韓国海軍、CIWS-II近接兵器システムを開発

海軍

えーっと、CIWS-IIって何ぞや?

South Korea Developing The New ‘CIWS-II’ Close In Weapon System For ROK Navy

01 Jun 2020

South Korea’s Defense Acquisition Program Administration (DAPA) has approved the development of a new close in weapon system for the Republic of Korea (ROK) Navy. Known as the CIWS-II program, the new system will defend ROK Navy surface vessels against anti-ship missiles and fast attack craft.

「NAVAL NEWS」より

ふむ、CIWSといえば艦船に搭載される近距離迎撃システムの総称のようだ。

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有名になった「オウンゴール」兵器

オランダの兵器「ゴールキーパー」

タレス・ネーデルランド社は、オランダの兵器会社でゴールキーバーと呼ばれるCIWSを開発したことでも知られている(ゴールキーパーはシグナール社の時代に開発した兵器である)。

ゴールキーパーは、ガトリング砲と索敵レーダー、追尾レーダーを一体となった旋回砲塔と、射撃コンピューター、その他の管制機器を備えている。

艦船に近接する航空機等に対して、射程圏内であれば強烈な打撃を加える兵器なのだけれど、毎分4200発の強力な弾幕をはるので、それなりにコストもかかる。

なお、アメリカ海軍はファランクスと呼ばれる兵器を採用している。

ファランクスはこんな感じの姿をしている。

ちょっとコミカルな印象を受けるけれども、なかなか優秀な近接防御火器システムであるそうな。

ちなみに自衛隊もコレを採用しているね。

レーダーなども自前で備える独立した対空防御システムなので、それなりにお高くなってしまうところがネックではあるな。

ただまあ、あると無いとでは大きな差が出るのも事実。

多くの国の艦船が採用している理由はそれなりにあるという事なんだな。

独島級揚陸艦に搭載する「オウンゴール」

で、オランダ製のゴールキーパーを採用して、笑いをとったことで有名なのが、独島級揚陸艦である。

この独島級には様々な逸話が残っているのだが、「オウンゴール」の逸話はナカナカ秀逸である。何かというと、この独島級、1番艦「独島」と2番艦「馬羅島」では採用した近接防御火器システムが異なる。

その理由がナカナカスゴい。

実は、独島級揚陸艦に備えるゴールキーパー近接防御火器システムの配置が拙く、艦尾側に設置したゴールキーパーは、射界にヘリコプター甲板が入ってしまうため、艦載機を掃射してしまう欠陥がある事が分かった。だからこそ「オウンゴール」と揶揄されたわけだ。

なおこのシステムの配置変更は難しい様で、運用で対処することにした様だ。コレが影響したのか2番艦にはゴールキーパーを採用するのを見送っちゃった。いや、タレス社がゴールキーパーを製造しなくなったからだ、というのが本当の理由らしいのだけれど。

まあ、そもそもこの独島級揚陸艦には、専用のヘリコプターが搭載されるはずが、未だにそれが実現できていないらしい。残念だったねぇ。

新たに開発

CIWS-II

そんな訳で、CIWSの曰く付きな話を紹介したのだけれど、韓国ではこれを新たに開発するということを決めたというのが冒頭のニュースである。

えーっと、何で??

5月26日発行された公式声明によると、CIWS-IIプログラムの割り当て予算は3,500億ユーロ(2億2,800万ドル)であり、プログラムのタイムライン(開発から量産まで)は9年(2021年から2030年)に及ぶと予測されています。 )。予備的な研究開発はすでに2019年後半までに完了しています。

韓国の2つの防衛会社、ハンファシステムズとLIG Nex1は、プロジェクトへの参加に関心を示しています。DAPAによれば、CIWS-IIはKuバンド追跡レーダーとFLIRを使用する現代のトレンドに従います。

「NAVAL NEWS」より

予算の割り振りが行われたと言うことなので、本気だと言うことは伺える。それと、ハンファシステムズと、LIG Nex1といえば、韓国の防衛兵器の開発で必ずと言って良いほど出てくる会社だ。この辺りも予定通りという感じはするね。

で、総事業費が約3,500億ウォンだというから……、ん?随分と安いね。

Existing CIWS of the ROK Navy

To date, the ROK Navy is using three kinds of CIWS systems (one with short range missiles, two with 30mm Gatling guns):

・ The RAM by Raytheon (KDX-II, KDX-III class destroyers, FFX Batch I Frigates, Dokdo LPHs)
・ The Phalanx by Raytheon (FFX Batch I & Batch II frigates, Soyang AOE)
・ The Goalkeeper by Thales Netherlands (KDX-I, KDX-II, KDX-III class destroyers, Dokdo LPHs)

Thales doesn’t produce the Goalkeeper anymore (but continues its maintenance and upgrade, including for the ROK Navy in partnership with LIG Nex1), the Phalanx is considered as too expensive and the RAM is getting replaced by a vertical launch missile, the K-SAAM by LIG Nex1 which can be quad-packed. This prompted South Korea to develop its own CIWS.

「NAVAL NEWS」より

でまあ、何故コレを作る気になったかというと、どうやらタレスはゴールキーパーの製造を止めてしまったけれど、ファランクスは高すぎるために採用したくないという事情のようだ。

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まあ、供給が不安定だと、兵器を使う側だって困るというのは分かるのだけれど、果たして作れるかどうかは未知数だ。

ただ、記事によるとLIG Nex1はタレスからライセンスされているので、作る事が可能らしく、いつものようにコピー商品なら実現は可能なのだろうか?

コンセプト

ただ、書かれている事は少々不可解である。

Talking to Naval News during MADEX 2019, a Hanwha Systems representative explained that in the preliminary R&D phase, all options were being considered for the new CIWS:

・ Directed Energy (laser)
・ 30mm Gatling Gun
・ 40mm Gun systems firing Case Telescoped ammunition

Based on the various scale models and artist impressions at the show, it doesn’t look like that CIWS-II will be based on laser or a Gatling gun, leaving one option: The 40mm gun system. Note that this wasn’t confirmed by Hanwha in any way. However, interestingly and for the record, it appears that South Korea already adopted this technology (case telescoped gun) for the future the future KAAV II amphibious assault vehicle of the ROK Marine Corps.

「NAVAL NEWS」より

30mmガトリングガンは分かるのだが、指向性エネルギー(レーザー)、40mmCTAガンシステムって……。チョとどうなのよ!また何かのパクリなのか?

レーザー兵器が流行なのは分かるが、韓国には未だ早いだろう。あと、テレスコープ弾を撃つシステムの方はまだ、実用に漕ぎ着けた国がないこともあって、実用化できる兵器なのかはよく分からない。

……よく分からないのだが、どうやらKAAV II(韓国製の次世代水陸両用車)に搭載される予定になっているらしい。まあその話は別の機会に。

この記事ではよく分からないので別の記事も探してみた。

More details emerge about South Korea’s CIWS development plans

05 JUNE 2020 00:00 GMT+0

South Korean officials have revealed further details about the close-in weapon system (CIWS) their country is planning to develop for use on Republic of Korea Navy (RoKN) warships.

Speaking to Janes on 5 June the officials said the ‘Close-in Weapon System (CIWS)-II’, which is set to be developed between 2021 and 2030 for KRW350 billion (USD289 million), will feature a 30 mm Gatling-type gun and a new active electronically scanned array (AESA) radar.

「JANES」より

……あれ、「new active electronically scanned array (AESA) radar.」ってどゆこと?AESAレーダーの開発はKFX用にやってたけれど、それを登載しちゃおうという感じかな。

30mmガトリングガンは、「GAU-8 / A Avenger」とあるので、A-10攻撃機に搭載しているヤツと同じだった気がする。ずいぶんとまあ、ごついシステムを使うわけだが、安心と実績のシステムであるとも言えよう。そして、アメリカからの技術移転によって採用と。いつも通りだな!

だとすると、検討されていたとされるレーザーやテレスコープ弾を採用した40mm砲は見送りということになりそうだね。まあ、妥当なんじゃないかな。AESAレーダーが良いかどうか?というところはまた別の話なんだけれど。

相変わらずの開発費も納得だ。

ともあれ、新しいオモチャが登場する予感である。

コメント

  1. こちらもあちこち見てみましたが、韓国としては30mm弾のライセンス生産までやっているから今後とも30mmCIWSを使いたい、と言ったところなのでしょう。

     以前はファランクスはゴールキーパーの半値でしたが、その後はファランクスも改良で値段は上がっているようです。

     かつては「20mmCIWSは時代遅れ、これからは30mmCIWS」で、イギリスが空母インヴィンシブルのCIWSをファランクスからゴールキーパーに換装したときは「さすがフォークランドの戦訓をいち早く取り入れる国」ともてはやしていましたが、そのイギリスも最近建造した艦にはファランクスですし、ゴールキーパーからファランクスに換装した艦もあります。
     やはり30mmの、それもレーダから射撃管制装置を一体化したCIWSとなると重い、大きいで艦載用としては敬遠されるようになっており、また対空ミサイルのRAMもBlock2で、Block1の連続発射できなかった弱点も克服できたので、ある程度の遠距離はRAMで、至近距離で迎撃する分だったら20mmで充分、ということになっているようです。

  2. >30mmガトリングガンは、「GAU-8 / A Avenger」とあるので、A-10攻撃機に搭載している
    >ヤツと同じだった気がする。

    同じですね。そして、Wikipediaには、こんな記述も

    >また、GAU-8のシステムを利用したオランダ製のCIWS(近接防御火器)ゴールキーパーが
    >開発されている。

    >砲は、GE社製 7砲身30mm ガトリング砲であるGAU-8/A アヴェンジャーを同じくGE社製の
    >軽量砲架EX-83に搭載したものである。

    韓国は「車輪の再発明」を狙ってる?

  3. 木霊さん、おはようございます。

    いつもの悪い癖であるケチって超劣化版コピーにまた走るつもりみたいですね。

    僕の知識不足かもしれませんが、訳の判らないのはCIWSファランクス(M61バルカン砲)をガトリング砲の30mmサイズにアップするって事です。
    ミサイル戦闘艦ではない空母・揚陸艦・輸送艦が自己防衛対空戦で、CIWSを搭載するのは今や標準ですし、加えてSeaRAM近接防空ミサイルも当たり前になってきました。
    当然、それぞれ用途というか攻撃対象が違っていて、大まかに言えばSeaRAMで撃ち漏らした対艦ミサイル&戦闘機を最後に超近接で叩くのがCIWSだと理解しています。

    ちなみに映画「空母いぶき」でF35B発進直前に対艦ミサイル攻撃を受けるのですが、護衛艦がSM2で打ち漏らした1発を「いぶき」が直接CIWSを使って撃破しました。
    しかし、飛行甲板にミサイルの破片が散乱し、最初に飛び立ったF35B1機以降の発艦不能とピンチを迎えます。
    とはいえ、甲板修復には時間が掛かるとはいえ破片撤去と安全確認で済みますから、最低限の防御ができたってストーリーでした。
    つまり、そういう防御兵器って事でしょう。

    何が言いたいかというとCIWSに求められる役割とデメリットがあるのですが、攻撃対象を最終破壊し直撃を防ぐのですからファランクスの20mmバルカン砲で十分じゃないって事。
    それを装甲車両を直接破壊する目的の30mmのガトリング砲(タンクキラー)で、ヘビー化する必要性と理由は何なんでしょうかねェ~。

    1800t級潜水艦をいきなり倍の排水量にしたりする無謀な感性のお笑い軍隊ですから、今回も後先考えずその勢いで行っちゃえ!! て同じノリなのかな。(冷笑)

    • >何が言いたいかというとCIWSに求められる役割とデメリットがあるのですが、
      >攻撃対象を最終破壊し直撃を防ぐのですからファランクスの20mmバルカン砲で十分じゃ
      >ないって事。

      30mm級を採用するのは射程と高威力ですね。射程が長いと対応できる時間が長い=防御できる時間が長いと言うことで。

      >それを装甲車両を直接破壊する目的の30mmのガトリング砲(タンクキラー)で、
      >ヘビー化する必要性と理由は何なんでしょうかねェ~。

      ‎「30x173mm」という弾薬らしいのですが、NATO標準のようです。
      A-10攻撃機用に開発されたわけではなく、(あの)エリコンが空対空用として開発したようです。A-10の弾薬とは別だと思います。

      • ざっくりですが、対空射撃における有効射程は銃砲の口径に比例します。ですので、20mmだと2000m、30mmだと3000m位となります。
         対艦ミサイルをいかに無力化するかはCIWSによりますが、ファランクス、ゴールキーパーはウォーヘッドキル、弾頭を起爆させて誘爆させる方式を採っています。
         ファランクスで実際に対艦ミサイルを迎撃できるのか、エグゾセを相手に実験したことがあったそうですが、撃墜には成功したもののかなりの破片が到来しており、より大型高速のソ連の対艦ミサイル相手ではどうなるのか不安を抱かせる結果となりました。
         そこで、より遠距離で無力化するために射程を延伸する、で大口径化が指向されファランクスでも25mm、35mmにしたBlock2が構想されました。
         しかしながら大口径化すると即用弾数、携行弾数は減る、反動は大きくなり散布界も広がる、CIWSである以上見晴らしのいい艦の上部に据えたいが、大きく重くなると重心に与える影響も大きい、で結局頓挫。
         そうこうしているうちに発達型のシースパローESSMが実用化できたし、開発に苦労したRAMも実用段階になり、Block2では連続発射も可能になり、対空ミサイルによる対艦ミサイル迎撃のメドが立ったようで、アーレイバーク級のイージス艦では2基搭載していたCIWSを1基にした艦もあります。
         ただそれでも最終防衛を担うCIWSを軽視することはできないようで、ファランクスの改良は続いていますし、米国の新造空母でもRAMとファランクスは混載されています。

         で、韓国はあらたに30mmCIWSを作ってどうしたいかですね。米国が諦めてしまった点を克服したものを開発できればいい線行くかもしれませんよ。
         

  4. あるけむさん・暇人さん、CIWSについてのご考察と関連情報をレス頂きありがとうございます。
    大変勉強になりました。(微笑)

    敵ミサイルによる対艦防衛は戦闘艦はVLSから発射できるESSM(射程50km)が第一の矢→SeaRAM(射程20km)が第二の矢→そして最後の砦としてCIWS(射程2km)と三重が主流という事でしょうかね。
    戦闘艦ではない空母・揚陸艦・輸送艦ではVLSから発射されるESSMを搭載できないので、SeaRAMとCIWSの2重の守りで最悪状態での自己防衛機能があればいいと思っています。
    本来これらの艦を対艦ミサイルから守るのは、イージス艦を含む海自の汎用護衛艦などの役目ですから。

    それに、もし空母打撃群同士の本格的海戦となれば、艦隊の防空能力に加えて早期警戒管制機と迎撃戦闘機+哨戒機の能力差が大きくモノを言うはずです。
    ポイントは敵より1秒でも早く索敵し→そのデーターを瞬時に総合リンクさせる能力→その結果により最適・最高の防空迎撃をチョイスできるか...? に掛かっているのかもです。

    • マスメディア反乱軍様

      >敵ミサイルによる対艦防衛は戦闘艦はVLSから発射できるESSM(射程50km)が
      >第一の矢→SeaRAM(射程20km)が第二の矢→そして最後の砦としてCIWS
      >(射程2km)と三重が主流という事でしょうかね。

      個艦防空・僚艦防空は、そういう感じのようです。ただ、ESSMは(「発展型シースパロ-」と呼ばれるように)VLSではなく、シースパロ-用箱形ランチャーから発射するタイプもあります。
      艦隊防空だと、この外側に(イージス艦の)SM2・SM3・SM6が加わります。

      >戦闘艦ではない空母・揚陸艦・輸送艦

      についても、ESSM(orシースパロ-) → SeaRAM → CIWS の三段構えだと考えられます。
      たとえば、米海軍のニミッツ級空母は、シースパロ-用箱形ランチャーのみ→CIWSを増設→CIWSの一部をSeaRAMに置き換え、という兵装変更を行なっているとのことです。

      • あるけむさん、レスありがとうございます。

        >ESSMは(「発展型シースパロ-」と呼ばれるように)VLSではなく、シースパロ-用箱形ランチャーから発射するタイプもあります。

        そうですか、もしかしたら改造型いずもにも搭載されるかも知れませんね。

        >米海軍のニミッツ級空母は、シースパロ-用箱形ランチャーのみ→CIWSを増設→CIWSの一部をSeaRAMに置き換え、という兵装変更を行なっているとのことです。

        艦歴45年を超えるニミッツも4~5年延命措置を受けているようですが、アメリカ空母打撃群の運用ノウハウは奥深いもんと実感しますね。
        そう考えると運用が始まったばかりの支那の山東なんか、まだまだ産湯を使う赤子同然なのかも知れません。

        P.S.
        記事の主旨と外れますがアメリカ海兵隊が思い切った「Force Design 2030」を発表しました。
        戦車部隊廃止・戦闘機を削減し主力部隊に地対艦ミサイルを導入する意図の様です。(どこにそれを配置するのかがポイントでしょう)
        これはモロに沖縄・南西島嶼そして台湾防衛の対支那A2AD策・支那艦隊用と思われるのですが、実現は10年後ってのが僕は気になります。

        当面は米中貿易戦争でジワジワと支那共産党独裁を追い詰め、軍事・安保では日本・台湾を含むインド太平洋包囲網への布石となり、支那覇権の野望を挫く楔となればいいのですが。

        可能性は薄いですけど、内乱勃発による支那共産党の自壊が一番平和的な解決策かなァ~。