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韓国主力戦車K1E1は修理不可能?

韓国陸軍
この記事は約8分で読めます。

あれあれ、K2戦車が上手いこといっていないのに、主力であるハズのK1E1戦車もダメっぽいね。

[単独/レーダーP]陸軍主力戦車10台中2台に砲手用主照準器故障… 部品な最長8年無力化

入力:2020.10.08 16:21:02修正:2020.10.08 16:58:44

陸軍主力戦車であるK1E1戦車が10台のうち2台の割合で砲手用主照準器が故障した状態であることが分かった。砲手用主照準器は戦車射撃時の目標観測に不可欠な機器で、多く戦車が事実上盲目状態で運用中という批判が出ている。

mk.co.krより

どうやら、今回の問題はK1E1戦車の砲手用主照準器が壊れているという事らしい。

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近代化するK1戦車

K1戦車は米クライスラー・ディフェンス社が設計

このブログでお馴染みの韓国が誇るK1戦車だが、1983年に完成した米クライスラー・ディフェンス社(現:ジェネラル・ダイナミクス社)が設計したもの。製造は現代車両社(現:現代ロテム社)によるそうだけど。

もちろん、韓国製だ!(自称だが)

ともあれ、1987年頃に配備がなされ、K1A1として配備され始めたのが2001年。現在最新の仕様となったK1E1の配備は2014年からという事になっている。

その話についてはコチラにある程度触れているのだけれど、2014年にデジタル化決定して、K1戦車の一部がK1E1戦車として更新されはじめている。

国産K1戦車2022年までにデジタル仕様改良

入力:2014-05-22 17:44:16修正:2014-05-22 17:44:16

陸軍が現在使用中のK1、K1A1戦車がデジタル時代に合わせて大幅に改良される。 防衛事業庁の関係者は22日、「既存のK1A1戦車は2022年までにA2版に改良し、K1は2026年までにK1E1仕様に変わる」と述べた。

「世界日報」より|リンク切れ

ちょっとわかりにくいのだが、以下のような形らしい。

<K1戦車>

  • 第1ロット(1986 – 1988年)として205両(17億7300万ウォン/@865万ウォン)
  • 第2ロット(1989 – 1991年)として310両(18億900万ウォン/@584万ウォン)
  • 第3ロット(1992 – 1994年)として305両(21億4,200万ウォン/@702万ウォン)
  • 第4ロット(1995 – 1997年)として207両(28億3,100万ウォン/@1368万ウォン)

合計生産数は1,027両

<K1A1戦車>

  • ロット不明(2001- 2010年)484両が生産

当初の予定では、1000輌の旧型K1をK1A1にアップグレードしながら、追加で700輌のK1A1戦車を調達する話だった。

<K1A2戦車>

  • K1A1から順次改修(2013 – 2022年)484輌アップグレード予定。

その他、K1 ARVという装甲回収車、K1 AVLBという装甲車両発射橋、K1 CEVという戦闘工兵車が数台開発されて配備されているようだが、詳細は不明。

<K1E1戦車>

  • K1戦車からアップグレード(2013 – 2026)全ての旧型K1をアップグレード予定。

<K1E2戦車>

  • ロット不明(2024年に大規模改修予定)K1E1からアップグレード予定。

とまあこんな感じに整理されるらしく、結局、K1系統は「K1 → K1E1 → K1E2」という風に改修されていき、K1A1系統は「K1A1 → K1A2」という流れになるようだ。これは、K1戦車とK1A1戦車では、搭載している砲塔が異なる(K1系:51口径105mmライフル砲、K1A1系:44口径120mm滑腔砲)ので、同じ様な扱いで改修というのは難しいという事情があるのだろう。

K1系1027輌と、K1A1系484輌の合計1511輌というのが、K1系戦車の総数という事になるのだろうと思う。

ところが、今回のニュースではこれが残念な事になったようだ。

壊れた部品が直せない事情

なんと、2014年から順調に改修が進んでいるハズのK1E1戦車のうち全体の2割程度が故障して使えないというのである。

8日ガンデシク国民の力議員が陸軍本部から提出を受けた資料によると、陸軍の主力戦車であるK1E1戦車全1027台のうち170台の砲手用主照準器は使用が不可能な状態だ。特に江原道華川など前方部隊を統轄する第2師団の場合故障率が29%に達することが分かった。K1E1戦車は陸軍が運用中の総2400台戦車の半分ほどを占める機器であり、実質的に陸軍の主力戦車である。

mk.co.krより

問題になったのは砲手用主照準器と呼ばれる機器だ。

これは、戦車に搭乗する砲手が目標を観測し、狙ったところに着弾したかどうかを確認するのに使う装置だ。当然、これが故障していると、砲撃をするにあたって目標を定めることも着弾したかもよく分からないで運用することになる。

流石に数km先の相手を目視で砲撃というのは無理があるので、実質的に運用不可能だね。

で、当然ながら、壊れたなら直せば良いじゃないかという話になるのだが、これが難しいのが韓国の実情なのだ。

問題は、これらの砲手用主照準器の特定のモデルは、生産まで中止された状態で、今後の修理も難しいという点である。K1E1戦車の半分に相当する445台の戦車は、米国テキサス・インスツルメンツで製作して、現代ロテムが輸入するGPSSという機器を装着した。しかし、この製品は、2016年以降中止された状態だ。

mk.co.krより

核心技術は外国頼りなんだよね。

ここで問題になっている照準器は、K1戦車の時代から元々は米ヒューズエアクラフトカンパニーが作っていたようだ。しかし、韓国内で生産するに当たってライセンス生産に切り替えられ、随分とヒューズ社にぶっかけられたのか、別の理由があったのか、途中からテキサス・インスツルメンツ社の輸入製品を取り付ける方針に切り替えた。

で、問題となったのはこのテキサス・インスツルメンツ社の製品(砲手用主照準器)が生産中止になってしまっているのだよね。

高くても国内で作る事ができるのであれば、ライセンス生産しておけば良かったのに。え?お値段は2倍以上違う?そりゃ、ちょっと考えてしまうのは仕方が無いか。

別の製品に切り替える計画

ともあれ、そんな訳で更に別の製品を採用する話が持ち上がってきてはいるんだが、これがちょっとおかしなことになっているようだ。

合同参謀本部が問題を解決するために出した性能改良事業も実効性をめぐり、疑問が提起された。合同参謀が発表した事業の概要によると、合同参謀は砲手用主照準器を性能改良事業対象として2019年12月から研究開発事業の妥当性調査を実施している。しかし、システム開発完了時点は2025年で、量産時期は2028年になるため、今から最長7年経過するまでこのまま戦車を運用する必要がある。

~~略~~

技術変更事業は、新製品を開発する性能改良事業とは異なり、現在のK1A2戦車などに使われているKGPS2製品をK1E1戦車に合わせて改良する事業である。

mk.co.krより

全く意味不明なのだが、砲手用主照準器の改良は2028年までお預けとなる模様。

そもそも、壊れている砲手用主照準器は、今直ちに修理が必要である。しかし、修理ができないとなると2028年まで運用できない戦車がどんどん増えていくというのは、軍として大丈夫なのだろうか?

そして問題は、K1戦車の製造当初からK1E1戦車への改良を経ても、この砲手用主照準器は変更されていない。つまり、K1/K1E1戦車のの多くは問題の砲手用主照準器を搭載しているという点だ。ここで言及のないヒューズ社製の砲手用主照準器を搭載したタイプは不明だが、1027輌のK1/K1E1戦車のうち半数近くがこの問題を抱えている事になるそうな。

今のところ故障しているのは170輌らしいが、これから老朽化に伴いどんどん増えるのではないかと懸念されている。

ヒューズ社製の砲手用主照準器をライセンス生産しているなら、そちらを搭載すれば良いじゃないか?と個人的には思うのだけれど、それが出来ない事情があるかどうかも不明である。また、記事ではK1A2戦車にはKGPS2製品を使っているのだとか。

え?それ使えばよくね?と思ったら、それを採用するのが2028年頃なんだそうで。書いていて意味が分からなくなった。

どうなっているのか謎の改良事業

そういえば、去年だったかこんな記事があった。

現代ロテム、障害物開拓戦車など受注…2433億ウォン規模

登録 : 2019-12-27 11:25| 修正 : 2019-12-27 11:25

現代ロテムは26日、防衛事業庁から計2433億ウォン規模の障害物開拓戦車の初度量産事業とK1戦車の性能改良(K1E1)3次量産事業を受注したと明らかにした。

受注金額は障害物開拓戦車が1746億ウォン、K1E1戦車の性能改良事業は687億ウォン規模だ。 

「亜洲経済」より

こちらが障害物開拓戦車らしいくごつい見た目でなかなか格好いいと思うのだが、それはさておき、気になっているのは同じ記事内で触れられている改良事業の方だ。

K1E1性能改良の3次量産事業は未来の戦場環境に合わせ、従来の老朽化したK1戦車の性能を改良する事業だ。 

K1E1戦車はK1戦車に操縦士熱像潜望鏡、デジタル戦場管理体系、冷房装置、補助電源供給装置などを新たに装着しており、前方・後方監視カメラ機能を追加し、戦闘車両間のリアルタイム情報共有を通じて、効率的に戦闘に臨めるように製作される。 

「亜洲経済」より

この第3次量産事業は2022年を目処に行われるらしい。しかし、既に問題点が明らかになっているのであれば、スケジュールを調整してソコも修理してしまえば良いと思うんだ。

え?必要となる砲手用主照準器が手元に無い?

でもさー、そんな訳は無いと思うんだ。テキサス・インスツルメンツ社の砲手用主照準器は手に入らないとしても、先述したK1A2戦車で使っているヤツとか、K1戦車のオリジナルバージョンに使ったヤツとか、搭載することが可能なものはあるんでしょうに。ドッグ入りすることが確定しているのであれば、ついでに搭載することは別におかしな話では無いと思うんだけれどね。

予算の都合で動けないということかも知れないけれど、どうなんだろうなー、それ。だって、改良事業を終えて軍に納入されました、でも別のところが既に故障していて使えませんって、ギャグにもならないんだが。

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