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対トランプシフトが進むアメリカ社会

北米ニュース
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Nzam(Net Zero Asset Managers initiative)が空虚な目標を掲げていることは誰もが気がついているが、アメリカはトランプ氏の再登板を切っ掛けに方向修正するようだ。

ブラックロック、気候変動対策グループ脱退-米大手行に続く動き

2025年1月10日 10:12 JST

米資産運用大手ブラックロックは9日、気候変動対策を目的とした世界最大の投資家グループ「ネットゼロ・アセットマネジャーズ・イニシアチブ(NZAM)」から脱退すると明らかにした。同社は地球温暖化に関する取り組みを巡り共和党から批判されていた。

Bloombergより

トランプ氏は、気候変動にも懐疑的な立場だからね。

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環境ビジネスがアメリカでは成立しにくくなる

ブラックロックも遂に気がつく

ブラックロックはアメリカの資産運用大手であり、Nzamへの出資も行っていただけに、今後、世界の気候変動対策にも影響の出そうな話ではある。

ブラックロックは、保守派が「ウォーク(社会正義に目覚めた)」と呼ぶ方針をとっているとして、共和党議員から攻撃されてきた。最近では、石炭生産を抑制する戦略を採用しているとされ、反トラスト法(独占禁止法)でテキサス州などから提訴された運用会社に名を連ねた。

~~略~~

NZAMは、2050年までに投資先の温室効果ガス排出を事実上ゼロにすることを目指すグループ。約325の運用会社で構成され、資産規模は計50兆ドル(約7900兆円)前後に上る。

Bloomberg「ブラックロック、気候変動対策グループ脱退」より

そもそも投資家にとって気候変動問題というのは関心の薄い分野で、そこで金が生まれるかどうかが重要である。

したがって、トランプ政権が気候変動問題に消極的である以上は、ビジネスチャンスは減ってしまう。

だからこそ、アメリカの大手銀行もNzamから撤退を始めたし、ブラックロックも撤退を決めたのである。

米大手行は最近、気候変動対策を目的とした国際的な銀行グループ「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」から相次ぎ離脱している。

昨年12月初旬以降、ゴールドマン・サックス・グループウェルズ・ファーゴシティグループバンク・オブ・アメリカモルガン・スタンレーJPモルガン・チェースがNZBAを去った。

Bloomberg「ブラックロック、気候変動対策グループ脱退」より

今後は一層その傾向が強くなるだろうね。

風力発電はNG

そして、トランプ氏は風力発電も敵視し始めたようだ。

トランプ氏、次期政権下で風力発電所の建設認めない方針示す

2025年1月8日 10:46 JST

トランプ次期米大統領は7日、政権2期目の間に風力発電所の建設を認めない方針を打ち出す考えを示した。現在計画中の大規模風力発電プロジェクトの存続が脅かされている。

Bloombergより

正直、太陽光発電以上に風力発電に懐疑的な僕にとっては、「当然なんじゃないか」とは思うのだけれども、多くの人にとってはそうではないようだ。

ただ、風車が「ガンの元」になるとか言う積もりはないのだけれど。

トランプの最新エセ科学:風力タービンは「がんの元」

2019年4月4日(木)15時08分

ドナルド・トランプ米大統領は4月2日に開かれた共和党全国委員会の夕食会で行ったとりとめのないスピーチの中で、風力発電を批判した。風力タービンは周辺の土地や不動産の価値を下げるし、鳥を殺すし、がんの原因にもなると主張した。

Newsweekより

どちらかというと、風力発電のコストの方に問題があると思っている。

風の力を有効に使って発電をしようという考えは悪くないとは思うけど、発電コストは高いし、メンテナンス性は悪いし、商用発電向きの発電手法ではないよね。

また、経済安全保障的にも、風力発電に用いる風車やモーターの大半が支那製品であるという事実を鑑みると、本当に推進すべきなのかは疑問に思う。

スコットランドのアバディーンにある自身のゴルフコースの沖合に風力発電所を建設するプロジェクトに反対してきたトランプ氏は長年、風力発電を非難してきており、風力タービンががんを引き起こすという誤った主張さえしていた。これに対し、クリーンエネルギー推進派は、トランプ氏の反風力政策は電気料金を上昇させ、米国の電力源を奪うことになると論じている。

Bloomberg「トランプ氏、次期政権下で風力発電所の建設認めない方針示す」より

トランプ氏の私怨絡みだし、イーロン・マスク氏を政府に迎えるにあたって、EVや太陽光を敵視できないあたり説得力は薄いのだけれど、ね。

マクドナルドは方針転換

環境ビジネス的な話からやや離れて、DEI(多様性・公平性・包括性)絡みの話にも影響が出ている。

米マクドナルド、多様性の取り組み縮小へ DEI離れ続く

2025年1月7日 18:40 

米ファストフード大手マクドナルドは6日、多様性に関する取り組みを縮小すると発表した。米最高裁が一昨年、大学の入学選考で志望者の人種・民族を考慮する「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」を禁じる判決を下して以降、多様性推進の取り組みを見直した企業の最新例となる。

マクドナルドが発表した変更には、供給業者に「多様性・公平性・包括性(DEI)」に関する特定の目標を求めないこと、企業の多様性を評価する外部調査からの撤退、多様性委員会から「グローバルインクルージョンチーム」への名称変更などが含まれている。

AFPより

なんというか、これに関してはトランプGJと思っている人が多いに違いない。

積極的差別是正措置といい、DEIといい、経営者にとってはメリットが極めて薄いどころか有害なんだよね。

マクドナルドの発表は、自動車フォードやオートバイのハーレーダビッドソン、農業機械ジョンディアから酒造メーカーのジャックダニエルまで、一連の大手企業や名門ブランドによる同様の動きに続くもので、米国でのいわゆる「ポリティカルコレクトネス(PC、政治的公正)」への反動の現れとなっている。

AFP「米マクドナルド、多様性の取り組み縮小へ DEI離れ続く」より

本件に関しては、トランプ氏の再登場は切っ掛けに過ぎず、ポリコレの行きすぎを是正する当然の流れだと思う。

人種差別はダメという発想と、ポリコレを推し進めることはイコールじゃないって気がついたということなんだろうね。

TikTokを廃止せよ

さて、もう1つ。これはコメントでも頂いた話なんだけれど、TikTok規制が進んでいるようだ。僕は完全に忘れていたんだが。

TikTok禁止法、アップルやグーグルも米中対立の巻き添えに

2025年1月7日 15:34 JST

中国系動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」のクリエーターらは、米国で差し迫る同アプリ閉鎖を回避する方法を宣伝する動画を投稿している。法律によりアプリ使用禁止を強制され、順守しなければ何十億ドルもの罰金が科される恐れのあるアップルや、アルファベット傘下グーグルなどの米テクノロジー企業にとって厄介な事態となる可能性がある。

Bloombergより

この話に関連して、先日紹介した驚きの法案が通ると、この方針は加速していくだろうと思われる。

先日紹介したのは、個人情報国外持ち出し規制する法案の話。

これは未だ公表された段階で、法整備されたわけではないようなのだが、これが整備されると、支那国内においてサーバーに個人情報を保存する目的で海外から利用するのはNGになる可能性が高い。

そうすると、TikTokの規制にはより拍車がかかるだろうと思われる。テンセントとバイトダンスはライバル関係にあるようだが、テンセントの方はアメリカで締め上げられる模様。

そして、バイトダンスもTikTok禁止法が通れば、多大な影響を受けることは避けられないだろう。確か、今日にも審理が行われるハズだが。

米最高裁、TikTok禁止法について1月10日に審理
米連邦最高裁判所は18日、中国系動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を規制する新法について2025年1月10日に審理を設定したことを明らかにした。同法は中国の親会社がティックトックを売却しない限り、米国でのサービスを禁じるもので...

トランプ氏の就任日、1月19日までに決着が付くのかどうか。

トランプ氏、最高裁にTikTok規制発効の延期求める
トランプ次期米大統領は27日、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国内での禁止につながる規制を盛り込んだ新法について、発効を一時停止するよう米連邦最高裁に求めた。来年1月20日に就任するトランプ氏は、自身の就任後に「政...

トランプ氏は、Tiktokに関してはやや擁護する立場らしいのだけれど、アメリカにデータサーバーを置けというスタンスは崩さないと思う。

この判断もまた対トランプ政策という事なのだろう。

コメント

  1. 山童 より:

    さっそくと申しますか……(笑)
    基本的に行き過ぎたポリコレに逆流する事を氏に期待してましたので、マクドナルドの件は溜飲が下がる思いです。
    風力については農園で使ってるので、これは
    地形的な条件が揃った時にのみ利益を得られるもので、それも安定供給からすると、自家消費のようなケースでしか使い物にならないシロモノなのは解ってます。なので、
    ごもっとも…としか思いませんね。
    というより世界第一の投資会社のブリックロックが資金提供してると知らなかった。
    まさしく「温暖化の有無より利権」すね。
    トランプさん、先日のデンマークへのグリーンランド売却のお話で、「武力行使も否定はしない」等の発言で、「それプーチンと変わらないがな(笑)」と想うた。さすがはトランプとしか言いよう無い(笑)
    武力による現状変更は認めない!が西側諸国がウクライナ支援してきた理由なので、
    その最大の支援国が、「自国の地政学的な戦略の為に他国領土を武力で奪う選択肢も否定しない」と断言したようなもの。
    まぁ、やらないとは思いますけどね(笑)
    でも、そこをメディアが突かないのも、笑ってしまう。だってすくに米国大統領になる御仁が、プーチンと同じ理屈を言ってるのだもの。どれだけメディアが強い奴に弱いか解る話であります(笑)
    大風呂敷を拡げて、世界を引っ掻き回す事は当選前から予測されていた事なので、
    驚きはしませぬが、やっぱりトランプ氏はやってくれるですね(笑)

    • 木霊 より:

      まー、トランプ氏の有言実行は結構形を変えての実行というパターンもありますから、今言っていることはあまり真に受けてはいませんが、産業界を中心にいろいろ動いていますね。
      グリーンランドの話には苦笑しましたが、防衛的な観点からいえばアメリカは欲しいでしょうね。
      トランプ氏流のディールなのでしょうが、デンマークとしても「売っても良いかなー」くらいのスケベ心は持っているかもしれません。建前上は、「絶対売れない」ということのようですが。

      いずれにせよ、「トランプのせいだ」と言っておけば色々捗る分野はあるみたいですね。
      日本もぜひ動くべきです。トランプのせいで防衛力強化は必須である、みたいな流れを作るのは結構容易だと思いますよ。

  2. 山童 より:

    そうでふすね。わが胸を撫でても、そもそもトランプ氏が大統領となる事を望んだ者は、どの国の者でも「彼が人間核弾頭である事」を承知の上での願望だったと私は思います!
    制御不能でメルトダウンするリスクを承知で彼を応援したと想う!
    それは日本国民てあろうと、彼の潜在的な危険性を呑んでの結論てせう!
    ならば、我々が例え言論コミュニティでも僅かでも出来る事は(蟷螂の斧でも)、「その両刃の剣」を「どう利用するか」の意見に尽きると思います。トランプさんに全ての責任を被せて、
    「だから日本国は米国の下請けとしても武装強化すべきだ!」
    「だから核シェアリングを含めた自国武装を整えろ!」
    「米国と一蓮托生を撰ぶならばスパイ防止法は必須だ!」などの意見を少しでも拡散してゆくべきなのだと想います。
    まぁ簡単に利用できるタマではないし、日本のトップは石破だし(苦笑)でも、彼が米国のトップに座る以上、それしか道は残されてないと言う事でせう!
    毒を食らわば皿までです!

    • 木霊 より:

      「人間核弾頭」とはまた凄い評価ですね。
      しかし、外交において様々なハレーションを引き起こすのは間違いないでしょうから、そこを上手いこと利用するべきだとは改めて思いますよ。

  3. 匿名 より:

    例を上げると

    パリ・オリンピックのオープニングセレモニーの印象は、私のような非キリスト教徒からして「ソドムとゴモラ」そのももの、でした。

    が、これを言うと、人種差別者とか環境破壊者??と言う「呆れたシンプルなレッテル」で、中身を無視した言説封鎖、、、ならまだマシで人格否定、、言論・思想統制がポリコレでしたから

    アタリマエを言えるトランプムーブは歓迎です(笑)

    • 木霊 より:

      そうですね。
      パリオリンピックのオープニングセレモニーは酷かった。あれが許されるフランスの精神性を疑うところですが、批判してはならないというのが欧州の方針です。
      そもそもヒトラーに関する評価どころか研究すらNGというお国柄ですから、それもやむなしかもしれません。ヘルシングとか幼女戦記はNGなんでしょうな。

      さておき、アメリカは流石に現状は行きすぎだと感じているのでしょう。
      コレを機に、ハリウッドも目を覚まして欲しい。個人的にはそこも切に願っております。

  4. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    思ったより、揺り戻しが早く始まった感があります。
    それも、強烈に。
    やはり土台のしっかりしてない、一過性の「ええじゃないか」は即座にひっくり返される、ヒステリックであった分だけ揺り戻しもデカい、というべきでしょうか。

    「トランプ支持でも良いじゃない 多様性だもの」みつを(なわけない)

    • 木霊 より:

      こんにちは。

      BLM運動など、酷いものでしたからね。
      確かにアメリカの黒人差別は、唾棄すべきものであるかもしれませんが、逆方向に突っ走るのもまた違うわけです。
      「風と共に去りぬ」の上映すらNGなのですから、呆れて物が言えません。臭い物に蓋をしても仕方がないと思うんですよね。

      劇薬「トランプ」をアメリカは果たして飲み込むことが出来るのか?!と、日本は他人事に考えている状況ではないんですが……。