スクランブルで疲労蓄積する戦闘機F-15K

空軍

日本のことかと思った方、実は韓国空軍のネタである。新聞記事としては去年のものなので、ネタは古いんだけど。

F-15Kの疲労累積。「F-15・早期警報機を追加導入する必要が」

入力 2019-07-26 17:44:07 修正 2019.07.26 17:44:07

戦闘機が不足する恐れが現実化している。

中国とロシアの軍事的脅威が漸増する場合、私たち空軍パイロットと機体の疲労が累積して、ややもする事故まで発生する可能性のある状況である。苦境が予想されるが代替を見つけるのは容易ではない。韓国型戦闘機(KF-X)が実戦配備される2020年代半ばまでは、現在の消費電力で、ロシアと中国の領空侵犯に対応するしかない。米軍の支援を受けて、北朝鮮を相手にする電力を培ってきた軍の立場では、股が裂ける形を迎えたわけだ。早期警戒機と長距離戦闘機を追加導入が必要であると主張し、この代わりに出てきている。

「sedaily」より

もちろん、日本の自衛隊は支那やロシアのせいでコレの比ではないほど疲弊しているのだが、本日はそこの所はさておいて韓国軍ネタでいきたい。

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F-15Kの疲弊

韓国空軍虎の子の戦闘機

よく、日本のF-15Jと比較がなされるのだが、あまり比較することに意味は無い。韓国の運用しているF-15はF-15E「ストライクイーグル」ベースのF-15K「スラムイーグル」であり、構成的には対地特化である。

F-15K アラスカにて編隊飛行
編隊飛行するKF-16(手前)と米軍のF-16(’奥)

え?「スラム」と名が付く通りみすぼらしくて小汚い?いや、この「スラム」は「Slam:手荒く、打撃の意」であって「Slum:貧民街の意」ではないそうだよ。韓国の戦闘機は整備不足で小汚いイメージがあるからといって、「スラム」の名前が付けられたわけでは無いのである。

ちなみに、エンジンはF110-STM-129またはF100-PW-229EEPを搭載していて、サムスン・テックウィン社(現ハンファテックウィン社)がライセンス生産しているといわれている。当初は通常版よりもエンジンを強化したものを納入されたといってホルホルしていたようだが。

また、アビオニクス面でも通常版より強化されて、レーダーとしては対地攻撃機能が付加され、電線装備も最新型を搭載している。また、航法・目的標準ポットとして特別にタイガーアイと呼ばれるLANTIRNシステムを発展させたものが搭載されている。更に戦術データ・リンクは標準装備のリンク16に対応する為の統合戦術情報伝達システム(JTIDS)を搭載しているが、韓国ではまだリンク16が整備されていないので、一部の兵器(AEW&C機や世宗大王級駆逐艦)とリンクできるのみである。

まあ、当時としては色々と欲張りなシステムを採用したってことだね。

F-15K戦闘機とKF-16戦闘機を交互に運用

そんな韓国の高価な戦闘機なのだが、KF-16戦闘機と一緒にアラート任務に就いているとか。

私たちの空軍は168機のF-16戦闘機とKF-16(F-16の国内ライセンス生産型)の戦闘機を中央2ヶ所と湖南1の空軍基地で運用しており、東海上空での作戦が容易ではない。一部では、江陵地域など、これらの戦闘機を配置する案も出さ万前方地域には、F-5級を配置して中部内陸以南にある船級戦闘機を配置する原則で外である。

「sedaily」より

チョット分かりにくいので、纏めておこう。

  • F-15K「スラムイーグル」59機
  • F-16C/D+KF-16「ファイティングファルコン」合計168機

この他にもF-4戦闘機やF-5戦闘機、FA-50軽戦闘機、F-35A戦闘機などを保有しているのだが、何れもアラート任務には堪えられないとされている。

長距離任務投入が可能な戦闘機は、実質的にF-15Kだけだ。航続距離が長く双発エンジンである戦闘機はF-4Eファントム戦闘機もあるが、改良型ではなく、原形をそのまま使用する国は韓国だけであるほど老朽化した戦闘機なので哨戒及び遮断作戦投入が現実的に不可能である。

「sedaily」より

F-4戦闘機やF-5戦闘機はメンテナンスも十分に行われておらず、近代改修もなされていない。運用中のKF-16ですら最近になって近代改修している(色々揉めたけれども)始末である。

そして、KF-16戦闘機は飛行出来る距離がF-15K戦闘機より短いので、余計にF-15K戦闘機に負担がかかるって言う話だね。

なお、韓国のF-35A戦闘機に関してはまだ実戦投入できる段階にない。また、実戦投入可能な状態になったとしても、メンテナンスの問題があって継続的に使えるかは不明だ。

空中給油機は使えるのか?

ちなみに、韓国にとって戦闘機の作戦時間確保は悲願であり、空中給油機を購入している。

韓国空軍が空中給油機を初配備 戦闘機の作戦能力向上へ

2019/01/30 13:05配信

韓国空軍は30日、釜山の金海空軍基地で空中給油機KC330の戦力化行事を行った。

欧州のエアバス・ディフェンス・アンド・スペース(ADS)が製造したKC330は、昨年11月に1号機が韓国に到着した。今年4月に2号機、8月に3号機、12月に4号機が導入され、計4機で2020年7月から作戦を遂行する予定だ。

「WOW! Korea」より

さて、韓国軍は意表を突いてエアバスからA330 MRTTを4機購入している。

結果からすればこの判断は正しかったと思う。大方の予想は韓国もアメリカの空中空輸機KC-46「ペガサス」を買うのではないかと言われていた。ところが、このペガサスさん、2019年1月にようやく1号機が納入されるも、トラブルを抱えていて上手いこと運用できているとは言い難い。したがって、直ぐに空中給油機が欲しかった韓国にはKC-46を選んだのだとしたら、未だに納入されていなかった可能性が高かった。

ただ、既に韓国空軍は空中給油機KC330を4機導入しているとは言え、その訓練を十分に行えていないようで、もうちょっと時間がかるかと思う。

そして、この手の空中空輸機はそもそもアラート任務に向いていない。スクランブル発進した時に、空中給油機も飛ばさねばならないのだが、流石に空中給油機を常時スタンバイしておくことは現実的では無い。まさか、常時飛ばしておくこともできないだろう。

そしていつもの

韓国内部にはF-15SEを買え!という意見もあるようなのだが、そう簡単に買えたら世話はない。

そんな訳で、韓国のスクランブルはその多くの任務を59機しか保有していないF-15K戦闘機に頼る事態になっていて、なかなか辛いのが現状なのである。そして、2004年頃から運用している比較的新しい機体であるとは言え、重い負担を分担できずにいるので、そろそろボロボロなのだ。

あと、記事の中で併用したいとしている早期警戒機AEW&C機「ピースアイ」なのだが、これもまたなかなか上手いこと飛行出来ない状況にあると言われていて、その原因となっているのが、いつもついて回る韓国軍の兵器メンテナンス問題なのだ。

何とも平常運転だな。

個人的にはFA-50軽戦闘機を量産するかF-16V戦闘機あたりを購入したら良いんじゃないか?とは思う。カネの問題はともかくとして、運用できる戦闘機の数が少ないのは困るからね。

コメント

  1. F-16にプラットアンンドホイットニーのエンジン搭載だから、エンジントラブルで共倒れを防ぐためにF-15Kにはゼネラルエレクトリックのエンジンを搭載したはずなのにプラットアンンドホイットニー搭載機を導入したのは。
    共食い整備が出来なかった説
    燃料から硫黄を取り除く脱硫技術が未熟で日本製燃料が必要だった説
    以外にも何かありませんでしたか?

    • F-15Kのエンジン選定の話は、よく分かりませんでした。
      どうやら、システムの冗長性を担保するために2系統のエンジンを採用するような話だったようですが、価格が随分下げられたのも影響したようですが、ご指摘頂いたような話に類するのは発見できず。
      色々な事情があるのでしょうが。

  2. 韓国はF-35の整備はどこでやるのでしょうねえ
    日本はお断りですよ

    • その辺りの話が聞こえてこないのですよ。
      「アメリカ本土でやるのだ」というあたりで決着していた気がしますが、流石に現実的では無いと思います。
      オーストラリアでやる案もありましたけど、こちらもねぇ……。

      日本はお断りというのは同意です。とんでもない話になりそうですから。

  3. ちょっとツッコミを。

    > え?「スラム」と名が付く通りみすぼらしくて小汚い?

    写真の戦闘機はF-16ですが、これを引き合いに「スラムイーグル」と結びつけるのはおかしいと思います。
    (写真のF-16があまりにも汚い、という点は同意です)

    • おおっと、F-15Kの写真を貼ったつもりが。大変失礼しました。

  4. 木霊さん、おはようございます。

    >F-15K「スラムイーグル」59機
    >F-16C/D+KF-16「ファイティングファルコン」合計168機

    これって実際の稼働率はどれくらいなんでしょう?
    空自もスクランブル激増でF-15Jの疲弊が心配なんですが、一応対艦戦主体のF-2も航空要撃も可能である程度フォロー可能ですけど、対支那へのスクランブル回数が半端じゃないもんね。

    日頃の整備力&定期的メンテナンス力の差が、実戦ではモノを言うのかもです。

    P.S.
    それにしても何て汚い機体なんでしょう。(冷笑)

    • 韓国の戦闘機の稼働率は90%とされているようですよ。
      ただし、彼らの用いる数字はあくまで配備されている機体の稼働率であると言われていまして、整備に回っている戦闘機は含まない様です。
      概ね1/3が現場に出ていてそのうち9割が飛べるような計算となるとすると、まあ、25~30%の戦闘機が使える状態という計算に。
      つまり、F-15Kは18機程度、KF-16は48機程度なんじゃないのかなと。

      • 木霊さん、レスで疑問へのご回答ありがとうございました。

        >ただし、彼らの用いる数字はあくまで配備されている機体の稼働率であると言われていまして、整備に回っている戦闘機は含まない様です。

        これじゃあ冷静な戦力分析をする上で非常にマズい気が...、超楽観論が基準なんでしょうかねェ~。

        >概ね1/3が現場に出ていてそのうち9割が飛べるような計算となるとすると、まあ、25~30%の戦闘機が使える状態という計算に。

        しかも1/3しか現場にいないって...、残りは共食いの犠牲で既に戦力外・ギリギリ整備できる機体が何%なのか? たいそうな予算を使って購入したのにねェ~。(失笑)

        >つまり、F-15Kは18機程度、KF-16は48機程度なんじゃないのかなと。

        今後の南朝鮮戦闘機の話題については、戦力はMAX70機前後という前提で話を進めたいと思います。

        P.S.
        しかしですねェ~、計画中のF-16C/D(KF-16含む)をF-16Vへグレードアップできる機体はどんだけ残っているか興味津々!!(爆笑)