もう、3番艦の着工式が始まってしまったか。3番艦は確か1月頃に作り始めたよと言うニュースを見かけたのだけれど、着工式まで漕ぎ着けた模様。
韓国 3600トン級潜水艦の建造開始=SLBM発射管は最大10本
2024.10.30 11:00
韓国の防衛事業庁は30日、南部・巨済で同日に潜水艦「張保皐3」バッチ2の3番艦の着工式を行ったと発表した。
聯合ニュースより
韓国が保有する3,000t級潜水艦、3,600t級潜水艦の話は詳しく出ていないので、詳細は不明なんだけれども順調に配備が進んでいるようだね。
潜水艦建造に力を入れる韓国
張保皐3バッチ2
ええと、先ずは「張保皐3」と名付けられた潜水艦について少し整理しておこう。
KSS-III計画艦のバッチ2の1番艦が「島山安昌浩」なので、このブログでは島山安昌浩級潜水艦という風に整理しているのだけれども、ニュースなどでは張保皐3と紹介されることが結構ある。なぜ「3」なのか分かりにくいね。
なお、張保皐型潜水艦は、このブログでは209型潜水艦と整理している。
つまり、こういうことだ。
- 張保皐型潜水艦(209型潜水艦):KSS-I計画
- 1番艦(SS-061)「張保皐」~9番艦 1993年6月就役(1番艦)
- (張保皐2)孫元一型潜水艦(214型潜水艦):KSS-II計画
- 1番艦(SS-072)「孫元一」~9番艦 2007年12月就役(1番艦)
- (張保皐3)島山安昌浩型潜水艦(3,000t級潜水艦):KSS-III計画バッチ1
- 1番艦(SS-083)「島山安昌浩」~3番艦 2021年8月就役(1番艦)
- (張保皐3)?型潜水艦(3,600t級潜水艦):KSS-III計画バッチ2
- 1番艦(SS-087)「?」 2023年3月起工
- 2番艦(SS-088)「?」 2024年7月起工
- 3番艦(SS-089)「?」 2024年10月起工
訳が分からないけれども、そのうち命名ルールは変わる可能性があるので、「そういうものだ」と理解するしかないだろう。
このうちバッチ1に関してはこちらに紹介しているので参考にして欲しい。
大型化とSLBM発射管の増加
さて、バッチ1も214型潜水艦に比べて大型化したのだけれど、バッチ2は更に大型化。この大型化によって、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)用の垂直発射装置の発射管を4本増やしている。
張保皐3は韓国の次世代潜水艦開発事業で、バッチは同じ種類として建造される艦艇を意味する。バッチ1から2、3に進むほど性能が向上する。バッチ2の3600トン級潜水艦は全長89メートル、幅9.6メートルで、バッチ1(3000トン級)より大きく、全長は約5.5メートル長くなった。
バッチ1の場合、6本の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)垂直発射管を搭載しているが、バッチ2は最大10本の発射管を搭載するとみられる。ただ、韓国軍はSLBM発射管を「機密」とし、詳細を公表していない。
聯合ニュース「韓国 3600トン級潜水艦の建造開始」より
あと、「リチウムイオン二次電池」を搭載しているという話がある。この引用記事では見かけないんだけど、1番艦の起工式の時には確かそれに触れていたんだよね。
初の3600トン級潜水艦起工式 最大10本のSLBM発射管=韓国
2023.03.30 14:32
韓国防衛事業庁は30日、南部の慶尚南道・巨済にある大宇造船海洋の造船所で3600トン級潜水艦「張保皐3」バッチ2の1番艦の起工式を行ったと発表した。
~~略~~
防衛事業庁によると、バッチ2の潜水艦は浮上して大気を取り込まなくても長期間航行できる非大気依存推進(AIP)システムやリチウム電池、垂直発射装置を搭載し、現存するディーゼル潜水艦のうち最も優れた作戦能力を誇る。
韓国が世界で2番目に開発したリチウム電池システムにより潜航日数が増えたのに加え、貫通型の潜望鏡と補助推進器を搭載して非常時にも標的の探索や起動が可能になり、隠密性と生存性が強化された。
聯合ニュースより
この記事で不思議だったのは「非大気依存推進(AIP)システムやリチウム電池」を搭載しているという風に書かれていたことだ。ええと、AIPとして燃料電池とリチウム電池の両方積んでるってこと??
2番艦の起工式の時にはそんな表現では無かったので、キチンとした情報が開示されていないということかも知れない。
まあ、この辺りは又検証していきたいところであるが、おそらくは非大気依存推進機構の一部として、リチウムイオン電池を搭載しているのは確実だろう。
既に海外でセールスが開始される
なお、外国に販売していく計画でもあるようなので、開発には力を入れているようだ。
だけど、バッチ1の性能の話も今のところハッキリしない部分が多い訳で、バッチ2を世界に売っていく!といわれても、「はあ、そうですか」というしかない。
そのチャレンジ精神は素晴らしいとは思うんだけども、1番艦の進水は2025年となる予定なんだよね。出来てもいないモノを売るのはどうかと思う。
独自開発の3600トンの潜水艦 巨済で起工式
Write: 2023-03-31 10:13:24/Update: 2023-03-31 11:51:06
慶尚南道巨済で30日、3600トンの潜水艦「張保皐3・バッチ2」の起工式が行われました。
~~略~~
防衛事業庁は、「張保皐3・バッチ2」として最初に建造する潜水艦を2025年までに進水させた後、試験評価を経て2027年に海軍に引き渡す計画です。
KBS WORLDより
よっぽど自信があるのか。
潜水艦に搭載最多VLSからの発射訓練って、見かけないのだけれど成功したんだっけ?
「緊急潜航、魚雷発射」 韓国海軍、3000トン級弾道ミサイル潜水艦の打撃訓練を初公開
2024/06/13 14:55
韓国軍が新型兵器を公開し、北朝鮮に対する備えを強調した。韓国海軍は、3000トン級新型潜水艦の潜航訓練を初めてメディアに公開。また韓国陸軍は新型渡河装備「水竜」を公開し、有事の際の展開能力を誇示した。
~~略~~
潜水艦「安武」は、敵の潜水艦を水中音波探知システム(ソナー)で探知して魚雷で撃沈し、次いで高速接近する敵の水上艦も魚雷で撃沈した。敵の陸上に対する打撃訓練も進めた。「安武」は六つの垂直発射装置(VLS)から潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射できるが、これを使用して敵の陸上ターゲットをたたくシミュレーション訓練も行った。
朝鮮日報より
シミュレーション方式では成功した模様。でも、実弾を打たないで訓練と言えるのかは良くわからない。まあ、そのうちやるでしょう。
仮想敵国は日本
ところで、まあまあ言われていることであるが、基本的に韓国が長期間潜水する潜水艦を保有する意義はあまり高くない。
建前的には「韓国型3軸体系」の「大量膺懲報復」に用いるとされている。
この3軸体系とは、「北朝鮮のミサイル発射の兆候に対する先制攻撃」「韓国型ミサイル防衛(KAMD)」「そして北朝鮮の中枢に対する大量反撃報復(KMPR)」を指し、現行の尹錫悦政権下ではこれら3施策の実現に向けた予算措置や、効率的な指揮・統制が行えるよう「戦略司令部」と呼ばれる3軍統合司令部の創設が決まっています。
また、近年では独自に「玄武4」や「玄武5」といった弾道ミサイルの開発を行っているほか、2021年には潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射試験に成功したと韓国国防部は発表しています。
乗りものニュースより
対北朝鮮を考えるのであれば、陸上戦力だけでも十分のように思われるが、韓国にとってはそうではないということらしい。
ここのところ、イージス艦の戦力増強にも力を入れていて、そちらからも指揮や攻撃が出来るようにという話になっている。
笹川平和財団は、対北朝鮮とは「別の意図」があるのだと暈して書いているが、おそらくは対日戦を想定しての実戦配備であると思われる。それが合理的かどうかは不明だが、そうした意識があることは確実である。
韓国海軍が大型潜水艦を実戦配備をすれば、ますます東アジアの軍事バランスは複雑化を増すだろう。何より、潜水艦の命名が対日テロリスト縛りというのは、なかなか意味深長である。
コメント
こんにちは。
3600tという数字が一人歩きしている感がありますが、これ、水中排水量ですよね。
基準排水量はどれくらいなのかな……
我が海自の「たいげい」型は基準2950t水中4200tとの事なので、その差約1300tが予備浮力と概算できますが、韓国の前級214型は基準1700t水中1860t(@wiki)で予備浮力が殆どない。
この設計をそのまま拡大した……とは思いたくないですが……
※艦の大きさとしては「たいげい」と長さと幅が近いので、似たような基準排水量のはずですが……欲張った設計と、高張力鋼が入手出来ない分の補強がどれくらい効いているか、ですね。
VLSの発射試験も終わらせてるみたいですが、果たして、どこから、どこに向けて撃つつもりなのやら。
というか、核のない弾道ミサイルを一ダース程度積んだところで、まるで脅威にはなり得ないのですが……
※潜水艦もミサイルも、いずれ核を載せるつもりなのでしょうけど。
こんにちは。
韓国の潜水艦は予備浮力がかなり怪しいと言われていますから、公開したくないのでしょう。
バッチ1は基準排水量3,358t、水中排水量3,705tという感じだったようなので、噂よりも予備浮力を確保できているような印象ですが。
VLS発射の話も詳細は不明なんですよね。単発発射だけではテストの意味がないと思うんですが……。
VLS、沿海域からの弾道弾発射は、迎撃側のリアクションタイムが取れないという利点はありますが、通常弾頭では威力は知れたもの、ましてやそもそも弾道弾はCEPが狭く出来ない宿命がありますから、「中らなければどうということはない」なんですよね。
まあ、国会議事堂狙って桜田門に中った、ならまだ笑えますが(笑えない)、まかり間違って皇居の敷地に一発でも落とそうもんなら……
※だからこその「弾頭重量2t」の玄武4型?
JSF氏のツッコミはこちら。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/99d217ccf0f33e95e3f0c0da2c2016c12708bb70
※あの人達、絶対に「稼働中の原発」と「国会議事堂」はターゲットに入れてると思う。
※「稼働中の原発」は、イスラエルですら攻撃していない。
VLSでピンポイント爆撃が出来れば良いんですが、韓国の場合はイージス艦から発射したSM2もなんかおかしな方向に飛んでいく始末。
本当に大丈夫か?訓練やらないの?というレベルのお話だと思いますよね。
そして玄武4はそもそも発射出来るのか?という疑問も。