【韓国軍】国産MLRS「天舞」で新型ロケット弾発射できない疑惑

陸軍

お、なかなか香ばしい感じのニュースが。

[単独]天武新型ロケット弾実射撃で「発射障害」を確認

記事入力2020.08.30 午後8:35 、最終修正2020.08.30 午後9:10

北朝鮮の長射程砲に対抗する韓国軍の天武です。

一度に複数の足を撃つことができる多連装ロケットだと我々の技術で開発し、実戦配備ました。

ところが、2ヶ月前、発射だけ新型弾を実際に撮影してみたところ発射中に障害が起きたことが確認された。

なんと3兆ウォンだ武器に問題がある場合、正確に明らかにすべきでしょう。

「NEVER」より

ちょっと翻訳が怪しいのだけれど、機械翻訳と言うことでご了承願いたい。韓国製の多連装ロケット砲K-239「天舞」の関連記事である。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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MLRSにそっくり?

アメリカ製のMLRS

えーっと、何だっけ。先ずは多連装ロケット砲に関して説明しておかねばならない。

多連装ロケットシステム(MLRS)は、アメリカ軍も自衛隊も採用して、実は韓国も採用していたりする。500hpのディーゼルエンジンを積んでいて、多連装のロケット弾をぶっ放すことができるシステムだ。残念な事に日本はクラスター爆弾禁止条約を批准してしまったため、自衛隊はMLRSの性能を十全に生かすことは難しいのだが。

ともあれ、こんな感じのシステムである。

韓国陸軍の採用数は、Wikipedhiaによると58両。何か中途半端な数なのだけれど、99両保有している日本の陸上自衛隊を意識しちゃったのかも知れない。

だが、北朝鮮に対抗するという意味でもMLRSはそれなりに有用だ。

あ、自衛隊の多連装ロケットシステム自走発射機M270MLRSは、クラスター弾頭を備えたロケット弾M26がオスロ条約に引っかかるとして廃棄して単弾頭のM31GPSの調達をしているのだが、韓国はオスロ条約を批准していないので、クラスター弾頭を使っている。

K-136九龍

さて、韓国陸軍はこの他に、多連装ロケットシステムK-136九龍というシステムも運用していた。

何というか、設計的には結構古そうで、そこはかとなくロシアの香りのする兵器なのだけれども、1970年代に開発されて1980年代に配備され総生産数は158両であった。驚くことに、エジプトにも36両が輸出された実績があるようだ。牽引する車両自身はアメリカ製のものを使っているという紹介もあったから、ロシア製ではなくアメリカ製なんだろうけれど。

ところが、これも設計が古くなったこともあって、多連装ロケット砲K-239「天舞」が開発されるにいたる。

多連装ロケットシステムK-239天舞

なお、イマイチ韓国語の表記揺れがあるので「天舞」なのか「天馬」なのか「天武」なのかがよく分からない。ただ、開発経緯としては、K136九龍及びM270MLRSの後継機として今回紹介するK-239天舞を導入することにしたようだ。ああ、このブログでは多連装ロケット砲K-239「天舞」ということにしておく。

私たち首都圏を脅かす北朝鮮の長射程砲制圧のために開発された国産多連装ロケット天武です。

天武は射程距離40 km球状弾のほか、最大射程距離80 kmに及ぶ230 mm新型弾道で撮影することができます。

ところが、6月230 mm新型弾を撃ったときに、システム上発射障害を起こしたことが確認された。

国会予算決算委によると、天武は、過去2015年に実戦配備されたが、230 mm弾を野戦で実際に撮影したのは今回が初めてです。

「NEVER」より

でまあ、曰く、アメリカ軍のM270MLRSよりも高性能なんだそうな。

コチラが関連動画だ。

で、今回のニュースで明らかになったところによると、どうやら射撃管制システムにトラブルが発生してしまったのだとか。

その理由がなかなか皮肉だ。何故ならば、2015年に配備するにあたっては、国内に射程80kmの射撃ができる演習場が無かった為にイスラエルの試験場にロケット弾だけを持ち込み4回だけ試射をして実用化したらしい。検証不十分だったって事だね。

予算決算委は2013年に開発当時のイスラエルの地上射撃場とADD海上射撃場で計4回の試験評価だけですぐに戦力化したことが問題だと指摘します。

「NEVER」より

ところが、いざ、国内で多連装ロケットシステムから230mmロケット弾の実射をしてみたら、射撃管制システムが動かないという話に繋がった模様。

テストをせずに配備してしまうところが実韓国らしいエピソードだが、日本も国内での演習場の確保に苦慮していて海外でテストをするケースはある。……あるのだが、まさかテストを省くなんてことはやらないだろう。

残念な事だね。

以前は、K-MLRSという風に報道されていた時期もあるようなので、MLRSのパクリで開発する気満々であったと言うことなのかも知れない。

しかし、確かアメリカに持ち込んで試験をしたんだ、みたいな話を何処かで読んだ気がするのだけれど、アレは別の兵器だったのだろうか?何か、破格の性能だとアメリカ軍に手放しで褒められたよーと、ホルホルしていたような。

あ、別の兵器らしい。

こちらだね。

まあ、韓国の場合はこんな話ばかりだから、仕方が無い。ただ、今回のこの多連装ロケット砲K-239「天舞」に関するニュースは、信憑性が薄いという話もあるので話半分で聞いておいて欲しい。そういう噂があったよ、程度でイイと思う。

追記

コメントで教えて貰ったのだけれど、やっぱり自分で記事にしていました!

えー、前のブログの記事なので、序でに整理して追記しておきたい。

アメリカ軍のテストで不合格の烙印を押される

韓国の次世代多連装ロケットシステム、米国でのテストで不合格に―中国メディア

2015年07月07日
6日付の韓国メディアによると、韓国の次世代多連装ロケットシステム(MLRS)「天舞」が米国で実施されたテストで不合格の判定が下された。中国新聞網が伝えた。

リンク切れ

本文の方では、イスラエルで試射したという様な事が書かれていたが、やはりアメリカに持ち込んでいたようだ。イスラエルでロケット弾だけ持ち込んでテストしたのが2013年、アメリカに持ち込んでテストしたのは2015年3月以降の話らしい。

支那メディアの報道で引用した韓国メディアの記事は多分コチラ。

[単独]「次期多連装ロケット(天武)の不発率の高い」とアメリカは承認を拒否

 2015.07.03 04:40

北朝鮮の主要な電力を打撃するために前方と西北島嶼に配置する次期多連装ロケット弾(天武)が半分武器に転落する立場だ。米国の技術を持ち込み、天武で発射する「無誘導ロケット」を開発中だが、不発率が基準を超過して米側が承認を拒否したからである。これにより、2兆8,000億ウォンを投入した大型事業が漂流するという懸念が出ている。

https://www.hankookilbo.com/」より

コチラの記事も機械翻訳の精度がイマイチだが、MLRSの開発をして失敗したということを韓国メディアが報じている。

投入額は2兆8000億ウォンとなっている。冒頭のニュースでは3兆ウォンとなっているのだが、この金額の差に意味があるのか適当に丸めただけなのか。2000億ウォン程度の費用をかけて使える様に修正できたというのはちょっと信じられないね。

2日、国防部と防衛事業庁によると、昨年9月11日から10月8日まで、ニューメキシコ州にあるホワイトサンドミサイル射撃場で天武無誘導ロケットの試験評価が行われた。米側は、異なる6つの条件では、各条件ごとに9発ずつ射撃し弾頭の不発率を測定した。しかし、二重の5つの条件で通過基準である1%を超えていた。実戦で使用することができない不良品という意味だ。

https://www.hankookilbo.com/」より

失敗は誰にでも、どんな兵器開発においてもついて回る話だが、無誘導ロケットの弾頭の不発率を測定したら、実践で使えないレベルだったというのが、2015年のニュースだ。ただ、気になるのはここ。

これにより米メーカーはライセンス生産契約(MLA)を拒否し続けて行われる、米議会の承認手続きも保留された。

https://www.hankookilbo.com/」より

ここがどうやら今回の話のポイントである。

どうにも、韓国が開発している多連装ロケット砲K-239「天舞」はライセンス生産契約をアメリカ側に持ちかけ、軍にも議会にも拒否されていたという風に読めるのである。

HIMARSは導入しなかった韓国軍

アメリカ軍は、搬送の利便性を求めて車両重量25tあるM270 MLRSの小型版であるM142 HIMARSが1990年代後半に開発される。採用は2000年代になってからだが。M142 HIMARSの車両重量は13.7tとなっている。これを導入すれば良かったのに、韓国は自国開発に拘ったようだ。

K-239「天舞」の車両重量は31t。HIMARSよりは大型でMLRSよりは小型で取り回しが良いという仕様のようだ。

こうしたM270 MLRSやM142 HIMARSは、韓国軍としては使い勝手が悪かったのか、2009年に天舞の開発を始めた。が、ライセンス生産を持ちかけているということらしいので、技術はやっぱりアメリカから教えて貰っている可能性はある。そして、アメリカ議会が承認しなかったということは、米軍にも納入する構想があったのだと言うことである。だが、それは拒否された。

しかしそうなると、2013年にイスラエルで試射をしていたという話は不可解だ。

天武は現在、韓国軍が運用している130㎜多連装ロケット弾(九龍)の老朽化により2014年から開発を開始した。誘導ロケットと無誘導ロケット2つの両方発射することができる。誘導ロケットは航法システム(GPS / INS)機能を備え、最大射程距離が80㎞に達し、無誘導ロケットは射程距離は短いが、殺傷半径が大きいため、広い面積の空間を焦土化させることができる。

https://www.hankookilbo.com/」より

更に意味が分からないのがこの下りで、何故か2014年から開発を開始したことに言及されていて、誘導ロケットの方は最大射程80kmあるとされているが、無誘導ロケットの方はどうやら最大射程40km程度のM26ロケット弾と同様に多段頭のロケット弾であるように思える。開発開始の年は誤植なのだろうねきっと。

また、本文の冒頭に引用したニュースでは最大射程80kmとあるので、誘導ロケットの方なのかもしれないが、何れにしてもMLRSを運用しているのであれば、わざわざ開発する話でも無いだろうに。

開発成功を喧伝された天舞

で、この後、戦力化されたというニュースがあった。

【写真】サッカー場3個分を焦土化する多連装ロケット「天舞」=韓国

2016.02.06 10:57

陸軍は5日、230ミリ級多連装ロケット「天舞(チョンム)」の射撃を公開した。国産技術で開発された天舞は昨年8月から野戦部隊に実戦配備されている。

最大射程距離が80キロで、クラスター弾を使用すれば300個の子弾が空中で散布され、サッカー場の3倍の面積を焦土化できる。 

「中央日報」より

2016年には射撃が公開されていて、実戦配備は2015年8月からなされていると。

時系列的に考えれば、アメリカ軍に納入するというのは諦めて国内で採用し始めたことになるのだが、アメリカの基準は満たせなかったけど、国内基準なら適当に改変すればOKという理解だったのだろうか。

こんな写真を公開してホルホルしてたのに。

相次ぐ訓練中止

さて、今年に入って不具合が発覚するというおかしな事になった多連装ロケット砲K-239「天舞」だが、どうやら政治的思惑も色々と絡んで、試射(訓練)ができなかったようだ。

韓米連合訓練に続いて韓国軍の東海岸火力訓練も中止に

2018.10.24 09:53

12月に予定されていた韓米連合空中訓練「ビジラントエース(Vigilant ACE)」が中止になった中、韓国軍単独の大規模な火力訓練も中止になったことが確認された。

韓国軍の関係者は24日、「江原道(カンウォンド)東海岸で毎年行われてきた海上射撃訓練を今年は実施する計画がない」とし、訓練の中止を確認した。これは陸軍と海軍が合同で実施してきた地海合同射撃訓練で、通常、上半期には4月に、下半期には11月に行われていた。

~~略~~

この訓練に動員されてきた天舞は有事の際、北朝鮮の指揮部と支援勢力を除去する核心打撃戦力だ。九龍やK9自走砲より射程距離が長くて正確度が高いため、遠方の目標を正確に打撃できる。K9自走砲も有事の際、核心の砲兵戦力となる。2010年に発生した延坪島(ヨンピョンド)砲撃挑発当時、海兵隊K9自走砲が直ちに対応し、北朝鮮軍に反撃した。

その間、国防部と合同参謀本部は連合訓練を猶予しても独自の訓練は支障なく進め、戦闘態勢に変化はないと強調してきた。しかし地海合同射撃訓練は今年の取り消しに続いて来年も実施が不透明だ。これまで訓練が行われてきた東海岸の松池湖(ソンジホ)は南北軍事合意書上の海上敵対行為中断区域に含まれた。11月1日以降、東部地域では休戦ライン40キロ以内で海岸砲・艦砲射撃ができないが、これに該当する。軍関係者は「代替訓練場を用意できなかった」とし「現在では次の訓練計画を話しにくい状況」と述べた。

「中央日報」より

2018年といえば米朝首脳会談(2018年6月12日)に行われている。ムン君は当選当時(2017年5月10日就任)から一貫してこの手の合同訓練に難色を示してきた。そして、この会談以降、米韓合同軍事演習は殆ど行われていない。

更に、国内の演習に関しても、南北軍事合意書(2018年9月締結)などの影響もあって実施ができていない。

ムン君はこの手の軍事演習は嫌がるくせに、多数の兵器開発にGOサインを出している。トップがポンコツだと、こういった弊害も生まれやすいということか。

試射ができなかった背景にはこうした演習の中止なども影響しているのだろうね。

コメント

  1. この天武だか天舞については木霊さんも2015年に書いていたではないですか(笑)
    https://annex2ahouse.blogspot.com/2015/07/blog-post_9.html
     
     しかし5年経って何も解決してなかった、とは考えにくいのですけどね。5年前の事象を今頃になって引っ張り出してきたのか?
     しかしロケット弾で射程80kmとなるとGPS誘導でないとかなりずれてしまうと思うのですが、米国は自国のMLRSと競合する兵器にGPS誘導装置を提供したのか疑問です。

     

    • ああっ、そうでした!
      いや、何処かで書いた記憶があったのですが、前のブログを探すのをすっかり忘れていました。
      これは追記しておきましょう。

      GPSの問題に関しては、確かまだ解決していないはずです。

  2. 仮に発射出来たとしても射撃管制システムがこれでは目標まで正確に到達出来るのか怪しいですね
    あ、Uターンして自軍に戻って来るというパターンもありえますね

    • 韓国のミサイルが方向音痴なのは、いつもの事ですからね。
      流石にUターンシステムを搭載しているとは思えないのですが、ゴールキーパーがオウンゴールする(注:独島級揚陸艦改め輸送艦の事です)ような事もありましたから、侮れませんね!

  3. どうでもいいことではありますが。

    >230 mm弾を野戦で実際に撮影したのは今回が初めてです。

    機械翻訳だからではありましょうが、撮影?例の偉大なるハングルの最大の特徴である「同音異義語が区別出来ない」なんでしょうけれど。どうやら元は「촬영」で「shooting」らしいですが……

    一事が万事こんな調子じゃ、そりゃ発射不能も起きようってものです……

    • shootingは撮影の意味もありますが、韓国語からの翻訳なのでなんとも。
      機械翻訳を使うと、精度良く翻訳される事もありますが、今回はさっぱりです。

  4. 韓国のミリオタ系のサイト”https://namu.wiki/w/천무%20다연장로켓”によるとアメリカで米議会などから拒否されたのは子弾の不発率が韓国と米国内の実験で、最初は1%を達成したが、米議会を説得するには実験が不足しているため追加で斜面、砂漠環境が追加された試験発射で1%を超えてしまったことでクラスター爆弾禁止条約に基づいて米国が2018年までに1 %以上の集束弾の使用と生産を停止するという条件を満たせなかったからだそうです。

    このサイトによると今回の問題の新型誘導ロケット弾は偵察衛星、無人偵察機、対砲レーダー(AN / TPQ-37、アーサーK)等の情報に基づき戦術射撃指揮システムにより射撃制御、発射されGPS/INSで誘導と特に新機軸もないものだけど何が問題だったのでしょうね??
    ・サイトの記述には誘導ロケット弾の記述のはずなのに無誘導になってたりしてわかりにくい部分があったけど機械翻訳の問題ではないみたい。

    • ほほう、こんなサイトがあるのですね、勉強になりました。
      http://view.asiae.co.kr/news/view.htm?idxno=2015032509345215650
      アメリカで不合格の烙印が押されたのは、アメリカの都合で条件が変えられたためだという記事、紹介頂いたサイトのリンクから辿りましたが、記事を読んだ印象では「アメリカならやるかも知れない」という風に感じる反面、韓国メディアか韓国軍が「都合の悪い部分を報じていない」という感じもします。
      ただ、今までのパターンを考えると、韓国側の不具合だった可能性が高い気がしますよ。

  5. 木霊さん、おはようございます。

    M26相当のロケット弾と射程80kmの誘導弾を装輪式で運用するという、M142HIMARSと同じ様な仕様の様ですね。
    北朝鮮が配備する38度線防衛には迅速性を求めるなら必要な装備と思います。

    ただアメリカのHIMARSは最近追加発注が決まり2050年代まで継続される予定とかで、基本陸軍というより海兵隊を含めた運用でC-130輸送機に積み海外展開できるのがミソですね。
    ですから、そもそも運用目的が乖離していると言えるんじゃないかな。

    >アメリカ軍は、搬送の利便性を求めて車両重量25tあるMLRSの小型版であるHIMLRSが1990年代後半に開発される。M142 HIMLRSの車両重量は13.7tとなっている。これを導入すれば良かったのに、

    HIMARSよりたくさん撃ちたいし空輸する必要もないしって感じなのかな?
    ・装軌式のM270(MLRS-南朝鮮名は黒龍)×約60基
    ・装輪式の国産K-136(九龍)×約150基
    ・今回話題の装輪式の国産K-239(天武)×実戦配備されたとはいえ運用可能数は不明。

    ロケット弾・近距離誘導弾の数だけ比較すると、北朝鮮の配備数に及ばないのでもっと拡充しなきゃいけないのに、その最新兵器が機能不全ってヤバイと思いましたね。
    もっと頑張れ!! アジアの兵器大国よ。(冷笑)