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【韓国空軍】F-35のアップグレード費用に驚く韓国

韓国空軍
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まあ、何というか。これに関しては、当然自衛隊もそうした話はあったはずである。

[単独] F-35導入2年ぶりに「アップグレード」3千億ウォン請求

作成 2021.03.15 21:15 修正 2021.03.15 21:41

<アンカー> 韓国空軍がステルス戦闘機F-35をアメリカから盛んに導入しています。1号機を買収してから2年、実戦配置したからはわずか1年3ヶ月になったが、米国が性能改良をしようという助言をしたものでSBSの取材結果確認された。費用は、F-35の3大値を超える3千億ウォンです。 キム・テフン国防専門記者の単独報道です。

SBS NEWSより

ただ、こうした話は折り込み済みではなかったのだろうか?え?違う。じゃあ、もっと調達を遅らせたら?

アップグレードは必要か?

韓国軍が購入したF-35Aは多分ブロック3I

ちょっと明確な記事は見つけられなかったのだが、韓国軍が受け取ったF-35Aは時期的に考えるとブロック3Iであると思われる。

韓国軍初のステルス機F-35A、3月末に到着

Posted January. 14, 2019 08:39, Updated January. 14, 2019 08:39

韓国空軍が運用する史上初のステルス戦闘機F‐35Aが3月末、2機を皮切りに次々に韓国に引き渡される。F‐35Aは世界最強のステルス戦闘機の一つに挙げられることから、空中戦力が劣勢な北朝鮮が「戦争装備の搬入」だとか「韓半島の平和定着に冷水を浴びせる行為」と主張して強く反発する可能性がある。

13日、軍関係者によると、韓国空軍に引き渡されるF‐35A、6機が最近出庫され、このうち2機が3月末頃、先に国内に来る。これに先立ち昨年3月、米テキサス州のロッキードマーティン工場では、F‐35A、1号機の出庫式が行われた。空軍は、3月末の2機を皮切りに、今年末までに韓国政府が米政府と契約したF‐35A、40機のうち約10機を韓国に搬入する計画だ。2021年までに40機すべて導入し、実戦配備を終える。

東亜日報より

韓国空軍のF-35A初号機は2019年3月に受け取りが行われた。

最新のF-35はブロック3Fであるので、可能性としてはブロック3FのF-35Aを韓国軍が受領している可能性はあるが、調べて見るとブロック3Fの初期運用テスト及び評価の終了は2019年5月が予定されているので、時期的には韓国軍がF-35Aの初号機受け取りより後、したがってブロック3Iだった可能性が高い。ただ、今後受け取るF-35Aはブロック3Fの可能性はありそうだね。現在生産されているF-35Aの8割がブロック3Fであると報じられているから。

ブロック4はコンピュータの交換も含む

一方で、ブロック4の完成が報じられたのは2021年1月である。ただ、この記事の時点ではまだペンタゴンがOKを出していないようだが。

Why America’s New F-35 Block 4 is a Drastic Improvement: 50% More Missiles, 25% Longer Range and Much More

January-27th-2021

Much like its fourth generation predecessor the F-16 Fighting Falcon, the F-35 fifth generation single engine fighter is expected to see a production run several decades long and will continue to incorporate further upgrades and enhancements throughout that time. This means that F-35s produced near the end of the 2020s will have far superior capabilities to those produced when the aircraft first entered service in the mid 2010s. The latest variant of the fighter, the F-35 Block 4, is already expected to have a far superior performance to the Block 3 variant which is so far the most capable the U.S. Air Force has received. The improvements to the design are significant that hit will be released in waves, so the first F-35s of the new production block will be designed F-35A Block 4.1, followed by Block 4.2 which will be slightly more capable still. Some of the improvements to the design are very significant, with a new wing mounted fuel tank system expected to increase the fighter’s range by 25% – compensating for an outstanding weakness relative to competing stealth fighter designs which all have much longer ranges.

military watch magazineより

このブロック4へのアップグレードは、かなり大掛かりな作業を必要とするようだ。ソフトウェアのアップグレードに留まらずハードウェアの一部も交換する必要があるとされている。

ちょっと色々な記事で様々な表現が為されているので、

  • 自動地面衝突回避システム(AutoGCAS)の搭載で、パイロットに対して地面に衝突するリスクがあることを警告するとともに、パイロットの応答が無い場合には一時的に制御を引き受けて安全な軌道にまで復帰した後にパイロットに制御権を戻す。
  • TechnologyRefresh3へのアップグレード。
  • マルチドメインオペレーション(MDO)の強化によって、情報を得られる対象が増加
  • 無人チーミング機能を盛り込んで、無人機を指揮管制できる機能を盛り込んだ。
  • ミサイル防衛機能に参加し、F-35A自身のセンサーで得られた情報をミサイル防衛のシステムに流す機能が追加された。
  • 航続距離の拡張が行われ、外部タンクの接続及び登記可能なパイロンの追加ができる様になる。
  • 胴体内ウェポンベイに携行可能な空海空ミサイルが4本から6本に増強
  • 空対空ミサイル「ミーディア」の運用能力が付加される
  • 対地・対艦巡航ミサイルJSMと小型滑空爆弾「SDB II」、B-61戦術核などの兵装が使用可能となる
  • パノラマ式コックピット表示装置搭載

この他にも色々なメニューが紹介されているが、多岐に渡る能力増強が予定されているわけだね。

アップグレードにかかるコスト

さて、そこで韓国軍としてもアップグレードを予定しているらしいのだが……。

防衛事業庁関係者は「昨年、米国からF-35の性能改良通報が来て協議を進めている」と言いました。

1次性能改良は、2020年代半ばから後半に空対艦ミサイルなどの4つの武装関連機器を追加装着して、航空電子ソフトウェアなどをアップグレードする作業です。 40機の性能改良の費用は、F-35の3〜4機の値である3千億ウォンです。

「SBS NEWS”[単独] F-35導入2年ぶりに「アップグレード」3千億ウォン請求 ”」より

えーと、40機で3000億ウォン。

1機あたり75億ウォンか。確かにそれなりのお値段だとは思うが……。

しかし、実戦配備は1年3ヶ月目なのにすでに性能改良が進められています。

~~略~~

今回の性能改良をしなければ、2次、3次改良もできない構造で空軍と防衛事業庁としては泣く泣く応えることを検討中です。

「SBS NEWS”[単独] F-35導入2年ぶりに「アップグレード」3千億ウォン請求 ”」より

「仕方なく」支払うぞという姿勢らしいのだけれど、別にやらなくても良いんじゃ無いの?

韓国メディアの言いたい事は分かる。戦闘機が一般的に購入から十年以上はそのままの状態で運用されるかどうかは知らないが、確かに、1年ちょっと前に買ったヤツをもうコストをかけてアップグレードしなければならないのか?と、「それってタダでやって貰うべきじゃないの」と、そう言いたくなる気持ちは分かる。

ただこれ、買う前から分かっていた話でもあるんだよね。

野党だけでなく、与党内でも性能改良の過程とコストを正確に確かめなければならないという声が出てきています。

「SBS NEWS”[単独] F-35導入2年ぶりに「アップグレード」3千億ウォン請求 ”」より

コストと性能改良の過程を正確に確かめる必要があるのは確かなんだろうけれど、1機75億ウォンが高いかどうかだよね。

ソースが確認出来なかったのだが、初期ブロックをブロック4にアップデートするのにかかる費用は1500万ドルであったと報じられていたようなので、それがそのまま当てはまらないにしても、モノによっては約150億ウォン(約16億円相当)必要であるということに。

ハード面を弄る必要があることを考えると、ちょっと安く見積もりすぎではないのかな?韓国のメディアがはじき出した数字にも根拠はあると思うんだけど。

まあ、案外、ブロック3Fからの改修であれば75億ウォン程度でいけるのかも知れないけれど……。何れにしても、アップグレードにコストがかかるのは避けられないと思う。

「タダでやれニダ!」というのは無理だと思うし、韓国軍がメンテナンスを無視して運用していくと、とても75億ウォンでは足りなくなってしまうんじゃ?

段々改良していって、別の機体に生まれ変わりそうなF-35Aだが、韓国は買い切り兵器の積もりでいるのかもしれない。しかし、ステルス戦闘機はメンテナンスに莫大な費用がかかるんだぜ。それを知らずに買ったとは、流石に言えないだろうに。

追記

レコードチャイナでも同じ記事を扱っていたようだね。コメントで紹介頂いた楽韓さんにその殊に言及されていた。

導入してまだ2年なのに…米国が韓国にF-35アップグレード費請求=ネット「不良品」「なのに日本は…」

2021年3月18日(木) 8時40分

2021年3月15日、韓国・SBSは、韓国空軍が米国からステルス戦闘機F-35を導入して2年たつ中、米国がアップグレード費用として3000億ウォン(約290億円)を請求していたことが分かったと伝えた。

~~略~~

第1次性能アップグレードは2020年代半ばから後半にかけて行われる予定。空対艦ミサイルなど4種類の武装関連装備を追加し、航空電子ソフトウェアなどをアップグレードする作業で、40機の性能アップグレード費用はF-35、3~4機分の値段に相当する3000億ウォンかかるものとみられている。これについて記事は「戦闘機は一般的に、少なくとも十数年以上運用してから性能アップグレードを行なうことが多い」とし「ほぼ飛行していないにもかかわらず今回のようなアップグレード計画が立てられたのは非常に異例のことだ」と指摘している。

レコードチャイナより

レコードチャイナの記事の後半で、好き放題書かれたコメントを紹介するのはお約束なのだが、その中身はいつも酷い。

今回もなかなかではあるが、確かに「まだ到着していない機体にもアップグレードが必要」というのは、嫌な感じはするだろう。でも、ほぼ別の機体になるくらいの改修を「タダでしろ」というのは無理がある。

ともあれ、コメントで戴いたように、この重整備を何処でするのか?というのが、一番ネックになるのが韓国が本当に頭を抱える部分だと思う。韓国国内にはF-35用のFACOやMRO&Uは存在しない。

国際整備拠点MRO&U(Maintenance Repair Overhaul and Upgrade)でアップデートを行う必要があるのだが、わざわざアメリカから飛んできたF-35Aを再びアメリカまで飛ばして整備して貰うのか、それとも……。

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