あらあら。
[アン・ギュベク議員]海軍駆逐艦誘導弾照射性能の低下・故障深刻
2021-10-21 09:58:37
韓国海軍の駆逐艦(広開土大王級、忠武公李舜臣級)に搭載された誘導弾照射器の性能低下が深刻だという指摘が出てきた。誘導弾照射器と艦で運用する艦対空誘導弾(Sea Sparrow、SM-2)の標的誘導装置で対空防御の核心だ。
「Bemil」より
えーと、SM-2を発射するのに問題が?
コメントで教えて頂いたので言及しておきたい。
照準の狂ったSM-2
誘導弾照射器って何?
えーと、先ずは、誘導弾照射器って何か?と言うことがイマイチよく分からなかったので調べて見ることに。

記事にはこんな写真が付けられていて、多分レーダーの何れかの事なんだと思う。それが不調なんだということになっているんだって。
広開土大王級が装備するレーダーは以下の通りである。
- AN/SPS-49(v)5 早期警戒用の長距離二次元レーダー:対空策敵用 1基(米レイセオン社製)
- MW-08 短距離探知用三次元レーダー:水上目的射撃指揮用 1基(蘭タレス・ネーデルランド社製)
- SPS-95K 対水上捜索用:1基(韓大宇社製)
- STIR-180 射撃指揮用:2基(蘭タレス・ネーデルランド社製)
で、該当する可能性があるのはSTIR-180。オランダのシグナール(現:タレス・ネーデルランド)社が開発した射撃式レーダーのSTIR-180は、確かに韓国海軍の広開土大王級駆逐艦と李舜臣級駆逐艦の両方に採用されている。広開土大王級駆逐艦はSTIR-180で、李舜臣級駆逐艦はSTIR-240が採用されているらしい。
これが何に使われるかというと、艦砲や個艦防空ミサイル、スタンダードMR艦隊防空ミサイルの射撃指揮に用いる事ができて、目標追尾、セクター走査、高角測定、弾着観測、水上目標に対する修正射撃、直線軌道予測及び曲線軌道予測に対応と、いわゆる火器管制レーダーと呼ばれるレーダーだ。
……これ、自衛隊のP1哨戒機をロックオンするときに使ったアレじゃないか。
パフォーマンス低下
さて、そのSTIRがどんなトラブルを抱えているのかというと、どうやら「良く故障する」ということと、起動に時間がかかるようになったという事らしい。
実際、最初の故障発生日を基準に、誘導弾照射故障発生頻度が広開土大王級は1年に約7回、忠武公李舜臣級は約4回に達し、徐々にその周期が短くなっている。
2020年に発刊した海軍の分析評価報告書(駆逐艦誘導弾照射効率的な運用を維持方策の研究)は、忠武公李舜臣級の故障の原因に機器の基本的な設計上の欠陥の可能性まで提起している。また、照射器の運用のためのウォームアップ時間も基準比広開土王級は最大5倍、忠武公李舜臣級は12倍以上かかることが確認された。このようにウォームアップ時間が基準より過剰する場合、緊急時に艦の誘導弾射撃自体ができないことがあります。
「Bemil”海軍駆逐艦誘導弾照射性能の低下・故障深刻”」より
起動時間が通常の5倍~12倍というのは、困った話である。
しかし、記事には「機器の基本的な設計上の欠陥の可能性」とか意味不明な事が書かれている。が、このレーダーを採用している艦は他国にも結構あって、韓国の船に搭載したレーダーだけ不調なんて事にはなるまい。
どうやら、いつもの整備不良らしいぞ。
誘導弾照射器の大小故障が続いているが、軍は修理すら苦労している。海軍は、独自の整備能力で修理が困難な場合、米海軍と製作会社の技術サポートを受けているが、製作会社が修理部品を中止して2018年の外周整備を中断(整備ライン撤去)するなどの整備環境が徐々に悪化している。
「Bemil”海軍駆逐艦誘導弾照射性能の低下・故障深刻”」より
そして、修理が出来ないケースでは、どういう訳かアメリカ海軍のサポートを受けて居る模様。製作会社の技術サポートは分かるが、アメリカ海軍のサポートとは一体??
と、ここでまたぞろ出てきたのが「修理部品の生産中止」問題である。
また、忠武公李舜臣級に設置された誘導弾照射は、最近10年の間、13件の同類の切り替えがあった、このうち昨年だけ6件行われた。海軍の整備管理規定に基づいて「戦争勃発迫っ時故障発生装置への迅速な整備回復が必要な場合」でも可能にする同類専用自体も問題だが、その頻度が多くなっていることが大きな問題である。
「Bemil”海軍駆逐艦誘導弾照射性能の低下・故障深刻”」より
あーこれ、いつものパターンだ。
要は整備不良
韓国軍のいつもの持病「整備不良」は、以下の特徴がある。
- 予備部品を在庫しない
- 修理したくても部品がないので共食い整備か放置
- 本格的に困ってから部品発注するが、多くの部品は生産中止
- 結局、整備できずに放置
このパターンにはまり込んだ兵器は実に多い。
これにより、製造中止の部品が広開土大王級は全体の43%、忠武公李舜臣級は49%に達し、部品調達が難しい場合は修理期間が長く300日以上かかることもある。
「Bemil”海軍駆逐艦誘導弾照射性能の低下・故障深刻”」より
広開土大王級駆逐艦と李舜臣級駆逐艦はこのパターンに見事に嵌まった兵器だというわけだ。
稼働率が落ちてしまうのも無理は無い。
そしてこの下り。
また、忠武公李舜臣級に設置された誘導弾照射は、最近10年の間、13件の同類の切り替えがあった、このうち昨年だけ6件行われた。海軍の整備管理規定に基づいて「戦争勃発迫っ時故障発生装置への迅速な整備回復が必要な場合」でも可能にする同類専用自体も問題だが、その頻度が多くなっていることが大きな問題である。
「Bemil”海軍駆逐艦誘導弾照射性能の低下・故障深刻”」より
「同類の切り替え」とか「同流転換」の意味がよく分からないが、多分コレ、共食い整備のことである。
そしてその頻度が高くなっていると。
アンギュベク議員は「問題となる誘導弾照射器に対する精密な診断と、より堅固な対策の整備が切実だ」とし、「今回のことをきっかけに先端戦力の導入だけでなく、現用戦力が私の性能を完全に発揮できるように万全を期すべきだ」「と強調した。
「Bemil”海軍駆逐艦誘導弾照射性能の低下・故障深刻”」より
議員は嘆き節で、「新しいオモチャを増やすんじゃなくて、壊れてそのままになっている兵器を使える様にしろよ」と。
何という平常運転。
前日、近代改修したという話を書いたばかりなのに、火器管制レーダーは更新しなかったようだね。ここが重要なところじゃないの?
そういえば、韓国海軍の放つSM-2は命中率が5割を切るとかいう話も書いたのだけれど、狙いを付けることが出来なければ仕方が無いのかも知れない。
注:いつもながら誤字ご指摘に感謝いたします。ちょっと恥ずかしい誤字だったので、今後とも気をつけたいと思います。
コメント
映画なんかでよく出てくる、レーザー目標指示器。の、電波版。と、でも思っておけば良いんでしょうかね。レーダーって要は電波=不可視光使ったサーチライト。なのですし。
なかなか「そうだ」とも「ちがう」とも言い難い感じのご指摘ですが、狙いを付けるという意味ではその理解でいいのかなーと。
レーダーは反射波を見て相手の位置を特定する機能がありますから、レーザー(直進する光線)という理解とは違うのですよね。
木霊様、匿名様、皆さま、今日は
レーザーはコヒーレントな光で、光は電磁波です。波長が違うだけです。「光」の波長は0.1ミクロン(紫外線)~10ミクロン(赤外線)程度。
波としての性質は同じ。電波も直進しますよ。重力場などで曲がりますけど、その点は「電波」も「光」も同じでしょう。
実際にレーザーを使ったレーダー(反射波を利用する)もあります。軍用に応用されているかどうかは知りませんが、あっても不思議ではない。
あー、言葉が足りませんでした。
確かにレーザー光を使ったレーダーも原理的にはあり得ます。確か移動式オービスはレーザータイプでしたし、工場などではレーザーセンサーを使っていますね。
ただ、波長の短いレーザー光(ご指摘のようなX線から赤外線辺りまでの波長がよく使われる)よりも、波長の長いXバンドと呼ばれる8~12GHz帯やKバンドと呼ばれる18〜27GHz帯のマイクロ波を使った方が、レーザーに使われる波長の光よりも雲や霧などに吸収されたり、減衰したりすることが少ない点で有利であります。したがって、海上でレーザータイプの検出器を使うメリットは薄いのかなと、そういう理解です。大出力で照射することは考えられますが、それはもはや違う兵器ですね。
したがって、ご指摘の話はご尤もなのですが、レーザー光をイメージされるとちょっと違うのかなという印象だったわけです。
レーザーを利用した誘導兵器としてはレーザー誘導爆弾のベイプウェイシリーズやTOWやヘルファイア等の対戦車ミサイルなどがありますね。
レーザーを目標に照射しレーザーの反射光を検知して目標に突入させるのでレーダー誘導と似てはいますがレーザーは直進性が強いのでレーザーで目標を検知するのではなく目視で対象に正確に照射し続ける必要があるなど制約があります。
この制約のため打ちっぱなしが困難なためヘルファイアの打ちっぱなしバージョンはミリ波のレーダー誘導に対応しています。
タレスの射撃指揮レーダー製品リストにはSTIR 2.4 HPとSTIR 1.2 EO Mk2のみでSTIR 1.8(STIR-180)はカタログ落ちしていますから新規の部品購入はもうできないでしょうね。
STIR-180の代替品はSTIR 1.2 EO Mk2で台湾の沱江級コルベットは2番艦からは射撃指揮レーダーをSTIR 1.2 EO Mk2に変更していますね、
そういえばSTIR-180自体途中でバージョンアップされてたはずですがその時も韓国は対応してなかったんでしょうね、しかし何故「哨戒機の脅威を受けての改造した」と言っておきながら肝心の射撃指揮レーダーをSTIR 1.2 EO Mk2へ交換しなかったのでしょうね?
なるほど、STIR 180が生産終了したというのは型落ちになったと言うことでしたか。
韓国軍は何故コレを更新しないんですかねぇ。
自衛隊への火器管制レーダー照射事件の時に、「機器の不具合で迷惑をかけた」という結論して、新型に変えてしまって新型に換装すれば良かったのに。
って、後知恵で言っても仕方がありませんかね。
こんにちは。
これ、イルミネーターってヤツですね。
SM-6はアクティブとのことですが、それ以前のスタンダードミサイル及びESSMはほぼ全てセミアクティブホーミングなので、中間誘導に専用のレーダービーム投射器が必要で、つまりそれがイルミネータ、アーレイバーグ及びその派生型(こんごう級とかKDX-3とか)では艦橋天井に一つ、後部煙突後方に二つ付けてますよね。
※為に、原則的には、同時に撃てるミサイルはイルミネータの数に制限される。時間差で誘導するとかあり得るのでしょうけれど、物理的にレーダーのビームが向いていない方向には誘導不可能。ハルマゲドンモードって言う、中間誘導無しで全ミサイル撃ち尽くすモードがあると聞いたこともありますが……本当だろうか?
これがないとミサイルの誘導が出来ないという、現代の戦闘艦船にとって死活問題のはずで、共食い整備しようにも、他の艦から獲っちゃったらその艦はミサイル撃てなくなるという……
まあ、韓国さんの平常運転ですね。
不勉強で「イルミネーター」という単語を知らなかったのですが、セミアクティブホーミングでミサイルの誘導を担当しているのがSTIR-180ということでしょうかね。
ハルマゲドンモードの存在の噂は聞いたことがありますが、用意されていそうではあるものの、ちょーっと怪しげデスヨネ。
ミサイル誘導が苦手な韓国さんらしい話題でしたが、しかしこれ、マジなニュースなんですかね。メクラでミサイル打つって絶対味方にしたくないタイプなんですが。
自衛隊哨戒機をロックした履歴がどうやっても消せなかったから、レーダーごと廃棄………は、流石に穿ち過ぎですね。
韓国名物共食い整備はいつものこととして、一体どの艦から部品持ってきてるのだろう?
共食い整備の基本は同型艦からの移植で、ニコイチ整備とも言われます。
要は、複数の同型艦が故障している場合に、使える部品だけ集めてきて1つの艦を動かせるようにする訳です。同じ装備を持っている艦からであれば、部品取りは可能だと思いますが、STIR-180とSTIR-240が同じ部品を使っているかは分からないので、同型艦からの移植をしていたと考えるのが妥当でしょう。
この手の整備は自衛隊でもやられていて、とりあえず動く機体が1つでも出来ればOKという考え方で、予備部品が無いケースでは緊急避難的にやられますね。
韓国軍の問題点は、予備部品がないので、同型艦が予備部品扱いになるのですが、その後部品が取られてしまった艦の修理が進まないところですかね。慢性的に数が不足してしまう結果になります。
返信ありがとうございます。
ちなみに、部品取られた機体は「予備機」と「戦力外」のどちらかに算定されるのですかね? まさか、部品取られて動かない機体まで、保有戦力に数えていないですよね………
韓国海軍は、日本向けの飾りです。
他の用途は無いです。
偉い人には、分からんのです。