ほほう、新しい機関銃ですか。
韓国軍のK3軽機関銃、30年ぶり入れ替え…今日からK15補給
2022.12.16 14:15
韓国軍の次期分隊支援火気、K15機関銃が初めて補給される。現在韓国軍が使用中のK3に代わる新型軽機関銃で、2025年までに入れ替えられる予定だ。
中央日報より
機関銃と言えば、自衛隊に供給されていた住友重機械工業製の5.56mm機関銃MINIMIの苦い記憶が思い出されるが、今回入れ替えられるK3機関銃も、実は同じ系統の機関銃である。
機関銃の入れ替え事業
大宇 K3軽機関銃
このK3軽機関銃、かなり評判が悪かったようだ。「弾詰まりが起きやすい」「故障が起きやすい」「パーツが破損しやすい」「熱を帯びてコックオフ状態が起きて撃ち切るまで止まらない」といった評価が韓国国内でも散見されたようだが、Wikiによれば現在は改善されているようだ。
ただ、改善されたK3軽機関銃と改善前の旧K3軽機関銃が混在する状況が続いているらしく、韓国軍内での評判は相変わらず芳しくないらしい。
以前もその辺りの話は取り上げている。
新規事業、K-15機関銃開発
で、この記事で少し話題にしたのが、K3軽機関銃を取り替える新型軽機関銃II事業だったようだ。まあ、後の記事で、この新事業もかなりヤバいという事を紹介したんだが。
こちらの記事では、新型軽機関銃II事業で開発中の銃K-15は、途中で予算が削除される憂き目に遭いつつも、何とか継続されていたようだ。ただ、重量が重くなって弾詰まりなどがしにくくなっただけと酷評されていることも併せて紹介した。
更に、作戦要求性能を下方修正しているなどという不満があったことも言及している。
その後、音沙汰がないと思っていたら、出荷式が開催されたというのが冒頭のニュースである。
小口径火気製造会社SNTモーティブによると、16日午前、釜山(プサン)本社で防衛事業庁、国防技術品質院、陸・空軍本部など軍関係者らが出席した中、「K15機関銃体系出荷式」が開催された。SNTモーティブは軍と28億ウォン(約3億円)規模のK15機関銃供給契約を締結し、この日、初出荷式を開いた。
中央日報「韓国軍のK3軽機関銃、30年ぶり入れ替え」より
……こ、故障しにくくなったことは良かったのでは無いのかな。信頼性が上がったという意味なのだから。

ただ、不安な点が解消されているかについては一切言及がない。
K15機関銃事業は、国防改革部隊の改編と兵力縮小による弱点補強、老朽化したK3機関銃の入れ替えのために進行された。韓国軍が30年以上使用したK3は1分間に700-1000発を撃つことができる火力を持つが、80-300発ごとに薬室で薬莢が引っ掛かって故障することもある。
K15はK3とは違い、夜昼間照準装置と統合され、遠距離の敵密集部隊など地域標的を制圧することができる。連射で壊れた銃身を速やかに交換でき、「ピカティニーレール(NATO標準銃器アクセサリープラットホーム)」が装着され、多様な付随機材を活用できる。将兵の体格に合わせて床尾とバイポッドを調節できる。
中央日報「韓国軍のK3軽機関銃、30年ぶり入れ替え」より
そして、供給会社が大宇精密工業からSNTモーティブに変わったのかと思ったら、単に社名変更が途中であっただけで、同じ会社らしい。表記はS&TモーティブかSNTモーティブと書かれるようなんだけど、韓国軍が使っている銃の殆どの製造を手掛けている老舗のようなので、K3軽機関銃の反省を生かしてK15機関銃を開発したという理解で良いのだろう。
ただ、去年の段階では貫通試験をせずに銃口速度だけで合格判定出しちゃって問題になったらしいのだが、故障率が劇的に改善されたので「良し」という事になり、今年の採用に漕ぎ着けたらしい。流石に去年から試射やって性能テストもやり直したんだろうし。
とまあ、そんな訳で慎重に調査された結果(多分)、K15機関銃は採用される運びとなった。K11複合小銃の残念な事例もあるのだが、恐らくは今回は大丈夫だろう(根拠無し)。
兵器にとって信頼性は重要である。ちょっと重くなってしまったところ(6.85kg → 7.16kg)は気になるが、問題があればそのうちに情報が出てくるだろう。問題なければ騒ぎが起こること無く採用されるはずだ。
ただ、記事では30年ぶりに入れ替えとあるんだけど、アメリカ軍なんか見ると結構古い銃を改良しながら使っている感じで、新しい銃のテストの話が出ては消え、出ては消え、という状態である。日本の場合は更に悲惨で、住友重機械工業製のMINIMIの調達は中止されたが、それ以降の候補が遅々として進まない。自衛隊の軽機関銃は、数年にわたって調達不能な状況が続いているのだ。
そういう意味では使える機関銃を供給できるSNTモーティブはそれなりに優秀だと言えるのかも知れない。
コメント
こんばんわ、
日本と韓国のこの分野の格差は、ただただ国防への投資の差にありそうですね。
岸大臣の在職時に、国内の防衛産業各社を集めて「投資をするから協力して」とハッパをかけましたが、その後コマツや島津が防衛関連事業からの撤退を発表しました。
氷点下まで下がったモーチベーションを発火させるには、相当の方針転換と投資が要求されるでしょう。
ただ、岸田内閣はアクセルとブレーキを同時に踏み込んでいるので、日本の迷走はまだ続くのかもしれません。
韓国は、現在進行形で戦争が継続している国で、陸続きの相手と対峙していますから、機関銃にコストをかけることに国民は理解し易いという事情があるかも知れません。
それなりに弱点の指摘されるK3軽機関銃も、かなりの数輸出していますし、力の要れ具合は日本とは比べものにならないでしょう。
ですが、それにしたって、日本の銃製造業は脆弱に過ぎるんですよね……。諦めるのも一案ではありますが。
こんにちは。
>自衛隊の軽機関銃は、数年にわたって調達不能な状況が続いているのだ。
HOWAの中の人は、20式小銃と互換性のある軽機銃を防衛省に企画・提案している、なんて事が現実である事を祈るのみであります。
豊和工業の噂は聞きましたが、なかなか情報が出てきませんよね。
噂だけで終わりそうな雰囲気ですよ。今まで、機関銃には手を出してきませんでしたからねぇ。