韓国ADD、FA-50軽戦闘機のアップグレードを模索

空軍

へー。

韓国のADD、FA-50軽攻撃機のアップグレードの可能性を調査

2020年6月18日00:00 GMT + 0

韓国国防開発庁(ADD)は、韓国航空宇宙産業(KAI)のFA-50ファイティングイーグル軽戦闘機の射程と戦闘能力を強化することを目指しており、そのうち60機は現在、韓国空軍に配備されています。

「JANES」より

興味深い話ではあるが。

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韓国で製造する戦闘機

設計はロッキード・マーティン社

このブログでもT-50高等練習機や、その派生機であるFA-50軽戦闘機については言及してきているので、ご存知の方も多いかな。

韓国軍の誇る、国産練習機と国産軽攻撃機で、曰く韓国軍の誇りである。

先に作られたT-50の初飛行は2002年8月で、運用開始が2005年。まだ運用されて15年そこそこの機体である。

設計を担当したのはロッキード・マーティン社で、製造はKAIだ。設計のベースになったのはF-16戦闘機だというから、機体そのものは悪く無いんだと思う。

ただ、練習機にしては高価すぎるし軽戦闘機としてはショボイという、帯に短したすきに長しという機体になっているのも事実だ。この辺りは韓国側に明確なビジョンに欠けたことと、アメリカ側の事情が関係していたようだ。モンキーモデルビジネス、とでも言ったほうが分かり易いかも。

FA-50-01

高価になった理由は、F/A-18「ホーネット」向けのアフターバーナー付き高出力エンジンF404-GE-402を採用してしまったからだとされている。

サーブ社グリペンにも同系統のエンジンが採用されているし、F/A-18にも採用された実績があるため、信頼性の高いエンジンではある。が、それを練習機に搭載しちゃう辺りが如何にも韓国っぽい。

ロッキード・マーティン社は軽攻撃機に転用するのは反対した?

何処かで見た記事に書いてあった気がするのだけれど、ロッキード・マーティン社はT-50練習機を攻撃機化するのにはエンジン出力の問題で反対したという噂がある。ソースが見つからないので、この点は「単なる噂」と理解して欲しい話だが。

ただまあ、FA-50軽攻撃機への改修に関しては、設計したロッキード・マーティン社ではなく韓国航空宇宙産業(KAI)が担当したことになっている。

正確にはT-50とA-50の両方をロッキード・マーティン社とKAIとで共同開発したことになってはいるので、ロッキード・マーティン社が道筋を付けておいた可能性は高いだろう。KAIによる開発というのは国内向けアナウンスだと思うな。

The KAI T-50 Golden Eagle of South Korea is an advanced supersonic jet trainer that can double as a light attack strike fighter if needed.

Authored By: Staff Writer | Last Edited: 11/25/2019

The T-50 / A-50 “Golden Eagle” is an advanced supersonic trainer and light strike-capable aircraft platform produced jointly by the South Korean firm of Korean Aerospace Industries (KAI) and the American firm of Lockheed Martin. The resulting design is a highly modified derivative of the Lockheed Martin (formerly General Dynamics) F-16 “Fighting Falcon”, of which KAI license-builds as the “KF-16” (the wing shape and single rudder design are apparent). The Golden Eagle twin-seat trainer has been procured in limited numbers with the South Korean Air Force.

「militaryfactory」より

しかし、レーダーなどはイスラエルのエルタ・システムズの支援を受けているし、兵器に関しては韓国のLIG Nex1による改良が加えられていることを考えると、何というか色々な事情が絡んでいる気がする。

改造は国防科学研究所(ADD)が行う

で、今回の検討は国防科学研究所(ADD)である。

……ADDかよ。

色々良い噂のないADDがアップグレード研究に着手するという話を聞くと、モヤモヤしてしまうわけだが、え?ロッキード・マーティン社が怒るんじゃない?

老朽化したF-5E / FとF-4Eの戦闘機は徐々に廃止されるため、RoKAFは、もともとは密接な航空支援を提供するために開発されたツインシート、シングルエンジンのFA-50に大きな役割を果たしてほしいと考えています。軍当局者は 6月18日に部隊にジェーンに語った 。

「JANES”韓国のADD、FA-50軽攻撃機のアップグレードの可能性を調査”」より

でまあ、韓国としてもF-35A戦闘機の実戦配備というところはもう少し時間を必要とするし、買うのは40機程度だしで、F-4戦闘機71機(2024年頃に全機退役予定)やF-5戦闘機194機(2025年頃までに全機退役予定)が退役していく穴を埋めることはF-35Aでは難しい。

その上、KF-16戦闘機は近代改修中ということで(どうなっているのやら。確か噂では毎年20機ほどがアップデートのためにアメリカに送られるとか)、こちらも当面はフルで動かせるワケでは無い。

そんな訳で、単純に戦闘機の数が足りないのが韓国空軍の実態なのだ。余談だが、パイロットの数も足りないらしいが。

その結果、ADDは7月から12月にかけて調査を行い、航空機の性能を拡張する方法を検討します。これには、範囲を拡大するためのコンフォーマルな燃料タンクを搭載する可能性や、ポッドや新しい武器システムなどが含まれます。

「JANES”韓国のADD、FA-50軽攻撃機のアップグレードの可能性を調査”」より

でまあ、FA-50を改修して燃料タンク(コンフォーマルタンク)を搭載する可能性を検討したり、新しい武器システムが検討されるとか。噂だとKFX用に技術を獲得するミーディアの搭載があるという噂もあるんだけど、いやいや、そんなの短期間で実現するのは無理だから。

逆に、コンフォーマルタンクは何故今まで搭載できなかったのかと。

KFXの遅れも響く

なお、この様な改造の余地がKF-16戦闘機よりもションボリな感じのFA-50軽戦闘機の改修を急ぐ理由は、KFXの開発の遅れがあると思う。

コチラの記事にも言及しているが、そもそも韓国型次世代戦闘機KFXはF-4、F-5の代替として導入される予定だったのだ。ところが開発が間に合わないので繋ぎとしてFA-50の改造話が持ち上がったというのだから、何というか、泥縄式(泥棒を捕らえて縄をなう)という言葉がぴったりである。

もちろん、戦闘機の開発は時間がかかるし、遅延だって当たり前に発生する。日本もF-3戦闘機を手に入れるまでに防空防衛網に穴があくリスクがあるので、笑い事では済まないのだが……。

韓国は結構欲張っちゃう事が多いので、コンフォーマルタンクだけではなく国産AESAレーダーを積むとか、国産ミサイルを開発するとか、無理難題を要求仕様に載せて来ちゃう気がしてならない。

照準ポットの統合

色々調べて見ると、FA-50軽戦闘機の能力向上というのは、色々と画策はされているようだ。

Sniper Advanced Targeting Pod Marks Critical Milestone For FA-50 Integration

SEOUL, South Korea, Oct. 15, 2019

Lockheed Martin’s (NYSE: LMT) Sniper Advanced Targeting Pod (ATP) successfully completed its fit check on the FA-50 platform, marking a significant step in the pod’s aircraft integration. The FA-50 is a light combat aircraft manufactured by Korea Aerospace Industries, LTD., in partnership with Lockheed Martin.

「ロッキード・マーティン社サイト」より

これは去年の記事だが、今年2020年の8月までに照準ポッド「AN/AAQ-33 スナイパー」を統合するというニュースである。これによってFA-50軽戦闘機は精密射撃が可能になるとか。ただ、コレを統合すると言うことは、アメリカの兵器しか積めないという話になるのかな……。

掛け違えたボタン

2013年頃の話なのだが、KFX戦闘機計画が持ち上がった際に、FA-50軽戦闘機に簡易ステルスを付与したバージョンKFX-Eを作ろうという話が出たことがあった。

当時は、KFXの形や仕様が殆ど見えてきていなかっただけに、僕は現実的な良い案だと感じた。

だが、この計画は見事に流れてしまった。この件に関してはKFX計画にインドネシアが絡んでいたことも影響していたと噂されている。

尤も、KFX-E計画はKF-16とF-35Aの中間くらいの性能を目指すとされていて、それはそれで実現可能性はどうなの?という気はする。今にして思えは中途半端な仕様になる可能性が強かった。

が、現時点で何か考えるよりはマシだったかも知れない。

他にも、F-35AではなくF-15SEに決まりかけていて、そちらの方も現実的だったと思う。F-35は整備の問題があり、マトモに運用できない可能性が未だにあるんだよね。

FA-50軽戦闘機はそもそも欠陥機?

そういえば、ちょっと前にこんなニュースがあったね。

韓国が「国軍の日」で誇示した戦闘機、実は故障だらけだった?=韓国ネットからは擁護の声も

配信日時:2019年10月3日(木) 6時20分

韓国は1日、「国軍の日」記念式典を盛大に開催した。しかし韓国メディア・チャンネルAは「実のところ韓国空軍の戦闘機は相次いで欠陥が発見されており、波紋を広げている」と報じた。

「レコードチャイナ」より

FA-50が故障だらけだという話は、今さらという気もする。整備がそもそもマズイのが韓国軍だから。

これについて記事は「大げさなPRであり、実際は違っていた」とし「FA-50は戦力化後から昨年まで7回にわたり機銃に故障が発生している」と説明している。機銃がしっかり固定されず射撃中に振動が発生し、そのために弾丸が自らの機体を傷つけてしまう事故や、薬きょうが中から飛び出し、大事な内部配線が切断される事故が発生したという。記事は「命中率が下がるだけでなく、機体損傷につながって操縦士の安全まで脅かされる可能性のある問題」と指摘している。

「レコードチャイナ”韓国が「国軍の日」で誇示した戦闘機、実は故障だらけだった?=韓国ネットからは擁護の声も”」より

うんまあ、頑張って。開発が終わったあとの戦闘機は、色々と欠陥があるものだよ。修正していけば立派なのにきっとなる。なるよー。

まあ、隣国なので眺めていれば良いという立場なのがありがたいね。もはや日本とは敵対する国なのだし。

コメント

  1. F-5やMIG21とか機首が小さい機体の近代改修だとEL/M-2032を搭載しているので同様に機首が小さいFA-50のレーダーもエルタのEL/M-2032を採用したような気がします。

    しかし本当KFXなんて欲張らずに早期にFA-50ベースで開発すれば航空戦力の空白化が起きそうな自体を避けれたような気がします、それこそFA-50をF-15Eに負けたF-16XLみたいな機体にするとか。

  2. T-50はグリペンど同程度の大きさの機体でエンジンも同じですので、「エンジン出力不足」ではないと思います。LM社がF-16の市場を荒らされるのを嫌がったか、主翼にパイロンを付けるとマトモに飛ばないかもしれないのを危惧したのではないでしょうか?
     T-20を見ると胴体パイロンのみで主翼にパイロンは無さそうです。翼下に重い物をぶらさげることを前提に設計しないと強度不足で、強度を上げようとすると重くなるし、そもそも空力特性も変わってしまいます。
     この上、コンフォーマルタンクだの付けてしまうともうまっすぐ飛ぶだけの飛行機になってしまいそうです。制空権下で、敵戦闘機を考慮しないでも良い環境でしたら使えるのでしょうけど、そんな相手でしたらもっと安価な機体でも充分な気がしますが。

  3. T-50やFA-50(およびTA-50)の画像を調べて見ると、主翼に兵装搭載可能なようです。

    まず、主翼翼端に、AIM-9 サイドワインダー空対空ミサイルを装着している画像があります。そして、主翼の中央にパイロンを装着し、そのパイロンに増槽や空対地ミサイル?を搭載している画像がありました。

    >何処かで見た記事に書いてあった気がするのだけれど、ロッキード・マーティン社は
    >T-50練習機を攻撃機化するのにはエンジン出力の問題で反対したという噂がある。

    Wikipediaに以下の記述があるので、ロッキード・マーチンが攻撃機化に反対したというのは、疑わしいと思います。

    >T-50は4機の試作機が製作されたが、うち2機は当初A-50と呼ばれていた軽攻撃および
    >LIFT機(兵器システムの訓練が可能な高等練習機)を目的とした型であり、試作機4号機
    >(LIFT型)の機体にはA-50の表記が見られる。後にA-50は目的ごとにTA-50とFA-50の
    >2種類の派生型に分けられた。

  4. 木霊さん、おはようございます。

    >尤も、KFX-E計画はKF-16とF-35Aの中間くらいの性能を目指すとされていて、それはそれで実現可能性はどうなの?という気はする。今にして思えは中途半端な仕様になる可能性が強かった。

    中途半端でもF-4・F-5の代替えを優先してKFX-Eを進め、「無いよりマシ」って発想もあったと思いますね。
    何しろやっと試作機にこぎ着けたらしい肝心のKFXが中途半端どころか、今年目標の試作機がちゃんと飛ぶか?って状況も考えられますからね

    >そんな訳で、単純に戦闘機の数が足りないのが韓国空軍の実態なのだ。余談だが、パイロットの数も足りないらしいが。

    素直にLMに頭を下げて条件を全て呑み、FA-50のアップグレードでKFX-EでF-4・F-5の穴を埋めれば良かったと思いますけどねェ~。

    >韓国は結構欲張っちゃう事が多いので、コンフォーマルタンクだけではなく国産AESAレーダーを積むとか、国産ミサイルを開発するとか、無理難題を要求仕様に載せて来ちゃう気がしてならない。
    >2013年頃の話なのだが、KFX戦闘機計画が持ち上がった際に、FA-50軽戦闘機に簡易ステルスを付与したバージョンKFX-Eを作ろうという話が出たことがあった。

    LMと手を組んでいれば今頃全て解決して、改修さえ終わって量産していたかもしれないのにね、残念でしたァ~!!(冷笑)
    実力もないクセに輸出で儲けようなんて業腹をかいたばっかしに、アメリカに目を付けられるはインドネシアには嫌がらせの資金停止受けるやら散々な結果だけが残っちゃた感じです。
    一度散らかり過ぎた問題の全てを整理して、一度くらい自分のケツを拭いてからやり直す謙虚さが必要と思う、マジで!!

    P.S.
    台湾が国産と称するT-5練習機の初飛行を行った様です。
    詳細な仕様は不明ですがどうやらLIFT機以上、つまり軽攻撃機までバージョンアップできそうな練習機みたい...、FA-50の強力なライバル出現となるかな?(爆笑)

    最近機数不足を指摘されている日本も他所事ではなく、次期T-4中等練習機をどうするのか考えないといけませんね。
    FX-3と同時進行になるってのが辛いところです。