韓国軍初の通信衛星アナシス2号打ち上げ延期……あれ?1号は?

お笑い韓国軍

「韓国軍初」というところが何とも誇らしげだが、何故2号なのか。1号さんはどこへ行ってしまったのか。

韓国軍初の専用通信衛星 打ち上げが延期に

2020.07.14 10:30

韓国軍専用の初の通信衛星「アナシス2号」の打ち上げが延期された。米フロリダ州のケネディ宇宙センターから14日午後(日本時間15日午前)に宇宙開発ベンチャー・米スペースXのロケット「ファルコン9」に搭載して打ち上げる予定だったが、同社が13日、ロケットの詳細な点検を実施してからだとして延期を発表した。

「聯合ニュース」より

ロケットの打ち上げ延期という話は珍しくも無いし、これが韓国側の責任というワケでも無いのだが、ただただ「残念だったな」と。

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通信衛星は何に使うのか

日本も保有している通信衛星

韓国軍が装備品を採用する動機の1つに、「日本も持っているニダ」がある。

自衛隊も当然ながら防衛通信衛星を保有しているのだが、この辺りはあまり知られている話では無いのかも知れない。僕自身も調べるまでは知らなかったし、ニュースになっていた記憶もない。

Xバンド防衛通信衛星「きらめき1号」の打上げ結果について

平成30年4月6日 防衛省

 Xバンド防衛通信衛星「きらめき1号」については、本日、6時34分(日本時間)に仏領ギアナから打上げられ、ロケットから正常に分離したことが確認されました。

 今後、静止軌道上での性能確認試験を経て、本年7月を目途に運用を開始する予定です。

「防衛省のサイト」より

日本が始めて自衛隊専用の通信衛星を獲得したのは、実は比較的最近なのだ。以前は商用通信衛星スーパーバードB2号機、D号機を利用させて貰うことで通信を行っていたが、平成27年(2015年)に設計寿命に達する為に後継機が必要であった。そこで、平成28年(2016年)7月にきらめき1号機がアリアン5号によって打ち上げられる予定が立てられていた。

通信衛星打ち上げ計画自体は平成24年(2012年)頃からあったが、打ち上げ場所のギアナ宇宙センターへの輸送中に機体を損傷するなどの事故等もあって打ち上げは延期し、平成30年(2018年)4月に打ち上げられた。2号機のきらめき2号は平成29年1月24日にH2Aロケットによって打ち上げられているので、2号の方が先に打ち上げられる結果になってしまったんだよね。……韓国もそんなところまで真似しなくても良いのに。

え?違う?

なお、3号は令和4年(2022年)にH3ロケットによって打ち上げ予定である。

エアバスの宇宙ビジネス低迷

さて、自衛隊の話はここまでにして、少しフランスのエアバス社の話をしたい。

エアバス社といえば、フランスの航空機メーカーという印象だったのだが、正確には欧州企業ということになっている。もともとフランス企業アエロスパシアル社は航空産業を手掛けていたのだけれど、アメリカのボーイング社やロッキード・マーティン社に対抗する為に、東ドイツDASA社と手を組んで共同出資会社を作った。最終的にはイギリスのBAe社とスペインのCASA社も加わった4カ国体制となったのが今のエアバス社である。

で、エアバス社はジェット機だけ作っているのではなく、宇宙産業にも手を出しているのだが、経営は思わしくないようだ。

エアバスがドイツとスペインを中心に防衛・宇宙部門の人員削減

2020/2/24

2月19日、欧州の航空機メーカー・エアバスは、防衛・宇宙部門の人員削減について、欧州労使協議会と協議を開始したことを明らかにしました。

戦闘機からドローンや衛星までを幅広く手がける防衛・宇宙部門は、部門全体で34,000名のスタッフを雇用していて、2021年末までに7%に当たる2,300名以上のスタッフを削減する見込みとのことです。

「宙畑」より

そもそもエアバス本体もなかなか大変のようだ。

エアバスが人員削減か 新型コロナで業績悪化

2020年5月15日 05:34

欧州航空機大手エアバスが人員削減を検討していることが14日までに明らかになった。

「沖縄タイムス」より

こうした傾向は、世界中の航空産業で見られるので、エアバスだけがダメという話では無いのだけれど、厳しい状況は数年前からあったようで。そこに武漢肺炎が拍車をかけてしまったと言うことなんだろうね。

で、何故エアバスの話をしたかというと、こちらの写真。キャプションにこんな事が書かれていた。

sora

<欧州航空機大手エアバスの衛星をベースに製作されたアナシス2号>なんだそうな。エアバスの技術丸パクリかよ!よく見るとベースのところには思いっきりエアバスと書かれている。

うーん、エアバスが経営上の理由から技術を韓国に売りつけ、それをベースに通信衛星を作ったという可能性と、そもそも韓国が通信衛星を作ったというのはウソの可能性の両方が考えられるね!エアバスがセールスして、命名権だけ差し上げたというパターンはアリだ。

実際にエアバス・ヘリコプターズ社が似たような事をヘリコプター事業でやった結果がスリオンやマリンオンである。同じパターンである疑いは強いな。

アナシス2号には、敵の電波かく乱(ジャミング)に影響を受けず、音声、文字、映像などを暗号化して伝送する先端通信システムが装備されている。現在、民軍兼用衛星として活用中のムグンファ5号は、電波かく乱攻撃に脆弱で、有事に軍作戦が制約を受ける恐れがあると指摘されてきた。軍関係者は、「軍専用衛星は、戦時作戦統制権の返還のための核心戦力」とし、「アナシス2号が本格的に稼動すれば、韓国軍の単独作戦遂行能力が大いに向上するものと期待される」と話した。

「東亜日報”韓国軍初の専用通信衛星「アナシス2号」、14日に打ち上げ”」より

技術的には優れているんだとホルホルしていたのだけれど、欧州が技術を出したということは、それなりに枯れた技術だったと考えられる。

それでも、軍事作戦を単独で遂行するためには、この手の技術は盗んででも手に入れたいところ。そう言えば、F-35戦闘機の技術をパクったとかいう話もあったね。ある意味潔い割り切りっぷりだ。是非、他国の技術だけれど、自国に取り入れたということに胸を張って頂きたい。

そう言えば米国からの通信衛星提供の話はどうなったのか

ただ、頭の何処かに引っかかっていたのだが、F-35A戦闘機を購入決定するにあたって、NASAから通信衛星を貰うとかいう話も何処かにあった気がする。

韓国のF‐35A導入、米国からの通信衛星の無償提供はウソだった!=韓国ネット激怒

配信日時:2019年6月12日(水) 17時10分

2019年6月12日、韓国・KBSは、韓国軍がF‐35Aステルス戦闘機を購入する対価として米国から無償で提供されることになっていた軍専用通信衛星が「実は最低数千億ウォン(数百億円)の有償購入だった」と報じた。

「レコードチャイナ」より

このニュース、まず意味が分からないのは、アメリカからF-35Aを買うから、その対価としてアメリカから通信衛星が貰えるというロジックだ。

更に、数百億円で軍専用通信衛星が変えるのであれば、迷わず買えよ。

しかし、契約で昨年3月と決められていた衛星の引き渡しはいまだ行われていない。その理由について、記事は「実は購入する条件だった。防衛事業庁が14年の契約時に無償で提供されると虚偽の報告をしていた」と報じている。実際にロッキード・マーティン社は費用の支払いを求めて引き渡しを拒否しており、その費用は最低でも数千億ウォン台に上るとみられるという。これを受け、韓国監査院は虚偽報告などの責任を問い、防衛事業庁の幹部3人に懲戒処分を通告したが、防衛事業庁は再審を申請しているという。

「レコードチャイナ”韓国のF‐35A導入、米国からの通信衛星の無償提供はウソだった!=韓国ネット激怒”」より

買うだけのドルを持っていない等という噂もあるが、本当に売って貰えるのであれば売って貰うべきだった。

「韓国軍専用」の通信衛星 米国で11月に打ち上げ予定

2019年3月7日 10時28分

韓国防衛事業庁の関係者は7日、米防衛大手ロッキード・マーチンが戦闘機F35Aの購入契約時に韓国政府に提示していた軍通信衛星1基の提供約束を実行することになったと明らかにした。この衛星は11月に米国で打ち上げられる予定だ。

「LivedoorNEWS」より

折角そういう流れだったのに日和るから。

……ん?ここにアナシスの文字が。

同庁の関係者は「現在は軍と民間が兼用する通信衛星(ANASIS)を運用しているが、ロッキード・マーチンが提供する衛星が打ち上げられれば韓国軍専用として使うことになる」と説明している。

「LivedoorNEWS”「韓国軍専用」の通信衛星 米国で11月に打ち上げ予定”」より

通信衛星アナシスって……。

なんと、アナシス1号はアメリカから買う予定のシロモノだった疑惑が浮上した。これが転けたことは上で示したように2019年6月頃にはハッキリしたので、並行して進めていた2号機だけが打ち上げみたいな話になったのかな?

それでも韓国の場合は外国製の方が安心かも知れないね。どちらにしても、国産ロケットによる打ち上げは無理なんだから、オール外国製で行こうぜ!

追記

コメントで早速、僕の勝手な妄想に訂正を入れて貰って感謝。

Koreasat 5 (Mugungwha 5, ANASIS 1)

Koreasat 5 is South Korea’s first combined civil and military communications satellite. The military part of the satellite is known as ANASIS 1 (Army/Navy/Air Force Satellite Information System 1).

Alcatel Space supplied both the multimission satellite and its ground control system, along with launch and early operations phase (LEOP) support. Based on the new-generation Spacebus-4000C1 platform from Alcatel Space, Koreasat 5 features a state-of-the-art broadband payload, including new technologies developed within the scope of the Syracuse III program.

https://space.skyrocket.de/doc_sdat/koreasat-5.htm

確かに、アナシス1という名前が使われている。

コリアサット5号というのは、2006年に打ち上げられた韓国の軍民共用の通信衛星。アルカテル・アレーニア・スペースが設計・製造をしたシロモノで、運用寿命は15年という事になっている。……あ、来年くらいには寿命が来ちゃうのね。

謎なのは、コリアサット5号の後にコリアサット7号が2017年5月に打ち上げられているにも関わらず、ここでは相乗りを避けたので、民間の静止通信衛星という事になっていることだ。

「何か」があって途中で方針を変えちゃったんだね。そう言えば、日本の自衛隊専用の通信衛星が打ち上げられる決定があったのが、2012年頃だったわけで。え?関係ない?あ、ソウデスカ。

追記2

どうやらめでたく打ち上げ完了したようだ。

韓国軍初の通信衛星「アナシス2号」打ち上げ…世界10番目に軍事衛星確保

2020.07.21 07:40

韓国軍の初の専用通信衛星「アナシス(Anasis)2号」が米フロリダ州ケープ・カナベラル空軍基地から打ち上げられた。米国の民間宇宙探査企業スペースXは20日(現地時間)、アナシス2号が「ファルコン9」ロケットに搭載されて宇宙へ向かったと明らかにした。

「中央日報」より

まあ、延期されていたのだから打ち上げされるのは当然の流れだし、成功したということは喜ばしいのだが、この記事を追記に取り上げたのには理由がある。

アナシス2号は、韓国軍がF35Aステルス戦闘機を導入する代わりにロッキードマーチン社から反対給付を受けるという契約で、エアバス社が「ユーロスターED3000」衛星を基盤に製作した。エアバスも地上局との交信を通じてアナシス2号本体のシステムなど全般的な状態が良好かどうか点検する一方、目標軌道に無事に到着するかを確認する予定だ。

「中央日報”韓国軍初の通信衛星「アナシス2号」打ち上げ…世界10番目に軍事衛星確保”」より
  • 設計:エアバス社
  • 基本構造:ユーロスターED3000衛星がベース
  • 技術協力:ロッキード・マーティン社
  • 打ち上げ:スペースX社ファルコン9
  • 打ち上げ地:米フロリダ州ケープ・カナベラル空軍基地
  • 衛星の打ち上げ監視:フランスのツールーズ衛星管制センター(TSOC)

か、韓国要素はどこ?どこなの?

……まさか、マークだけ?

でもまあ、これで韓国軍が通信衛星を手に入れるということになるので、通信面で多少の改善を図ることはできるのだろう。1基だけでどの程度のメリットが得られるのかは分からないが。

追記3

中央日報もホルホルしていた。

韓国軍初の通信衛星、打ち上げ成功…その意味は?

2020.07.21 14:20

韓国軍初の軍事衛星「アナシス2号」の打ち上げが成功し、戦時作戦統制権の転換に対する検証にひとまず青信号がついた。独自の通信能力を備えることになり、韓国軍の単独作戦が可能になるということだ。

「中央日報」より

青信号……だと?

軍が現在運用する通信衛星「ムクゲ5号(アナシス1号)」は軍・民兼用であり、敵の「ジャミング(電波妨害)」攻撃に脆弱だという指摘があった。2013年には該当衛星の太陽電池パネル故障で電力の生産に支障をきたし、諸性能を発揮できない事態も発生した。

「中央日報”韓国軍初の通信衛星、打ち上げ成功…その意味は?”」より

そもそもアナシス1号は2013年頃からトラブルで使えなくなっていたという事もあって、専用の通信衛星が欲しかったのは分かる。

何か、性能が3倍になって嬉しいみたいな事も書かれているが、気になった点はコチラだ。

専用の通信衛星を打ち上げた軍は専用の偵察衛星を打ち上げる計画も持つ。軍当局は偵察衛星を2023年までに戦力化するという目標を設定した。事業費1兆2214億ウォン(約1100億円)を投入し、映像レーダー(SAR)、電子光学(EO)、赤外線(IR)衛星など5機を確保する、いわゆる「425事業」だ。しかしSAR搭載体を製作する海外企業が新型コロナウイルスの感染拡大による開発遅延を通知してきたうえ、関連予算が第2次補正予算で169億ウォン削減され、事業が速度を出せない状況だ。

「中央日報”韓国軍初の通信衛星、打ち上げ成功…その意味は?”」より

偵察衛星を打ち上げる予定もあるほか、他にも5基の衛星を確保する予定のようだ。

追記4

無事に衛星軌道に到着したようなので、追記しておきたい。

韓国軍の通信衛星“アナシス2号”が軌道に「安着成功」…「10月に稼働」

7/31(金) 8:57配信

韓国軍初の独自の通信衛星“アナシス2号(ANASIS 2)が発射から10日ぶりに予定の軌道に到達した。アナシス2号はこれから性能試験を経て、今年の10月頃 本格稼働するものとみられる。

「yahooニュース」より

その後どうなったか気になってはいたが、無事に予定した軌道に到達したようだ。

とはいえ、この通信衛星はフランスのエアバス社に設計して貰って、打ち上げはアメリカのオペレーションである。失敗する要素は少ないし、軌道に乗って当たり前という事になる。つまり、ここまではニュースになるまでも無く予定通りだったとも言えるだろう、

ここから先どうやって運用するのか?は興味深いが。

コメント

  1. ANASIS-1ですが「現在は軍と民間が兼用する通信衛星(ANASIS)を運用」とあるANASISがANASIS-1のことで、コリアサット5号の民間部分がムクゲ5号、軍用部分がANASIS-1とネーミングされてます。
    *https://space.skyrocket.de/doc_sdat/koreasat-5.htm

    • おっと、調べきれなかったところの補足ありがとうございました。
      なるほど、そういう事ですか。そうすると、アメリカから買う話は完全に無しになったのですね。なるほどなるほど。修正しておきます。

  2. 聯合ニュースの記事では「欧州航空機大手エアバスの衛星をベースに製作されたアナシス2号」とエアバスの衛星を参考に韓国で製作みたいな感じに受け取れるけど아나시스 2호(ANASIS2号)のwiki(まだ韓国語しかない)には「エアバスディフェンス・アンド・スペースは、通信衛星Eurostar E3000をベースにアナシス2号を製作し、契約に基づいて韓国軍が所有権を持つようになる。」としっかり書いてあるので、外国に製作してもらった衛星を外国のロケットで打ち上げてもらうだけのようです。

    • ありがとうございます。
      なるほど、韓国語のWikiにはそこまで書かれているのですね。
      そうなるとやっぱりエアバス御禁制という可能性は濃厚ですね。

      そうだとしても韓国が通信衛星を手に入れる事は重要だとは思いますよ。ただ、1基だけではダメでしょうねぇ。

  3. 木霊さん、おはようございます。

    >そこで、平成28年(2016年)7月にきらめき1号機がアリアン5号によって打ち上げられる予定が立てられていた。

    欧州企業製とはいえそもそも名前ンが良くないですね、アリランと間違えそう。(苦笑)
    幸い2号機は国産のH2Aで打ち上げされたそうで何よりです。

    • きらめき1号機はかなり重量があったようで、H2型で打ち上げる訳には行かなかったと、その様に説明されています。
      ちょっと残念ですが仕方ありませんよね。