信用されない韓国製戦闘システムと、フィリピン海軍の要求

海軍

あー、アレね。

「認証手続きを再提出」とフィリピン海軍、ハンファシステムに意地悪

登録2020.03.17 09:21:21

ハンファシステムの落とし穴戦闘システム(CMS)が搭載されたフィリピンの海軍フリゲート艦艇の最終納期遅れの懸念があるという主張が提起された。

「THE GURU」より

なかなか愉快な展開になっているようだ。ただこの話は、お笑い韓国軍の番外編的な話だな。どちらかというとフィリピン海軍絡みのネタなので。

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フィリピン海軍が発注した韓国製フリゲート艦

2016年に合意

フィリピン海軍が持っているフリゲート艦は、アメリカから貰い受けた退役艦艇から構成されているらしく、キャノン級駆逐艦やハミルトン級カッターなどを運用していた模様。

ハミルトン級

何れも小型船舶で、ハミルトン級はコースとガード用に作られた船舶である。

昨今の情勢を考えると、もう少し攻撃力に重点を置いたフリゲート艦が欲しくなるのは、無理も無い話。何しろ支那の海洋侵出の影響をモロに受けるのがフィリピンだからだ。

そんな訳で、あろう事か韓国からフリゲート艦を買うことに決めたフィリピンであった。

ベースは仁川級フリゲート

で、当時も現役であった仁川級フリゲートがベースに、フィリピン海軍用の船が作られることになる。

現代重工/フリゲート艦受注。比国防省向け2隻

2016年10月25日

韓国造船最大手の現代重工業は24日、フィリピン国防省との間で2600トン級フリゲート艦2隻の建造契約を締結したと発表した。2020年までに引き渡し予定だが、受注額は明らかにしていない。

「日本海事新聞」より

この船は予定通り建造されたらしく、まにら新聞には2019年頃にこんな記事が掲載されていた。

比海軍が現代重工業に発注していたフリゲート艦が完成し韓国沖で試験航行

2019.11.24

フィリピン海軍のロハス報道官によると、2016年に比国軍が韓国の現代重工業に発注したフリゲート艦2隻のうち、1隻が完成し、韓国沖の海上で実際の試験航……

「まにら新聞ウェブ」より

会員制なので文章の途中までしか引用できていないが、意味は分かる。

2,600t級フリゲートが完成して、試験航行していたということなのだろう。これが、フィリピンの英雄「ホセ・リサール」の名を冠した一番艦であることは後に分かるのだが、仁川級フリゲート艦(2,300t)をベースに作ったということなので、能力的にも仁川級フリゲート艦に準ずると言うことなのだろう。

……と思ったのだが、艦の推進方法はホセ・リサール級フリゲートの場合CODAD方式を採用しているらしい。仁川級フリゲートはCODOG方式だったハズなんだが。

<CODOG方式>

<CODAD方式>

何故だ?CODAD方式の方がメリットありと判断したのだろうか?

更に不思議なのは、ホセ・リサール級フリゲートは、MTU社製 STXディーゼルエンジン4基を積む構成である。通常はCODAD方式は、出力軸1つあたり巡航用エンジンと高速用エンジンが1組ずつ搭載されるケースが多いそうで。なのに何故、同じ型のエンジンを4基積んでしまったのか?別のチューニングが施されているのかな??

思うに、最高速力を犠牲にしてメンテナンス性を重視したのではないか?と。

ともあれそれは完成してテストは行われた。

戦術データリンクとCMSの互換性を要求

ところが、これの納入がどうやら遅れそうだという話が出ている。それが冒頭のニュースだ。どうやら戦術データリンクに纏わる理由のようだ。

Link-16は、アメリカ軍が採用している戦術データリンクのフォーマットである。NATOが採用するのがこのLink-16なので、アメリカ軍と連携するのであれば対応することは必須である。もちろん、韓国軍だって一部だがこれに対応している。

韓国からフリゲート艦を購入するのであれば、まさかこれに対応していないハズは無いわけで。

フィリピン海軍から「テストしてくれ」というのならばともかく、「認証取得しろ」というのは確かに少々嫌がらせの様な気はする。

実は、これが決まる経緯が問題だったようなのだ。

政治的工作?

ホセ・リサール級フリゲートに搭載される戦闘管理システム(CMS)は、当初フランスのタレスが開発した戦闘管理システム「TACTICOS」を採用することに決定されていた。しかし、政治的な妨害工作が働いたのか最終的にはナーバル・シールドICMSが選ばれたと説明されている。

何故、敢えてハンファシステムのCMSを採用してしまうのか。

Hanwha Systems to provide its NS ICMS for more PKX-B fast attack craft

06 January 2020

South Korean company Hanwha Systems has announced that it will also provide its Naval Shield Integrated Combat Management System (NS ICMS) for the latest four Patrol Killer Experimental-B (PKX-B)-class fast attack craft ordered for the Republic of Korea Navy (RoKN) in October 2019.

「Jane’s」より

この韓国製のシステムはどうやら最新鋭売り出し中というモノらしく、Jane’sにも韓国政府か力を入れているらしいことが言及されている。

で、このハンファシステム製CMSがLink-16との互換性があるかどうかのテストをフィリピン海軍が要求し、「それなら、イギリスが開発したシミュレータ「ADSI」で確認すれば?」という韓国側からの提案に対して、フィリピン海軍は「それではダメだ!」と蹴ったということのようだ。

まず、ADSIの信頼性をアメリカ政府が保証する認証を取得するように要求したというのである。

ハンファシステムのCMSは、世界標準のオープンアーキテクチャベースのオープン分散構造で設計されてトラップの義務と特性に応じて、さまざまな構成が可能で、統合作戦に必須であるマルチ戦術テイトリンク統合設計を実現します。ユーザー利便性を考慮した人間工学設計に適用と指向性された運用、整備性を確保するのが特徴である。

「THE GURU」より

韓国側は「信頼あるシステムだから」と粘ったらしいのだけれど、結局、アメリカに対して認証手続を踏むこととなり、この結果、ホセ・リサール級フリゲートの納入が遅れる形になったというのが冒頭のニュースだ。

意趣返しか?

韓国側の分析としてこんなものが紹介されている。

一部では、フィリピンの当局の米国政府認定の要求がCMS競争から脱落したタレスの妨害作戦という主張も出ている。タレス側で次の事業を確保するために、ハンファシステムの信用をさげたとのこと。

「THE GURU」より

こんな陰謀論など、誰が信用するのか?という話だが、韓国製の武器を買うのであれば慎重になるのはある意味当然ではある。

しかしどうやらCMS選定にあたって当初フィリピン海軍側主導で行われていたにも関わらず、それを引っ繰り返された腹いせにフィリピン側が仕掛けた「嫌がらせ」という方が説得力があり、わざわざフランスのタレス社が嫌がらせをするかはかなり疑問だ。

実は、このCMS選定の際、フィリピン国防長官が仏タレス社製「TACTICOS」導入に反対し、当時この選定作業を主導していた海軍中将は抵抗したために更迭されてしまう騒ぎがあった。フィリピンの国防長官が韓国からの「政治力」によってこの様な判断をしたという背景があったと推測されるため、今回の「認証取得要求」はフィリピン海軍の嫌がらせと理解するのが妥当な気がする。

何しろ、この手の政治力行使で軍の装備品をアレコレ弄っちゃうのは韓国では日常的に行われる風景で、時々、偽装部品が搭載されていたりする騒ぎがニュースになるからね。

とはいえ、この手の防衛装備品に関してはどこの国でも色々癒着やら汚職やらの騒ぎになるんだけれども。

今回のこの騒ぎで、損をするのは韓国側なのかフィリピン側なのか。防衛装備品の納入が遅延することは、そんなに「良い事」ではないんだけど。

コメント

  1. 木霊さん、おはようございます。

    >昨今の情勢を考えると、もう少し攻撃力に重点を置いたフリゲート艦が欲しくなるのは、無理も無い話。何しろ支那の海洋侵出の影響をモロに受けるのがフィリピンだからだ。
    >そんな訳で、あろう事か韓国からフリゲート艦を買うことに決めたフィリピンであった。

    キャノン級駆逐艦は何と70年以上現役を務め、数年前にやっと退役したとかですね。

    アメリカもWWⅡ後には大量の駆逐艦やフリゲート艦が余っていたのでしょう、冷戦に備え同盟国にこれらの旧型艦を許与できたのですが、ミサイル艦が主力となった現在は高額&高性能なイージス艦が主役でフリゲート艦も最新のインディペンデンス・フリーダム級しかありません。
    つまり、供与可能な戦闘艦は退役し係留中のオリバー・ハザード・ペリー級(3200t)くらいしかないのが現状でしょう。

    アジア諸国でアメリカ軍を真っ先に撤収させたのがフィリピンですから、その後のアメリカの対応が冷たいのは仕方ない気がしていますが、よりによって南朝鮮の欠陥品を買うとは...?
    それでも2000~3000tの同等クラスなら欧州勢のフリゲート艦を中古で買うとか、他に手はなかったんでしょうかねェ~。

    日本は艦歴を忠実に守り25~30年で惜しみなく護衛艦を退役&解体処分にしてきました。
    武器輸出が最近やっと解禁されたので仕方なかったのですが、3900t級FFM型が就役した後に退役予定の2000t級DE型(あぶくま)を延命メンテナンスして、親日国に安く供与したらどうかなと考えています。
    対艦・対潜戦に比べると対空戦はCIWSのみですが、SeaRAM搭載スペースもある様ですしね。

    FFMは高額で対輸出には向いていないと思っていますが、計画中の1500t級哨戒艦は輸出を前提にした設計にしていいと思っています。
    フィリピン・台湾・インドはもちろん親日のマレーシア・シンガポール、そして支那対抗を共有利益とするベトナム等への販売です。

    支那寄りのドティルテ大統領後を見越してですけどね。

    • 日本の自衛隊は、兵器を海外に輸出する前提で無いため、日本に特化した製品をつ買うケースが多いですよね。
      そういう意味では、なかなか輸出することが難しいのでしょう。
      ただ、今後はそうした事も考えていく必要がありますよね。

  2. >通常はCODAD方式は、出力軸1つあたり巡航用エンジンと高速用エンジンが1組ずつ搭載される
    >ケースが多いそうで。なのに何故、同じ型のエンジンを4基積んでしまったのか?
    >別のチューニングが施されているのかな??

    多分、ガスタービンのメンテナンスに不安があることと、速力をそれほど求めていないことが理由ではないかと考えます。

    CODAD方式は「And」なので、高速時は2基のエンジンを同時に使えますから、速力を求めないなら、ありだと思います。

    • これはご指摘の通りだと思います。
      確かに、2基同型を積むことにもメリットはありますよね。
      実際に、ベトナム海軍は速度は必要としない気がしますし、世界的にも高速艇の需要は低くなっているような気がしますし。

  3. 以前、韓国海軍の中古コルベット艦をフィリピンに供与しようとしたところ、支那がクレームを付けていましたが、さすがに買い物にまではまだクレームを付けていないようですね。台湾へは米国が武器を売却する際には必ずクレームを付けていますが。

     しかしLink-16、色々ややこしいモノみたいです。韓国では空軍から運用を開始して、防空中枢艦のイージス艦とはLink-16でつながるのですが、それ以外の艦に未だのようですし。
     また数年ごとに大幅なアップグレードを行っているようで、独自システムに組み込んでいるとその対応にかなり手間がかかるようです。
     ですので、Link-16を使いたいからちゃんと、これから先も対応できるモノにしてくれ、というのはわかるのですが、だったら、余り実績が無い韓国に発注するんじゃないよ、と言いたくなりますね。

    • 韓国におけるLink-16対応はまだまだ遅れているようですね。
      そもそもLink-16に接続してメリットが得られるような戦略を立てていない気がしますよ。
      本当は、アメリカと共同軍事演習を行うような関係であれば必須な装備なんですが……。