スポンサーリンク

【韓国防衛】韓国型アイアンドームの自主開発へ

韓国陸軍
この記事は約10分で読めます。

なぜ、ここでアイアンドームなのか。

北韓の長射程砲を迎撃する「韓国型アイアンドーム」 独自開発へ

Write: 2021-06-28 15:21:49/Update: 2021-06-28 17:33:28

韓半島有事の際に、北韓の長射程砲を迎撃するシステム「韓国型アイアンドーム」が独自開発されることになりました。 防衛事業庁によりますと、徐旭(ソ・ウク)国防部長官は28日、防衛事業推進委員会の会議を開き、このなかで長射程砲の迎撃システムを独自で研究・開発することを決めたということです。

「KBS WORLD」より

まあ、前々から韓国版アイアンドーム開発の話は出ていた気はするし、韓国にとって首都防衛はずっと放置されてきた課題でもある。

アイアンドームを開発するぜ!

去年も出ていた

えーと、探してみたら2020年8月にも扱っているね。随分前から議論はあるようだが。

韓国、北朝鮮の長射程砲防ぐ「韓国型アイアンドーム」2030年前後に配備

登録:2020-08-10 20:31 修正:2020-08-11 06:55

北朝鮮の長射程砲による攻撃からソウルを防御する「韓国型アイアンドーム」が2030年前後に作られる。韓国軍独自の衛星航法システム(GPS)の構築も2030年代初・中盤までに推進される。

国防部は10日、今後5年間の軍事力建設と戦力運営計画を盛り込んだ「2021~2025国防中期計画」を発表した。国防部の発表によれば、軍当局は5年以内に北朝鮮の長射程砲の脅威から首都圏および核心重要施設を防護できる迎撃システム(韓国型アイアンドーム)の開発に着手する計画だ。長射程砲は、北朝鮮の放射砲(多連装ロケット砲)と170ミリ自走砲を指し、北朝鮮の「ソウルを火の海にする」という威嚇当時に主要な在来式兵器として注目された。軍はこれまで「韓国型ミサイル防御」(KAMD)を構築してきたが、スカッドなどの弾道ミサイルを迎撃するためのものであり、長射程砲には対応できない。

「ハンギョレ」より

この時も「長距離砲」にアイアンドームかよと、呆れた記憶がある。

以前は、イスラエルから購入する話もあったようだが、売って貰えなかったのか、或いは別に理由があるのか。とにかく実現しなかった。

さて、イスラエルが開発したアイアンドームだが、2011年にイスラエルに配備されて現在も運用されている。米軍も興味を示しているという話もあったな。

155mm砲弾やロケット弾、対空ミサイルなども迎撃できるシステムだという話で、過去には韓国が購入を交渉したという話もあった。1台のレーダーと各20発のタミルミサイルを装填した3台のランチャーが基本単位であり、ミサイルを使って迎撃する。

そして、アイアンドームの活躍は何度か報じられている。

4000発のロケット弾を無力化した「アイアンドーム」の弱点

2021.6.10(木)

イスラエルは、5月10日に始まったハマスとの11日間戦争で、4000発のロケット攻撃を受けたにもかかわらず、死者はわずか12人だった(イスラエルは13人と発表)。その背景には、世界最高とも言われる迎撃性能を持つ迎撃ミサイル「アイアンドーム」の活躍があったことを知る読者も多いだろう。

「JB Press」より

ただ、火砲を迎撃するのに使うなどという話になると、対費用効果に見合わない様にも思える。ロケット砲を撃ち落とすのも、対費用効果的にどうなのよという話があったくらいだしね。

とはいえ、人命を守るために使うシステムで、それなりに効果があるとなれば「無駄」ということはない。割高なだけでね。

高コストなアイアンドーム

ちなみに韓国が購入を断念した理由にコストがあったようだ。

ガザ地区からのロケット弾、迎撃費用は20億円以上=イスラエル

2012年11月23日4:37 午後

イスラエルは22日、パレスチナ自治区ガザからのロケット弾を迎撃した対空防衛システム「アイアンドーム」について、8日間続いた戦闘での迎撃ミサイル発射費用が計2500万─3000万ドル(約20億─25億円)に上ったと発表した。

~~略~~

イスラエルは現在、5基の「アイアンドーム」を保有しているが、国防システムを十分にするには13基が必要があるとしている。「アイアンドーム」の配備には米国が資金援助を行っている。防衛関係者は、1基当たりの設置費用が約5000万ドルだと述べた。

「ロイター」より

値段は色々な説があるが、1発4万ドル(約440万円)とも言われているので、北朝鮮から火砲による飽和攻撃を想定すると、かなりの数のシステム導入が必要である。ちょこっと導入する程度では、実際に攻撃を受けようものならあっという間にミサイルが尽きてしまうこと請け合いである。

そもそも、火砲の砲弾をきちんと探知できない可能性もあるんだけどね。

防衛事業庁によりますと、徐旭(ソ・ウク)国防部長官は28日、防衛事業推進委員会の会議を開き、このなかで長射程砲の迎撃システムを独自で研究・開発することを決めたということです。

長射程砲の迎撃システム「アイアンドーム」は、複数の場所に迎撃ミサイル発射台を設置してドーム型の防空網を形成し、長距離砲の砲弾を迎撃するものです。

この開発事業で、北韓の長射程砲の脅威から国の重要施設や軍事施設を守り、対応能力を強化するほか、韓国の技術力の向上や雇用の創出を図るとしています。

事業費は、合わせて2兆8900億ウォンで、事業期間は来年から2035年までとなっていますが、2年以上前倒ししたい考えです。

「KBS WORLD」より

でまあ、韓国の常道として、外国兵器は高すぎるから自国開発するニダ!とかいって、結局開発出来ずにオリジナル兵器を売って貰うとかそんな流れになる。

韓国軍当局は、軍事境界線の北韓側には長射程砲1000門あまりが配備されていて、このうち、射程距離54キロの170ミリ自走砲大隊、射程距離60キロの240ミリ放射砲大隊など330門あまりがソウルと首都圏を標的としているとみています。

「KBS WORLD」より

ソウルが330門の火砲に狙われているのが分かっているのに、今まで無策だったのもどうかと思うんだけどさ。

まあ、やってみれば?としか言いようがない。

国産レーザー砲も開発

イスラエルで開発されたシステムに似た兵器

なお、ドローン対策にはレーザー砲も開発する気らしい。

[単独]一発2000ウォンで北ドローンを捕まえる… 国産「レーザー砲」の開発完了

2023-01-09 17:00:25 2023.01.09 21:50:41

有事の時、北朝鮮の無人航空機(UAV)を撃墜させるための国産レーザー対空砲が研究開発(R&D)を事実上完了し、韓国軍に配置してもよい水準に達したことが分かった。複数回の試験評価の結果、命中率が100%に達した。政府と国会がレーザー対空砲の早急な野戦配置のために予算編成に乗り出さなければならないものと見られる。

Sedailyより

韓国で対ドローン兵器が開発完了したらしい。命中率は何と100%である。事実なら素晴らしいな。

9日、複数の消息筋によると、国防科学研究所(ADD)が開発してきた「レーザー対空武器ブロック-I」が昨年完成し、現在運用試験評価(OT)が行われている。Block-Iは10回以上実施された運用試験評価迎撃試験で「百発百中」の性能を達成したと伝えられた。特にレーダーなどと連動して試してみると、10㎞以上離れたカササギ・カモメの大きさの物体まで正確に検出し、数㎞の距離内で迎撃できたことが分かった。これにより2月中にテストが成立する予定だ。

Sedailyより

韓国版のアイアンビームと言うことらしい。

アイアンビームは、イスラエルののラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ社が開発したビーム兵器「Light Blade」のことだろう。確か、システムがターゲットをロックするとレーザーで迎撃する対空防御性能を有しているシステムだったハズだ。

2014年のシンガポール・エアショーにて公開されて、2020年より実戦配備されてニュースになっていた。

Israel deploys first-of-its-kind laser system to Gaza border to fight incendiary balloons

Published on 08-12-2020 08:06 Last modified: 08-12-2020 12:24

Israel’s “Lahav Or” (Light Blade) laser system, designed to intercept airborne incendiary threats launched from the Gaza Strip, was deployed operationally by the Border Police for the first time on Tuesday.

Said to be the first defense system of its kind in the world, the Light Blade system will target incendiary balloons and kites, which have started countless fires in the southern border vicinity communities in recent years, as well as drones.

~~対訳~~

イスラエル、焼夷弾対策に世界初のレーザーシステムをガザ国境に配備

ガザ地区から飛来する焼夷弾を迎撃するために設計されたイスラエルのレーザーシステム「Lahav Or」(Light Blade)が12日、国境警察によって初めて実戦配備された。

この種の防衛システムとしては世界初とされるライトブレード・システムは、近年、南国境付近の地域社会で無数の火災を引き起こしている焼夷弾の風船や凧、およびドローンを標的とするものです。

ISRAEL HAYOMより

有効範囲は2kmと記事には記載されているが、別の記事では上限7kmまで迎撃可能とも書かれているので、かなり広い範囲の防空が可能だとされている。1発照射するための全費用はおよそ2,000ドルだと記載されている(イスラエルのベネット首相は1発当たりのコストは3.5ドルだとしている)ので、迎撃ミサイルを使うより安価に対空防御が出来ると期待されている。

韓国製は百発百中

で、韓国でも開発が完了したというのが冒頭のニュースなのだが、Light Bladeが1発2,000ドルに対して、韓国製のレーザー兵器は1発2,000ウォンで百発百中らしい。

今回の国産レーザー砲の1回当たり発射費用は2000ウォンに過ぎない。一発に少なくとも数千万ウォンから数億ウォン以上かかるる対空誘導弾より経済的だ。

Sedaily「[単独]一発2000ウォンで北ドローンを捕まえる」より

スゴイネ。

射程は数kmだというから、恐らく似たような射程距離であり、レーザー兵器である以上は高出力レーザーを対象に当てて対象を燃やすという構造は変わらない。

だとすると、コストがいきなり1/1,000というのは素直にスゴイと思うよりは、本当なの?という疑念がわき上がる。

あ、でも、アメリカ製のLaWSは1発で1ドル以下(59セント)だと報じられていた(最終的にコストがどうなっているのかは分からないが)し、イスラエルの首相は1発3.5ドルとしていたから、1発2,000ウォンというのは案外不自然ではないのかもしれない。

そして、カタログスペック盛り盛りなのは韓国あるあるなので、まあ話半分に聞くとして、それでも開発完了したと言うことは喜ばしいことである。ちなみに、韓国はイスラエルともそれなりに仲良くしているので、技術を買っている可能性はある。

……え?これ?

イスラエル製レーザー兵器よりも優れているとホルホルしているが、前倒しで開発が進んでいるというのが事実だとすれば、喜ぶのも無理はないと思う。

予算は1兆ウォンは欲しいニダ

予定通りであれば、2026年までに車両に搭載出来るタイプのレーザー兵器が登場する可能性はあるだろう。

該当レーザー砲を前方の公知線上に隙間なく並べて配置し、後方の主要施設周辺などにも設置するには、ほぼ最大1兆ウォンほどの予算が編成されなければならないという提言が出ている。

Sedaily「[単独]一発2000ウォンで北ドローンを捕まえる」より

うん、そのためには予算をドカッと付けてね、というお約束の提言を紹介してこの記事は終了しているが、恐らくコレが本命だろう。

しかしそれでも、1兆ウォンの予算でなんとかしようという気概は買う。38度線に「隙間無く並べて配置」するだけでも、結構な予算が必要なのだと思う。東西距離は約248kmなので、射程距離が5kmであるとしても多少オーバーラップさせて配置しなければならないので、30基程必要となるだろう。もちろん、電力供給する必要があるので能力の高い発電機と一緒に配備する事になるはずだ。

この場合は単純計算で、1基330億ウォン程度に抑える必要がある。実際には後方の主要施設周辺にも配置したいということだから、もっと安価なシステムにする必要があるのだろう。

恐らく、ある程度目処が付いているからこの価格なのだろうが、例えば検出・追尾・迎撃の性能を持つファランクスが1基あたり1,500万ドル程度だとされているので、もっと沢山製造されなければ開発費はペイ出来ない気がする。尤も、開発費は余り掛かっていない(つまり、イスラエルからの技術導入をしている)可能性はあるんだけど。

コメント