気にしていた話ではあるが、絞られてきたね。
豪 新型フリゲート艦の最終候補 “日本含む2か国に”国防相
2024年11月17日 19時18分
オーストラリアが導入を計画している新型のフリゲート艦について、マールズ国防相は、最終候補を日本を含む2か国に絞り込んだことを明らかにしました。最終決定は2025年になるとしています。
NHKニュースより
オーストラリアに日本のもがみ型護衛艦が売れると、防衛面ではかなりプラスとなる。
純同盟国化を加速する
2カ国に絞られた
この話は以前も触れたね。
オーストラリア海軍のアンザック級フリゲートの次級が求められていたという話は以前も書いたのだけれど、次級候補だったハンター級フリゲートはどうなったか不明で、更に次の艦を求められているようだ。
で、ここに名乗りを上げたのが4カ国5企業。
- ドイツ MEKO A-200型
- 韓国:HD現代重 忠南級フリゲート艦
- 韓国:ハンファオーシャン社 大邱級フリゲート艦
- スペイン Alfa3000型
- 日本 もがみ型護衛艦
何故、韓国は1社に絞らなかったのは謎(噂では、仲の悪い2社を政府が仲裁するのに失敗したとのことだが)だが、その点はさておき有力だと思っていたのは、ドイツ、韓国、スペイン、日本の順番だとの噂だった。
17日にオーストラリアで開かれた日米豪の防衛相会談のあとの記者会見で、マールズ国防相は「2つの企業に絞り込んだうちの1つが、三菱重工業の『もがみ』型で、とても優れている。来年にも最終決定を下すつもりだ」と述べて、三菱重工業が製造する海上自衛隊の最新の護衛艦「もがみ」と同じ型が最終候補に残っていることを明らかにしました。
NHKニュース「豪 新型フリゲート艦の最終候補 “日本含む2か国に”国防相」より
ところが蓋を開けてみたら、ドイツと日本が残ったというのが現状である。
性能と効果
個人的な感想を言うと、おそらく信頼性という意味ではスペインの艦を選ぶのがベスト。ドイツ製はハンター級フリゲートの建造絡みで信頼性を失っているけれども、アンザック級フリゲートもドイツ製なので相性は悪くないのだろう。
韓国製はコスト面で有利だけれども、長期的に考えるとメンテナンス性に難あり。
日本製は、コスト面よりも大きさの点で不満が出る可能性はあるんだけれども、恐らくは共同開発という方針らしいので、その辺りは解消する可能性が高く、日本にとってもオーストラリアにとっても防衛政策面でかなりアドバンテージがある。
オーストラリアの新型艦導入計画、日本が参画へ…「もがみ型」護衛艦ベースの開発で他国と受注競争
2024/09/02 05:00
オーストラリア政府の新型艦の導入計画を巡り、日本政府が正式に参画の意思を伝達したことが分かった。今年6月には、豪政府の求めに応じて海上自衛隊の「もがみ型」護衛艦の技術情報を豪側に開示しており、もがみ型をベースにした共同開発計画で他国との受注競争に臨む考えだ。
讀賣新聞より
おそらく、インドに輸出しているアンテナの性能面に関する点で評価されているのではないか。
インドへ輸出する話はこちら。
インドに軍艦用アンテナ輸出 政府、2プラス2で伝達へ
2024年8月15日 13:30
政府は20日にインドで開く日印外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)で、軍艦に搭載する通信アンテナをインドに輸出すると伝える。電波を捉えてミサイルや無人機の動きを早期に探知する役割を担う。共同訓練を拡大してインド太平洋地域で抑止力を強化する。
日本経済新聞より
このアンテナだが、艦艇搭載用複合通信空中線「ユニコーン」という大仰な名前が付いている。
こんなアンテナだ。NORA-50複合空中線(ユニコーン)は、NECが主契約となり三波工業や横浜ゴムと共同で開発したシロモノで、従来のアンテナの機能を1本に詰め込んだ欲張りアンテナである。
このシルエットで、前級のあぶくま型と同等以上の性能を発揮するというシロモノらしい。
もがみ型の次級となる新型FFM(2025年より建造開始)にも搭載される予定なので、これ以降の艦はこういったシルエットの艦がトレンドになるのだろう。
このタイプがオーストラリア海軍に納入される運びになると、戦略的には日本にとってもプラスになるとされている。
オーストラリアの公共放送ABCなどの複数のメディアは、もう1か国はドイツだとしていて、日本のものよりも価格が安い見込みだとしながらも、オーストラリアと日本はインド太平洋地域での防衛協力を強化していて、戦略的な重要性が増しているとしています。
NHKニュース「豪 新型フリゲート艦の最終候補 “日本含む2か国に”国防相」より
つまり、戦略的な意味まで含めるとかなり確度の高い話になる。
潜水艦のセールスには失敗したが
オーストラリア海軍といえば、日本は安倍政権時代に潜水艦のセールスをして失敗した苦い経験がある。
しかし、アタック級潜水艦の選定に関してはオーストラリア海軍にとっても苦い経験になってしまった。アタック級潜水艦は、日本、ドイツ、フランスが入札して、結果、フランスが受注したのだけれど……。
オーストラリア側もフランス側もかなり不実だったらしく、計画は中止に。
これの代わりに動き出している計画がAUKUSの首脳会談で決定された原子力潜水艦の供与の話なんだけど……、これも失敗臭いんだな。現時点ではアメリカからバージニア級原子力潜水艦3隻をオーストラリアに売却する話になっている。
豪、米バージニア級原潜最大5隻購入へ オーカスの一環=関係筋
2023年3月9日午前 8:48
米英豪による安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」の一環として、オーストラリアが2030年代に最大5隻の米バージニア級原子力潜水艦を購入する方針であることが分かった。米国の関係筋4人が8日に明らかにした。
関係筋の1人によると、オーカスは今後数年で少なくとも1隻の米潜水艦が豪州の港を訪れ、30年代後半に英国の設計と米国の技術で新しいクラスの潜水艦を建造して終了するという、複数の段階がある。
ロイターより
しかし、バージニア級原子力潜水艦はアメリカ海軍に納入される艦だけで20隻近くのバックオーダーがあって、現状年間2隻しか建造できていないんだよね。
バージニア級原潜の後継艦(SSN-X)の建造計画も2031年から2040年代初頭に遅らせていることから、アメリカ海軍の予算面のトラブルの噂も聞くのだけれど、建造能力的な問題でも困難を抱えている。
こんな話も出ているしね。
そうすると、オーストラリア海軍としても確実に建造出来る国を選ぶ必要があって、ドイツはその辺りにトラブルを抱えていることから、最終的に日本が選ばれる可能性はそれなりに高くなったと見て良いだろう。
この輸出の話は防衛面でもかなり大きな意味を持つ事になるので、是非とも頑張って欲しい。
この辺りの強化に繋がるからね。
追記
ええと、ちょっと前進したね。
政府、豪新型艦共同開発へ参画決定 事業規模最大1兆円 最新鋭護衛艦で独と受注争う
2024/11/28 19:34
政府は28日、オーストラリア海軍が導入を計画する新型艦に関し、共同開発への参画を目指す方針を正式決定したと発表した。事業規模は最大100億豪ドル(約1兆円)と見込まれる。オーストラリアは共同開発の候補国を日本とドイツに絞り込んでおり、受注を争う。オーストラリア政府は提案内容を比較し来年にも相手国を決定する。
産経新聞より
共同開発で行く気らしい。
日本が受注すれば、英国、イタリアと進める次期戦闘機に続く国際共同開発の大型案件となる。
産経新聞より
是非とも進めて欲しいんだけど、どうなるのかなぁ。
コメント
オーストラリアは政権によって端から端まで移動するので、仮に採用されて契約しても反故にされる事も考慮しないと。
でも、殺傷能力を有する軍備を輸出直前まで交渉出来るのは良い経験になると思う。これまででは考えられなかったから。
同型装備を保有している(させている)国家とドンパチは通常ならあり得ないからね。
実際に潜水艦の件でひっくり返されましたから、日本の当局者も苦い想いはしているでしょう。
なお、フランスも似た想いをしているかもしれませんが。
ただ、そういったリスクはあっても輸出へトライする必要はあるんだと思います。
ご指摘のように、成功すればかなり大きな成果になりますから。
こんにちは。
>「ユニコーン」という大仰な名前
・呼ぶと飛んでくる
・角が割れるとデストロイモード
という戯れ言はさておきまして。
豪が「もがみ型」を採用してくれると、互いに整備拠点を共有出来てWin-winなんですが(太平洋南西部として)、そこまでの話ではないのかな……その発想があれば、潜水艦であんなすったもんだする事も無かったでしょうから。
なお、アメリカは、予算もそうですが技術の継承にも問題が山積みで、潜水艦の溶接工が激減しているとか。
ボーイングと言い、どうしてこうなった。
まあ、理由は分からんでも無いですが……かつての自動車ビッグスリーの凋落(買収繰り返して巨大になったけど、中身はがらんどうだった)にさも似たり、かな?
こんにちは。
角が?!
いやいや、ネタはさておき、売れると嬉しいのですが、外国相手の兵器商売というのは未体験な日本にとっては、これからの努力が大切なんだと思います。
製品は優れていると思いたいんですがね。
世界の重工業力、特に船舶はダンピング合戦で現在の生き残りは中》韓 @民生
西側は韓国だけ。、、、すなわち近・現代的な量産技術を駆使可能なのは該当国ぐらい@民生。
他の国は、コスト上昇が許容可能な特異分野、ex.「軍事」で米露独あたりはまだ優位?、、、とは言え吐息ギリ
わーくにも例外じゃないが、この特異分野、円安、をバネに、巻き返し出来たらなあ
船舶の分野、まだまだ死んだわけではありません。
ただ、民生の船舶をつくる技術力は大きく低下しているようで、そのあたりはもう支那や韓国と競争できない分野でもあります。
なんとか、特殊な分野だけでも強みを持っておきたいですね。
>まだ死んだわけではありません。
でも もう虫の息だし 、 韓国さえ中国の過剰生産力の前に死に体晒しかけ
これのマズい所は「大型船量産できるのは中国だけ」となる事態が「まだマシ」な結末なこと
最悪は中国さえ自滅して、この分野の重工業が人類からロステクとなること。
まるで蠱毒のような中国式過当競争と過剰生産力は様々な分野で人類テクノロジー財産を食い潰す、自殺毒薬となってきている。
話がフリゲート艦から外れて申し訳ありません
が、上まで言っちゃったので ついでに続き。
船以上にヤバくて、今、世界の喫急の危機になってるのが中国の「鉄鋼」過剰生産力。
ざっくり全世界需要の1.5倍は過剰で、一方中国国内需要はご存じ不動産事態で壊滅なのでダブ付きによる壊滅的値下がり。
その値下がり価格によるダンピング輸出で世界の鉄鋼業界が巻き添え壊滅の危機、無策だと事態を引き起こした中国鉄鋼も間もなく潰れそう。
、、、人類は鉄鋼業を失う!
、、すなわち工業社会の終焉!
地球の生存可能人口は30億を下回る。
中国は責任取って今のうちに鉄鋼止めるべきですが、それは中国が先に犠牲になるだけのハナシなので、解ってても実行しないでしょう。
人類が生き残る道は、トランプ式、対中国高関税を更に上回る、ブロック経済化しかないように思える。
造船業の内情を知りませんから、日本に反撃の芽があるかどうかまではちょっとわかりかねます。
支那や韓国は、かなり無理して受注していますし、あれで利益が出ているとも思えません。
韓国の造船業は、早いところ1本化しないと本当に拙そうですよね。支那は、ちょっと良くわからないところがありますが、国内の惨状も相まってまだバランスが取れている感じなんでしょうかねぇ。あれで鉄鋼業が死んでしまうと、どうしようもなくなる気はしますが。
日本の鉄鋼業もかなりヤバいんですが、アメリカでの買収が成功すれば延命には成功するかも?