スポンサーリンク

韓国の6億円の魚と失敗した4大河川事業

公共事業
この記事は約11分で読めます。

引っ越し前のサイトで人気があったシリーズ 「ヤバイ韓国建築物」第五弾である。

これまで紹介した「ヤバイ韓国建物」シリーズは、建てたら崩れたというパターンだったのだけれども、今回は少々毛色が違う。

アキヒロこと、李明博氏が韓国大統領だった時代に行ったニューディール政策にまつわる話で、韓国版ニューディール政策の失敗談と言えるかも知れない。あ、本家のニューディール政策も賛否両論の政策だったね。

最悪の愚策、4大河川整備事業

失敗した政策

「4大河川整備事業(2008年~2012年)」というのは、前の韓国大統領李明博氏が巨額の予算を投じて推進した事業である。

日本でも古来から治水は政治を行う上でも非常に重視されてきた分野ではある。だから、政治家が治水に口を出す事自体は問題があるどころか、寧ろ是非やるべき話だ。

ただまあ、これに関しては計画からして壮大で杜撰だったために、結果はかなり残念な感じである。

韓日環境運動家「4大河川の水質悪化」 工事中止訴える

2014/09/24 17:38

【ソウル聯合ニュース】CBD(生物多様性条約)韓国市民ネットワーク、韓国湿地NGO(非政府組織)ネットワーク、ラムサール・ネットワーク日本などでつくる「4大河川韓日市民調査団」は24日、ソウルで記者会見し、21~23日に現場調査を実施した結果、韓国の4大河川整備事業により川の水質が次第に悪化していることが分かったと発表した。

聯合ニュースより

これって、未だ工事してたのか。

この計画、何が凄いって、この前身の計画が「朝鮮半島大運河計画」と呼ばれる、最終的に韓国と北朝鮮とを貫く17本の運河を作る計画が元になっていたと言うことだ。

流石に、「朝鮮半島大運河計画」は反対にあって頓挫したのだが、その代わりに出てきたのが4大河川事業と呼ばれる、漢江、洛東江、錦江、栄山江の4大河川を浚渫(しゅんせつ:河川の底面をさらって土砂を取り除く土木工事のこと。治水を目的として行われる事が多い)して、環境に配慮した堰を多数建設し、河川の貯水量増大と生態系復元を図るほか、老朽堤防の補修、ダム建設、河川沿いの自転車道整備などの付随事業も行い、観光や文化の振興も行う壮大な計画だった。

で、その結果どうなったか?

四大河川整備の結果[朝鮮日報より:リンク切れ]

こうなった。

これが何かというと、2013年に紹介された記事に紹介されていた写真なのだけれど、当該河川の水質が著しく悪化したという話。緑色にも程があるだろう。

監査院、李政権の目玉事業酷評=「四大河川整備」-韓国

2013/01/17-22:14

韓国の行政チェック機関である監査院は17日、李明博政権が目玉としていた大規模公共事業「四大河川整備事業」について、「水質管理に問題が多い」などと酷評する監査結果をまとめた。聯合ニュースが報じた。

監査結果によると、16カ所あるせきのうち15カ所は土台部分が流出または沈下。11カ所は補修工事もずさんで、6カ所で被害が出た。

「時事通信」より:リンク切れ

哀れなものだが、仕方が無い。

スポンサーリンク

失敗の事例

で、何にそんなに失敗したのか、というと、こんな感じ。

四大河川に設けられた「せき」と呼ばれる構造物の状態だ。河口堰といえば、日本でもおなじみの構造物で、河川などに設けられて水量の調節を行う設備である。

どうしてこんなことになってしまったのか。

計画は朝鮮半島大運河計画から

比較的経済に明るいという触れ込みで当選したアキヒロなのだが、選挙戦では「朝鮮半島大運河計画」などと言うものをぶち上げていた。これ、 「韓国と北朝鮮を結び、船で行き来できるようにする」という大雑把な話。

大雑把だね……。

最終的には、韓国と北朝鮮を貫く17本、全長3100キロの運河を造る計画だというから、凄いというしかない。これを選挙公約として掲げていたというのだから、韓国というのは実に凄い国である。

が、財政に対する対費用効果に疑問があるという点が指摘されて、頓挫した。15兆-16兆ウォン(約1兆7560億-1兆8730億円) で出来ると豪語していたらしいのだけれど、僕としては「足りないんじゃ無いの」と素直に感じる。

ちょっと話は脱線するが、愛知県にある「佐布里池そうりいけ」という灌漑かんがい施設がある。これ、池の水全部抜くという番組でも取り上げられていたのだけれど、昭和38年(1963年)事業着手で、世界銀行から約24億円を調達して作ったもの。

中部地区の水がめとして使われる池で、堤長さ160m、満水面積61.2ヘクタール の水をたたえる巨大施設である。この水を使って様々な工業が発展したという経緯がある。

中部の話だと木曽三川の話やら色々とある、だから寧ろマイナーな部類の 佐布里池 を取り上げたのは間違いかも知れないが、建設費用が分かり易かったので。で、昭和40年頃の24億円が今の価格にすると概ね20倍、つまり480億円に上る訳だ。朝鮮半島大運河計画の費用の1/4程度もかかっていた事になる。

佐布里池は巨大な池ではあるが、朝鮮半島大運河計画と比べれば小さな話。だって、半島を全長3100キロの運河をつくる計画と比べればねぇ。

<Joins風向計>「次期政府の韓半島大運河建設に賛成」42.3%

2007年12月24日17時12分

 野党ハンナラ党は、次期大統領に決まった李明博(イ・ミョンバク)氏の主要公約の1つ、「韓半島大運河の建設」に向け、来年の第18代国会で関連特別法の制定を進める方針を決めた。

 ジョインス風向計が、20日「次期政権の韓半島大運河建設」について調べたところ、「賛成」という回答が42.3%で、「反対」という回答(38%)より若干多かった。 

中央日報より

まあ、費用はさておき、賛成多数でありながら、頓挫。2008年6月にアキヒロくんが方針撤回を表明した。

で、どうなったかというと、2008年12月に四大河川整備計画の着工である。1年足らずで計画立案着工まで行ったというから、驚くより他ない。

で、この4つの川を浚渫して、環境に配慮した堰を多数建設し、河川の貯水量増大と生態系復元を図るほか、老朽堤防の補修、ダム建設、河川沿いの自転車道整備などの付随事業も行い、観光や文化の振興も行う計画だった。

で、上に紹介したような惨状を招くことになる。

そりゃ、大規模工事が行われることが目的であって、工事の成果どうなるかをしっかりと調査しなかったものだから、失敗しても仕方がない訳なんだけれども、それにしたって酷い。

クネクネは無視をする

当然ながら、クネクネこと朴槿恵氏が大統領になってから、この事業計画は失敗したと。韓国恒例の前政権叩きが始まる。大失敗だったのに、誰も責任をとらないのだ。……いや、アキヒロくんは有罪になっちゃったけどね。

で、クネクネが批判するまでもなく酷い工事だったことは、結果からしても明らかである。

で、驚きなのはそんな酷い状況だったにもかかわらず、工事が中止されていないって事だ。

調査団は、4大河川整備事業のため飲料水源には毒性の藻が大量に発生しており、水質は悪化したとし、「生物多様性の宝庫である湿地が失われ、絶滅危惧種の個体数が急減している」と指摘した。 また、日本の専門家らは、過去に日本政府が大々的に実施した河川整備事業の失敗例を挙げ、4大河川事業も同じ轍(てつ)を踏んでいると口をそろえた。 その上で、両国の専門家らは、河川を復元するには工事を中止し、4大河川の堰(せき)の水門を開放すべきだと訴えた。

「時事通信」より:リンク切れ

いや、失敗したんならば工事は中止しようぜ。

(注):別の記事で紹介する予定としているが、本件は失敗だったと断するのは不適当だったようだ。この記事を書いた時点では随分とダメな感じに報じられていたんだが。

スポンサーリンク

6億円の魚

で、冒頭の「6億円の魚」って何なのさ、というとこちらの記事だ。

57億ウォンかけたが…川にも近づけない韓国の魚ロボット(1)

2014年07月31日10時20分  

2009年11月27日、李明博前大統領が全国で生中継されるテレビ画面に現れた。「大統領との対話」というテーマで、当時論争を招いた世宗市や4大河川事業問題などの懸案について、130分間にわたり自由に話す形式だった。   当時、李前大統領は野党の反対が激しかった4大河川事業の話を取り出しながら、「あまりにも反対が多いので長く説明する」と述べ、ハハハと笑った。当時、視聴者の視線を引きつけたのが、4大河川の水質を監視するロボット魚の登場だった。

中央日報より

どんな魚なのよ。

……文鎮?

実は、4大河川事業の目玉として、ロボット魚を開発して水質を監視しようという話があったのである。

監視するまでも無く、あんなグリーンティ状態なのは一目瞭然だよ。目視でも分かるわ!

緑の水

こんな状態なのに、小学生の自由研究で作ったオモチャみたいな魚で調査しなければ分からないとは片腹痛い。

おそらくは、こんな風になる前に監視をしたいという意図だったのだろうけれど、皮肉なものである。

監査院はこの日、「魚ロボットなど産業技術分野R&D管理実態」監査の結果を発表した。国会が昨年11月28日、魚ロボットに対する監査を要求すると、産業技術研究会や韓国生産技術研究院など4つの研究機関を1月20日から3月7日まで監査し、国会に最終結果を報告した。   57億ウォン(約5億7000万円)を予算で支援され、2010年6月から2013年6月まで魚ロボットが開発されたが、結果は完全な失敗だった。9つの試作品のうち7つは監査院が監査をする前にすでに故障していた。残り2つのうち1つも監査院が今年3月、実際にテストをしている途中に故障し、監査が終わるまで直らなかった。結局、1つで性能検査をしたが、当初の目標とはかけ離れた結果が出た。

中央日報より

試作品はことごとく失敗。

……一つ疑問なんだが、どうして魚の形である必要があるのか?別に、船の形で良いじゃ無いか。或いはラジコン潜水艇ではダメなのか?

韓国の技術がカタチから入るという悪い見本だな。

  事業計画書の目標によると、魚ロボットが水中で泳ぐ速度は秒速2.5メートルだった。しかし監査院の実験では秒速0.23メートルにしかならなかった。速度は10分の1ほどだ。

中央日報より

0.23m/sって、828m/hだよね。歩くスピードより遅いじゃ無いか!

水中での通信距離目標は500メートルだった。その程度になってこそロボットに搭載されたセンサーが統制室に伝えられ、実質的な水質監視が可能だ。しかし実験では50メートルにすぎなかった。4大河川の川幅は50メートルを超えるところが多いが、実際、川岸でも通信するのが難しいレベルということだ。 通信速度も目標は4800bpsだったが、実際は200bpsだった。

中央日報より

通信もロクにできないレベルっぽい。

いつも通りの展開に

そして、不正も発覚。

研究の成果ではないが成果として包装したり、研究費8915万ウォンを用途外に使った不正行為も摘発された。

中央日報より

色々と突っ込みたいことは満載だが、気になるのは、このロボット魚のプロジェクトが中止になったという話を聞かないことだ。いや、記事によれは2013年に開発は終わっている事になっているので、無事に終了したって事だろうか?

韓国4大河川の「魚ロボット」総括研究員、捜査受ける

2014年10月02日10時22分

  水原(スウォン)地検安山支庁は、4大河川水質管理用魚ロボットの研究課題を総括した韓国生産技術研究院首席研究員のA(53)を捜査中だと1日、明らかにした。   Aは魚ロボットメーカー2社から試作品を受け取ったように書類を改ざんし、2社に研究開発費8900万ウォン余りを不当支給した容疑が持たれている。

中央日報より

まあ、研究員が捜査対象になっている状況なので、研究が続いていたにしても、早晩中止になるのかも知れないが。

失敗は失敗と潔く認めような!

ロボット魚に57億ウォン、4大河川事業に22兆ウォン。どちらも失敗か。この4大河川整備事業は、「4大河川整備事業調査・評価委員会」が2014年3月から現場調査をしていて、年末に調査結果が発表される運びになっている。
 
そう言えば、タイの治水事業の話もあったな。

スポンサーリンク

タイにも4大河川事業を輸出する?

外国への輸出事例

韓国水資源公社、タイ住民と衝突・土地補償遅延すれば“赤字泥沼”憂慮

登録 : 2013.10.02 18:21修正 : 2013.10.03 07:58

韓国水資源公社(K-ウォーター・水公)が「タイ版4大河川事業」と呼ばれるタイ政府の水管理事業で土地補償に責任を持つなどの契約条件で参加することは、経済性と倫理性の側面で深刻な問題がある。 水管理事業に対する現地住民の反発の強さに照らしてみる時、深刻な物理的衝突の危険性を排除することはできない。 国際的外交問題に飛び火する素地があるわけだ。

ハンギョレより

何しろ、国内の事業が成功していないのに、タイで似たような失敗を繰り返そうとしているのである。

まあ、タイのインラック政権が事実上崩壊し、タイの河川事業も先行きが分からなくなったのが現状なので、当面は問題無いだろう。

タイといえば、大洪水の被害で大変なことになったので、治水事業は必須ではあるのだが、韓国に任せるのは愚かな選択だ。

「4大河川事業で借金まみれ」韓国水資源公社、国外事業でも数百億ウォンの損失

登録:2016-09-29 23:37 修正:2016-09-30 07:06

「4大河川事業」で積み重なった負債のために経営に困難を抱えている韓国水資源公社は、不良財政を埋めるために国外事業を拡大しているが、不公正な契約など各所で問題が発生し、逆に数百億ウォンの損失を被ったことが分かった。

ハンギョレより

まあ、こうなる訳だ。

ヒドイ話もあったものだが、これでタイの治水が行われれば、未だマシなのだけれど、そうでも無かったようだ。

タイ、大洪水の悪夢再びか ダムの水位急上昇、貯水率100%超えも間近

2018.9.24 06:16

日系企業が数多く進出するタイで、2011年以来となる大洪水への不安が高まっている。8月以降、治水用の4大ダムの水位が急上昇し、危険水域や警戒水域を超えているためだ。デジタル経済社会省気象局によると、今後も雨量は増え、雨期が明ける10月ごろまでの総降水量は例年より10%以上多くなる見通し。全国に55ある工業団地を所管するタイ工業団地公社(IEAT)も、洪水への備えを万全とするとともに、入居する日系企業などにも注意を呼びかけている。

SnkeiBizより

これ、流石に2011年にあった大洪水のような形にならなかった様なのだけれども、韓国なんかに治水や利水を任せても、何も解決しないぜ?

コメント