老朽化したF4、F5戦闘機の退役を模索する韓国空軍

空軍

今回取りあげる記事はこちら。

[単独]老朽機種淘汰… 新しい戦闘機の導入を推進する

記事の入力2022.01.23 午後8時47分 最終修正2022.01.23 午後11時08分

過去11日に墜落したF5戦闘機は36歳の機種です。現在、空軍はこの機種を含め、老朽戦闘機100余台の寿命を無理に延長していると報じていますが、今や老後機種は早期に整理して新しい戦闘機導入を推進することが確認されました。

「SBS」より

前の記事のKF-21ネタとリンクした話で、結構深刻な韓国空軍の内情を覗かせている。

記事の内容は、先日墜落したF-5戦闘機と、F-4戦闘機の両機の老朽化を問題視したもので、その主張自体は真っ当なのだと思う。

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防空防衛網の維持

火急の課題

日本の自衛隊にも言えることではあるが、老朽化した戦闘機をダマしダマし使い続けるのには限界がある。

特に韓国の場合、大掛かりなメンテナンスを避ける傾向にあることと、メンテナンスに課題があることが足を引っ張っていると思われる。故に、戦闘機の更新は火急の課題なのである。

桂竜隊本部に復帰した朴仁浩参謀総長など空軍指揮部は直ちにF-5、F-4老朽機種淘汰問題を討議したと空軍関係者は明らかにしました。

現在100機以上運用されているF-5、F-4は適正戦闘機対数維持のため年間約1400億ウォンをかけて無理やり寿命を延ばしています。

指揮部構想は、老後戦闘機を寿命延長なしに早期に淘汰させ、修理に使う予算で新しい戦闘機を導入するものです。

「SBS”老朽機種淘汰… 新しい戦闘機の導入を推進する”」より

運用宙のF-4E戦闘機とF-5E戦闘機はメンテナンス費用だけで年間1400億ウォンかかるらしいが、100機以上運用しているそうだ。個人的にはこれで問題がなければ寧ろ安く済んでいるのでは?と思ってしまう。

だって、F-35を1機買うと100億円以上、つまり1000億ウォン以上はかかるし、運用維持費用はアメリカ軍ですら780万ドル/8.6億円程度(実績)はかかる(米国防総省が設定している運用・維持費用410万ドル/4.5億円)のだ。韓国軍がF-35Aを運用する場合には、重メンテナンスは国内では出来ないという事情があり、更に割増しとなるハズである。

大げさに言えば、F-35Aを1機購入するよりも、100機以上のF-4、F-5戦闘機を運用し続けた方がお安くなる。

淘汰スケジュールを確定するためには、新しい戦闘機の導入数量と時期を先に決めなければなりません。

「SBS”老朽機種淘汰… 新しい戦闘機の導入を推進する”」より

しかし、メンテナンス費用もさることながら部品入手も困難になるだろうから、メンテナンスをし辛くなる。したがって更新を検討する必要があるのは事実なのだ。

追加導入はFA-50が有力

で、記事ではF-35AとFA-50が有力候補だとしているが、先述したようにF-35Aはコスト面の問題があって「無いだろう」と僕は考えている。

だいたい、それが必要経費ということで割り切れるのであれば既に導入しているはずで、コストの壁はなかなかに厄介だ。

追加導入が有力な機種はF-35AとFA-50です。

高性能のF-35Aは、すでに導入した40機のほか、20機をさらに持ち込むことができました。

ところが、軽空母用垂直離着陸が可能なF-35Bが浮上し、導入手続きが中断された状態です。

「SBS”老朽機種淘汰… 新しい戦闘機の導入を推進する”」より

となると、FA-50を選ぶべきなのだが……。

img

正直、FA-50を導入するのであれば数を揃えるべきだと思っている。

空軍が40機以上追加導入を考慮している国産FA-50は価格このF-35Aの3分の1レベルで、すぐに生産できるというのが利点です。

「SBS”老朽機種淘汰… 新しい戦闘機の導入を推進する”」より

一応、韓国空軍は40機以上追加導入を予定しているようなので、現状保有しているFA-50(60機余)と合わせて100機体制という事になるはずだ。

  • FA-50(軽戦闘機) 60機
  • TA-50(練習機・軽攻撃機) 22機
  • T-50(練習機) 63機

韓国空軍の保有するT-50機余りのT-50ファミリーに加えて輸出した機体を合わせると、200機以上のT-50ファミリーを製造している。

アルゼンチンにも売りつけたらしいので、もうちょっと増えるかも知れない。ともかく、相当数生産した実績のある優秀な機体(棒)だ。

早急に対策すべき

こうした機体更新の話題が上っている理由は、先日の事故にある。記事にも出ているが、このブログでも触れている。

韓国空軍はこの事件を切っ掛けに更新を推し進めようとしている節すらある。

そして、僕の邪推ではあるが、昨日の記事で触れたKF-21の完成を1日でも前倒しにしたいという意向も、こうした事情からでているのではないだろうか。記事にもそんなことが示唆されているしね。

それが事実だとすれば、なかなか恐ろしい話だ。

だが、計画の前倒しがリスクを伴うことを韓国空軍も知っている話であると思うので、F-4、F-5戦闘機を飛ばし続けるリスクと天秤に乗せた上での判断なのだろう。

更新すべき機体数が多いのがネック

ただ、韓国空軍が保有している戦闘機は、F-5E、F-4、KF-16、F-15K、F-35Aの5機種400機余りだとされていて、そのうち100機を更新しようという計画である。加えてFA-50軽戦闘機を60機程度保有しているが、あくまで軽戦闘機なので戦力的には他の戦闘機より数段劣る点は否定できない。

機種が多すぎることも問題だし、F-5E/F(80機余)、F-4E(70機余)に関しては老朽化が、KF-16(170機余)、F-15K(60機余)については近代化改修問題が、F-35A(40機余)はメンテナンス問題を抱えている。それぞれに問題があって、韓国空軍はそれぞれの問題に頭を悩ませていることだろう。

可能であれば韓国空軍は明日にでもF-5、F-4の両方を退役させ、F-35Aを増やしたいに違いない。だが、100機退役させ、20機程度導入する事で「戦力バランスが採れている」と言うには無理がある(実際の単純な戦力差から考えればおかしくない比較だが、運用面で考えるとちょっと無理がある)し、F-35Aを「直ぐに欲しい」とアメリカに訴えたところで、韓国にはドルが不足していることもあって費用の面で苦労するだろう。そして最大の問題はメンテナンス面での問題が解決していないことで、ここをクリアするのは相当難しい。

したがって、韓国空軍としては戦力的に劣ってもFA-50を多数揃えるという選択肢を捨てきれないのだと思う。

F-35A戦闘機を20機程度増やした上でFA-50軽戦闘機も60機程度増やすというようなミックス案を選択する可能性もあるけどね。

FA-50の空中給油能力の獲得

もちろん、そういった「選択肢」を増やすことを実現する為に色々画策をしているのは事実である。

【アンカー】

Q. ‘T-50’性能改良はどうなっていますか。

【イ・ボングン常務】

お客様のニーズと海外輸出市場のトレンドを反映した中長期性能改良計画を策定し、段階的に航空機性能を高めています。

T-50派生型のFA-50軽攻撃機は、これまで輸出競争力強化のために継続的な性能改良を進めています。

優先的にFA-50を対象に空対地精密打撃能力を備えるように性能改良活動が完了しました。ミッションエリアを拡大するための外部燃料タンクの統合と空中給油システムの開発活動を進めています。今後空対空武装性能改良のための短・中距離空対空ミサイルを統合する予定です。

「SBS”老朽機種淘汰… 新しい戦闘機の導入を推進する”」より

これは2021年8月頃の記事で、FA-50の性能改良プランが報じられている。

それによれば、この時点で照準ポッド「AN/AAQ-33」の統合作業が完了しており、更に空中給油能力や外部燃料タンク、中距離空対空ミサイルの統合を進めているようである。

記事ではFA-50が増槽を携行することで、最大2500km程度の航行距離を確保出来るとしているが、そもそもFA-50が離陸する時に持ち上げられる重量(最大搭載重量)は4t程度。燃料は1.5t程度積みたいので、増槽まで装備すると兵装に割ける重量は更に減ってしまう。

もともとFA-50の作戦半径はKF-16と比べても2/3~1/2と短い。

したがって、FA-50を「戦闘機」とカウントするためには、空中給油機と増槽(外部燃料タンク)の採用はセットである。この辺りが解決して初めてF-4、F-5の代替機たり得るという話になるので、単純にFA-50を増やせば良いじゃ無いかという話にならないのが辛いところである。

他に選択肢がない

それでもF-35Aを必要数増やすより現実的と、僕は考えているのだけれど……、韓国空軍もメンツの方を気にするからなぁ。

KF-21が早めに完成すればこの問題も解決出来るのだが、早くても2036年という予定なので、現実的な選択肢としてはFA-50を取り敢えず増やして、性能アップを図るというプランしか選べないと思うんだけど。

聞くところによると、F-15やF-16の中古を探して数を増やすか、レンタルできないか?という事を画策した形跡もあるらしいのだけれど、実のところアメリカがこれを既にやっていて、F-16V相当への改修をやりF-15EXの導入を進めている。F-35を増やす事が簡単にできないからこその判断のようだが、アメリカですらこうなのだから、前述したコスト的な問題を別にして韓国空軍にとって、F-16、F-15、F-35を増やすと言うことは簡単ではない。

そんな訳で、FA-50軽戦闘機を増やさざる得ないという側面もあるって事だね。そもそも100機以上調達するには時間が必要である。今決断しても数年はかかる大事業になるだろうから、是非とも予算を付けて頑張って欲しいね。

コメント

  1. F35も今となっては金さえ積めば好きな時に好きな数買える機種でも無くなってませんかね。長蛇の行列待ちが発生してると言いますか。あと共同開発国もトルコとかちょいちょい脱落していっちゃってる感も…多国間開発だとこういうリスクもあるのかぁ…などと思っておるところです。
    空自のXF3がどうなるかが楽しみですが、こっちも急ぐ必要ありそうなのは同様でしょうかね…

    • F-35Aは性能の割に低コストだという評価で、多くの国が採用に動き出しています。
      不安要素が残っているのも事実ですが、買う事ができるのであれば結構良い選択肢となったと思います。
      それ故、簡単に追加購入は難しいだろうと思われますね。

      空自のXF3の情報は殆ど出てきませんが、計画は進んでいるんでしょうかねぇ?

  2. 木霊さん、今日は。

    空自のT-4の生産が210機ほどですから、T-50シリーズは輸出含めて200機以上なら大健闘している機体といえるでしょうね。
    元々LM社のF-16をベースに設計してもらってますので、トンデモない欠陥機のはずがないのが強みかな。

    1機23億円~28億円なので数を揃えたい南朝鮮空軍にはこの一択しかないような気がします。
    F-4・F-5が100機以上退役待ちですもんねェ~。

    ところでF-16・KF-16も150機近くが近代化改修が必要なはず、台湾空軍のF-16Vが優先されてますが、南朝鮮分はこれといったニュースはなさそうです。
    この機体も導入して20年を超えていますし、期待のKF-21が全て配備される頃には30~35年超過なんですけどね。

    まあ、日本の空自所有機体もかなり厳しい状況なんで、他国の心配をしている場合じゃないのですけど。

    • 空自のT-4ですか。
      あれもそろそろ更新が必要な機体ですけど、レッドホークT-7辺りになるんでしょうか?国産練習機を作って欲しいですね。
      韓国の話は生暖かく見守っていれば良いので気が楽なのですが、自衛隊の方はもうちょっと本気で取り組んで欲しいです。

      え?T-50ですか?まあ、頑張ってくださいとしか言いようがありません。

  3. 韓国空軍の機種更新問題、興味深く拝見しました。
    雑感ですが、韓国空軍にはF/A-50の大量調達が一番無難にみえます。
    兵装・アビオニクス・増槽…..課題はいくつもあるでしょうが、
    後継機種を選定してしまえば具体的に話しは進みます。
    KF-16並みは難しくとも、F-5EやF-4Eの戦術上の代替機にはなるはずです。
    (最終的にどう決着するかは、ふたを開けるまでわかりませんが)