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【本当にあった怖い原発】建設中UAE原発でヒビが?

輸出建造物
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さて、日本人としては他国の原発の話をしている場合でも無いのだが、忘れずに記録しておいた方が良いニュースなので、少し掘り起こしをやっておきたい。

韓国のヤバイ建物シリーズである。

韓国が建設したUAE原発に“亀裂”可能性…UAE側“調査中”

登録:2018-12-16 22:48 修正:2018-12-17 11:16

 アラブ首長国連邦(UAE)で韓国が建設中のパラカ原子力発電所3号機格納建物に“亀裂”がある可能性が提起された。コンクリート壁内に注入した潤滑油のグリスが、壁の外側にできた空隙から漏れ出ているのが発見された。不良施工問題で、工事期間の遅延と建設費用の増加が予想される。

ハンギョレより

平成30年(2018年)のニュースなのだが、その舞台はUAEである。

UAEで原発を受注した韓国

原発先進国を差し置いて受注を勝ち取った裏事情

以前運営していたブログでは散々取り上げたネタだが、簡単に整理しておきたい。

韓国の前大統領のクネクネこと朴槿恵氏が、UAEに売りつけた原発(正確には、その前の李明博ことアキヒロ氏のセールス)は、どうにも色々と不味い話が転がっていて、下手すれば韓国の命運を左右しかねない状況なのである。

2009年に、韓国企業体がUAEのバラカ原発を受注

韓国がUAEの原発を受注したのが2009年のことになる。

UAE原発建設、韓国企業連合が受注

2009年12月28日 / 08:40

アラブ首長国連邦(UAE)の原子力発電所建設をめぐる受注競争で、韓国企業連合が契約を獲得した。原子炉4機の建設・運営を請け負う。

総額400億ドル規模の大型事業で、2017年にアラブ湾岸地域初となる1号機の稼動を計画している。

 韓国電力公社(KEPCO)・現代建設・サムスンC&T・斗山重工業などの韓国企業連合は、2020年までに1400メガワットの原子炉4機の完成を目指す。

ロイターより

この時代の韓国の大統領と言えば、「経済大統領」の売り込みで色々なプロジェクトを乱発しちゃった主犯のアキヒロ氏である。

この時、かなりホルホルしていた理由は簡単で、韓国が競合他社である日本とアメリカの企業連合体とフランス企業連合を押さえての受注だったからだ。

落札にあたっては格安の工事費や裏合意があったのではないかと、当時から噂されていた。

 韓国企業連合は、フランス電力公社(EDF)などのフランス企業連合や、米ゼネラル・エレクトリック(GE)率いる企業連合を抑え、受注を獲得した。業界筋によると、韓国企業連合が提示した200億ドルの原子力発電所の設計・建設契約は、フランス企業連合が示した額を160億ドル下回るものだったという。韓国企業連合はさらに、原子炉の共同運営で200億ドルの利益を得る見通し。

ロイターより

多分、フランスもこの事業にはかなり力を入れていて、格安で価格提示していた可能性が高い。それの約半額で受注したというから、いやはや。

なお、この時点で200億ドルで原子力発電所の設計・建設契約とあるが、後に186億ドルだったことが判明している。フランス企業連合は360億ドルでの価格提示をしていたのだから本格的に半額で提示したことになる。

韓国が力を入れた原子力発電技術の獲得

韓国は、原子力発電所の開発に心血を注いでいる時代があった。

始まりはカナダ型の原発

韓国標準型原子炉(KSNP)というものを造り上げたのが1991年のことで、これを韓国は「国産技術ニダ」と胸を張っているのだが、それはちょっと事実誤認だ。

韓国は国策として原子炉を欲しがった時期があって、まず最初に目を付けたのがカナダのCANDU炉である。

  • 月城1号機:運転開始1983年4月22日 67万8000kW:CANDU炉
  • 月城2号機:運転開始1997年7月1日 70万kW :CANDU炉
  • 月城3号機:運転開始1998年7月1日 70万kW :CANDU炉
  • 月城4号機:運転開始1999年10月1日 70万kW :CANDU炉

しかし、このCANDU炉は重水を使うために運用コストが高いことと、トリチウムが大量に出来てしまうので(海に垂れ流しているが)都合が悪かったらしい。

カナダでも韓国でもこのCANDU炉は動いてはいるが、その他にこの方式を採用したのは支那だけで、3カ国の実績があると言えばあるが、それ以降作られることは無いようだ。

アメリカからも技術を貰う

そこで、米コンバッション・エンジニアリング社(C-E社:ウェスチングハウス社が後に買収)の設計したSYSTEM80の技術を手に入れる。

経営が苦しかったC-E社はSystem80の技術を韓国に売り渡したようで、韓国の技術者はこれをベースにOPR1000という原子炉を設計する。

  • 霊光3号機:運転開始1995年3月31日 98.8万:System80
  • 霊光4号機:運転開始1996年1月1日 99.4万:System80
  • 霊光5号機:運転開始2002年5月21日 99.6万:KSNP(OPR-1000)
  • 霊光6号機:運転開始2002年12月24日 99.7万:KSNP(OPR-1000)

霊光原子力発電所で、まさに技術検証を含めて原子力発電所を建てているのが分かる。

ところで、C-E社の方はと言うと、System80の問題点を把握していたらしく、これをベースに新たなSystem80+という型の原子炉を設計した。

韓国はこの技術も手に入れたらしく、SYSTEM80+をベースにAPR-1400という型の原子炉を手に入れている。こうした技術の入手のからくりは、C-E社の業績低迷と、韓国と1983年から1991年にかけてABB社との技術提携を行っていた事に関係していると推測できる。

アメリカ側の事情

アメリカが何故そんなに安易に原子炉技術を韓国に売り渡してしまったのか?というと、これはアメリカ側の事情にある。

原子力業界が、1979年3月28日に発生したスリーマイル島事件から一転して原子力を忌避する方向に転換してしまう。

この背景には事故12日前に公開された「チャイナ・シンドローム」という社会風刺映画(ただし、技術的観点から言えばお笑い映画)のヒットがあったようであるが。

実際に、アメリカ国内ではスリーマイル島事件以降に原子炉を建てられずにいる。原子炉は実証してナンボなので、実際に原発を建てられる韓国で作ってみたかった、という気持ちは、C-E社にはあったと思う。

盗んだバイクで走り出す~♪

そんな訳で、韓国はAPR-1400という第三世代+のカテゴリーに属する原子炉の設計図を手にし、2008年頃には「原発ギジュチュは韓国起源ニダ!」と、世界に売り出すことに決めた模様。

そして実際に、2009年にUAEでの原発事業を落札することに成功する。

韓国内では建てられないAPR-1400

ただ、恐るべき話なのだが、このAPR-1400は、事業落札時点では、韓国国内でも実績が1基もないような状態だった。

  • 新古里3号機:運転開始2016年1月 1340万kW :加圧水型PWR(APR-1400)
  • 新古里4号機:建設中(2017年に建設中断も、建設再開して2019年2月になんとか運転許可を勝ち取る)
  • 新古里5号機:計画中(2017年に計画中断し白紙化)
  • 新古里6号機:計画中(2017年に計画中断し白紙化)
  • 新蔚珍1号機:建設中2018年12月予定(2017年に建設中断)
  • 新蔚珍2号機:建設中2019年10月予定(2017年に建設中断)
  • 新蔚珍3号機:建設予定2020年6月予定(2017年に計画中断し白紙化)
  • 新蔚珍4号機:建設予定2021年6月予定(2017年に計画中断し白紙化)

この通りだけれども、令和元年の現在において、韓国国内で動いているAPR-1400の1号機は1基のみ!発電開始は2016年1月になってからであるので、2009年に受注した段階では影もカタチも無かったと思われる。

新古里3号機も深刻な事情を抱える

ちなみに、この新古里3号機の建設現場では、ガス漏れ事故により現場の安全管理者3名が死亡する事件が起きている。

3人死亡の新古里原発ガスバルブ室、ガス警報機もなかった=韓国

2014年12月29日09時36分

  26日にガス漏れで3人が死亡した新古里原発3号機工事現場のバルブ室に、ガス漏れ警報機が設置されていなかったことが確認された。漏出に対応した換気システムも作動しなかった。

  蔚山蔚州警察署は28日、「死者は窒素で満たされ酸素が不足した地下ガスバルブ室で窒息死したことが、国立科学捜査研究院の1次調査の結果で判明した」と明らかにした。また「ガス漏れが発生したが、警報機がなく、韓国水力原子力と施工会社H建設は漏出を知ることができなかった」と伝えた。

中央日報より

この事件事態は原子炉の性能と直接は関係無いのだが、最新の原発で安全管理がしっかりなされていないというのは少々気になる話だな。

これと前後して電源ケーブルの品質保証に問題が発覚した。これがまた大問題になるんだけどね。

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