フィリピンで大活躍?FA-50PH軽攻撃機

空軍

フィリピンが韓国製のFA-50軽攻撃機を購入した事実は知っていたが、運用できていたんだねぇ。

フィリピン「中国船舶220隻追い出し」大作戦…韓国製軽攻撃機を出撃

2021.03.29 15:25

フィリピン軍が南シナ海で数百隻の中国船舶を追い出すために、韓国から導入した軽攻撃機FA-50PHを出撃させた。FA-50PHは韓国航空宇宙産業(KAI)が量産した高等訓練機T-50の派生型のFA-50のフィリピン輸出用兄弟モデルだ。現在、韓国空軍もFA-50を60機運用している。

「中央日報」より

僕の記憶だとフィリピンが持っているFA-50軽攻撃機は12機くらいの印象だったのだが、60機も持っていたのか?

……と、思ったら、60機持っているのは韓国空軍だった。なんだ、紛らわしいな。

で、この記事にFA-50について「ポンコツだ」とtwitterで揶揄したら、「アメリカ空軍で練習機として検討されたのに、ポンコツの分けねーだろバカ」と横槍を入れてきた方がいた。

……でも、韓国空軍のアレって、ブログで追いかけて身としては「ポンコツ」と言わざるを得ないんだけど。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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輸出に成功したFA-50攻撃機

フィリピンはFA-50を購入したが

韓国空軍のT-50高騰高等練習機と、そこから派生したFA-50軽攻撃機について、ざっくりコチラで解説をした。

この中にもフィリピン大統領が韓国軽戦闘機を購入する話を紹介した。

フィリピン大統領 韓国製軽攻撃機12機購入を承認

記事入力 : 2014/02/21 12:54

フィリピンのアキノ大統領が韓国製軽攻撃機「FA50」の購入費支給案を最終承認したと、同国メディアが21日報じた。

アキノ大統領は同機12機(4億2200万ドル相当、約433億円)の輸入代金支給案を最終的に承認し、代金支給契約のための準備が進められているという。

聯合ニュース 」より

購入を決定したのは、前大統領のベニグノ・アキノ3世氏だ。何も韓国製の軽攻撃機に手を出さなくても、と、は思ったのだが、今さらである。

28日(現地時間)、ロイター通信によると、フィリピン国防省は南シナ海のウィットサン礁近くに停泊中の中国船220隻の即刻退去を要求するために戦闘機を出撃させた。同海域は、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にある。

「中央日報”フィリピン「中国船舶220隻追い出し」大作戦…韓国製軽攻撃機を出撃”」より

使い方を考えたら悪い選択肢ではなかったとは思う。

FA-50 fighter jets grounded after friendly fire in Marawi

INQUIRER.net / 03:34 PM July 13, 2017

The military has temporarily suspended the use of FA-50 fighter jets following the friendly fire incident in Marawi City on Wednesday noon.

The Armed Forces is suspending the use of that particular aircraft for any further airstrike until such time that the cause of the accident has been determined, or the failure of the equipment has been determined. Until such time we are sure of the cause of one of those bombs falling short of target will we then resume the use of that aircraft,” AFP spokesperson Brig. Gen. Restituto Padilla said in a press briefing on Thursday.

「INQUIRER.NET」より

ただ、誤爆をやらかしたこともあって、上手いこと運用できているかは、少々疑問だな。この件に関して、しっかりと結論が出たのだろうか?

調査の結果、機体、パイロット、武器システムに何の問題もなかったとの結論が出ている。……え?何が悪かったの??何やら、フィリピン軍は対策として空爆に関する手続きなどの見直しをやったそうではあるが。

正直、COIN機としての運用に使うならFA-50軽攻撃機はオーバースペックである。ソレほど安い機体でも無かったはずだが。

T-50は輸出面で見ると成功した機体か

そもそも、このFA-50軽攻撃機だが、輸出が順調か?というと、順調とは言い難い様だ。それでも、数カ国に輸出しているので「成功している」と言えるかも知れないが。

最近ではアルゼンチンに輸出しようとして、アルゼンチン側の都合でコレに失敗したと報じられた。アルゼンチンは経済が不安定だったから仕方がない面はあると思うよ。

それでもいくつかの国には輸出を成功させている。

  • インドネシア:2011年に輸出が決定し、T-50Iとして16機の輸出実績がある。
  • イラク:2013年に輸出が決定されて、FA-50が24機納入されている。
  • フィリピン:2014年に輸出決定し、FA-50PHとして12機が輸出されている。
  • タイ:2015年に契約され、T-50THが合計14機輸出される。

こんな感じかな。

これらに関しては素直に「凄い」とは思う。軽攻撃機にせよ、セールスを成功させたのである。数は多くないが、外国にセールスできた点は大きいだろう。

米国は次世代高等訓練機事業でT-50訓練機の性能を高く評価した。今年1月17日には空軍賃貸事業単独入札者に選定している。最近、競争入札に変わったが、T-50訓練機が最終的に選ばれる可能性が高い。

「中央日報”<Mr.ミリタリー>日本が韓国産戦闘機を輸入することは可能か”」より

で、アメリカ空軍の次世代高等練習機事業の話も出てくる。

韓国が一生懸命セールスした結果、アメリカ空軍としてもロッキード・マーティン社が設計している機体だからイイかも?という雰囲気がでて候補としてあげられたのは事実だ。

結果的には高等練習機T-50の採用はされなかったのだが、そのこと自体はスゴい事だと思う。でも、だからFA-50軽攻撃機が凄いかというと、そんな話ではないだろう。

ついでに言及しておくが、日本の練習機としても「買ってくれ」とセールスがあったようだが。

いや、冗談は止めてよね。

軽攻撃機FA-50のアップグレード?

さて、設計的にはそろそろ古くなってきたので、アップグレードの模索が始められている。

もともと高等練習機T-50にオマケ程度につけられた攻撃能力である。設計的に後付けの部分が起因したのか、色々トラブルも抱えていると聞く。

韓国が「国軍の日」で誇示した戦闘機、実は故障だらけだった?=韓国ネットからは擁護の声も

2019年10月3日(木) 6時20分

韓国は1日、「国軍の日」記念式典を盛大に開催した。しかし韓国メディア・チャンネルAは「実のところ韓国空軍の戦闘機は相次いで欠陥が発見されており、波紋を広げている」と報じた。

記念式典で韓国空軍は、FA-50について「2014年に戦力化、実戦配備された機体で、精密爆撃能力を備える国産の最先端戦闘機」とし「高等練習機T-50を戦闘機に改造したFA-50が韓国の空を守っている」と説明した。

これについて記事は「大げさなPRであり、実際は違っていた」とし「FA-50は戦力化後から昨年まで7回にわたり機銃に故障が発生している」と説明している。機銃がしっかり固定されず射撃中に振動が発生し、そのために弾丸が自らの機体を傷つけてしまう事故や、薬きょうが中から飛び出し、大事な内部配線が切断される事故が発生したという。記事は「命中率が下がるだけでなく、機体損傷につながって操縦士の安全まで脅かされる可能性のある問題」と指摘している。

度重なる機銃の故障により、空軍はこれまでに3回も射撃訓練を禁止にしたという。その日数は計331日に達し、実戦配備された5年のうち約1年は機銃なしで出動していたことになる。空軍は現在、損傷の恐れがある配線にカバーをかける「一時しのぎ」で機銃射撃を行っているという。

「レコードチャイナ」より

機銃に関してのトラブルだけしか書かれていないので少々大げさな感じはするのだが、生産は2013年~2016年の3年間のみ。最近、韓国空軍が調達したという話は聞かない。

何故なんですかねぇ?

その原因として心当たりがあるとしたら、やはり製造コストが高いことと、性能がションボリである事が原因なのだろう。FA-50軽攻撃機を増やすくらいならKF-16戦闘機の近代化改修をしろと。或いは、F-35A戦闘機を買えよと。

或いはKFX戦闘機に注力しすぎてFA-50軽攻撃機の改修にまで手が回らないと言うことなのか。

元々、練習機として開発されていることもあって、F-16戦闘機をベースに開発されたとはいえ、少々小型に作られている上、エンジンも非力なものがチョイスされている。よって、離陸重量が少ない上に航続距離もKF-16戦闘機の半分以下。最大速度もマッハ1.5程度であり、軽攻撃機とはいえ戦闘機として使うには色々物足りない感じが強い。

仕方が無いとは言え、レーダーなども若干見劣りする。

それでも追加調達予定

そんな訳で、2016年以降調達なされていなかったのだが、去年、新たに調達する予定が報じられていた。

KAI、韓国空軍向けTA-50を受注

配信日: 2020/07/02 12:55

韓国航空宇宙産業(KAI)は2020年6月30日(火)、韓国防衛事業庁とTA-50 Block2の量産契約を締結したと発表しました。この契約締結により、KAIとその先の航空関連企業が新型コロナウイルスで影響を受ける中、厳しい市場環境に耐え、雇用維持に寄与することも期待されています。

「Fly Team」より

ただ、去年2020年に調達が決定されたのは、LIFT機仕様のTA-50練習機らしいのだよね。Lead in fighter trainerの略でLIFT機。つまり、高等練習機の後に乗る練習機で、戦闘機との繋ぎという位置づけだね。アビオニクスの高度化が進んでいるので、その練習をするための練習機だ。

……あれ?FA-50は?

契約はTA-50と支援システムなどを含め6,883億ウォンで締結し、2024年に納入を完了する予定です。TA-50は戦術訓練のための航空機で、T-50高等練習機をベースにレーダーと空対空、空対地武装を装備しています。

「Fly Team”KAI、韓国空軍向けTA-50を受注”」より

えーと、スナイパーATPの搭載を検討している話はあったが、その後どうなったのかはさっぱり。

ロッキード・マーティン、FA-50へのスナイパーポッド適合を確認 | FlyTeam ニュース
ロッキード・マーティンは2019年10月15日(火)、FA-50へのスナイパーアドバンスドターゲティングポッド(ATP)の適合チェックを実施したと発表しました。FA-50は韓国航空宇宙産業(KAI)...

どうなったんでしょうねぇ。

フィリピンは追加購入するのか

さて、冒頭のニュースに戻ろう。

以降、フィリピン軍はイスラム武装勢力の掃討作戦(マラウィの戦いなど)にFA-50PHを投入し、精密爆撃で大きな成果を得た。当初、軽攻撃機の導入に否定的だったロドリゴ・ドゥテルテ比大統領は、このような知らせを受け、「韓国が作った(South Korea-made)FA-50PHが爆弾を浴びせ、テロリストを掃討することを願う」と満足感を示した。これは、フィリピン政府がFA-50PH12機の追加導入を検討している背景でもある。

「中央日報”フィリピン「中国船舶220隻追い出し」大作戦…韓国製軽攻撃機を出撃”」より

……なんだよ、「買って貰えるかも」という話なのか。

まあ、FA-50ではなくF2戦闘機が買って欲しかったと呟いておられる方もいるのだが、ちょっと無理だろうね。

何しろ、フィリピン軍がFA-50軽戦闘機を買った時代、日本は武器輸出が実質的に禁止されていた。武器輸出三原則に関して新たな政府方針が発表されたのは平成26年(2014年)4月1日のこと。そして、F2戦闘機の調達は平成23年(2011年)度より行われておらず、生産ラインももはや閉じてしまっている。平成23年(2011年)3月11日の震災で失ってしまった18機について、既に新たに製造し直すことは出来なかった。13機は修復出来たのだけれどね。

ともあれ、フィリピンにF-2戦闘機を買って貰うというのは、色々な面で無理だったことは事実である。高額なF-2戦闘機を買って貰うのはなかなか難しいという点も指摘しておかねばならないだろう。

当時、FA-50PH軽攻撃機は約460億円で12機が輸出されている。一方のF-2戦闘機は1機あたり120億円程度であったと言われていて、値下げしたとしても4機程度しか買えない計算になる。それならアメリカからF-16戦闘機を売って貰った方が良かろう。中古品でも程度の良いモノが手に入れられれば、十分に使えるからね。

そんな訳で、フィリピンで運用が続いてはいるようだが、個人的にはFA-50軽攻撃機をフィリピンが追加で買う可能性は低いだろうと見ている。何故ならば、航続距離が短く海上にいる船を爆撃するのにも少々不安があるからだ。地上目標ならともかく、海の上で飛び回るにはちょっとね。

コメント

  1. 木霊さん、おはようございます。

    なんやかんやで60機以上も輸出しているのですから大したもんですね。

    COIN機は機関砲に空対地ミサイルor誘導爆弾・空対空ミサイルが少数でも搭載できれば、対テロリスト・ゲリラへの攻撃能力は十分でしょう。

    短い航続距離からして作戦行動範囲は200~300kmが精一杯だと思うんですが、フィリピン軍は支那船団を十分に威嚇できるのか???ですね。

    同じ総生産数200機を超える空自のT-4の事故は、運用開始から30年を越えますが1度だけで2機消失。(パイロット3名殉死)、T-50は運用開始から15年で4回の事故で5人殉死ですから、事故リスクは3~4倍あるんじゃないかなァ~。(整備の未熟さからくる低い稼働率で換算すると5倍は軽く越えそうですけど)

    T-4の価格が20~30億と言われていますが、30年前と単純比較できないにしてもFA-50の40億/1機は決して安くないと思います。
    アメリカ空軍が高度なアビオニクスを採用したT-7が、フライトシュミレーターを含んでも30億/1機くらいらしいので、FA-50が世界市場に出る幕は益々なくなってくると予想します。
    色々と問題を抱えるFA-50の前途ですが、アメリカ軍を初め連敗続きの様なんで先は暗そう。

    さて、日本の空自次期練習機もそろそろT-Xの話が出ないと、T-4の退役が目の前に迫っています。
    200機規模なら軽く1兆円は超えるでしょうし、新規開発なら開発費もネックになるでしょう。
    単発のT-7の購入に甘んじるのか? F-3用練習機としてF-3/T-4のノウハウを活かして国産双発T-Xを新規開発するのか? そのタイミングを注視していきたいと思います。

    新規開発の場合はT-4ではエンジンの出力不足で実現しなかった、COIN機転用→輸出まで視野に入れた仕様にして欲しいですね。
    親日国が多い東南アジア・中東・南米諸国と、COIN機を欲する潜在需要ユーザーはかなりあると思いますからね。

    • いや、立派だと思いますよ、販売数に関しては。
      なお、T-50高等練習機の航続距離は1,851kmと公式には発表されているので、その半分の900kmがいける範囲ということになるようだ。
      ただ、航続距離の半分が作戦行動半径という事にはならないわけで、ご指摘の様に300km程度なのかなーと。
      ちなみにFA-50は更に「重くなっている」ので、作戦行動半径は更に短くなるハズなのですよね。

      そういう風に考えると、沿岸警備に使うというのもちょっと悪手なのかなというのがFA-50の印象ですね。

  2. >軽攻撃機とはいえ戦闘機として使うには色々物足りない感じが強い。

    素性は悪くないんでしょうけれど。
    木霊様も触れられてますが、F-16のエアフレームをベースに手堅くまとめられている印象なので。
    ただまあ、軽戦闘機としてもそうですが、練習機としても帯に短したすきに長し感は否めませんねぇ……
    本邦のT-2/F-1のコンセプトを、そのまんま2周くらい遅れて実現した感じで、今となっては練習はシミュレータで出来ますし、制空しない(出来ない)なら超音速は要らないし……低空で侵攻するには地形追従レーダとか装備してましたっけ?
    コンセプト自体が時代遅れになっちゃってますよね。

    >日本は武器輸出が実質的に禁止されていた。

    これ、元を正せば、「アメリカは戦う相手を間違った」でしょうねぇ……
    日本を恐れて中共と手を結んだのが間違いで、その後の中共の勃興を抑えられなくなったんですから。
    当時の日本は適当にあしらって甘い汁だけ吸わせて飼い殺しにして、中共を抑える橋頭堡に出来たら……そんな世界線の物語も見てみたい気もします。きっと相当歴史が変わっていたでしょう。

    • ロッキード・マーティン社は、あくまで練習機としてT-50を設計したワケですから、そのものは練習機としてはそれなりに使えると思いますよ。
      そういう意味では、T-Xの候補になったというのは、そんなにおかしい事ではないと思います。

      ただ、FA-50軽攻撃機という事になるとかなり微妙なのかなと。

      アメリカは良く選択肢を間違う国ですから、朝鮮戦争の後にも間違えちゃったんですよねぇ。
      アメリカと組む時は、そういう点はよくよく注意しなければならないと思いますよ。とはいえ、支那と組む選択肢は端からないんですけどね。