圧力に屈する安倍政権、福島第1原発処理水の海洋放出断念

原子力発電

ばっかじゃないのか?

ああ、タイトルには「断念」と書いたけれども、事実としては「保管」の選択肢を増やすと言うことである。ただ、そんな選択肢を書けば保管の流れになる事はほぼ間違い無かろう。

福島第1原発処理水、長期保管も選択肢 政府、処分法検討

5/13(月) 6:01配信

 事故を起こした東京電力福島第1原発でたまり続ける汚染を浄化した処理水の処分方法について、政府は、タンクでの長期保管を新たに検討する。これまで「海洋放出」など五つの処分案を検討してきたが、国民の間には外部への放出を懸念する声が強く、実現性を議論する必要があると判断した。経済産業省の有識者小委員会が来月にも、長期保管を含む六つの方法から絞り込む議論を始める。

「毎日新聞」より

安倍政権で海洋放出できなかったら、誰がやれるんだという話。

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福島第1原発で溜まり続ける処理水

汚染水ではない処理水

2011年3月11日の悲劇により、人災によって福島第1原発があんな形になってしまったことは、不幸な事であったと思う。

しかし、起きてしまったことを変える事はできないし、今さら過去の政権批判をしたところで意味は無い。

現実問題として、福島第1原発の1号機と3号機は炉心溶融を、2号機は炉心損傷を起こしてしまったし、1号機から4号機の建屋は水素爆発で瓦解した。

この原子炉が破損してしまった1号機から3号機までの廃炉に深刻な問題を生じてしまったが、ここに地下水が流れ込んでくることが「汚染水」の問題を産み出すことになった。

福島第1原発は海側に建設されているが、山側から海側に豊富な地下水が流れ込むことで、福島第1原発の地下をこの地下水を通過することで、汚染された水になってしまう。

汚染水は増える一方

当然、山に降った雨水が地下水になって海に染み出すという自然のサイクルを止める事は極めて難しい為に、汚染された水はどんどん増えてしまう。また、福島第1原発に雨が降れば、その雨水も当然ながら汚染されるリスクがある。

これが浄化処理の概要を示す図なのだが、問題は「雨水」と「地下水」と言う事になっている。

そのために遮水壁などという荒唐無稽なモノまで作り、少しでもその水を減らす様に努力をしているのが現状である。

これが機能しているかどうかは、ハッキリは開示されていない。が、効果はあるのでは無いかというデータは出ている。

汚染水対策の状況 - 廃炉プロジェクト|廃炉作業の状況|東京電力ホールディングス株式会社
東京電力HD「汚染水対策の状況」のページ。東京電力ホールディングス株式会社は、東京電力グループの持株会社です。福島第一原子力発電所事故の「責任」を果たし、エネルギー産業の新しい「競争」の時代を勝ち抜いていくために、大きな変革を実行してまいります。

近づけない対策の効果

■雨水・地下水起因の汚染水の発生量が約490m3/日(2015年12月~2016年2月平均)から約110m3(2017年12月~2018年2月平均)に減少。

これが果たして遮水壁の効果と言えるのかは難しいところだが、その効果を含んでいるだろう事は予想できる。

しかし、それでもそれなりの処理すべき水が出てきてしまうのは避けられない。

放射線で汚染された水は、今も海に流れでている

もう既に想像は付いている方も多いのだろうと思うけれど、地下水の流入、雨水の流入はどうしたって止められない。

大部分は回収していると思われるが、少なくない量が海に流出していると考えるのが妥当である。この事実を政府は認めようとはしていないようだけれど、どう考えたって、100%止める事など不可能なのだから、そう考えるべきだろう。

https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/325451.pdf

そして、海洋汚染は一体どうなっているのか?というと、こんな感じになっている。

農林水産物の緊急時環境放射線モニタリング結果【詳細】 - 福島県ホームページ
農林水産物モニタリング検査結果【詳細】

このデータ自体は全てを示すものでは無いけれども、傾向としては殆ど問題無いと、その様に判断して差し支えない状況になっていると、そう理解して良い結果だと思う。

その上で、回収可能な汚染水は回収して処理し、処理水として溜め込んでいるのが実情なのである。

さて、その処理水であるが、内部にトリチウムを含むのが問題とされている。

【原発最前線】トリチウム含む処理水の海洋放出に批判続出 「報道」が反発煽る? 公聴会の議論かみ合わず

2018.9.5 17:00

東京電力福島第1原発にたまり続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水の問題について、国の有識者会議が8月末に福島県と都内で開いた初めての公聴会は、解決の「困難さ」を世に示す機会となった。有力視された海洋放出には反対意見が相次ぎ、合意形成の道筋は見えていない。

~~略~~

 その原因の一つは、公聴会前の8月19日以降、処理水を貯蔵しているタンク内にトリチウム以外の放射性物質が残っていると一部で報じられたことだ。公聴会の主催は「多核種除去設備等処理水の取り扱いに関する小委員会」で、先行設置された「トリチウム水タスクフォース」以来、有識者は足かけ6年にわたってトリチウムを含んだ処理水の処分策について検討してきた。しかし、タンク内にヨウ素129などが残留しているとの報道を受け、意見表明者の多くは「公聴会の前提が崩れた」と批判し、予定通り開催したことに抗議する人もいた。

「産経新聞」より

いや、トリチウムだけではないようだけれども、しかし、この残留量などたかが知れた(検出限界値以下)話。いや、ストロンチウム90が排出基準を上回って残留しているというデータも出たらしく、激しく混乱しているみたいだけれども。

そして、他の原発では全世界でトリチウムを含んだ水を海洋放出しているのである。福島第1原発だけNGというのは、説明が付かない。

トリチウムは危険なのか?

もちろん、トリチウムは人体に深刻な影響を与える事が知られている。だから、危険である。

しかし……、多くの薬がそうであるように、危険かどうかは濃度によるのである。何しろ、トリチウム自体は水道水にも含まれているし、雨が降ったらその中にも含まれている。

問題は濃度なのである。

有機結合型トリチウムは特に危険?

有機結合型トリチウム(OBT)とは、植物中に取り込まれたトリチウム水は、光合成によって有機物の中に取り込まれると、葉、実、および根などに留まっているトリチウムのことである。

こうした有機結合型トリチウムは、生体の内部に留まるリスクがあるという風に報告されているのだが……、これによって生体濃縮されたという証拠は何処にも示されていない(論文が1本紹介されているが、科学的な論証はその論文の中には示されていない)。

つまり、OBTが生体濃縮される、というのは残念ながら科学的な論拠のない噂の域を出ない話である。加えて、人の身体の中に入ったトリチウムが、有機結合型トリチウムに変化する事を確認出来ていないため、OBTが特に危険だというのも、噂の類と言えよう。

ということは、である。処理済みの汚染水、処理水をいつまでもタンクに溜めておく必要は何処にも無い。

処理水の海洋放出は政治マター

結局、政治が足を引っ張る

止められない汚染水流出も認めなければ、処理水の海洋放出も認めていないという、もはやどうしようも無い状況にあるが、しかし政治的にはこの判断は正しいというおかしな話になっている。

ただし処分方法については有識者の間でも意見が分かれる。また政府内には、2020年の東京五輪・パラリンピックを前に処理水の行方に注目が集まり、風評被害が顕在化することへの懸念もある。このため、政府がどの案を選択するか現時点では見通せない。

 事故で発生した汚染水に含まれる放射性物質のうち、放射性トリチウムを取り除くことは技術的に難しい。処理水の処分では風評被害も懸念され、小委で16年から具体的な方法を検討してきた。

 政府関係者によると昨年の公聴会で長期保管を望む意見が多数寄せられ、「タンクでの長期保管」を選択肢に加えることになった。

バカバカしい話ではあるが、海洋放出できる基準を作って流してしまえばいいのでは?と思うのだが……、そういう正論が通じる余地はないようで。

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