FA-50軽戦闘機が売れない理由を韓国メディアが鋭く切り込む

空軍

うん、知ってた。

中「安価戦闘機」と比較されたFA-50、なぜ?

入力2021.05.23 午前10:02

イタリアの航空機製作会社アレーニア・アエルマッキ(Alenia Aermacchi)がロシアのYAK-130高等訓練機をベースに作成されたM-346高等訓練機。この航空機が韓国の航空産業に「黒歴史」をプレゼントした。優れた「歌声雨’(コスト性能比)を前面に出して、アラブ首長国連邦(UAE)、シンガポール、イスラエル、ポーランド高等訓練機の導入、市場で韓国産のT-50を押した。

「NAVER韓国語版」より

「何故」でもないんだよね。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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切っ掛けはアメリカ軍のT-X?

FA-50の悲運

世界的に販売を展開してるFA-50軽攻撃機だが、最近売り上げが落ちている。

T-50高等練習機などの話はこのブログで散々したので、コチラのリンク先などを見て欲しいとは思う。

何度も書くが、韓国側の要求に基づいてT-50高等練習機を設計したのは米ロッキード・マーティン社だ。コンセプトがオカシイ以外に特に目立った欠点が無い機体だと僕は評価している。

ただまあ、そのコンセプト故にかなり高価な機体になってしまって、輸出に苦労している側面もある。それでも結構な数が輸出されているんだけどね。

輸出された実績のある機体

折角なので輸出実績リストアップしておこう。なお、T-50やFA-50などのファミリーを混ぜてリストアップしてある。

  • 2011年に初の海外輸出が決定して、2013年にインドネシアにT-50Iを16機納入された。
  • 2012年にイラクへの輸出が決定し、2019年11月までにFA-50を24機納入された。
  • 2014年にフィリピンに輸出が決定し、2017年7年までにFA-50PHが12機納入された。
  • 2015年にタイに輸出が決定し、2017年までに12機のT-50THが納入された。2019年にさらに能力向上契約を行っているが、ソレがどうなっているかは不明。

割りとコンスタントに輸出されている様子が分かるね。

ちなみに、韓国空軍には150機近くのT-50またはFA-50が納入され、運用されているようだ。

  • FA-50軽攻撃機 60機
  • TA-50練習機・攻撃機 22機
  • T-50練習機 50機
  • T-50Bアクロバット機 10機

報道ベースにカウントしてみたが、Wikipediaの数字とは若干異なるので漏れはあるのかも知れない。

アメリカ軍へのセールス失敗

で、韓国にとって最大のチャンスが訪れたのが、アメリカ空軍のT-X計画である。練習機T-38「タロン」を更新する話が持ち上がって、そこにT-50がエントリーされたのである。

Why Skunk Works ditched its clean-sheet T-X for Korean T-50

16 February 2016

One year ago this week, Lockheed Martin Skunk Works chief Rob Weiss announced that his advanced design team had been working on a clean-sheet aircraft for the US Air Force’s T-X programme as a potential alternative to the South Korean T-50 Golden Eagle, which Lockheed jointly developed with Korea Aerospace Industries (KAI) and now exports around the globe.

「Flight Globaサイト」より

このニュースはスカンクワークス(ロッキード・マーティン社の戦闘機開発部門)もT-50を支持しますよーという記事だ。

これでかなり盛り上がったのだけれど、結果的には選ばれはしなかった。

Air Force awards next-generation fighter and bomber trainer

Published September 27, 2018

ARLINGTON, Va. (AFNS) — The Air Force awarded The Boeing Company a contract worth up to $9.2 billion for the Air Force’s new training aircraft Sept. 27.

The Air Force currently plans to purchase 351 T-X aircraft, 46 simulators, and associated ground equipment to replace the Air Education and Training Command’s 57-year-old fleet of T-38C Talons.

「U.S. AIR FORCEのサイト」より

選ばれたのはT-7「レッドホーク」である。

政治的な理由もあったかも知れないが、結果的には順当な決断だったようには思う。ただ、これ以降、T-50高等練習機の輸出の話はパッタリとなくなる。

結局はT-50の問題

M-346はイタリア製

冒頭のニュースでは、FA-50がM-346FAのセールスに負けたというような流れで説明されている。

M-346FAは「T-50シリーズは、高性能、M-346は、普及型機種」という先入観を完全に破ってしまった。

~~略~~

さらに驚くべきことは、M-346FA機体を開発し、様々な武装を統合する研究の過程で、イタリア政府の予算支援が一銭もなかったという点だ。当初YAK-130の設計を取り寄せて、M-346を開発した主体も、イタリア政府ではなく、レオナルドの子会社アレーニアああエルマキダ。M-346を戦闘機の仕様に改造して、様々な武装を追加することも完全にアレーニア・アエルマッキの分け前である。民間企業として事業の全過程に社運をかけて取り組んだ結果、M-346は、世界高等訓練機、軽戦闘機の市場では、新しい強者として浮上した。

「NAVER”中「安価戦闘機」と比較されたFA-50、なぜ?”」より

ここで説明されているように、ロシアのジェット練習機Yak-130が元型となっていて、ロシアのヤコブレフ設計局とイタリアのエアルマッキ社が共同で開発された。興味深い事に、共同開発したモノのエアルマッキ社とヤコヴレフ設計局との間で最終設計仕様で合意に至らず共同事業が終了してしまったが、両社はこれをベースにして一方がジェット練習機Yak-130となり、もう一方がジェット練習機M-346となった。

エアルマッキ社が開発を続けたM-346は、航続距離を犠牲にして高速性能を高めたらしく、軽攻撃機に転用出来るように考慮された設計となったようだ。ロールアウトは2010年で、2011年3月に初飛行をしている。

採用国は

ちなみにM-346も輸出に成功している。

  • 2006年にポーランド空軍に提案され、一度は却下されたが2014年に8機が発注されている。
  • 2010年9月、シンガポール空軍に12機の導入が決定。
  • 2012年2月にイスラエル空軍に提案され、30機の導入が蹴って。2016年3月に最初の9機が納入されている。
  • 2020年2月にアゼルバイジャンに10~25機程度の購入計画が持ち上がった。

もちろん、イタリア空軍にも採用されて18機程度が納入されたようだ。ギリシャに10機ほど、ナイジェリアに24機ほど、ポーランドに16機ほど、取り組めにスタンに6機ほどが納入される計画があり、一部の国では既に納入されているようだ。

双発機なのにコストが比較的安いというのもポイントが高いのかも知れない。

ちなみに、M-346は3500万ドル程度のコストがかかるとされているが、T-50は2500万ドル程度だとされている。M-346の方が1000万ドル程高いのだけれど、電子装置やエンジンの事を考えれば打倒なのかも知れない。

この価格が信用出来るのかどうかは不明であるが。

安価で強力なM-346FA?

さて、韓国メディアの分析は、T-50はM-346にコスト性能比で負けたとしているけれども、コスト面では寧ろM-346の方が高い。

優れたコスト性能比を前面に出して、アラブ首長国連邦(UAE)、シンガポール、イスラエル、ポーランド高等訓練機の導入、市場で韓国産のT-50を押しだした。

「NAVER”中「安価戦闘機」と比較されたFA-50、なぜ?”」より

価格も高いが性能も高いのがM-346という事になっている。

しかし、もともとT-50は高価すぎる練習機だと評価されていたハズだ。そして、この手の練習機の価格などあってないようなもので、多数採用されれば値段がガンガン下がっていく。工業製品の常でもあるが。

したがってM-346も多数採用される様になれば価格は下がるので、結局のところT-50はM-346に価格で負けたのではなく性能で負けたということなのだろう。

M-346FAに搭載されたグリフォ-346(Grifo-346)多機能レーダーは、地上のターゲットを精密検出して追跡する合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar)、別名SARモードをサポートします。110 ㎞を超える距離で目標10個を同時に追跡する優れた性能を誇る。M-346FAはJDAM系列衛星システム(GPS)誘導爆弾と「パヴェウェイ」レーザー誘導爆弾シリーズはもちろん、交差点25 ㎞のIRIS-T空対空ミサイル、射程距離100 ㎞以上の新型マルテ(Marte)空対艦ミサイルも運用することができる。

「NAVER”中「安価戦闘機」と比較されたFA-50、なぜ?”」より

レーダの性能や、複数の高性能な兵器を使えると言う面でもT-50に対して高いアドバンデージを持っている。「2001年にクラス最高の仕様で注目された」などと書かれているが過去の話。

しかし、今では基本形T-50はもちろん、軽戦闘機バージョンFA-50も輸出市場でそっぽを向かれると思われる。バイヤーが注目に値する改良がなされないからだ。

「NAVER”中「安価戦闘機」と比較されたFA-50、なぜ?”」より

今では魅力的では無くなっているのである。開発開始時期はT-50もM-346も大きくは変わらない。しかし、現状での性能差は大きいのだ。

自業自得

理由は簡単で、2001年にクラス最高の仕様であったとしても、今はそうではないということだ。何故なら、近代化改修が一切ないのである。

そういった提案は出ているのだが、国の予算が付かないこともあって実現されていないようなのだ。20年前の仕様のままで「クラス最高」であり続ける訳が無い。

一方のエアルマッキ社は、売る為にM-346に様々な梃子入れを行っているワケで。

レオナルドは、M-346のプロモーション戦略で、消費者が望む仕様に合わせて機器を積極的に変えている。基本形は子会社が作ったグリフォシリーズレーダーを搭載するが、消費者の要求があれば、グリペン戦闘機に搭載する高性能ビクセン(Vixen)AESA(アクティブ電子走査式位相配列)レーダーも装備してくれる。製作会社がM-346の設計・開発と関連したすべての権限を持ったの可能なことである。

「NAVER”中「安価戦闘機」と比較されたFA-50、なぜ?”」より

「仕様が古いままでは売れないよ」と、韓国メディアは警告しているのだが、そもそも韓国軍は「新しいオモチャ」が好きなのであって、改造して長く使える様にするという思想がないように思える。

これは、韓国にその手の技術が「そもそもない」ということが問題なのかも知れないんだけどね。

まあこれは仕方のない面もあって、FA-50の近代改修をやるとしたらKAIが主体となってロッキード・マーティン社が改造を手掛けなければならないのだが、KF-21の設計・製造で手一杯のKAIが予算も付かない案件に金を使うわけがないのだ。

なんならT-50が売れなくなっても、新しいKF-21が売れれば問題ないという意識なのだろう。そうであれば、積極的にはこの問題は動かない。結果、置き忘れられてしまったという事なんだろう。T-50をベースにKFXを作る計画が実現していれば、違う展開になったのだろうけれどね。

コメント

  1. >「新しいオモチャ」が好きなので>あって、改造して長く使える様に>するという思想が無い様に思える。

    あと、完成するとそこでホルホルする国民性も理由のひとつなように思える。そういう人たちにとっては改善提案なんてケチ付けられてるようにしか思えないだろうし、敵認定して蹴り落とそうとするだろうから余計に。

    • 韓国での「完成品」というのはそこで終わりなんですかね。
      使って、悪い面を洗い出してナンボだと思うんですけど。
      何れにしても付き合いにくい相手だと思いますよ。

  2. 木霊さん、おはようございます。

    アップデートはもちろん問題点改善に疎い(というかだらしない)国柄なんで、ドンドン競争から置いて行かれるのは必然でしょうね。
    アエルマッキのM-346もアメリカ空軍が採用したT-7という強力なライバル出現で、今後もユーザー指向のアップデートに余念がないでしょうから、もはやT-50系の出る幕はない様に予想します。

    さて、空自のT-4も運用開始から30年を越え、次期T-Xをどうするのか大きな課題を抱えています。
    初期ユニットコストが22.5億だったT-4ですが、M-346が39億円なら多少コストアップしても国内開発して欲しいもんですが...。
    南朝鮮のようにTA/FA型を対応できたとしても、武器輸出規制に引っ掛かり練習機を有事で軽戦闘機で使うという各国のニーズに応えられませんから最初から不利。
    フライトシュミレータ導入など(当然F-35とFX-3に適合したシステム)で、国内開発するなら配備数をT-4の70%=150機程度に抑え予算を捻り出すしかないでしょうか。

    T-7が21億円位ですからライセンス生産可能なら最有力候補かもです。
    まあ、アメリカとの契約後の総価格は1.5倍以上は覚悟しないといけませんが、それでもM346より安いしF-35系列・FX-3の協力メーカーにアメリカが絡む可能性を考えると、苦肉の策でT-7選択となるのかもですね。

    何とかFX-3と絡めてT-X国内開発に向かって欲しいもんです。
    防衛費を1.5倍にすれば開発予算は見込めると思いますが、インドを抜いて世界第3位となりますから左派勢力が大反対するのは必至でしょうけど。

    • 練習機なんで、アップデートしなかったという理解も出来ますが……。
      しかし、軽戦闘機として輸出をしていたのですから、しっかりアップデートすればもうちょっと上手いこと行ったかも知れません。
      タラレバで言及しても仕方が無いんですけどね。

      タラレバで言えば、日本こそF2戦闘機を売れば良かったのに。
      台湾辺りは欲しがったのでは?という気がしますよ。