乗組員が足りないからねぇ。え?違うの?
韓国海軍の新型護衛艦、3カ月間も港に停泊…なぜ?
2019年04月30日11時49分
3200億ウォン(約310億円)も投入された海軍新型護衛艦「大邱(テグ)」が故障で3カ月間も港に停泊しているが、海軍は調査もしていないことが分かった。故障の原因はまだ確認されていないが、船底に接触のあとが残っているため運航中の過失で事故が発生した可能性もある。
「中央日報」より
さて、冗談はさておき、記事に出てきている問題になった最新鋭の護衛艦というのは、木偶……じゃなかった、「大邱級フリゲート」である。
大邱級フリゲート
2018年に就役した最新艦
前のブログでも当然触れているんだけど、大邱級フリゲートはいろいろと突っ込みドコロ満載の艦ではあった。

こんな感じの艦である。
いま流行の、ステルスタイプのデザインになっているのだが、何となくバランスが悪く感じるね。韓国海軍伝統のトップヘビータイプだからだ。
前級は仁川級フリゲート
で、この前級が仁川級フリゲートなのだけれど、仁川級フリゲートも一番艦が2008年建造と割と新しい船で、2300tクラスと比較的小さいものの韓国海軍の主力艦として活躍する船だ。

ところで、仁川級フリゲートの構想段階では3000t級の船24隻からなる計画だったんだけど、計画が進むに従って2700t→2300tと縮小されてしまった不思議な経緯を持っている。仁川級フリゲートは6隻が作られているね。
で、仁川級フリゲートは電子機器冷却ファンをはじめとして、操舵機のオイルポンプやら様々な偽装納入品が取り付けられていたという問題が発覚し、更に採用されたディーゼルエンジンがSTXグループのものを採用するにあたって汚職が発覚するなど、色々騒ぎになった。
実戦投入後、たったの5ヶ月で故障
で、仁川級フリゲートより大きくなった、大邱級フリゲート(2700t)だが、実戦投入されたと思ったら故障が発覚。
韓国海軍新型護衛艦「大邱」、実戦投入5カ月で故障
2019年2月21日 8時34分
韓国海軍の新型護衛艦「大邱」(2800トン)が電力化から5カ月が経過した今年1月、推進システムの異常で運用できなくなったことが20日、分かった。「大邱」は韓国海軍の次期護衛艦のうち、初めて電力化された先導艦だ。軍は2013年から合計3400億ウォン(約335億円)をかけて「大邱」を建造した。
~~略~~
軍関係者は同日、「今年1月末、『大邱』の推進システムに欠陥が生じて運用を中断し、原因を究明しているところだ。プロペラを回すモーター付近の部品が過熱して駆動を中止した」と明らかにした。軍のある幹部は「プロペラを動かすモーターが過熱して焼けてしまった」と言った。推進システムの欠陥でプロペラを動かす動力源が破損し、艦艇が動かなくなったということだ。
「ライブドアニュース」より:リンク切れ
お粗末。
実は、大邱級フリゲートはCODLAG方式の推進方式を採用しているのだが、これがあまり出来が宜しく無かったようで。

いやー、何故、仁川級フリゲートで実績のあったCODOG方式を採用しなかったんですかねぇ。

こんな感じで、構造自体はCODOG方式の方がシンプルである。
推進方式の変更が裏目に
何故、シンプルな方を採用しなかったのか?というと、どうやらコスト削減を目指したらしい。
仁川級フリゲートでは、推進機関はこんな感じの構成になっている。
機関 | CODOG方式 |
---|---|
MTU 20V956 TB92ディーゼルエンジン | 2基 |
LM2500ガスタービンエンジン (25 MW/34,000 hp) | 2基 |
スクリュープロペラ | 2軸 |
一方の大邱級フリゲートは、推進機関がこんな感じの構成だ。
機関 | CODLAG方式 |
---|---|
MTU 12V1163 TB83ディーゼルエンジン | 2基 |
ロールス・ロイスMT30ガスタービンエンジン | 1基 |
スクリュープロペラ | 2軸 |
ガスタービンエンジン1つ分安くなるもんね!
まあしかし実際にはVLSを搭載するなどの事情もあって、大邱級フリゲートの建造費は3200億ウォンとなっている。仁川級フリゲートの建造費は1100億ウォンだったことを考えると、何故、仁川級フリゲートを増やさなかったのかと。
この変更でギアボックスの設計が複雑になるという問題を抱えてしまうわけだが……、これが問題になって2019年1月には運用が出来なくなってしまう。
軍関係者は「モーター付近の付属品であるベアリングの問題だと思われる。しかし、なぜ推進システムのベアリングに過熱という問題が生じたのかは、まだ究明されていない」と話した。
記事ではベアリング加熱などと誤魔化しているが、ギヤボックスの設計がお粗末だからこんな事になるのである。
さらに、推進動力をモーターからガスタービンに切り替える時間が、従来のエンジンに比べて6分以上も余計に掛かる点も問題として指摘されている。
「レコードチャイナ」より
切り替えに時間がかるという恐るべき問題も報告されていたが、それも関連しそうな話だ。
ガスタービンのブレードに23箇所の損傷
更にこんなニュースも。
韓国海軍の次期護衛艦に相次いで欠陥見つかる、艦内への海水流入も=「戦わずして敗北寸前」「最初から廃船を造った?」―韓国ネット
配信日時:2017年9月27日(水) 13時40分
2017年9月26日、韓国の次期護衛艦「大邱艦」の内部に数十カ所の損傷が発見され、海水が内部に入ってくるなどの問題が相次ぎ起こっている。韓国・MBNなどが伝えた。
韓国での報道によると、造船所での試運転の段階で、大邱艦の推進機関であるガスタービンのブレード23カ所に損傷が発見された。試運転の過程で流入した異物に起因する損傷とみられているという。
これについてエンジン製作会社の英国ロールスロイス社と大宇造船海洋は、これまで運用での問題が出ていないとして、特別な措置は不要との立場だ。しかし海軍はこの根拠のない判断を信頼し大邱鑑を引き受けることはできないとして対立している。
「レコードチャイナ」より
いやいや、普通はこんな事にならないよね?
だいたい、ガスタービンエンジンはこんな奴だけど、他でそんなトラブル聞かないぞ。

ロールスロイスは絶賛推薦中のこのエンジン、アメリカ軍でも自衛隊でも採用が進んでいるとか。でも、問題が起きたという話は聞かない。だって、まあ、韓国だしね。
なんか海水が入ってくるらしいぞ
あとはこっち。
大邱艦をめぐってはこの他にも、海中に「ソナー」(水中音響探知機)を入れて敵潜水艦の動きを検出するえい航型ライン配列ソナー(TASS)を下げる空間に海水が流入する問題も判明している。
設計ミスかよ!
そして3ヶ月停泊
んで、冒頭のニュースに戻ろう。
KBS(韓国放送公社)は、昨年8月に戦力化した2800トン級新型護衛艦「大邱」が1月に推進システムが故障し、3カ前から運航していないと29日に報じた。「大邱」は対潜水艦能力が優れた次世代護衛艦で、製作だけでも3200億ウォンが投入されたという。
KBSによると、海軍は当時、故障の経緯などを一度も調査せず、護衛艦自体の問題と見なして国防部傘下の国防技術品質院に不満を提起した。しかし故障の4日前に港に停泊しながら船体の振動など異常が感知され、船体を持ち上げると底のスクリューに複数の傷が見つかった。
てっきり、推進システムの欠陥の話かと思ったのだけれど、どうやらそうじゃ無いらしい。
よく分からないのだが、「3ヶ月前から運航していない」というのは推進システムの故障の問題かと思っていたら、どうやら船体の底に複数の傷があったとか。
うーん、推進システムの修正だけでも半年レベルのドッグ入りが必要だって話だった気がするんだけど、事故停泊か故障停泊かはどっちでも良いような。
何となくこのニュース、国防技術品質院が「品質が問題じゃ無くて、事故だったんじゃねーの」と言いたいだけの話だったんだろうと。
コメント
ガスタービンエンジンをバラしてベンチマークしたんでしょうね。
バラしちゃったという説はかなり濃厚だと思いますよ。
何しろ前科が。
なんか、この記事は旧ブログの以下の記事をまとめたような感じになってますね…
・韓国海軍次期護衛艦に相次いで見つかる欠陥(2017/09/30)
・韓国の次期型護衛艦、大邱級フリゲート就役 (2018/03/18)
・実戦投入5カ月で故障した、韓国の新型護衛艦 (2019/02/22)
ちなみに、「大邱」の進水日は、2016/06/02で、就役までの期間は護衛艦と変わりませんね。ということは、改修してないのだと考えます。
参考:護衛艦「しらぬい」は、2017年10月12日に命名・進水、2018年7月5日に公試開始、2019年2月27日に就役
そうですね、旧ブログの話を適当につまんだ感じにはなっています。
というか、新しい話は「船体の底に傷があった」だけなんですよ。
他の記事の時にちょっと触れさせてもらったんですが、このニュース見た時にはさすがに唖然としましたねェ~。(笑)
軍事で作戦の根幹となる主力兵器なのに、故障原因すら未だ特定されていないのが何と言っても一番ヤバイでしょう。(モノである以上故障や欠陥はあり得ますが、その後の対処が大事)
まあ、こんなのが日常茶飯事のお家芸化しちゃってる民族ですから、もう完全に思考停止を通り越した麻痺状態って事でしょうかね?(冷笑)
狭い領海を含む海域で北朝鮮と支那に備え、かつリムパックにも参加可能な巡行距離が必要なんですから、3000t級フリゲートは海軍のメインとなる戦闘艦のはず...。
何より数を揃えて何種類かに特化した戦闘能力タイプを配備するのが一番だと考えないのか不思議です。(日本を敵にした今なら判りますけど)
対艦戦の火力強化&高速型、対潜戦重視の哨戒型、僚艦護衛のミサイルで対空戦特化型、など揃えられた方が対抗する方としては厄介と思うんですよね。
それがどんな戦闘艦もそうですがスペック満載のテンコ盛りなんですから、そりゃ総合的に性能を発揮しようとするにはどこかに無理が生じるし難しいでしょう。
まあ、そのお陰で万一の対南朝鮮戦は日本にとって、空海戦に限れば戦略が立て易い訳ですから(甘く見ないで最大のリスクは当然備えが必要)、あとはしつこいけど対ミサイル戦で迎撃と敵戦力破壊をどうするかでしょうね。
なにしろ日本は通常攻撃型ミサイルさえ持っていないという、現代戦における自主防衛では常識の決定的な抑止力が欠けているんですから。
今の内に憲法を改正して対策考えてとかないとね!!
P.S.
そういや南朝鮮初の国産救難艦(統営)ですか、ポッケナイナイのせいで肝心のソナーが使い物にならなかったはずなのに(魚群探知機だったから当たり前)、いまだに欠如した状態のまま運用中とか。
何でも掃海艦を同伴してでないと救難戦を見つけられず、引き上げも当然掃海艦のソナー頼り、つまり巻き上げ&曳航専門という凄い性能らしいですよ。
セウォル号事故に出動できず大恥をかき、就役から5年も経っているのにねェ~。
このニュースのキモは、故障原因の押し付け合いをしているって事ですね。
しかし、原因特定は真摯に行うべき話であり、運用ミスにせよ、初期不良にせよ、しっかり原因を追及することこそが重要だと思うんですけど。
木霊さん、おはようございます。
続報は中々出てきそうにありませんが備忘録として。
【大邱級】
・2800t
・艦載機:AW159 リンクス・ワイルドキャット哨戒ヘリ×1機
・兵装:Mk.45 5インチ砲・ファランクス・海弓艦対空ミサイル・海星艦対艦ミサイル×4連装2基
・赤鮫対潜ミサイル×2基・青鮫短魚雷発射管×2基
・C4Iシステム
・乗員:約140名(予測)
・建造費:310億円
【海自建造中のFFM】
・3900t(大邱級の約1.4倍)
・艦載機:SH-60K哨戒ヘリ×1機
・兵装:Mk.45 5インチ砲・17式艦対艦誘導弾4連装×2基・Mk 41 垂直発射システム×16セル・RWS無人銃架×2基・Sea RAM対空ミサイル
・HOS-303 水上魚雷発射管×2基
・C4Iシステム(リンク22)
・乗員:100名
・建造費:470億円(大邱級の約1.5倍)
ディスカウントがお得意の南朝鮮製としてはかなり無理した予算を投入してますね。
相変わらず欲張ったトップヘビーなのが笑えますが、同じような兵装とはいえその差は歴然で、省エネという観点ではFFMに大きく劣りそうな格下のフリゲートって感じです。
艦を造船する予算より搭載する兵器・装置が高額になるので、ある意味当たり前の事なんですけど実質予算オーバーで機能は劣化版じゃないかなァ~。
しかも、一番艦がマトモに動いていない訳で、この先どう改善するつもりなんでしょうかねェ~。(爆笑)
続報が楽しみでなりません。