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K2戦車の変速機国産化は今なお厳しい?

韓国陸軍
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余り情報が出てこなかったのだが、パワーパックの話がようやく出てきたな。みんな大好き、K2戦車の話だ。

韓国軍が進めるK-2戦車の変速機国産化事業、出だしから難航=韓国ネット「品質を高めるべき」

2023年6月14日(水) 6時40分

2023年6月12日、韓国・イーデイリーは「K-2戦車に搭載する変速機の国産化事業が、軍当局による業者への圧迫が原因で難航している」と伝えた。

レコードチャイナより

レコードチャイナネタは、出所の怪しいネタが多くてガセ率が高いので、話半分で聞いておく必要があるとは思うが、興味深い。

条件闘争で揉めそう

パワーパックの国産化

話題の出てくるタイミングが、第4次量産計画が議決の後だったというのも良いね。

パワーパックは、エンジンと変速機が一体化されたユニットのことで、戦車において、これを迅速に交換できることは極めて大切である。

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このパワーパックの国産化に随分と苦戦していたのが韓国なのだが、第4次量産化計画で発注される150両のK2戦車に国産パワーパックを載せるんだと、意気込んでいたのが先日の話。

アルタイ向けパワーパックは開発に成功

このパワーパック国産化計画に紆余曲折あった話は省くが、トルコに輸出したK2戦車のトルコバージョン、「アルタイ」が納入前のテストでかなり優秀な成績を収めているという話はあった。

SNT重工業、トルコ・アルタイ戦車用1500馬力自動変速機輸出契約

入力 2023-01-30 10:46更新 2023-01-30 11:01

SNT重工業がトルコBMC社とアルタイ主力戦車(MBT)に搭載される1500馬力自動変速機輸出契約を締結したと30日明らかにした。

~~略~~

今回の輸出契約は、トルコ現地でアルタイ主力戦車にSNT重工業自動変速機を搭載した後、8ヶ月間行われた耐久度走行試験など試験評価を通過しながら行われた。現地の険しい地形と環境でも、一日に200km程度の夜地走行を完了した。

特にSNT重工業自動変速機は前・後進加速性能及び最高速度、制動距離、所定位置旋回、縦・横傾斜地登板など計18項目の性能試験評価で優れた性能を立証したことが分かった。トルコ政府高位関係者は「アルタイ主力戦車の開発試製品で使用したドイツ産パワーパックを完全に置き換えることができることを示した」と満足感を示したことが分かった。

東亜日報より

テストに合格したSNT重工業自動変速機は、トルコ政府にお墨付きを貰って、「ドイツ製ユーロパックと置き換えられる!」と褒められたなどとホルホルしていたのがつい先日の話。

「自動変速機の性能はドイツ製をも凌駕する」くらいの勢いだったのだが、どうも冒頭の記事を読むとちょっと怪しい。

テストは新造品で

どうやら、韓国軍側は「新しい変速装置を用意しろ」と迫っているようなのだ。

軍当局は変速装置、制動装置の品質改善が成功したと判断し、第4次量産分のK-2に国産変速機を搭載する構想を固めた。国防技術品質院の主管で今月から来年8月にかけて品質検査を実施し、その結果を踏まえて来年10月ごろ適用判断と契約を行うとしている。

軍当局は当初、SNTダイナミクスがトルコに輸出している変速機でこの品質検査を行う計画だった。しかし今回の会議で、政府当局が「既存の変速機には問題があり、テストに合格できなかった」とし、部品一つ一つから全て新しく製造した変速機でテストを実施するとの方針を示したという。

レコードチャイナより

どうして、トルコに輸出したパワーパックでのテストをやらないのか意味が分からない。

これに対しSNTダイナミクスは、「従来の変速機と新たな変速機は部品も設計も同一。それを初めから全て作り直せというのは時間と費用の負担が大きく、不合理だ」と主張した。テストのために新たな変速機を製造するとなれば、1年以上を要するという。

しかし、防衛事業庁関係者は「変速機のボルト、ナットなどの部品は一般的な物とは異なる」「第2次量産の際に問題があったため、新しい部品と装備でテストする必要がある」と説明しているという。

レコードチャイナより

が、どうやら、第2次量産計画の時に要求を満たさなかったパワーパックと、第4次量産計画に用いられるパワーパックの変速機の「部品が同一」なのが気に入らないらしい。

どうやら、軍当局側は、第2次量産計画の時に失格になったパワーパックと同じ部品を使っているのであれば、テストをやる意味が無いと主張しているようだ。確か、耐久試験の時にボルトが折れたとか、ギアが破損したとか、そういう話だったはず。一概に荒唐無稽な主張とまでは言えないと思う。

国会国防委員会所属オ・サンホ議員(野党・共に民主党)が入手した防衛事業庁の資料によると、K2戦車のエンジンと変速機を一体化したパワーパック(PP)の開発において、耐久検査で度重なる不具合が発生していたのだ。

メインポンプ駆動ギア軸のベアリングの破損や、変速機メインハウジングに亀裂(ひび)が生じるなどだが、いずれも先進国なら関係者の処分は必至だ。なぜならこのK2の開発開始は1995年。当初予定では2011年に軍に配備される予定だったのだ。戦車の基幹部分のPPで、いまさら亀裂の発生などという初歩的な問題が出るなど本来ありえない。

産経新聞より

一方の変速機の製造を担当するSNTダイナミクス側は、「トルコで合格しているんだから」「同じ部品でも問題ない」という立場らしい。

韓国製変速装置は「変わらない」のか?

第2次量産計画と第4次量産計画では同じエンジン「DV27K4サイクルV型12気筒水冷式ターボチャージド・エンジン」を使っているのだが、変速機の方はSNTダイナミクス EST15Kオートマチックトランスミッションを採用したいらしい。この変速機は2次量産計画の時と同じ型式だ。

SNT重工業は2014年、世界初で前進6段、後進3段の戦車用1500馬力自動変速機を開発完了した。以後、継続的に変速制御器(TCU)、変速装置(Range Pack)、油圧操舵装置(HSU)、流体減速機など核心技術部品の国産化開発を完了した。

東亜日報より

テストで合格できるかどうか大分怪しいが。

だって、第2次量産計画の時とほぼ一緒。設計コンセプトなども概ね変わらず、部品も同じだという。流石に全く同じだとは信じられないので、改良はされていると思うんだが。

情報が少ないので何とも言えないが、この話、どうなってしまうのか?興味は尽きない。

コメント

  1. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    ポーランドに輸出するK2派生型は、増トン仕様で転輪一つ増えるという話ですが……

    ……もつのか?エンジンもミッションも……

    • 木霊 木霊 より:

      保たないでしょうね、確実に。
      K2PLはかなりヤバイ仕様なので、ユーロパックを使うのが安心ですね。