装輪装甲車として韓国の「K808白虎」を採用することを決めた。
ペルー陸軍造兵廠(FAME)は、ペルー陸軍の機動性向上プログラムの優先交渉者として韓国の現代ロテム(供給者)、STX(契約者)を選定した。
現代ロテムとSTXは、装輪装甲車(8×8)K808「白虎」30台(1次)を皮切りに、120台まで供給する契約を結んだ。
朝鮮日報より
どうやら、K808装輪装甲車の話は、この5月の話の続きだったらしいね。
現代ロテム側は「ペルーがK2戦車を輸入することを決定し、総括協約締結に至った」とし「輸出は確定した」と述べた。 ペルーはポーランドに次いでK2戦車の2番目の輸出国だ。 現代ロテムは今年5月、ペルーの車輪型装甲車供給事業者にも選ばれた。
毎日経済より
なかなかセールスマンとしては凄腕ではないか、ユンユンは。
K2戦車は基本合意書(MOU)の締結
ところで、K808装輪装甲車の方はかなり具体的に進展していると見て良さそうだけれども、K2戦車の方はちょっと注意が必要な契約状態だ。MOU( Memorandum of Understanding)とは、契約や条約、協定などが正式に締結される前段階の合意文書(覚書)のことを指す。
韓国の場合、過去に結構MOUを乱発して、後から「あれってどうなったんだっけ?」というようなことが起こった。確か資源開発関連でもその辺りで手痛い失敗をしていたと思う。
ただ、K2戦車に関して言えば、おそらくは売れる可能性のほうが高いだろう。
K2戦車の輸出が正式実現すればポーランドに続き2例目となり、南米としては初の輸出相手国です。同車両は、ペルー軍が現在運用している旧ソ連製T-55やフランス製のAMX-13/105軽戦車を置き換えることになります。
乗りものニュースより
実のところ、ペルー陸軍が現在運用しているのは旧ソ連製T-55とフランス製AMX-13/105軽戦車である。
フランス製のAMX-13も大概古い軽戦車で、フランス陸軍が採用したのは1951年のこと。登場から半世紀経過したロートルであり、流石に更新したいところ。AMX-13/105は輸出用に改良したタイプだから、少しは新しいのだけれど。
一方、T-55戦車は今もロシア軍で現役で活躍中!という笑い話もあるが、コチラも戦後開発された第一世代戦車で、1950年代に登場した戦車である。そして、ロシアがあの状態なので更新することも絶望的だ。
そういう意味で、新しい戦車を欲しているわけだが、ペルーが現実的に手に入れられるのがK2戦車以外にはないんだよね。
アメリカのM1エイブラムスはアメリカ軍以外に運用するのが絶望的な戦車だし(それでも、オーストラリアなど11カ国で採用されている最強戦車だ)、ドイツのレオパルト2A7戦車は、ドイツの工業生産力が絶望的なのと、バックオーダーがかなりあるので無理。フランスのルクレール辺りは結構現実的だとは思うんだけど、採用国は少ないんだよね。イギリスのチャレンジャー2やイスラエルのメルカバMk4あたりも可能性は薄い。
そうすると、韓国製K2戦車というのは選択肢としてはかなり現実的な路線というわけだ。ただし、韓国はK2戦車をポーランド向けに全力を傾けて製造販売をしているので、果たして更に生産能力を拡大する余力があるのかはちょっと良くわからない。
戦闘機と潜水艦も?!
KF-21の共同開発と、潜水艦の共同開発?!
更に驚くべきことに、KF-21戦闘機の現地共同生産と、潜水艦共同開発の話までもぎ取ってきたらしい。別の記事では護衛艦や揚陸艦、遠海警備艦などの輸出にも成功したと言及されていて、こちらは今年の4月の実績なので、強ち嘘というわけではないのだろうが、それにしたってねぇ。
韓国航空宇宙産業(KAI)は、ペルーの国営航空専門企業のセマン(SEMAN)とKF21部品の現地共同生産のための業務協約(MOU)を締結した。 HD現代は同日、国営SIMA造船所と「潜水艦共同開発によるペルー産業発展了解覚書(MOU)」を締結した。
毎日経済より
本当でござるかぁ?
KF-21戦闘機の共同開発に関しては、インドネシアが撤退寸前の状態にあるので、韓国としては渡りに船だと思う。だが、果たしてKF-21戦闘機が完成に漕ぎ着けられるかはいまいちよくわからないんだよね。そして、ペルー空軍、本気なのかな。
他の中南米諸国に比べ、ペルーは割と経済的にも安定している。治安も近隣諸国よりはマシだとは言われているが。
《ペルー》治安悪化で盗難増加=国民10人に1人が被害に
7/3(水) 7:52配信
本社がアルゼンチンにあるニュースサイト「インフォバエ」6月24日付記事によると、南米ペルーの治安が悪化しており、2023年には盗難が約320万件も発生した。3405万人の人口からすれば、国民の10人に1人が盗難被害にあっているという計算になる。
Yahooニュースより
それでもこの状況である。
こんな状態なので、いつ出来上がるかわからないKF-21戦闘機よりは、もうちょっと堅実にFA-50軽戦闘機あたりを購入して、暴動鎮圧などに力を割く方が現実的である。そう、COIN機として使うのだ。
FA-50軽戦闘機も売れる?
や、でもたしかFA-50軽戦闘機って、販売実績があったような記憶も。
KAIはペルー国営航空企業SEMANと戦闘機「KF-21」の部品現地共同生産のための協約を締結した。ペルー空軍は旧ソ連が開発した戦闘機「Su-25」「MiG-29」などを保有しているが、老朽機体入れ替えのため次世代戦闘機導入事業を推進している。韓国の「KF-21」と軽戦闘・攻撃機「FA-50」などが候補群に入っている。KAIはペルー側にFA-50とKF-21をパッケージ提案し、予算内での最適な性能と効率を提供する戦略だ。ペルーは2012年、韓国初の独自技術航空機「KT-1P」20機を導入している。
中央日報より
確か、FA-50軽戦闘機に関しては、24機が輸出されるとかいう話が過去にもあって、既に運用中……。あれ?
韓国産軽攻撃機FA-50、ペルー輸出推進…「20億ドル規模」
2015.02.03 15:05
韓国国防部が超音速訓練機T-50を改良した国産軽攻撃機FA-50のペルー輸出を推進していると軍当局者が3日、明らかにした。この当局者は「24機のFA-50をペルーに輸出するため、今月中ペルーの軽攻撃機購入事業参加のための入札提案書を提出する計画」としながら「航空機10億ドルのほか部品や装備など後続軍需支援まで含めると約20億ドルに達する規模」と説明した。
中央日報より
これは9年前の記事になるが、僕はてっきりペルーへの輸出が成功していたと思っていたんだけど、どうやら「まだ」だったらしい。
そうすると、今回の話もちょっと眉唾だと思った方が良いのだろうか。
実は、ペルーには支那の触手も伸びてきている。
習氏、南米歴訪開始 中国出資のペルー大型港式典に出席
2024年11月15日午後 4:11
中国の習近平国家主席が14日、1週間にわたる南米歴訪を開始した。初日は中国が13億ドルを出資したペルーの大型深海港「チャンカイ港」の開港式典にオンラインで参加。南米で通商や影響力の拡大を目指す。
習氏はペルーの首都リマで開幕するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する予定。来週にはブラジルのリオデジャネイロで開く20カ国・地域(G20)首脳会議に参加するほか、ブラジルへの公式訪問も行う。
習氏はペルーのボルアルテ大統領とともに、リマの北方80キロに位置し太平洋に面するチャンカイ港の開港式典にオンラインで参加。既存の自由貿易協定(FTA)を拡充する文書にも調印した。
ロイターより
支那製の兵器がいきなりペルーに売れるとは思わないけれど、韓国としては強力なライバルになるだろう。資金的なバックボーンが全然違うし、製造能力も桁違いだからね。もしかしたら、MOUの段階で転ける展開があるかもしれない。
ともあれ、K2戦車の話にせよKF-21戦闘機の話にせよ、MOUの段階ではあるようなので、冷静に続報を待ったほうが良さそうである。
コメント
不思議なんてすよねぇ〜。
ポーランドとかエイブラムスとか持ってるのにK2かなんか仕入れてるんですね。
んなもん買うよりレオポルドとか買えば良いのに。
ポーランドは、エイブラムス調達でかなり頑張っていましたからね。
https://trafficnews.jp/post/126683
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/07/post-104928.php
ただ、運用面で本当にエイブラムスで良いのか?という点は疑問視されていまして。だからってK2戦車をあれだけ購入する理由は良く分かりませんが、数を揃える意味ではK2戦車が欲しかったと言うことかも知れません。エイブラムスも直ぐには揃えられませんしね。
https://www.afpbb.com/articles/-/3452864
レオ2はポーランド軍も保有していまして、新しいのを買いたくてドイツに打診していた話も見かけたのですが、不調に終わったようです。それを、ウクライナに押しつけた辺り、鬼かと思いましたが。
こんにちは。
K2、ペルーに売れたとして、ポーランドの件もあるのに、生産間に合うんですかね?
ポーランド向けは、国内向け分をまるっと回すとか聞いた覚えが。
あれ、資金繰りに困った話は解決したんでしたっけ?
まあ、ポーランドには、生産設備から改造の許可から全部ありで契約してるって聞きますが……
何にせよ、売れるものがあって、売ってヨシのイケイケ国会なのは羨ましい限り。
そこだけは、本当に羨ましいです。
※売りたくても、機密の関係で出せないってのもちょいちょいありますが、韓国ちゃんはその辺甘いのかな?
こんにちは。
国内分の生産も覚束ない韓国ですが、生産ラインは増強するらしいですよ。
何とかするつもりなんでは?という期待はしています。機密の問題はあるんでしょうが、まあ、気にしていないのでは?国内経済的にも、形振り構わない感じなんでしょうかね。