おー、また積んだね!
中国が215兆円強の財政刺激策を検討、11月上旬に承認か-ロイター
2024年10月29日 18:56 JST
中国は経済を支え、地方政府の債務リスクに対処するため、今後数年間で10兆元(約215兆円)を超える追加借り入れを認めることを検討している。ロイター通信が関係者の話を引用して29日報じた。
Bloombergより
……と、思ったんだけれども、「今後数年間で10兆元」ねぇ。
人民不在の対策
地方政府の債務リスク
ちょっと前に「最大6兆元」といった発表もあったけれども、「ちょこっと」増やしたらしいね。
もちろん「ちょこっと増やした」といっても、6兆元がから10兆元に増やしたのでほぼ倍増。日本円にして90兆円分くらい増やしたという意味になるから、大盤振る舞いではある。
でも、支那の地方政府が抱える債務は92兆元以上だと言われているんだよね。
焦点:中国政府、地方債務「見ぬふり」もう限界 解決に本腰
2023年8月8日午前 9:40
中国政府は7月、地方政府の債務問題を解決するため「一連の措置」を講じると約束した。具体的には特別債の発行、債務交換、国有銀行による借り換え支援などに加え、これまで毛嫌いしてきた中央政府予算に手を付ける策にも踏み込みそうだ。
~~略~~
地方政府の債務は2022年に92兆元(12兆8000億ドル)と、国内総生産(GDP)の76%に達した。2019年の62.2%から急増している。
ロイターより
コレの他に、隠れ債務といわれる分が55兆元分くらいあるとされている。本当のところは誰も分からないのだが。
つまり、債務発行を10兆元分許可したからって、とても足りないよねぇ。
遊休地や不動産の購入
その10兆元の内訳だが、何やら遊休地や不動産の購入に充てる分を増やしたってことらしい。
地方政府が簿外債務問題を解決するのを支援するため2024年を含め3年間で6兆元の借り入れを行うことや、今後5年間にわたり地方政府による遊休地や不動産の購入を賄う4兆元相当の債券が盛り込まれるという。
ロイター「中国政府、地方債務「見ぬふり」もう限界」より
……意味が良く分からない。
「遊休地」って、放置されたままの更地や使用されていない建物が建っている土地のことなので、支那でいう鬼城の買い取りを推奨するってことなんだろう。
そんなの買ってどうするんのさ。というか、買い手は地方政府なんだけど、そもそも地方政府にお金が無い。だから債権発行を許して流動性を産む?
それで、不動産開発業者を助けるってな話になるのだろうか?地方政府に債務を付け替えるだけで、経済的にはどんな意味があるというのか。
そして、地方政府は職員に支払うお金にすら困っているんだよね。
不動産バブル崩壊 公務員に給料も払えない中国の地方政府
記事入力 : 2024/09/30 11:13
仕事が楽な割に給料が良く、福祉水準も高いとされてきた中国の地方公務員たちが最近、大打撃を受けています。さまざまな手当や補助金が削減、廃止されたほか、月給が10~30%削られ、旧正月と年末に出てきた成果給も支給中断が続出しているそうです。国策金融機関の中には支給済みの賞与を返納させるところもあるといいます。
~~略~~
昨年9月、吉林省長春市九台区では退職教師に対する年金支給が滞り、元教師らが市政府庁舎に押しかけて抗議する騒ぎが起こりました。山東省浜州市傘下の地方政府では8カ月も賃金を支給できなかったところもあります。南京市高淳区政府も昨年8月、月給を払えず、近隣の江寧区政府から資金を借りて賃金を支給したというニュースがソーシャルメディアに掲載されました。
朝鮮日報より
恐らくは、最初の6兆元の方は殆どが地方政府の職員の給与に充てられる話になって、そのうちにポッケナイナイ事案になって、債権発行する意味が良く分からない話になりそうだ。
不動産開発業者は救われない
そもそも、この話の根本的な部分を支那共産党は対策する気がないのだから、困ったモノである。
PwC、中国で甘い見積もり露呈 恒大の粉飾見逃しに厳罰
2024年10月30日 2:00
大手国際会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が中国で苦境に陥った。不動産大手、中国恒大集団による粉飾決算を「隠蔽、容認」したとして当局から厳しい処分を受けた。中国で過去最大の会計スキャンダルは、高度成長が覆い隠してきた監査のゆがみを映す。
日本経済新聞より
先日こんなニュースが流れたが、驚くことに未だに恒大集団は潰れていない。
不動産大手の中国恒大、資産売却進まず 事業再構築の投資家募る
2024年5月29日午前 11:59
経営再建中の中国不動産大手、中国恒大集団は、清算手続きにおける資産売却が遅々として進まず、事業再構築のための投資家を募っている。同社が28日に当局に届け出た報告書で明らかになった。
ロイターより
資本主義の国であれば、ここまでになった会社を存続させる意味はなく、さっさと潰してしまう。いや、負債が巨大すぎて潰せないということであれば、公金投入してでも清算することになるだろう。が、2020年に経営危機が伝えられて、今尚、組織としては存続している模様(詳細は不明)。
何故そんなことになっているかというと、負債を確定してしまうと損害を被る投資家が支那国内に多数出てしまうからである。だから、恒大集団を始めとした多数の負債を抱える不動産開発会社を潰せない。他の不動産大手も存続している。そして、投資家は怖がって不動産開発業に投資をしない。余計に負債を抱える結果に。
まあ、悪循環である。
こういった不動産開発業者にとって、遊休地や不動産の購入は少しでも高値でお願いしたい。一方、買い手となる地方政府は「買え」と言われるから買うしか無いけれど、とにかく底値で買いたい。だって、資産価値は無いのだから。そうすると、どちらにも不幸な結果にしかならない。これ、実は何処も救えない弥縫策なのである。
ここで、支那の不動産価格を見ると、たいして下落していない。中古住宅は既に庶民の手が届かなくなって久しいのに、1割程度。地方でも3割くらいしか下落していないようだ。
価値のないはずのモノに高値が付いている理由は、当局のご指導が入っているから。でも、既に人口減少の兆候のある支那で、不動産はコレからますます売れない。更に言えば、投資家を救済するという視点は一切無いので、投資は冷え込んだままである。
トータルで考えても景気刺激になる可能性は……、薄い気がするんだよね。
EVが売れなくなる
さて、こういった国内事情はさておき、海外に輸出すべき製品の事情もあまり宜しくない。
過去にも記事を扱ったが、欧州委員会が支那製EVに関税をかける方針を出した。
この時は、関税を20~25%に引き上げる、最大で38.1%になるとか言う話だったが。
EU、中国製EVへの追加関税を正式承認 代替案巡る協議は継続
2024年10月30日午前 11:17
欧州連合(EU)は、域内諸国で意見が分かれた反補助金調査を終了し、中国製の電気自動車(EV)に対する関税を最大45.3%まで引き上げることを決定した。
従来の10%に加えて7.8─35.3%の関税を徴収する。追加関税は29日に正式承認され、EU官報に掲載された。30日に発効する。
ロイターより
どうやら最大45.3%まで引き上げる模様。
当然、価格競争力が無くなれば、支那製のEVを買うメリットが薄くなってしまうので、売れなくなる。アメリカで支那製のEVは5%程度しか出回っていないが、欧州向けは41%程度(2021年の数字で今はもう少し減っている)。なかなか深刻である。支那は現地生産に切り替えることで乗り切る積もりらしいが、部品にまで関税がかかるのでなかなか厳しい。
支那では半導体開発にもかなり力を入れているのだが、現状では結構厳しいという噂も聞く。
今行っている投資が間に合えば、大きな力を付けてくることは間違いないだろうが、輸出規制包囲網は強まっているので、果たしてどうなるか。
中国、半導体輸出規制強化すれば報復と日本に警告=BBG
2024年9月2日午後 6:13
中国は、日本が中国企業向けの半導体製造装置の販売やサービス提供をさらに制限する場合、日本に対して厳しい経済的報復措置を講じると警告した。ブルームバーグ・ニュースが2日、関係者の話をもとに伝えた。
複数の中国政府高官が最近の会合で日本政府側に繰り返しこの立場を説明したという。
ロイターより
かなり露骨な脅しもやってきているんだけど、日本としては「そうですか」と話を受け入れるわけにも行かない。
そうすると、期待している最先端の成長産業というのが、どうにも芳しくないよと言う話になってしまって、国内景気も悪いし輸出も先行き不透明ということになるのだ。
というわけで、今回の話も数字は大きい対策なんだけれども、一時的な株価の上下はあってもその程度の効果しかないと思う。
追記
やったぜ!
とうとう、根本的な問題を解決することを決めたらしいぞ!
過去8年で中国の出生者数が半減…習近平政権が「本気の反一人っ子政策」を宣言
11/5(火) 6:05配信
先週、中国が「反一人っ子政策」に、本格的に乗り出した。10月28日、中央政府にあたる国務院が、同月19日に発令した「2024年48号通知」を公表したのだ。正式名称は、「出産子育て支持政策システムの完備加速と出産子育て友好型社会建設推進に関する若干の措置」という長いものだ。
Yahooニュースより
これが経済失速の最大の原因といっても過言では無い。まあ、直接的なのは不動産開発が失敗した話なんだけれども、少子化が解決すれば色々解決する問題はあるんだな。え?不動産バブルは解決しない?
それはまあ、そうなんだけれども。
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