状況が不安定で記事を書いている時間が確保できないため、以前書きかけていた記事を手直ししてアップします。頂いたコメントは読ませて頂いていますが、現時点ではお返事は書けそうにないのでご了承下さい。
で、後日談と言っても、特になにか新しいことが分かったわけではないのだけれど。
中国海軍内部にまで伸びていた米情報網…「原潜沈没隠蔽」失敗の顛末
2024/10/14 11:23
中国が開発を進めている最新型の「周」級攻撃型原子力潜水艦が今年5月末または6月初めに、試験航海を前にして湖北省武漢市の武昌造船所で沈没した、という報道が出回りました。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が9月26日、米国防総省関係者の話を引用して報じました。ブルームバーグの報道を見ると、この当局者は国防総省報道官のパトリック・ライダーだといいます。事実上、米国防総省が潜水艦沈没の事実を公開したというわけです。
朝鮮日報より
引用した記事は朝鮮日報のもので、先日の件をまとめた感じの記事になっている。
結局事実はよくわからないまま
沈没したとされる支那の潜水艦
まずは、先日の記事を引用しておこう。
前回、9月末の時によくわからなかったのは、JSF氏もツッコミを入れていたが、沈没したのは通常動力型の039A型潜水艦だと推測されていたことだ。それがどうして「原子力潜水艦」とか「周級」と命名されていたのか、が不明だったのである。
だが、どうやらその情報源はアメリカ防総省だったようだ。
中国は、事故発生から4カ月近くもこの事実を隠していました。米海軍で潜水艦の艦長を務めた経験を持つトーマス・シュガート氏(新米国安全保障センター〈CNAS〉アジャンクト・シニアフェロー)は6月末、商業用衛星写真を基に「武昌造船所で建造中だった039A型攻撃型潜水艦のバリエーションの1隻が沈没したとみられる」という書き込みをX(旧ツイッター)に行いましたが、新型原潜だという事実は知りませんでした。こうした状況で米国防総省が、新たに開発中の周級原潜の1番艦が沈没した、と確認したのです。この原潜は通常型のディーゼルエンジンと小型原子炉を共に載せているハイブリッド型だ、という情報まで出てきました。
朝鮮日報「中国海軍内部にまで伸びていた米情報網」より
ふーん、そんな話だったかな。
日本の報道を見る限り「米国当局者」という表現をしているね。
周級原潜?
で、朝鮮日報の話が本当だとすると、他国で採用実績のないディーゼルエンジンと小型原子炉を共に載せるハイブリッド型だとされている。
沈没したのは攻撃型原潜「周」級の1番艦。5月16日に長江に面した湖北省武漢市の造船所で桟橋に停泊し、装備の調整に入っている様子が民間人工衛星の画像で確認されたが、その後に沈没したとみられ、6月15日の画像では原潜があった場所でクレーン船などが作業していた。
産経新聞より
こちらは産経新聞の記事だが、やっぱり「攻撃型原潜」ということになっているね。ソースは紙ウォールストリート・ジャーナル紙だということになっている。共同通信社が報じた内容そのままっぽい。
ディーゼルエンジンを積んだ通常動力潜水艦は、原潜のように数カ月間も潜航していることはできないというのが短所です。随時水上に浮上しなければならず、敵に暴露しやすいのです。こうした問題を補完するため、従来のディーゼル潜水艦に補助動力源として小型原子炉を入れる方式を選んだというのです。
朝鮮日報より
しかし、AIP機関として原子力を採用とは恐れ入る。この方式に関するメリットはイマイチ良く分からなくて、色々考察があるようなのだけれど、どれもイマイチピンとは来ない。
状況としては、新型の潜水艦というよりはハイブリッド型を試したテスト艦に不具合が生じたという程度の話だったのだとすると、「攻撃型原潜」というのも、やや決めつけが過ぎる感じがする。
何にせよ、分かっていることは殆どないんだけどね。何しろ、実際に原子炉を搭載していたかどうかすら不明だし、サルベージも比較的短期間で完了している。おそらく数日程度で撤収したようなのだけれど、放射線漏れがあった場合にはそんな短時間で撤収できるかは不明だとされる。沈没していたと思われる写真数枚程度で分かることには限界があるよね。
潜水艦建造に力を入れているという証拠
ただ、朝鮮日報が言うようにアメリカのスパイが支那当局から情報を引き出すことが出来ているとすれば、表に出ている情報だけではなく別の情報もそのうち出てくる可能性はある。
そして、事故が発生してしまったことはさておき、支那は随分と潜水艦建造に力を入れていたのだという印象を受ける。今まで採用してこなかった動力方式にまで手を出したともなれば、試行錯誤をして「より優れた潜水艦」を手に入れたいという願望を持っていることは間違いない。
なるほど、AUKUSによってオーストラリアは新たな潜水艦を手にしようとしているし、インドネシアやフィリピン、台湾も潜水艦建造に力を入れている。韓国も随分と大型の潜水艦に手を出しているので、これらの潜水艦が戦力化されれば脅威に繋がる可能性は高かろう。
沈没の中国潜水艦は新型の核・通常ハイブリッド攻撃艦か
(2024年10月3日)
米国防当局者によると、中国は海軍増強の中で、通常推進と原子力推進の両方を採用する新型の周級攻撃型潜水艦の開発を進めている。
~~略~~
中国が秘密裏に新型潜水艦を建造したのは、今回が初めてではない。
ワシントン・タイムズ紙は2004年7月16日、中国が秘密裏に元級の新型通常動力潜水艦を開発したことを明らかにした。
1番艦については、今回の周級と同様、武漢近くの桟橋で発見されるまで、米国の情報機関には知られていなかった。
新型潜水艦の発見は、米情報機関にとって「技術的な驚き」だったと、国防当局者は認めている。マクサー・テクノロジーズ社が3月10日に撮影した衛星画像から、沈没前の周級潜水艦は尾部がX字型に設計されていたことが判明した。
シュガート氏はX(旧ツイッター)で、「周」の原子力推進システムが確認されれば、「葫蘆島以外への原子力潜水艦生産の大幅な拡大」になると述べた。
同氏によると、中国が通常型潜水艦の発電に原子力補助発電を使用しているという未確認の報告は、何年も前から出回っていた。
ワシントン・ポストより
冒頭の記事の元ネタになったワシントン・ポストの記事には詳しい言及があるのだが、支那に原子力潜水艦建造可能な場所は1箇所だけだったけど、ハイブリッド型投入で他の基地でも作れるようになるよ、みたいなことが書かれている。おそらくコレがメリットだろうね。
燃料の供給なんかも外殻を割らずに出来る可能性はあるし、可搬性の高い小型原子炉が採用されたのであれば、特殊な設備の無い港での整備が可能かも知れない。
でも、海軍力の増強に力を入れているという分析なんだけど、支那経済は随分傷んでいるんだけど大丈夫なのかな。
だって、空母もどきも既に3隻あって、潜水艦は弾道ミサイル原子力潜水艦6隻、攻撃型原子力潜水艦6隻、通常動力型潜水艦48隻。結構な数の戦力を保有しているはずなんだけど、メンテナンスが出来ているのかは不明だ。更に特殊な潜水艦が増えるのだから、メンテナンスの手間は増えるだろうね。そこにどれだけコストが掛けられるのか?そういうことを考慮できているのかは、イマイチ見えてこない。
ただ、日本としてはこの手の潜水艦が実践投入されれば対応を考えねばならない。懸念材料が増えてしまったと言うべきだろう。
コメント
木霊様
ムリしないで下さいね。まずはご自身とご家族様でありますから。
しかし……港湾ですよね。
コレを観るに1970年代に2000㍍からソ連原潜をサルベージした米国とCIAは凄いす。
ハワード・ヒューズが資金源だったといえども。世界に存在しなかったサルベージ用の巨大船を作った(ほとんど外観は海底油田基地)というか発明してしまった。
それと比べると中国はまだまだ世界に覇をとなえるだけの資力も技術もない。
ありがとうございます。
正直、病院との往復に時間をとられて記事を書くのが結構難しい。それでも、記事を書いて現実逃避したくなるというのは、悪循環ですね。
さておき、これに関してサルベージ云々よりも、開発にこれだけ力を入れているという事実には恐怖を覚えます。
メンテナンス大丈夫?という疑問も当然湧くのですが。
日本製とアメリカ製以外は、一度100mとか200mとか潜ったら二度と浮上せず永遠なる海底…となるんじゃありませんか。
妄想ですが、潜水艦ってのは
1ミリの千分の一の隙間でもあれば、一度100メートルとか200メートル潜ったら二度と浮上しない=永遠なる海の底…と勝手に妄想!
史上潜水艦を製造し戦争でちゃんと運用できたのは、ドイツ、アメリカそして日本だけではありませんか?
そのドイツの潜水艦は今は見る影もない。仏は、いつもの口だけでしょうし。
英国は全く分からん。
今回、浅瀬で沈没しちゃったのは、一体どういうことなのかさっぱりわかりませんが……。
座礁して動けなくなった、という感じでもなさそうなんですよね。
何が起こったのやら。