韓国、合同火力艦の建造を推進する

海軍

これ、記事にしていなかったのだけれど、「そう言えば本気なんだ」と感心したニュースでもある。

米軍もあきらめた兵器システムを韓国軍が導入?慎重さ求める声も=ネットでも賛否

配信日時:2020年9月30日(水) 11時0分

2020年9月29日、韓国・ニュース1は「韓国国防部が導入する合同火力艦は過去に米海軍が導入をあきらめた兵器システムだった」と報じた。

記事によると、韓国に新たに導入される合同火力艦は5000トン級で、対艦誘導弾80発以上、近接防御兵器システム、軽魚雷などの武装が搭載される。2020年代後半までに3隻を建造して戦力化する計画だという。

しかし記事は、合同火力艦について「敵の攻撃に弱く多目的能力に欠けるとの欠点がある」と指摘している。米海軍が1990年代に「アーセナル・シップ」との名前で導入を推進していたが、米議会はそれを理由に計画を中止にしたという。

「レコードチャイナ」より

何の事かというと、「合同火力艦」である。英語だとアーセナル・シップと呼ばれる艦だ。

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国防中期計画に盛り込まれる

2020~2024年国防中期計画

さて、合同火力艦がどのような艦か?なのだが、コンセプトは「戦闘艦の一種として外洋航行能力を備えた比較的大型の船体に、主に対地攻撃用の大量のミサイルをVLS内に搭載するが、戦闘用レーダーを搭載せず、自衛用兵器も最小限度に留めている」とある。

要は海の上に浮かぶ武器庫の様な船だ。

なお、冒頭に記載された記事のように、アメリカもコンセプトを作ってある程度の詳細設計までやったらしいのだが、結局、議会で予算が付けられずに計画だけに終わってしまった。

ところが、同じコンセプトの合同火力艦は韓国の国防中期計画に盛り込まれることになった。3隻つくっちゃおうという事らしい。

スゴいな

5000t級の艦

で、韓国軍が予定しているのは5000t級の合同火力艦らしい。

国会国防委員会所属加え、民主党パク・ソンジュン議員が国防部から受け取った資料によると、新たに導入される合同火力とは5000t級重量にする対地誘導弾80発以上、近接防御武器システムや軽魚雷など武装が搭載される予定である。

2020年代後半までに3隻を建造して戦力化する計画だ。

「ニュース1」より

なるほど、何というか海上に固定した砲台という感じかな。

韓国のイージス艦が、固定砲台コンセプトなのだが、ソレに弾薬追加というようなイメージなのかも知れない。

合同火力艦とは、艦対地ミサイルを大量に搭載して地上攻撃任務を主に実行する「フローティングミサイル基地」と呼ばれる。開戦後敵のミサイル攻撃から地上の味方主要軍事施設が被害を被ることに備えて、海上で反撃を準備することが目的である。

合同火力艦は、ほとんどのスペースにミサイルを搭載するために使用するため、各種の防衛と検出能力が他の艦艇に比べて脆弱である。また、艦対地誘導弾を80発以上搭載して運用されるため、合同火力艦が撃破されたり無力化(無力化)されると、その前段の火力投射量が半分以下に急減してリスクが大きい。

「ニュース1」より

つまり、合同火力艦はミサイル満載で海に出て、センサーは他の艦に任せて攻撃するという事らしいのだけれど、防御力がションボリなので、狙われると呆気なく撃沈してしまう可能性があり、そうなると戦力が激減してしまうと言う弱点もある。

まあ、良い的になるよという話なんだな。

この手の話はK-11複合型小銃で懲りたのかと思ったら、そんなことは無かった。いや、外国のコンセプトをパクってしまうことは百歩譲って仕方ないとしても、中止になった理由も一緒に学ぼうぜ。

このまま建造が始まる?

この話は2019年に発表されて、批判もされている。

北朝鮮ミサイルの迎撃能力向上へ 国防中期計画=韓国軍

2019.08.14 14:56

韓国軍当局は北朝鮮の弾道ミサイル脅威に備えるため、来年から5年間かけて韓国型ミサイル防衛(KAMD)システムの防衛地域を広げ、ミサイル迎撃能力を一段と引き上げる。また、垂直離着陸が可能なステルス戦闘機F35Bを搭載できる多目的大型輸送艦(3万トン軽空母級)の概念設計に来年着手する。

~~略~~

有事の際に敵地の陸上のターゲットを攻撃するための「合同火力艦」も韓国国内で建造する。この艦艇には艦対地ミサイルなどの精密誘導兵器を搭載し、合同火力作戦を支援する。イージス駆逐艦に搭載する艦対空ミサイルSM3も導入する。

「聯合ニュース」より

実は、2019年に国防中期計画が出た際には、ニュースにもなっていたのだ。ただ、数行割いて説明はされたが、殆ど注目はされていなかった気がする。

このブログでも喜んで取り上げそうなネタだったが、スルーしてしまった。まあ、そのお陰で反省してここで取り上げたんだけどさ。

ともあれ、共同交戦能力(CEC)が近代兵器の発達の下で高まってきたことから、アメリカで発表されたコンセプトなんだけどさ、実のところCEC能力って韓国の艦船では結構軽視されている分野なんだよね。韓国独自の企画で韓国型戦術データリンク(TDL-K)と呼ばれる計画があったようで、韓国海軍はリンク11を採用する計画だったようだ。

ところが、韓国型で統一されると思いきや、TDL-Kが各艦搭載の戦術情報処理装置と繋ぐことになり、戦術情報処理装置の方が割りと多国籍な感じになってしまっている。これで連携がしっかりとやれるのか?という点は非常に疑問なのだが、まあ、できるんだろう。

ただ、リンク16に対応しているのは世宗大王級のみらしいので、果たしてスムーズな情報伝達ができるのかは疑問だ(リンク11はリンク16とは通信方式が事なり、伝達速度が遅い他、衛星中継通信にも対応していない)。

通信速度が遅いとデータ共有がスムーズにできない。あ、そういえば韓国軍は衛星中継通信もちょっと怪しかった気がする。

そして、アメリカの計画したアーセナル・シップは実は2万t級で速力は22ktとそこそこの船速を持っていたわけだが、それでもタイコンデロガ級やアーレイ・バーク級のイージス艦の最大船速30kt以上と足を引っ張る可能性がある。空母も30kt以上の速度を出すので、足手まといになるようでは困るだろう。

じゃあ、韓国が計画している艦はというと5000t級と比較的小さく、搭載可能なミサイルもそこまで多くはできない。ついでに韓国が保有する他の艦を見ても船速はあまり期待できない。うーん、良い的になるだけのような気がするぞ。

まあ、この話はまだ計画だけなんだけど、余り良い結果にはならない気がして仕方が無い。まあ、頑張ってやらかしてくれ!

そうそう、何故こんな記事を書いたか?というと、日本が計画していた地上配備型のイージス計画が暗礁に乗り上げていて、その対案として出された中にアーセナル・シップ構想に近い案が出ていたからなんだ。どうやら結局、イージス艦を作る方向に流れそうなんだけど。そんな話を聞いていただけに、このネタを見かけて、記事にしておきたいと考えた次第。

具体的な事は、多分これからなんだろう。韓国の方の話もね。

コメント

  1. 木霊様、皆さま、今晩は

    なんか昔の大艦巨砲主義みたいですね。空母も「浮かぶ基地」なんで、似たようなものかな。なので「打撃群」が必用なんですよね。
    私、軍事はトーシローなんですが、武器は分散配置した方がいいように思えます。コンピュータシステムも「分散」ですしね。1ヵ所がやられても全体としては機能を維持できる(しやすい)。今になって武器を集中配置するのはどうかと思いますが、どうなんでしょうね。
    問題は連携、通信ですよね。

    • いやーでも、構想図のスケッチなどを見ると、「絶対作って欲しい」と思わせる秀逸な(棒)デザインです。
      是非ともこの計画を推進して欲しいですね。

      連携、通信は後付けでも何とかなりますから!(笑)

  2. 木霊さん、おはようございます。

    アーセナル・シップの弱点は船速が遅く空母打撃群随伴には向かない事、脆弱な防御手段しか持たず格好の標的になる為、護衛する戦闘艦・戦闘機が必要で無駄が生じる事でしょうね。
    ただ、沖縄基地・グアム基地沿海に展開させる限定的な使い方なら、対テロ対策万全を前提にBMD&敵地攻撃用には有効な気もします。

    >で、韓国軍が予定しているのは5000t級の合同火力艦らしい。

    VLSが80セル程度ならまや型イージス艦の96セル以下なんで、単純にイージス艦を増やした方がいいような。
    でも、一番肝となるデーターリンク・衛星通信システムの仲間に入れてもらえるかが問題で、レッドチーム入り間近の南朝鮮はオミットされる可能性があるのでしょうかね。

    >イージス駆逐艦に搭載する艦対空ミサイルSM3も導入する。

    世宗大王級は未だにSM-2のはずなんですが、最新型SM-3ブロックⅡBの開発には日本も噛んでいるので、南朝鮮にだけは易々と売らないで欲しいもんです。

    >何故こんな記事を書いたか?というと、日本が計画していた地上配備型のイージス計画が暗礁に乗り上げていて、その対案として出された中にアーセナル・シップ構想に近い案が出ていたからなんだ。

    アメリカも懸念を示している様で迷走しつつありますねェ~、困ったもんです。
    イージスアショアをあっさりと陸自配備を諦め空自基地(西は芦屋か下甑島・東は佐渡)配備で練り直しできないのか? 運用する隊員は陸自から空自に配置換えとか臨機応変に対応して欲しいですね。 
    何しろ隊員不足は深刻な問題ですから、陸空海自の垣根を突破する柔軟な考えがあっていいと思っています。

    • 日本の話だけに言及しますが、アーセナルシップ構想はアリだと思うのですよ。
      前に出す前提だとちょっと使えないのですが、港周辺で使う「移動要塞的」な使い方であれば、強ち間違いじゃないのかと。
      港に停泊させて陸自の隊員が勤務するなんて形でも良いような。
      非常時には移動させるとか。

      ……いや、運用は色々難しそうですが、狙われにくい湾内の運用はアリだと思うんですけどねー。